ザ・グレート・展開予測ショー

風邪のひくまま 前編


投稿者名:殿下
投稿日時:(04/ 2/21)


「あ、あかん、大遅刻だ。美神さんにしばかれる・・・どうしよ」

俺は出勤時間を3時間も遅刻してしまい、今から自分に降りかかる恐怖に怯え事務所前で入るのを躊躇していた。
しかしそのままずっと事務所前にいるわけにもいかないので5分後にようやく覚悟を決め事務所に入った。


「すいません!遅くなりました!」
俺は事務所に入るなり土下座して謝るが、何の反応もなかった。
「あれ?おっかしいなー。どうしたんでろ?人工幽霊、美神さん達は?」

「美神オーナー達なら仕事に出掛けましたよ」

「そっか、もう仕事に行っちゃったのか。そういえば明日は朝から除霊の仕事入ってるから遅れないようにって言われてたな。こりゃ帰ってきたら速攻殴られるな。それにしても誰もいないんじゃしょーがないな、帰って寝るか」

「あの、横島さん、タマモさんは屋根裏部屋にいますよ」

「えっ何で?仕事に行かなかったのか?」

「はい、タマモさんは風邪をひいたらしく、寝ているようです」

「また前みたいな感じじゃないのか?」

「いえ、今回は普通に風邪にかかったみたいです。ただ症状は軽いので前の天狗の薬を飲んで安静にしております」

「そっか・・帰っても暇だし看病でもしてやるかな」


屋根裏に行くとタマモが少し苦しそうな表情で眠っていた。
俺は額のタオルを冷やしたタオルに交換したり、布団を掛け直したりして、看病していた。ふとタマモの顔を見て、思わずドキッとした。熱のせいかタマモが妙に色っぽく見えたのだ。

(い、いかんぞ、俺はロリコンじゃないんだ。しかし改めて見るとタマモって・・・すげえ可愛いかも)
そんなことを思いながら看病を続けていると・・・

「・・・・ん」

不意にタマモが悩ましげな声をあげた。そして、その声が発せられた唇に目がいった瞬間、
(柔らかそうな唇だな。キスしてみたいな・・・しかし病に伏せている少女の唇を奪うなんて)
無性にタマモにキスしたくなってしまったのだ。
その衝動をなんとか少ない理性でうち消そうとする。しかし・・・

(でも頬にキスするくらいなら良いんじゃないか・・・良いよな?)

強引に自分を納得させ俺はタマモの頬にキスしようとする。次の瞬間

チュッ

俺はタマモの頬にキスをした・・・と思っていた。

(ああ、なんて柔らかい頬なんだ・・・まるで唇のよう・・唇・・唇??)

なんと俺が頬にキスしようとした瞬間にタマモが寝返りをうって、そのため俺がタマモと口づけする形になっていたのだった。

サーーーッ
俺はその瞬間顔中青くなり、
(しまった〜、お、俺は何てことを。と、とにかく一刻も早くこの場を退散した方がいいな)
そう思いながら俺がダッシュで屋根裏部屋を出ようとしたその時

「待ちなさいよ!」
背後から聞こえてはいけない声が聞こえてきたのである。

「えっ・・・」

俺が恐る恐る振り向くと、寝ていたはずのタマモが目を覚ましていた。

「どこに行く気?」

「起きてたのか?どうだ調子の方は?」

「大分寝たから随分楽になったわ。で?」

「えっ?「で?」って?」

「何とぼけてんのよ、何であんな事したのか聞いてんのよ!」
タマモが声を荒げて聞いてくる。

「あ、あんな事って?」
俺は往生際悪くとぼけて聞き返す。

「ふ〜ん。まだとぼける気?いいわ、言ってあげる。何で私にキ、キスしたのか聞いてるの?」
タマモは熱で赤い顔をさらに赤くして言う。

「いや、あのな、最初は真面目にタマモの看病してたんだぜ。その内タマモが可愛いなって思いだして抑えられなくなっちゃてさ。でもホントは頬にしようとしたんだ。そしたらタマモが寝返りうっちゃってさ・・・ホントだぜっていうか頬にキスするのもダメだけどさ」
俺は一生懸命に事情を話し、一言

「・・・・・ごめんなさい」

「・・謝って済む問題だと思ってるの?」

「わかってる。どうすれば許してくれるんだ?タマモの言うとおりにするよ」

「そうね・・・それじゃあ一緒に寝よ☆」

「はいっ?」

「一緒に寝よって言ったの」

「あの、タマモさん、それは非常にまずいのでは・・・」

「いいの!寒いから一緒に布団に入って寝てくれればいいの」

「いや、やっぱりまずいよ」
(ロリコンではないとはいえ、美少女と一緒の布団なんかで寝たら自分自身どんな行動するかわからんからな・・)

グスッ

「タマモ?」

「言うとおりにするって言ったのに・・・」

「確かに言ったけど、それはちょっと・・他の事にしよ。なっ?」

タマモは目に涙を浮かべ唇を触りながら言った。
「ファーストキスだったのに・・・」

(そ、そうっだたのか。事故とはいえ俺はタマモのファーストキスを奪ってしまったのか・・・)
「・・わかったよ、一緒に寝るからさ!だから泣きやんでくれよ」

「うん☆」

(はや!!・・・こ、こいつ嘘泣きしてやがったな)

「はやく、はやく☆」
タマモが布団をめくり催促してくる。

俺は観念し、自分の少ない理性を信じて布団に入った。

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