ザ・グレート・展開予測ショー

素晴らしい日々へ・5


投稿者名:ほんだら参世
投稿日時:(04/ 2/14)



俺は、今妙神山の修行場に続く山道を歩いている。 逆行の原因と思われる事が起こったあの瞬間にいたのが、妙神山だったのでというのが理由だ。 もしかしたら、あの場にいた老師や小龍姫様、タマモにシロにヒャクメにパピリオも一緒に逆行しているかも、ということを確かめるという理由もある。

「お。 見えてきたな。」

道の先に、見なれた門が見えてきた。 なんか緊張してきたな。 美神さんやおキヌちゃんの時は慌ててたりで気が回らなかったけど、知り合いから初対面のような反応をされるのはけっこうきついよな。 特に、小龍姫様達とは結構な繋がりができちゃってたもんな。 俺が記憶喪失になってたって時は、皆にこんな想いをさせたのかな?
そんなことを考えながら、俺は門の方に歩みを進めた。 すると、

「「おお、横島。 やっと来たか。」」

戸の両側に顔を付けている鬼門が、声をハモらせながら俺を迎えてくれた。

「俺がわかるって事は、お前らも巻き込まれたのか! だったら、小龍姫様は?他の皆はどうなんだ?」

「落ち着け。 他の奴らはどうかわからんが、小龍姫様と老師様はわし等と同じだ。 この門の向こうにちゃんと居るから、自分で「横島さん!!!!!」ゲフォッ!」

鬼門達と話している途中で、小龍姫様が門をぶち破ってでてきた。

「横島さん! 横島さんが来たんじゃないんですか!! どこですか、横島さん!」

ここに居ますよ、小龍姫様。 あなたが踏んづけている門の下にいますよ、俺は。 薄れていく意識の中で、俺はそんな事を思っていた。

「のう、右の。」

「なんだ、左の。」

「わしらの出番はこれで終わりなのかのー。」

「いうな。」

そんな会話がされている上で、小龍姫は自分の足元に居る横島を必死で探していた。

「横島さーーーん!!」



*  *  *  *  *  *

「すいません!」

目の前には、お茶を飲んでいるハヌマンの老師と真っ赤になって頭を下げている小龍姫様がいた。 あの後来てくれた老師に言われるまで、小龍姫様は足元の俺に気が付かなかったという。

「気にしないで下さいよ。 俺はそんなに気にしてないんですから。 むしろ、あんなに慌てる程心配してくれて、嬉しいくらいなんですから。」

そう、小龍姫様があんなに慌てた原因は俺を心配してのことだったのだ! 時間を逆行したという事はわかったのだが、俺が目の前に居なかったという事からさっきの俺の不安と同じ気持ちを味わっていたのだと言う。


「いえ、横島さんは私の大切な人なんですから。 心配するのは当たり前です。」

耳まで赤くしながらそんな事を言ってくれた。 やべぇよ、小龍姫様。 あんた、なんでそんなに男心をくすぐる行動をとるんですか。 萌え来るってしまいそうですよ。 あ〜、ちくしょう。 少なくなったはずの煩悩がムクムクと大きくなってきそうだよ。

「小龍姫さ「オホンッ。」ま」

俺の言葉を遮って、老師の咳払いが聞こえた。 やべっ、老師のことを忘れていたよ。

「二人とも。 イチャつくのは構わんが、とりあえずは我慢せい。 まずは、これからのことなどを話し合うのが先決じゃろう。」

その老師の言葉を聞いて、小龍姫さまは下を向きながら小さくなってしまった。 当然赤くなったままだ。 うん、これはこれで萌えるな。

「そうですね、まず聞いておきたいんですが。 シロとタマモとパピリオとヒャクメはどうなったんですか。 老師達が無事ならあいつらも無事なんですよね?」

その俺の質問に対しては、小龍姫様が答えてくれた。

「ヒャクメに関してはすでに無事が確認されてます。 彼女も私達と同じです。 シロちゃんとタマモちゃんも時間差はあるみたいですが、私達と同じように飛ばされているはずです。 ただ、パピリオに関してですが・・・」

「パピリオがどうかしたんですか!」

「いえ、パピリオに関しても私達と同じように飛ばされているはずなんですが、彼女は今の時間では生まれていない上に最初は敵方に居たので。」

「確認が難しいと。」

その俺の言葉に、小龍姫様は頷いた。 くやしいが、今は確認の方法がないのか。 無事で居てくれよ、パピリオ。

「そういえば、横島。 なぜお主は若返っておらんのだ? この時代の肉体に移ったのではないのか。」

少し暗い雰囲気になりかけた所に、老師のそんな言葉が入った。

「そういえばそうですね。 何かあったんですか、横島さん?」

「ああ、その事なんですけど。 この世界は厳密な過去ではなくて、パラレルワールドの過去らしいんですよ。」

「ぱられるわーるどって、たしか平行世界のことですよね?」

「はい。 さここに来る前に、この世界の美神さんと俺、あとおキヌちゃんにあったんですけど。 ここの世界の俺は女なんですよ。」

「ほう、お主が女か。 それで? またナンパなんぞしよったのではないのか、お主のことだからな。」

老師は少しニヤッと笑いながら、そんな事を言った。 やめてほしいよな〜、本当に。 小龍姫様の視線が痛いんだから。

「まさか。 あの娘は言ってみれば妹のようなもんになるんですよ。 そんな娘をナンパなんかしませんよ、流石に。(逆に責任を取ってお嫁に行きます発言みたいなことはされたけどな)」

そんな事を言いつつ、小龍姫様の視線をかわす為に話を進めた。

「それで、これからの事なんですけど。」

「うむ。 今の所お主には三つの選択肢がある。 一つは元の時代に戻るという事。 だが、これは進めれん。 ここが平行世界だというなら、次はどんな未来に行く事になるか見当もつかん。」

「それで、あと二つの選択肢なんですけど。 これから先の未来は私達の知っている未来と同じか、もしくはそれに近いものになるはずだと思われます。 そこで、その未来における負担を少しでも小さくする為に、裏で動くか。 それとも、美神さんと一緒に行動していくか。 その二つのうち一つになります。」

そう言った小龍姫様の顔を見ると、俺がどの道を選ぶのかわかっているらしい事が見える。 同時に、その事に対して俺を心配しているだろう事も。

「なら、俺は美神さんと一緒に行動する道を選びます。 近くに居た方がいざと言う時に都合が良いですからね。」

俺のこの言葉に小龍姫様は、やっぱりというようなため息を吐いた。

「つらいですよ。」

その言葉に込められた意味は理解できる。 俺も小龍姫様も、ついさっきその事に対する不安を味わったばかりですから。

「覚悟の上ですよ。 せっかくの機会なんですから、失敗のないように確実な道をえらばなくちゃ。」

俺がそう言うと、小龍姫様は今度は違う不安がでてきたらしく、俺にこう言った。

「横島さん。 自分を犠牲にして、というような事は無しにして下さいよ。」

俺はその言葉に少しふざけて返そうとしたが、本当に不安そうな小龍姫様を見て真面目に返すことにした。

「大丈夫ですよ。 残された人の気持ちって奴はイヤと言うほど知ってますから。 俺が目指すのは、犠牲の上に成り立つ皆の幸せな日々ってやつじゃあないですよ。 誰も犠牲にせずに成り立つ、皆との素晴らしい日々ってやつですよ。」

そう、今度こそ皆救ってやる。 ルシオラを、そしてべスパの為にアシュタロスを。 本当にできるかはわからない。 でも、あいつが本当に目指したものが分かっているいまならできるかもしれない。 俺はそんな事を考えながら、これから先に対する覚悟を決めた。

余談ではあるが、最後の方は話に入って来れなかった老師がすねてしまい。 外で、これまたすねている鬼門達と愚痴を言いながら酒を飲んでいたと言う。







終わったー。 これで本編準拠な内容に入れる。
今回の話に対する発言の前に、前回の話に対して来るであろうと思っていたコメントに対しての発言をさせてもらいます。 まず、死津喪比女の事ですが。 まず一つの理由として、現時点であまり下手な事をするべきで無いと横島君が考えた事と、おキヌちゃんを生き返らせるタイミングについて考えた結果です。 今、死津喪比女を倒すとおキヌちゃんを生き返らせるタイミングが難しくなるし、今生き返ってもらっても自分達との繋がりが無いから記憶が戻らないかもしれない。 そうするとネクロマンサーの笛が使えないかもしれないということを思ったんですね。 でも、何もしてないわけではありません。 横島君はきちんとある仕掛けを残しています。 事件のタイミングは、おキヌちゃんがそばにいればわかるので大丈夫ということです。
次に、美神さんのことですが。 これは、助手に唯ちゃんがいるという事が原因です。 最初の内に唯ちゃんが法外な報酬の事で意見をいいだしたので、それをかわす為にカモフラージュとして美神さんは様々なことをしてきました。 今回の事もそれの一つです。 そんな事をする唯ちゃんをなんで首にしなかったのかと言うと。 唯ちゃんは横島君と違ってきちんとした理由でGSになろうとしました。 そのおかげで母親からの援助があり、その一つに知り合いの企業家などからの依頼を斡旋してくれるなどがあるからです。 加えて、彼女は六道女学園に通っていて、しかも理事長に気に入られているという設定があるから下手に首にできないんです。 ヒーリングが得意だし、仕事も真面目にするし、と言う理由もありますけど。 以上が前回のことに対する追加発言です。
 

今回の話に関しては、小龍姫様は横島君に惚れていて、すでにそれを伝えているという事になっています。 シロとタマモに関しては原作より遥かに早く出すつもりですが、正確なタイミングは決めていません。 二人と横島君の関係についても同様に、まだ宙ぶらりんなところがあります。

さて。 では今回はこれくらいにして。 皆さん、また次回にて。

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