ザ・グレート・展開予測ショー

やっと、気づいた。〜1〜


投稿者名:yukuri
投稿日時:(04/ 2/15)



「・・・以上が今回依頼された内容です。」


おキヌちゃんが先程の電話の依頼内容をこと細かく美神に話す。


「・・・で、ギャラはいくらなの?おキヌちゃん。」


伝えられた仕事の内容から面倒な除霊になることをを想像していたのか、いまいち乗り気ではない様子の美神。


「今日中なら5000万、一日長引くごとに500万づつ減らしていくそうです。どうします?美神さん。」


おキヌが後頭部に小さく汗をかきながら質問の内容に答える。


「そんなもんかぁ・・・・まぁいいわ。横島君!!仕事よ!すぐに荷物の用意をしてちょうだい。」


「はい!わっかりましたぁ〜!!」


美神はしぶしぶながらも金に目がくらんだのか、今回の依頼を受けることにしたらしい。


「シロ!!タマモ!!あんたたちも連れて行くわ。いいわね?」


「先生と一緒にならどこへでも行くでござるよ!!任せてくだされ!」


「あとでキツネうどん食べさせてよね。」


美神は自らが楽をするために人狼のシロと妖狐のタマモを連れて行くことにした。2人は霊波刀や狐火といった元出ゼロの攻撃を使うため美神は最近それらに頼りきっていた。


しかし、この選択が自らの・・・いや。多くのものの未来を変えてしまうとは夢にも思わないでいた・・・・









「・・・で今日の仕事はなんなんスか?シロやタマモまで連れて来て。」


仕事場まで車で向かう途中、横島が美神に尋ねた。大概の事は自分の文殊と美神の神通棍、

おキヌのネクロマンサーの笛でどうにかなると思っていた横島は、この2人を連れ出すような大きな仕事なのかと内心ビビリまくっていた。


「それがね・・・金持ちが道楽で飼っていた珍しい鯰が何かに取り付かれて暴れているから除霊してくれって。」


「・・・なまずっすか?」


美神の話に気が抜けたのか、間抜けな声で聞き返す横島。


「鯰をなめちゃ駄目よ。鯰が暴れたら地震が起こるって聞いたことない?」


それを聞いたとたん横島の顔が暗くなっていく。


「もぅゆれてゆれて除霊どころじゃないのよ。シロだと平行感覚がずば抜けてるしタマモなら揺れててもジャンプしてるあいだに狐火で攻撃できるでしょ?」


一度、鯰の化身の除霊により三半規管が狂い、ひどい眩暈と吐き気を催した美神はそれらしいことを言って自らは高みの見物をするつもりであることは話さなかった。


しかし、


(どうせ美神さんのことやから自分は幽体離脱でもして高みの見物でもするんやろぉな〜・・・)


美神の行動パターンが読めてしまっている横島には意味のないことであった。








「よっしゃぁ〜!!あんたち、バシッと極楽に逝かせてあげなさい!!」


「どうせそんなこったろーと思ったよチキショーーーー!!」


案の定、幽体離脱をして高みの見物をしている美神に愚痴をこぼしながらも、巨大化した鯰に向かって身構える横島。

しかし、楽をしたいといってもやはり自分が抜けていることが不安なのか横島に『模』の文殊を使わせ自分の戦略などを横島に叩き込んである。

もちろん、記憶を読んだりはさせないためにプライベートなものには『秘』の文殊でプロテクトをかけてある。


「でぇ〜い、サイキックソーサー!!」


まずは遠距離からの攻撃で様子を見ようと思った横島はサイキックソーサーを鯰に向かって投げた。


                  
ドゴォォォン!!!


「よしっ!!さぁ、どうでる・・・・・・・・・ん??」


サイキックソーサーが鯰に命中し、相手の出方を伺う横島、そのとき!


“ブガアアアアァァァァァアアアアア!!!!”


鯰は痛みに苦しみながら奇妙な声をあげ、地面を大きく揺らしだした。


「うわっ、まじかよ!?」


予想以上の揺れに大きくバランスを崩す横島。


「うおおおおおお!!」


「くらえっ!!」


自らを奮い立たせるために、雄たけびを上げながら揺れを気にも留めずに鯰に向かって突進するシロ。それを援護するように後方から鯰めがけて狐火を出すタマモ。


ゴォォオオ!!  ザシュッッ!!


“グガァアア!!!”


さながらボクシングのワン・ツーのようにタイミングよくヒットする二人の攻撃。たまらず声を荒げる鯰を見た横島が体制を整える。


「なんだ、普通に弱っちいじゃねえか・・・・今なら行けるぞ!」


揺れが治まったのを好機と見、鯰に向かって一直線に走り出そうとした・・・そのとき!!


「先生危ない!!」 

「えっ?」


“ビギィィィィィイイイイイイイイイイ!!!”

バリバリバリバリバリバリバリ!!


「うぎゃああああああああががが!!!」

「シロォォ!!」

「シロ!!」

「シロちゃん!?」

「シロっ!!!!」


突然鯰から出た、いや、鯰が帯電しているのに気がつかなかった横島にはそう見えたのだろう。稲妻を横島をかばって受けたシロが苦痛の声を出す。

すぐさま『癒』の文殊を発動させるが、シロからは肉がこげたとき特有の鼻を突くような臭いがした。何者がシロのその姿を見ても助かる可能性を見出すことはできないだろう。

しかし、横島はシロがもう助からないとは信じたくはなかった。自分を慕ってくれたあのシロが。自分のせいで死ぬなんて・・・

こんなことが前にもあった、どうしようもない自分の為に自らの命を犠牲にした女性。自分の力のなさゆえに大切な人を失ってしまった。

またあんなことを繰り返してしまうのか??嫌だ、嫌だ!嫌だ!!!

『治』の文殊を『治』『癒』かえてみたもののシロの容態に変化は現れない。ただシロのまわりを青白く輝かせるだけであった。皮肉にも蛍のような輝きを・・・








「せんせいが・・無事でよかっ・・・・た。」















完全にシロの命が絶たれた。いつも「サンポサンポ」とうるさかったシロ。料理を任せると肉しか出てこないシロ。頭をなでてやると八重歯を見せながらにかっと笑うシロ。

もうお前とはサンポはできないのか?お前の肉料理が今では限りなく愛おしい。お前の笑顔にもう一度会いたい。もう一度・・・




プチッ・・・・・



「こんのやろぉぉぉおおおおお!!!!!!!」


あまりの怒りとショックにブチ切れた横島が最大出力のハンズオブグローリーを右手に出現させ、鯰へと切りかかる。


「横島さん!」

「ヨコシマっ!」

「横島、あいつ頭に血が上って・・・!!」


シロの無残な姿に三様の悲しみを持っていた三人が涙声になりながらも横島をとめようとする。しかし当の横島には全く声が聞こえてなかった・・・


(俺のシロを・・・俺のシロを・・・俺のシロを・・・!!)


「うおぉぉぉぉぉおおおお!!!」



“ビギィィィィィイイイイイイイイイイ!!!”

バリバリバリバリバリバリバリ!!


「「「横島!!」っ!!」さん!!」


怒りに任せた一撃が鯰の巨体に命中するかと思われたそのとき、またもや鯰から稲妻がほとばしり横島の体を貫いていった・・・・

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