ザ・グレート・展開予測ショー

繋がりを示す言葉。〜2〜


投稿者名:yukuri
投稿日時:(04/ 2/23)


「ふぅ・・・やべっ!もうこんなに時間経っちまってるじゃねえか!早く帰るぞ!!」


「そうね、美神さんに怒られちゃうわ。(横島が)」


「先生、ご馳走様でした!!」









    美神の事務所


「ふぅ・・・・・よしっ。さっさと仕事の準備しときなさいよ。」


結局、寄り道をしたためにかなりの時間が経っていたので美神にしばかれた横島。

しかし再起不可能な状態の横島をなんとも思わずに美神は仕事道具を用意させようとする。


「・・・・・・・・・・へ〜い・・・」


「大丈夫?横島。」


「先生・・・・拙者が今ヒーリングを!」


「い、いいから!これ以上ぐずぐずしてたらマジで殺されてしまう・・・・・」


「む・・・・・わかったでござる。」












仕事が終わり、2人にご飯を奢ったせいでより金欠になった横島が再び美神に頼んで晩御飯を食べさせてもらっていた。


「ふぃ〜・・・・ほんとにありがとうございました!!これでなんとか生きていけます。」


「ったく、貧乏くさいわね・・・・」


「そう思うなら給料上げてくださ「シロっ!横島君が散歩に連れて行ってくれるそうよ!」・・・・・・・・・い!?」


「ほんとでござるか!!早速行ってくるでござる!!」


「ちょっ、美神さん!いきなりぃぃぃいい!!??」


ガシッ、ドドドドドドドドドドド!!


「ふぅ、食後に横島君しばくの疲れるのよね〜。」


「み、美神さん・・・・・・」


とっさにシロを使って場をごまかした美神とそれを見て呆れるおキヌだけがリビングに取り残されていた・・・・・・


「夜の散歩は久しぶりでござるなぁ!!今夜は満月だしどこまでもいけそうでござるよ!」


「シロっ!とまれっ!服を引っ張るな!あ、徐々にとまれよ!!また吹っ飛んじまう!!」


「ん?わかったでござる・・・・・・」


横島にそう言われ、しぶしぶスピードを落としていくシロ。


「はぁ、はぁ、死ぬかと思った・・・・・・・シロ、今日はゆっくり散歩しよう!いや、頼むから。」


「えぇ〜、まぁ先生がそういうのなら・・・・・・それなら公園に行くでござる!!」


(ん?なんか今日は素直だな・・・・・ま、いっか。)


いつもなら散々駄々をこねた挙句にフルマラソンが展開されていたので一瞬疑問に思った横島だったが気にしないことにした。


「あ!そういやシロが壊したあの薬。なんだったか聞くの忘れてたな。シロ、明日一緒に厄珍堂に行くぞ。」


「わかったでござる。それなら朝の散歩の途中に行くでござるよ。」


「おまえはほんとにサンポしかないのか・・・・?」


厄珍は毒ではないといっていたがやはりどんなものかは聞いておかなくてはいけないだろう。シロにびっちゃりとかかっていたのだから。


「・・・・・・・先生、ちょっとそこのベンチに座ってもよろしいでござろうか?」


「ん、なんだ?疲れたのか??」


普通の人間ならそういうこともありえるが、シロに限ってそんなことは無いと思いながらも一応たずねてみる。


「いえ、ちょっと月が綺麗だから座ってゆっくり眺めていたいのでござる。」


「そういや人狼は月に力をもらってるんだっけか?別にいいぞ。」


「よかった・・・・先生も隣に座ってくだされ。」


「おぅ。」


そういって横島は座ったシロのよこに自分も座る。


「・・・・・・・・月、綺麗だな。」


「はい、先生と見れて嬉しいでござる・・・・・・・・」

(なんだろう、いつもより先生が暖かく感じる。満月のせいでござろうか?)


「シロ?口、開いてるぞ??」


「え、あ!」


「ははっ、めちゃくちゃ間抜けな顔してたぞ。」


「う〜・・・・・・・」

(恥ずかしい・・・・・いつもなら笑ってごまかせたはずなのに。)


「そういやぁかぐや姫様・・・・べっぴんやったなぁ・・・でも月神族のみんなも捨てがたい・・いや、でも・・・・いっそ皆まとめて!!」

「!!」(ずきっ)

いきなり月の女神たちのことを思い出して妄想をはじめる横島。それを聞いたとき、シロの胸が針に刺されたように痛んだ。


「・・・・・・・先生、拙者のことはどう思ってるでござるか??」


「な、なんだいきなり!まぁ、元気でサンポ好きな弟子って感じかな・・・・・」


「違うでござる!拙者を・・・・・一人の女としてどう思ってるでござるか?」


「!?・・・・・・・シロ、お前・・・」


「先生はやっぱり拙者みたいな子供より美神殿のような大人の女性がいいのでござるか??」


「いや、そういうわけじゃあ・・・・・・」


「拙者は・・・・・先生が好きでござる!・・・・・・一緒にサンポをしてるときも、ご飯を食べてるときも、

 先生が横にいると凄く暖かいものに包まれてる感じがするのでござる・・・・・・

 今日、厄珍殿のところで薬を台無しにしてしまったとき、拙者は体が凍り付いて砕け散ってしまうかと思いました。

 先生が厄珍殿を説得してくれて、拙者に気にするなと言ってくれたでござる・・・・・・

 そのときにはっきりとわかったでござるよ。この気持ちは先生に恋してるから・・・・・・先生が大好きだからでてくるものなんだって。」


「・・・・・・・・・・」


シロは、横島への想いを全て打ち明けた。その想いを聞いた横島はどう答えればよいのか分からなかった。

彼女の想いが中途半端なものではないことはよく分かっている。あのとき、自分を盾にして横島を守った姿を見てしまったから。

それ以来横島もシロのことを一人の女性として見るようになった。この、シロの想いに答えてやりたい自分と

幼いシロとそういう関係になることをためらう自分とのあいだに横島は揺れ動いていた。


「・・・・・はっきり申し上げます。拙者は先生を愛しています。どうか、せっしゃを生涯の伴侶にしてくだされ!」


「俺は・・・・・・・・俺は、」


シロがとうとう自分の想いを、横島への告白を口にした。その言葉を聴き、横島も自分の心のそこにある答えを・・・・・・・見つけた。















「俺もお前を・・・・愛している。こんな俺でよかったら、ずっと、一緒にいてくれ。」


「!?ほ、ほんとうでござるかっ!!・・・・・・拙者は、拙者は!!」


「ただし、俺はお前に言っておかないといけないことがある。聞いてくれるか?」


「・・・はい。」


横島はシロと一緒に道を歩んでいくことを選んだ。しかし、そのためにはシロに伝えなければいけないことがある。

かつて自分を愛してくれた女がいたことを。そしてその者が自分の子供として産まれてくる可能性があることを・・・・・・・




「・・・・・・・ってなことが俺にはあったんだ。俺は今でもそいつを愛している。お前を想う気持ちに偽りは無いけど・・・・・・そいつのことを忘れたとは言えない。」


「先生にそんなことがあったなんて・・・・・・」


シロは横島にふりかかった悲しみのあまりの大きさにどう横島に喋りかければいいのかわからなかった・・・・

そんなシロを見た横島が気まずそうに・・・・・しかし強い気持ちを込めて語りかけた。


「シロ、もういちど言うぞ。俺にはこういう過去があったがお前に対する気持ちにうそは無い。

前の女が忘れられないとかいう次元の問題じゃないのは分かっている。それでもお前は俺のことを愛し続けてくれるか?」


正直、横島はシロの答えが怖かった。シロに自分の気持ちを伝えられずにいたもう一つの理由。

このことを知る人物は皆横島に対する態度がぎこちなくなるときがある。

夕日が綺麗なときなどに横島が遠い目をすると、皆が横島を避けるように行動する。そっとしておこうという優しさは、

横島にとっては気まずい雰囲気を自分が出してしまったという責任感しか生み出さないものだった。


しばらく俯いたままだったシロが、顔をあげ、横島を見つめた。


「・・・・・・拙者は、そんな先生でも、そんな先生だからこそ好きになったのでござる。

命を張って自分助けてくれた者を忘れたなんていう先生はこちらから願い下げでござるよ。」



シロは、横島とともにルシオラと道を歩むことを決心した。いや、決心というよりも答えはすぐに浮かんでいた。

しばらく俯いていたのは、そのことを上手く言葉にするのに戸惑っていただけであった。


「ほんとか!・・・ありがとう・・・・シロ、本当にありがとう・・・・・・・・」


「お礼を言いたいのは拙者のほうでござる・・・・・・ずっと、一緒にいてくだされ。」


「あぁ。もう、絶対お前を離さないからな。覚悟しとけよ?」


「・・くぅ〜ん・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





2人は公園のベンチで想いを告げあい、今この瞬間に《師弟》から《恋人》になった。

2人のつながりを示す言葉は、近い将来《夫婦》になるだろう。



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