ザ・グレート・展開予測ショー

惚れ薬狂想曲


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(04/ 2/20)

太陽が眩しい、とまではいかないが。
近くの公園を借り切る状態で厄珍堂の品々、本日虫干しである。
「序に即売会もやってるって訳ね。商魂たくましいことで」
美神令子がベンチで優雅にティータイムと洒落込んでいる。
「そういう事アルよ。大々的に宣伝したから結構地方からのお客さんも来てるアルよ」
順風満帆とばかりに休憩中の厄珍である。
話し相手の令子は用意されたカップの紅茶を飲んでいるのだが、あまりいい顔をしないのはどうも渋いらしい。
「そういえば、令子チャンはあまり品を見てないみたいアルけど?」
仕事の遣り方が冥子やエミに比べ霊力を重んじる正攻法なのであまりアイテムを必要としないのが起因であるのだが。
「それでも、こういう品を見れるのは悪い事じゃないと思うしね」
だ、そうである。
ぐるりを見渡せば西条もなにやらの品に興味を示し、向こう側には六道女学園のお嬢様方の姿も見える。
その近くでナンパに失敗した例の奴もいたりする。
「に、してもこの紅茶ちょっと濃いわねぇ、お砂糖ある?」
「いやちょっと切らしてるの事ね。近くで買ってくるアルかな」
厄珍、席を立とうとした時に、
「お砂糖なら〜〜〜あるわよぉ〜〜〜」
アルバイトにまで荷物を持たせしこたま買い込んでいる冥子が小瓶を差し出している。
確かに有名ブランドの砂糖である。
サンキューとばかりに紅茶に少量入れた時、
「ん?・・あっ、待つアル!それ、砂糖じゃないアルよ!」
慌てて止めさせようとしたがもう遅い。
「何よ?ちゃんと甘くていいお砂糖じゃないの?」
全部飲み干してから前を向くと厄珍は地面に突っ伏している。
「それは惚れ薬あるよぉー」
「な、なんですってぇ!なんで白色の錠剤を砂糖瓶にいれてるのよ!」
「当たり前あるよ!保護するには一番アルし、ちゃんとラベルもアルの事、私は悪くない」
悪いのは冥子だと言いたげである。
「冥子!」
「えっと〜〜〜〜、それはぁ〜〜〜オマケでぇ〜〜もらって〜〜〜お砂糖かなぁ〜〜って」
当の冥子、えへえへと、薄ら笑いでごまかそうとしつつ、令子の視界から逃れようとする。
「オカルトグッズ即売会の世界で砂糖がオマケに付くわけないでしょうがっ」
と立ち上がる
その先にいたのが、
「あん?」
今回アルバイトで冥子の荷物持ちをしていた伊達雪之丞君だったりする。
目が合った瞬間。令子の口から、
「す」
「・・・?す?御酢飲めば直るのか?」
と口にする雪之丞だが、彼も半ば理解してるのであろう。
「素敵な人v」
あっちゃーと額に手をやる厄珍である。
「な、何を言ってるんだ。美神の!」
と、後ずさりを見せる雪之丞の肩をとって、
「ね、ね、折角のこんなチャンスだからどっか行きましょうよ、行きましょうよ!」
なんて、積極的になってるではないか。
その様子を見つけたのが、横島と西条である。
「なっ!」
「にっ!」
普段なら、血の涙を流し拙いのろいをかけるであろう横島に、
現実から逃げる西条になるはずなのだが・・・。
『面白すぎる!』
と、叫んだから隣に着ていたオキヌちゃんと魔理がずっこけるのも無理は無い。
「横島さん、西条さん!」
「いやいや、あの恋愛に奥手な令子君のモーレツアタック、見ものじゃないか?なぁ、横島君」
「まったくそのとーりだ。オキヌちゃんだって興味あるだろ?」
そう振られると、二三回頭を振り、
「ちょっとは」
小声で答える。
そんな面白がっている場合じゃない人がいる。
当然ゆみかおりその人である。
「へー、雪之丞、私を以前デートに誘っておいて美神おねー様がいいのぉ?」
「ち、違うって!見りゃわかんだろーがっ!」
頭では判っても気のあるのが、いちゃついてるとあれば女の嫉妬はいと怖しである。
「お、俺は逃げるぞっ!」
「あっ、待って〜、ゆっき〜v」
目がハート型になっている。
「・・・惚れ薬って効果あるんだなぁ」
って、こんな面白い事を見逃すかと西条を筆頭に横島やらが連なる。
真後ろから掴まれる雪之丞。
「ほーら、つかまえたぁ〜」
「いや、捕まえなくても・・ってせ、背中にやわらか〜い感触がぁ〜〜」
とろんとした目を見せる雪之丞それでこそおとこだ。
だが、
「ゆーきーのーじょー!」
怒気怖いかおりの言で正気に戻る。
「どうせ、アタシはぺチャよ!」
悔しさかその場で涙を見せるゆみかおり。
「ぺチャってあんた表現ふるいわよ。今は微乳って言うのよ」
「それも古くないアルか?魔理チャン」
と、厄珍。
「ふ、オンナの魅力は胸なのよ。胸!」
と、堂々と言い張る美神令子なのだ。
「アレは日ごろからそう思ってるんだろうな〜、美神さんてば〜」
普段なら玩具を欲しがる低落ぶりを見せる横島も妙に冷静な判断である。
その一言が気に食わなかったのか、
「何よ!なんの文句よ!」
と、振り返り、雪之丞を振りほどくほどであった。
彼にしてはこれ幸い、逃避の続きである。
意外とこの公園広く、小高い山もあれば、遊具置き場所もあったりする。
幸いしてか、雪之丞の逃亡が功を制している。
「何でも好きな物を買ってあげるからぁ〜v」
と、言われ一度止まりそうになるが、
「ゆきのじょぉ〜〜〜!」
と、続くかおりの声が彼の俊足を増加させる。
それほど怖いのか、雪之丞。
「ふぅ、ここまで来れば大丈夫かな?」
令子を巻いたかなと、今いる場所は林に見立てた場所。
携帯されたトランシーバーで厄珍に連絡を取る。
「おい、あの惚れ薬はどーなってんだ?」
【あぁ、心配ないの事ね令子チャンの飲んだ量なら半日で正気になるアルよ】
あそ、とほっとした瞬間。
「もぉ、恥ずかしがり屋さんなんだからぁ」
のわっとのけぞる雪之丞、ちょうど木の裏からなまめかしい美神令子がいるではないか。
加えやや自分よりも高い位置に顔があるから面白くもない。
おとことして。
「ね、ね。こんなトコにいるのも勿体無いから町にでましょ?」
ぐいと、手をひかれる形になる。
「ま、町にいってどーするつーんだ。美神の旦那!」
「いやねぇ。オンナにそーんな事いわせるのぉ〜」
「ぜ、絶対あんたのキャラじゃね〜〜!」
大声を張り上げる雪之丞である。
当然ながら力は男性の方が上なのだが、いかんせん身長の差を巧みに操れる令子の方が上だったりするのだ。
なんともあれ、肉体労働のGS業、華奢に見えても力はあるのだ。
小柄な男の子を引き連れまわす事なぞ、朝飯前である。
「もぅ。暴れないでよね!」
と、幼子を怒るが如く顔を近づける美神令子。
当然彼女は美しい、
ほんの少し、見とれてしまったのが運の付き。
「ほーんと、きゃわいー」
雪之丞目の前が暗くなったと思いきや次の間に唇の甘い感触。
「!んんんんーーー!」
更に洋服のボタンに手をかけようとする令子。
(な、なんだ?この積極性は、お、おとことして据え膳くわぬぬぬうぬう!)
とうとう観念したかと思った次の時、
「あつぅ!」
ぐらりと美神令子の体が落ちた。
「ったく。惚れ薬程度でこーなるなんて、レーコちゃんも駄目ねぇ」
聞きなれたもうひとりの女の声、小笠原エミである。
「これ以上は少年誌では載せられないシーンになるから・お・わ・りってなワケね」
実はエミ泣いているかおりから事情を聞いて、
「あらら。しょうがないわね。あの甘ちゃんはぁ」
と、珍しく友情?とまではないだろうが、止めに入いりにきたとか。
ついで弓がやってくる。
まだ令子を抱きしめていたから文句の一つ、いや百は出るだろう。
「判ってはおりますがね!何処までいったのかしらぁ?正直におっしゃって!」
気迫に負けた雪之丞。
「あの〜〜、無理やりキス・・までぇ」
「キスですってぇ!」
「あああ、そ、そうです」
大人しく従ったからか、あるいはオンナの嫉妬というべきか。
再度目の前が影になったかな?と思った雪之丞、再度唇の味をかみ締める事になる。
因みに
今回は口の中になにやらの異物まで来たというから、もうどうにでもなれというか。
(た、たすかった〜)
と、心の中で思ったに違いない。
数十分後。
どうもこの惚れ薬、副作用に頭痛があるのか、頭を抱え込んで再度ベンチの人になった令子である。
(たく・・とんでもない物をのんだわねぇ、私が・・)
と、羞恥に心をとらわれているのかな?と自分で思うのだがどうもちがう。
なんなんだろ?今の気持ち・・・?
そんな顔をしていたのを、ひのめを連れて来た美知恵が看破する。
「へー。あんたやきもち、焼いてるわねぇ〜」
??やきもち?
「そ、そんな怪訝な顔されてもね。だってまったく興味の無い人を追いかけたんだから令子に気がある人なら冷静な判断じゃなくなるでしょ?」
判るようなわからないようーな母親の説明。
「もう、じれったいわね、つまり横島クンでも西条くんでも嫉妬しなかったのが悔しいんでしょ?」
そう、たしかにあの二人、面白がって様子をみていただけに過ぎぎなかったのだ。
「そ、そんなんじゃないわよ!」
勢いよく、テーブルをたたいたと同時にまだテーブルにあった惚れ薬をモロに浴びた美知恵隊長。
「あっ。しまったっ!」
母親から迫られたらたまったもんじゃないと身をかがめる。
その先にいたのが。
「あら、横島クンってす・て・きv」
この騒動第二段階に移行したりする。

FIN

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