ザ・グレート・展開予測ショー

キスマーク(後編の前編)


投稿者名:青い猫又
投稿日時:(04/ 2/14)

横島のアパートに来るのはこれが初めてでは無い。
馬鹿犬に付き合ったこともあるし、おキヌが夕食を作りにきたときも
くっついて来たことがある。もちろん一人で来たことだってあるのだ。

なのにこんなに緊張したのは初めてかもしれない。
横島は惚れ薬が切れていない。それは間違いないだろう。
横島が出て行くときの会話を思い浮かべれば簡単に想像がつく、でもタマモは
ここに来る事も横島の惚れ薬の効果が切れていないことも誰にも相談せずに来た。

今更美神に言えないのも事実だが、どうすれば良いのか考えているうちにアパートの
前に来てしまったと言うのが本音だろう。
もちろん横島の誘いを受けないで、事務所の屋根裏にある自分の部屋でおとなしく
しているのが一番なのだろうが、なぜかそうすることも出来なかった。
横島が待ってると思うと、どうしても行かないといけないような気分になるのだ。

とりあえず、布団に入った瞬間に爆睡するシロの目を欺くのは簡単だった。
首のキスマークはマフラーを巻くことでなんとかごまかした。
マフラーを巻くには時期的におかしくないので問題は無いだろう。
人工幽霊1号の目は欺けないが、基本的に美神やほかの誰かが聞かない限り余計なことは
あまり言わないし口止めはしておいたので大丈夫だと思う。

横島の部屋の前に立つ、周りの住人は寝ているのか
周りの部屋からの明かりは漏れていない。

どきどきする、手のひらの汗が気になってしきりにスカートに擦り付ける。
ノックしようとする手がガラにも無く震える。

どうしよう一歩も動けない。

中に入ってしまった場合どうなるか想像も出来ない。
ドアの前で無意味に時間だけが過ぎていく。

ガチャ

突然ドアが開き驚いたタマモは後ろへとあとずさる。
足が引っかかり後ろに倒れそうになったところで、右手をつかまれて体勢を立て直す。

「おっと、大丈夫かタマモ」

そのまま横島の胸へと引っ張られ収まってしまった。
横島の胸に抱かれていると自覚するとタマモの顔は真っ赤になり、突き飛ばす様な
勢いで横島の胸から逃げる。

「あぶねえってタマモ、暴れるな。」

「うるさい、変なことしようとしたら美神に言いつけるからね」

横島をにらみながら精一杯の強がりを言うが顔を真っ赤にしているので
ぜんぜん迫力が無い。

「安心しろって、タマモが嫌がることなんて絶対しないよ。」

横島はいつものように安心する笑いをかけてくる。

「取り合えず中に入れよ、ここで騒ぐのは周りに迷惑だ。」

横島が一歩下がって玄関を開ける。
一瞬タマモは入って良いのか迷うが、ここまで来て帰るわけにも行かないので
おとなしく部屋に上がる。

部屋は相変わらず散らかっていたが、少しは掃除したのか本や荷物がある程度
端に寄せてあり、タマモと横島が並んで座れるぐらいには片付いていた。

「まあそこのセンベイ布団しか座るところは無いが座っていてくれ。
今茶の用意でもするから。て言っても出がらしのやつしか無いけどな」

はは、と軽く笑いながら流しに向かう。

タマモも座ろうと思うのだが布団の上に座ろうか座るまいか迷っている。
普段の横島なら問題なく布団に座るのだが、今は惚れ薬に掛かった状態の
なので危険かもしれない。

少しすると横島が流しから両手に湯飲みを持って戻ってくる。

「タマモ、そんな警戒するなよ、なにもしやしないって。」

横島がなんでもないように言ってくる。
それがほんとに自然に言ってくるので、タマモはもしかしたら惚れ薬は
自分の勘違いだったのではないかと思ってしまう。

布団の上に座ることにして腰掛けるとちゃぶ台に湯飲みを置いた横島が
自然とタマモの横に腰を下ろす。

「まあなんだ、呼び出したのは誰にも邪魔されずにお前を話したくてさ
深い意味とかは無いんだ。こんな時間に呼んだのは悪いと思ってるんだけどな。
やっぱり迷惑だったかな。ごめん」

横島がほんとにすまなそうに頭を下げてくる。

「いや、迷惑なんかじゃないわよ。私も横島に話があったからちょうど良かったし」

タマモは横島の態度に驚いて急いで迷惑じゃないと否定する。

「そっかありがとう」

うれしそうにタマモを見つめてくる。
その顔に今度はタマモの方がどきどきしだして、横島の顔を見れなくなってくる。

「き、気にしなくて良いわ。それよりも聞きたいことがあるんだけど」

「ん、なんだ?」

タマモは勇気を振り絞る。ここに来る前に考えに考え抜いて一言で惚れ薬がまだ
効いてるのか、効いていないのかを判別する質問を考えてきた。
しかしその質問はタマモにとっても勇気を必要とする。
どきどきが止まらなくなってくる、顔が火照って火が出そうなほど熱くなる。
横島をにらもうと視線を上げると、タマモを見つめる横島の視線とぶつかって
身動きが取れなくなった。

落ち着くのよタマモ、私はこのために来たんだからはっきり確認するの。
くじけそうになる気持ちを励ましながら重い口を開くために精一杯力を振り絞る。

「よ、横島、あ、あなたはその・あ、あなたはもしかすると」

「ん、なんだよタマモ、ほれがんばれ」

横島にまで励まされてしまった。
ますます顔を真っ赤にしながらタマモは最後まで言い切る。

「あなたは、わ、私のことが好きなの?愛しちゃってるの?」

言い切るあくまで強気に、でも顔を真っ赤して声がうわずるのはどうしようも無かった。
それを聞いた横島はくくくと笑いをこらえながら布団の上に倒れこむ。

「なによ、答えなさいよ。横島失礼よ」

横島は抑えきれない笑いを漏らしながら布団の上を転がる。
タマモはその姿を見ながら自分はもしかしたら、ほんとに馬鹿な質問をしたのかも
知れないと恥ずかしくて顔から火が出そうになる。

前世のこれでも傾国の美女として男たちを惑わしてきた。
だがそれももっと年を取っていて妖力があったからだ、今のタマモは狐火が
使える程度しか力は無く男関連にしても知識も経験も無いただの少女でしかないのだ。

「もう良いわよ」

立ち上がろうとすると横島が手を握って動きを止めてくる。

「まてよタマモ」

笑いを止めようと我慢しながら横島はタマモを下から見つめてくる。
そしてつかんだ腕をかなり強引に引いてくる。

「きゃっ」

タマモはバランスを崩して横島のほうへと倒れてしまう。
横島はタマモを受け止めるとそのまま体をひねり覆いかぶさるようにする。

次の瞬間タマモが目を開けると、布団に倒れ横島に覆いかぶされている自分が居た。

「よ、横島。何するのよ」

「大丈夫、落ち着いてタマモが嫌がることなんてなにもしないよ」

先ほどまであれほど笑っていたのに今は真剣にタマモを見つめてくる。

「さっきのタマモの質問に答えないとね。俺はタマモの事大好きだよ。
愛しちゃってます。これでいいのかな?」

違うこんなの横島じゃないとタマモは確信する。横島はこんなに積極的じゃない。
もちろん、いつも美女と見れば飛び掛っていくが、それは断られることを前提と
している。つまり成功するつもりなんて始めから無いのだ。
昔から同じことを繰り返してきたせいなのか、横島はいつも自分はもてないのだと
ネガティブに考えている、そのため回りの女性がどれほど横島を思っているのが
ぜんぜん気がつかない。
しかし、今の横島は惚れ薬のせいなのだろう、いつもより前向きで積極的だった。

「横島、惚れ薬が切れてないんだよ。美神に相談しよう。」

「ちがう、そうじゃないんだタマモ。確かに美神さんから惚れ薬の話は聞いたよ。
でもね、今俺が感じている気持ちは絶対惚れ薬のせいなんかじゃないんだ。
好きなんだタマモ、もし少しでも迷惑じゃないと感じているなら、俺のことが
嫌いじゃないと思っているのなら、このままにしてくれ。そして俺のことが少しでも
好きと言うなら俺の気持ちにこたえてくれないか?」

横島はまっすぐにタマモを見つめ体を抑えている力を緩める。

「嫌なら嫌って言ってくれても良い。いつでも抜け出せるぐらいに力を緩めている。
これから俺はタマモにキスをする。嫌なら俺を突き飛ばして逃げてくれ。」

「ず、ずるい。逃げられるわけ無いじゃない」

もともと横島のことが嫌いでは無いのだ。どちらかといえば好きだといっても良い
惚れ薬の効果でタマモのことが好きになっているとは言え、
もしかしたらと思う気持ちもタマモにはあった。

「ああ俺はずるいんだよ」

横島がゆっくりとタマモに近づいてくる。タマモの唇にもう少しというところで
タマモはそっと目を閉じた。



結果だけ言えばあの後約束だからとマフラーを剥ぎ取られ首筋に
思いっきりキスマークを付けられたのを変なことと言わないのなら
タマモは横島に変なこともなれずに送り返された。

遅くに事務所に戻った時にはタマモはふらふらになっており、着替える力も尽きて
布団に眠ってしまった。

朝起きたときにシロに疑われたのを言い訳するのに困ったが特に問題は無かった

それから毎日横島は隙を見てはタマモに愛を語り、熱烈なキスをした後にキスマークを
残していった。
しかも惚れ薬の一件以来美神がそれとなく横島をマークしているので、二人だけの
時間を作るのにタマモも協力してしまったのである。
タマモも最初はかなり戸惑ったが2週間近くになると、さすがに慣れてきたのか
戸惑いはなくなった。

その時タマモは思った。確かに使ったのがばれにくいわね。
惚れ薬が効いてる本人はまわりにそれを必死にそれを隠してくれるのだ。

ただひとつの難点は消えないキスマークを隠すのがつらかった。

もちろんタマモも何もしなかったわけではなく、厄珍堂に乗り込み厄珍に店が火事に
なるかも知れないと説得?して惚れ薬のことについて聞き出した。

惚れ薬は1振りで一回分の効果を発揮するようで、5振りも振ってしまった横島は
一回分の解毒薬では戻らなかったようである。

厄珍に頭を下げての説得?で解毒薬を奪おうとしたが美神が持って行った解毒薬が
最後だった。
もともと珍しい惚れ薬なので解毒薬も次の入荷は予定に無いとのこと、つまり解毒薬が
ほしかったら美神に言わなければいけない・・・無理だった今更絶対に言えない。
ばれたら殺される・・・・

なんとかして美神から解毒薬を奪う必要がある。頭の痛いタマモだった。






しかし、悩んでいるタマモをよそに、いつまでも美神達がおとなしくしている
はずも無く自体は最悪なほうへと流れていくのだった。


美神は苛立っていた。理由も無く苛立つ毎日だった。
別に最近横島が自分をかまってくれないとか、この間の惚れ薬の件から
やたらにタマモをかまうのが苛立ちの原因だとは思っていない。
しかし、それが原因でおキヌ達の様子がおかしいのは事務所の責任者として
問題があると思っている。

「美神さん、最近横島さんおかしくないですか?」

「そうでござる、おかしいのはタマモも同じでござる。」

事務所には美神、おキヌ、シロだけだった。
タマモは惚れ薬のときの慰謝料と言って最近横島に奢らせて駅前のうどん屋に
入り浸っていた。


「まあね、確かに最近の横島君とタマモは私もおかしいと思うわ。」

「最近の先生は拙者と散歩に行ってくれないでござる。それなのにタマモとは
いつも散歩に行ってるでござるよ〜 うぅ」

シロが涙を撒き散らしながら机越しに美神へと詰め寄る。

「絶対タマモが先生のことをたぶらかしているでござる。そうに違いないでござる。」

まあまあとおキヌがシロをなだめる。

「さっきも横島さん、タマモちゃんを誘って駅前のうどん屋さんに
行ってしまったんですよ。ここのところ毎日ですし私も少し変だなって
思ってるんです。それに・・」

シロをソファーに座らせながら、おキヌは言いにくそうにしている。

「それにどうしたの?」

「えっと、それにですね。タマモちゃんのマフラーなんですけど・・
あれって横島さんに付けられたキスマークを隠すために付けていると思ったんです
けど、その〜もう2週間になるのにまだ付けているのはなんでなのかなと・・」

それは美神も感じていた。いくらなんでも長すぎるのである。
普通人間だってキスマークぐらいなら4日もすれば大体消えてしまう。
それなのにいつまでもつけているのだ。
嫌な予感がした、今まで美神は自分の勘信じてきた。
今までもそしてこれからもである。

「でも私もそれとなく横島の行動は見張っていたけど、不審な点は無いのよね。」

「絶対タマモでござる。タマモがそそのかしているのでござるよ。」

シロが再びソファーから立ち上がると詰め寄ってくる。

「落ち着きなさいシロ、まだはっきりとはしてないでしょ。」

タマモか・・、確かにそう考えると確かに納得できるのだがどうしてそんなことを
するのかが思いつかない。
タマモは横島のことをそこまで積極的になるほど好きだったとは思えないのである。
確かにタマモは横島に好意を寄せていたのは知っている。
でもそれはまだ近所のお兄ちゃんのことが好きと同じレベルだと思っていた。
そう思ってつい意識から外してしまっていたが、もしかして自分は間違っていたのかも
しれない。

「美神さん、もしかしてまだ惚れ薬の効果って残ってるんじゃないですか?」

「惚れ薬? だってあれは解毒薬をちゃんと飲ませたじゃない。」

「だって、そう考えたほうが納得できるんですよ。きっと二人ともまだ
切れてないんですよ。」

普段のおキヌとは思えないような勢いで美神に詰め寄る。

「そうでござる。おキヌ殿の言うとおりでござるよ。」

シロまで一緒になって詰め寄ってくるので、さすがの美神も勢いに押されて
しまった。

「ちょ、ちょっと落ち着きなさい。二人とも」

美神は窓際まで追い詰められると、詰め寄ってくる二人をなんとか押しとどめようと
両手を広げて抑えよとしたが焼け石に水だった。

「分かった、分かったわよ。確かめるから落ち着いて。」

「ありがとうございます。美神さん」

おキヌはうれしそうに微笑むと、まだぶつぶつと文句言っている
シロをなだめながらソファーでもへと戻っていく。

くっ、おキヌちゃん良い性格になってきたわね。

「とにかく、人工幽霊1号」

「はい、美神オーナー」

「横島君の行動についてはもう良いから、タマモはどうなの?」

美神は再び椅子へと腰掛けると人工幽霊1号へと問いかける。

「はい、それなのですがその〜・・」

「なに?」

「いえ、タマモ様に言わないでくれと・・・」

バ〜〜〜ン

美神は机を思いっきりたたきつける。

「人工幽霊1号!!!」

「はい!」

「あなたの主人は誰なの!」

「美神オーナーです。」

美神はこめかみに青筋を浮かべながらぷるぷると怒りに震えている。
はっきり言って怖い、先ほどまでぶつぶつと叫んでいたシロはおキヌの後ろに
隠れてしまっている。

「なら言いなさい、最近のタマモは何を隠しているの?」

「はい、まず惚れ薬の一件があった夜にタマモ様は外出をしています。
次の日の03:28に窓より戻っていますが、かなりお疲れのようでそのまま
お眠りになっております。」

「あ、覚えておるでござるよ。外着だったので不思議に思った覚えがあるでござる。」

シロがぽんと手を打ちながら叫んでくる。

「人工幽霊1号記録を見せて。」

「はい」

テレビの画面に窓からタマモが入ってくる場面が映される。
タマモはふらふらとベットへと歩いていくとパタンと倒れそのまま眠ってしまった。

「なるほど、ほかには?」

「はい、ここ2週間は横島様が美神オーナーの目を盗むのを助けている場面が何度か
あります。また誰にも気づかれないようにお二人で外に出ている状況が、ほぼ毎日
あります。」

「なんで言わなかったの!」

美神は苛立ちながら机をバンバンと叩く。

「すみません。タマモ様に言われていたことや美神オーナーが監視対象を横島様と
おっしゃっていたので、ご報告をしませんでした。」

「タマモのやつ」

美神は自分の椅子に深く腰掛けると、おキヌとシロのほうへ向く。

「問題は、惚れ薬が切れていないのが横島君なのかタマモなのか、それとも両方
なのかよ。」

「でも美神さん。私達ちゃんと二人に解毒薬飲ませましたよね。
どうして効かなかったのでしょうか?」

おキヌが不思議そうに美神に聞いてくる。

「考えられるとしたら、惚れ薬を一回分以上に使ったって場合ね。今回の惚れ薬は
重複するたちの悪いやつなのよ。
それが怖かったから一番最初に横島君をしばいた時、使った回数を言わせたのに
どうも横島君嘘をついた見たいね。
くっそ〜私としたことがミスったわ
人工幽霊1号、2週間前の記録まだ残ってる?」

「はい、問題ありません。」

「横島君達が薬を使う時の記録を見せて」

「はい」

再びテレビの電源がつくと、横島とタマモがきつねうどんを食べようとしている
場面が映される。

”「おーい、タマモ七味あったか?」

”「ええ、あったわよ」

タマモが机の上に惚れ薬の小瓶を置く。

”「ずいぶん変わった七味の入れ物だな。」

”「うるさいわね、文句あるの?」

”「いや、文句はないけどよ」

「あれ美神さん、惚れ薬って横島さんが飲ませたんじゃなかったでしたっけ?」

タマモが惚れ薬を持ってきた場面を見たおキヌが不思議そうにする。

「この時点ですでにだまされていたってことよ。」

美神もずっと横島が飲ませたと思い込んでいたのが、タマモだったために
だまされたと怒りに燃えていた。

画面はタマモが1回、横島も1回惚れ薬を使った様子が映る。

美神は心の中で1回ずつとカウントをする。

”「ん、あまり七味の味しないな」

横島が惚れ薬を取るとうどんの中に4振り追加する。

”「横島そんなに掛けるとうどんの味が分からなくなるわよ」

”「ん〜いやなんかいまいち味が変わらなくてさ」

「あ」

「あ〜〜〜」

おキヌとシロがおもわず声を上げる。

横島が5回、美神は声が出るのをぐっとこらえ心の中のカウントを増やす。

画面の中の二人はそのままきつねうどんを食べ終わる。

「以上です。美神オーナー」

「これではっきりしたわ。惚れ薬の効果が残っているのは横島君ね、
そのせいでタマモのことをかばっていたんだわ。」

「ぐぬ〜やはり先生をたぶらかしたのはタマモだったでござるか」

「それはちょっと違うと思うけど」

シロの理不尽な怒りにおキヌがそっとつっこみを入れる。
でもそう言っているおキヌも、2週間も横島のことを独り占めしていたタマモに
ちょっとだけ怒りを燃やしていた。

「シロ少しだまりなさい。」

美神は燃えていた。久しぶりに背中に炎を背負って燃えていた。
2週間も見つけられなかった自分の失敗を、自分以外の何かにぶつけないと
治まりそうに無かった。

「人工幽霊1号、横島君達が帰ってきたら結界を張って逃がさないようにして」

「はい、美神オーナー」

「おキヌちゃんはタマモを、シロは横島君をそれぞれ取り押さえて。」

「は、はい」

「了解したでござる」

二人は美神の態度にびびりながら返事をする。
燃えに燃えまくった美神が片足を机に乗せて神通根を握り締める。

「ふ、ふ、ふ、さあ狩りの時間よ」

そう自体は最悪なほうへと流れていくのであった。

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