ザ・グレート・展開予測ショー

素晴らしい日々へ・7


投稿者名:ほんだら参世
投稿日時:(04/ 2/15)

この前の銀行強盗から数週間、衛星に乗ったグレムリンや美神さんの昔の人形等、様々な除霊をこなした。 グレムリンのときは唯ちゃんが、「この子を親のところに連れていってあげないと。」と言い出して。 人形のときは、「人形を無くして悲しんでいる子供達に持って行ってあげないといけませんね。」と言い出して。 ふう、大変だったよ。 特に、人形の時は、「こわしちゃだめです。」って言う唯ちゃんの声に反応して使うつもりの無かったサイキック・フィ−ルド(サイキック・ソーサーの発展。 多重展開したサイキックソーサーで球形の結界を作る)を使っちまったよ。 その後は、俺の記憶の通りの展開が起こって急いで人形をかき集めて異界から出たんだよな。 そんでもってその後に、アヤちゃんに、「大きくなったらデートしような。」って言ったのを聞いた唯ちゃんにまた宙を舞わされたっけ。

そんなこんなで本日、美神除霊事務所は海に来たのだった。

「金にはなるし楽しいし、リゾート地の仕事ってやっぱりいーわ。」

「右に同じっす。」

「横島さん、唯さんっ!! これ何、これ何っ!?」

「キャー!!! おキヌちゃん! それは、フナ虫よっ!! イヤー、近づけないでー!!」

思い思いに海を楽しんでいる俺達を見て、依頼人は不安そーに訪ねてきた。

「あのー。 依頼の方は・・・」

「ああ、大丈夫よ。 要するにそいつの正体を突き止めて、二度と出ないようにすればいいんでしょ。 安心しておまかせくださいな。」

「はあ。」

「あ、夕食は7時におねがいしますね。」

依頼人のおっさんは、「本当にだいじょうぶかいな。」という呟きを残して去っていった。

「でも、美神さん。 本当に、私達こんなにのんびりしてていいんですか?」

「いーの。 どうせ標的が出るのは夜なんだから、それまで楽しまないと損でしょ。 それに、・・・」

何か話し合ってるみたいだけど、声が小さくて聞こえんな。 おっ、話が終わったみたいだな。 なんか唯ちゃんが真っ赤になってるよ。

「あ、あの、忠夫さん。」

「んっ。」

「ひ、日差しが強いから、サンオイル塗ってくれませんか?」

おー、おー。 真っ赤になってるよ。 美神さんにそそのかされたんだな。 たく、やってくれるね〜。 こっちとしても唯ちゃんとの関係は、どうすればいいのか決めかねているとこなのに。

「あ、あの。 駄目ですか?」

うっ! この上目遣いはまずい! グッときてしまったよ。 やるな、唯ちゃん!

「ああ、そんなことないよ。 んじゃあ塗るから。 うつ伏せになって寝てて。」

そう言って、唯ちゃんを砂浜に敷いたシートの上に寝かせた。 うわあ、こうやって見ると結構大胆な水着だよな〜。 背中の露出がこんなにあるよ。 うう、肌がやーらかい。 何かに負けてしまいそうだ。 いや、いかんぞ。 俺はこの子を妹みたいに思っているはずだ。 でも、近頃の唯ちゃんのあからさまな好意の所為でそこら辺が決めかねてきたんだよな〜。 って、何考えてんだ俺は。 元々こんな所で何かする訳にはいかんだろ・・・・チョイマテ、だったらこんな所で無ければ何かするのかよっ、俺! あー、やばい。 思考が変な方に行っとる。 今の所は唯ちゃんは妹って事で良いだろう。 しかし、俺もかなり立ち直ったもんだな。 ちょっと前ならこんな思考は絶対でんかったぞ。 これも、小竜姫様やシロやタマモのおかげかな。 そういやあ、シロとタマモは大丈夫かな? ヒャクメが見ててくれてるらしいけど、心配だな。

「・・・忠夫さん?」

「んあっ。 何、唯ちゃん?」

「いえ、何かボーっとしてたから、どうしたのかなって。」

「あ、あはは。 だ、大丈夫、ナンでも無いよ。 あっ、オイルは塗っておいたから。 腕とかは自分でやってね。 俺はちょっと泳いでくるよ。」

危ねー。 もうちょっとしっかりせんとあかんな、俺も。 とりあえず、泳いで頭でも冷やすか。



唯SIDE

「行っちゃった。」

私は、忠夫さんが海に向かって行くのを見ていた。 美神さんに言われて頑張って勇気を出したんだけどな。 私って魅力無いのかなー。

「もしかして降られちゃったの、カノジョー。」

少しブルーな気持ちになっていた私に、軽薄そうな男が近づいて来た。

「だったら、俺と遊ばなーい。」

「いえ、結構です。」

そう言って私は、気を使っておキヌちゃんと一緒に離れていってくれていた美神さんのいる方に行こうとした。

「そんな、釣れない事言わないでさー。」

そう言って、男が私の肩を捕まえた瞬間に私は切れた。

「はなしてくださいっ!」

男の手首の間接を決めつつ、腕全体を回転させるようにして投げる。

〔横島流 投の二 腕殺し〕

手首の間接を外しつつ投げて、叩きつけた瞬間に肩の関節を外す。 悶絶する男を尻目に私はその場を離れた。 まったく。

「私の肌に触れて良いのは、忠夫さんだけなのに。」

って、なにいってんのよ私は。 キャーッ、キャーッ。・・・あっ、周りの人が何か変なモノを見る目で私を見てる。 やっちゃった。 私は急いでその場を離れた。



「はーっ、はーっ。」

ここまで来ればいいかな。 でも、私も変わったなー。 触れて良いのは忠夫さんだけって、凄い事を考えちゃったなー。 何でこんな事を考えたんだろう。 最初は責任を取るためだけのはずだったのに、なぜかそれだけじゃあ無くなってる。 理由は解る。 それは、あの人を近く感じるからだ。 まるで、昔からの家族のように。 だとしたら、この感情は兄に対する気持ちのようなものなのか? 解らない。 だから、今はあの人の近くにいたい。 この感情の正体が知りたいから。 いや、それは言い訳だ。 私は、ただあの人の近くにいたいだけなんだろう。 すぐにナンパをするような人だけど、とても強くて、なぜか暖かくてほっとする。 あの人の近くに。



忠夫SIDE

「ふーっ。 結構疲れたな。」

あれから、頭を冷やすためっていう理由で泳ぎ始めたら。 いつのまにかかなりの沖に行ってしまって、なぜか出てきた巨大ザメと戦ったり。 謎の巨大軟体生物と戦ったりしてしまっていた。 そんでもって、なんとか帰ってきたはいいけど。 どうやらビーチから少し外れた岩場に来てしまったらしい。 ま、人もいないから、一休みできるはな。 そう思って、俺は手ごろな岩の上に[柔]の文珠を使った後に寝転んだ。

「んーっ。 一休み、一休み。」

日差しが気持ち良い。 何か眠くなってきそうだよ。

「あの・・・」

「んっ?」

「お一人ですか?」

そう言って俺に近づいてきたのは、見た覚えの有る綺麗なね−ちゃんだった。 確か人魚だったよな、この人。

「ええ、見ての通りですけど。 もしかして、逆ナンパってやつっすかね?」

「くすっ、そうですね。 そうなるんですよね、これって。」

んー、良い笑顔だ。 人妻じゃなかったら本気でナンパしたくなりそうだね、こりゃ。

「私も一人だったから、話し相手が欲しかったんです。 ご迷惑でした?」

「いーえ。 美人の頼みに迷惑なんて無いですよ。 あっ、俺は横島忠夫って言います。」

「ありがとう。 私はナミコって言います。」

そう言葉を交わして、俺達は会話を楽しんだ。 この後の展開はわかってんだから。 こうやって一緒に居た方が楽だよな。 俺はそう思っていた。 だが、俺は後でその事を後悔する事になる。 なぜなら俺は忘れていたから。 さっきまで何に悩んでいたかを、この世界での最大のイレギュラーである彼女のことを。



*  *  *  *  *  *



「あっ、居た。 横島さー・・・」

横島を探していたおキヌは、こうして横島の現状を目撃する事となった。 彼女はこう言った。

「唯さんに言いつけてやるんだからー!」

こうして、本人の気付かない所で彼の運命は決まった・・・Good Luck。



*  *  *  *  *  *



「あなたの瞳に乾杯。」

「乾杯。」

あの後に、記憶通りに部屋に招待されて現状に至った。 目の前では、やはり彼女がサザエを丸ごとボリボリ食っていた。 う〜ん、中々に引く光景だよな。

「サザエって歯ごたえがたまりませんね。」

「そーっすか。 はははは。」

人魚の歯ってどれくらい硬いんだろう? なんてことを思いつつ、 もうそろそろ美神さんと半魚人が来る頃かなっと考えていた。 んっ? 美神さん? ヤバイことを思い出すと同時に、殺気(鬼気)を感じて振り返ったとき。 毎度おなじみになりつつある、一筋の流星を見た。



唯SIDE
「あの〜、唯ちゃん。 ちょっと怖いから、もう少し落ち着いてくれないかな〜。」

「何言ってるんですか、美神さん。 私はこれ以上無いってくらい落ち着いていますよ。」

いけない、少し怒気がもれたみたいだ。 でも、これは忠夫さんが悪い。 私達が真面目に仕事をしているというのに、女の人をナンパして姿をくらましたんだから。 

「横島くんなら大丈夫よ。 彼のナンパって傍から見たら、挨拶代わりって感じで深い関係を求めてってものじゃ無いじゃない。 それに本人も、ナンパは美人に会ったときのナンパ代わりだって言ってでしょ。 おキヌちゃんに探しに行ってもらったんだから、もう少ししたら合流するわよ。」

美神さんはそう言ってくれたが、私は納得してなかった。 なぜなら、彼はその挨拶代わりのナンパを私にしてくれる事がなかったからだ。 それは、私が彼にそういう対象で見られていない証になる。 だから彼がナンパをする姿を見ると、心が冷たくなるのを感じる、不安になる。 この怒気は、その不安を隠すためでもあるのだろう。 でも、この感情はどこから来るのだろう? 兄に懐く妹としての私から? それとも、彼を男の人として見ている私から? そこで思考が止まっていた所に、美神さんの声が聞こえた。

「近いわよ! すぐ目の前にいるわ!」

その美神さんの声を聞いて前に進んだ私の目の前に、綺麗な女の人と向かい合って座る忠夫さんの姿が見えた。

そして、私の心が白くなる。

「横島流 打の二 三散華」



忠夫SIDE
「・・・・・」

う、うめき声すら出ねえ。 いつになくきつかったぞ、今の一撃は。 

「忠夫さん。 覚悟は良いですか?」

唯ちゃんの冷たい声が聞こえた。 カクゴッテナンデスカ〜、ダレカタスケテ〜。

「では、よこ「ナミコ〜。」」

なにやら物騒な技を仕掛けようとしていたらしい唯ちゃんの声を遮って、聞き覚えの有る声が聞こえた。 よし! ナイスタイミングだっ!

「何しに来たのよ、あんたっ!!」

「このホテルにいると知って、この1週間毎晩探しにきてただ!! 浮気はおらが悪かっただ!! 子供達も泣いてるだよ!! 戻ってけろ−!!」

「ママーッ!!」 「帰ってきてよー!!」 「ママーッ!!」

突然目の前で起こったホームドラマな展開に、美神さんはポカーンとしていた。 だが、唯ちゃんは浮気という言葉に反応して、ナミコさんに近づくとその肩を掴んで言った。

「ふふふ、そうですか。 あなた“も”浮気をされたんですか。 いいです。 それなら教えてあげます。 対浮気用の奥義というものを。」

唯ちゃんはそう言うと俺達をその場から追い出して、何やらナミコさんに教え出した。 時折聞こえてくるとんでもない踏み込みや打撃の音に、目の前の半魚人がブルブル震え出した。 その半魚人に対して、俺はこう言ってやった。

「大丈夫だ。 人間の俺が生き抜いてるんだから。 半魚人のお前も生き残れるさ。」 

「あ、あんた・・・」

ガシッ

種族を超えた熱い友情が交わされた瞬間だった。



*  *  *  *  *  *



その後はナミコさんと半魚人の二人っきりでの話し合いをしてもらって、無事元の鞘にもどすことができた。 海に戻ろうとする家族達の中で、妙に変形した半魚人の顔が印象的だった。 その次の日に、どうせだからと言う事でもう一泊する事になったが。 俺は唯ちゃんに腕を捕まえられて、加えておキヌちゃんに肩に乗っかられて大変だった。 勘弁してよ。

「「私の勝手です!」」









後書きに入る前に、技の解説。

サイキック。フィールド
>サイキック・ソーサーの発展形の一つ。 多重展開したサイキック・ソーサーによって球形の結界を作る。 ただし、それを展開している間はまったく身動きができない。 加えて、強度の上では通常のサイキック・ソーサーと変わらない。

腕殺し
>技の形としては小手返しに近い。 しかし、この技は相手を倒すのではなく相手の間接を破壊する技である。 本来なら、倒す瞬間に肘に膝を当てて、その間接も破壊するものである。

三散華
>まず、心臓を殴る事により一瞬相手の動きを止める。 そのまま、殴った手で顎にショートアッパーを打つ。 そして、腕を相手の肺辺りに押し付けて、古武術で言う鎧透しの要領でもう一方の手を叩きつける。 横島流の中でもかなり上級の技。


どうも、ほんだら参世です。 今回の話は書いててこそばゆくなりましたよ、ホント。 ちなみに言っときますが、この話にはメインヒロインは無い予定です。 それぞれの女の子に重要な役割というものは持たせますので、言ってみればハーレムものに近いものになる予定です。

要望の方は、今の所全て受理されました。 まあ、今回来た要望は、すでに重要な話として完成されていたものだったので問題無かったです。 ただ、勘九郎の方は苦労しましたよ。 考えてるうちに新しい展開を思いついちゃって、すでに完成していたラストまでのだいたいの展開をかなり考え直す事になっちゃいました。 つーわけで、少し更新ぺースが落ちます。 一応、GS免許の話が終わるまではなるべく要望を受け付けるつもりです。
なんか、今回の話は批判の声が結構出てきそうで心配です。 こんな風に唯ちゃんが動く事は無かった予定だったのに。 全ては電波が悪いんだー。
それでは、また次回にて。 ほんだら参世でした。
  


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