ザ・グレート・展開予測ショー

素晴らしい日々へ・2


投稿者名:ほんだら参世
投稿日時:(04/ 2/13)

  

 「どわぁーーーー!」

 猛スピードで突っ込んできた車を、俺は咄嗟に出したハンズ・オブ・グローリーで真っ二つにした。 1年程前までの俺だったら、今の車に轢かれるだけだけだっただろうが、今の俺は厳しい修行によって、以前とは比べ物にならない反射神経や、戦闘力を手に入れていたので、助かった。

 「ふ〜・・・って、咄嗟に斬っちゃったけど、乗ってた人は大丈夫かな?」

 俺は、心配になって降りかえってみた。

 「あの〜、だいじょう「なにしやがるのよ、この野郎!!!!!!!!!!」ぐほっ」

 降りかえると同時に、殴り倒された。 つーか、車に反応できたのに、なんで今の一発に反応できないんだよ、俺は。

 「よくも、私の愛車を壊してくれたわね〜〜!!!」

 その一言と同時に繰り出された一撃により、俺の意識は闇に落ちた。




 ???SIDE

 「う〜〜〜ん。」

 ゴキッとか、グシャッとかいうイヤなBGMによって、私の意識は再起動を果たした。

 「どうせなら、小鳥さんの鳴き声のような、爽やかなのが良いんだけどな。」

 と、言いつつ伸びをして、回りを見渡すと、ようやく私は現状を認識し始めた。

 「そうだ、たしか美神さんの運転する車に乗ってて、人を轢きそうになったんだ! だけど、何で車が真っ二つになってるんだろう?」

 疑問はできたが、あの時轢きそうになった人の安否を確かめるためねば、自分のヒーリングなら何とか間に合うかも知れない。

 そう考えたと同時に降りかえると、そこには・・・・・





 一人の青年の命を、今まさに奪わんとする一人の修羅がいた。



 「って、何やっているんですか! 美神さん!!!!」

 一瞬呆然としてしまったが、あのままでは本当に殺しかねないので、間に入って止めることにした。

 「止めないで、唯ちゃん!!! 私は、愛車の仇を討たなきゃいけないのよ!!!!」

 本当に、この人は。 お金と、車の事となると、本当に目の色を買えるんだから。

 「止めます! 今のは、こんな山道で無茶なスピードを出していた、美神さんの方が悪いです!!! 普通の人はこんな山道を、車で走ろうなんて思わないんですから!」

 「うっ! でも、山道をあんな重い除霊道具を持ってなんて、女の私達じゃあ無理でしょう。」

 「だからと言って、あんなスピ-ドを出す理由にはならないでしょう!!! 私は、最初からもっとスピードを緩めてくださいと、言いましたよね!!!」

 「いや、それはね、困難な峠道ほど燃えるというか、なんというか。」

 私の怒った声で、美神さんは少し小さくなっている。 いけない、早くこの人にヒーリングをしてあげなくちゃ。

 「だけど、なんで車が真っ二つになってるんですか?」

 私は、目の前の青年にヒーリングを施しながら、さっき疑問に思ったことを聞いてみた。

 「えっ。 唯ちゃん、見てなかったの?」

 「私は、あの時目を瞑っちゃってて。 その後は、少し気絶してました。」

 「ふ〜ん、そうだったの。」

 「気づいてなかったんですか。」

 私は、少し白い目になりながら美神さんを見てみた。

 「あははははは・・ああっ、それで、車が真っ二つな原因だけど」

 美神さんは、誤魔化すように喋りはじめた。 まったく、助手の心配はおろか、怪我をさせただろう人への心配もせずに、逆にその怪我をさせただろう人を殴り倒すなんて。 本当に困った人ね、この人は。

 「その子が切り裂いたのよ。」

 「えっ。」

 そんな、この人は刃物なんて持って無いのに、どうやって。 それに、刃物があったとしても、あのタイミングでそんなことができるなんて。

 「信じられないかもしれないけどね。 あの瞬間に、信じられないほどの反応で、ものすごい高出力の霊波刀を出したのよ。」

 「すごいですね・・・・あれっ? でも、そんなすごい人なら、なんで美神さんの攻撃に反応できなかったんですか?」

 「さあ? それは、本人に聞いてみないとわからないわ。」

 「そうですか。 あっ、でも霊波刀を使うんでしたら、この人もGSですよね。 だったら、目的地は私達と一緒なんじゃあないですか。」

 「・・・複数のGSに依頼するような仕事じゃあないはずなんだけど。」

 美神さんはこう言っているけど、この道の先にGSが行きそうなところは、今のところ一つしかないはず。 そうじゃなくても、この人を休ませて上げなくちゃ。

 「いつまでも、こんな所にいるわけにもいかないんですから。 この人と、荷物の半分は私が持ちますから、残り半分の荷物をお願いします。」

 私は、荷物の半分を背負うとともに、目の前の人を、俗に言うお姫様だっこで持ち上げて、

 (普通、反対なんだけどな〜)

と、小さく呟いた。

 「あ〜あ、なんでこんなことになるんだろ。 こうなったら、絶対に車の弁償代と慰謝料をふんだくってやる!」

 美神さんは、そんなことを呟きながら、荷物を背負った。

 そして、私達は以来を受けた場所、『人骨温泉ホテル』に歩を進めた。





*  *  *  *  *  *


 「知らない天井だ。」

 俺は、目が覚めると同時に、こういう時の定番のジョークをかましてみた。 しかし、突っ込んでくれる人がいないときのジョーク程悲しいものはない。

 「さっきの、おキヌちゃんの気持ちが少しはわかるな、こりゃあ。」

 つぶやきつつ、辺りを見渡そうと身を起こしかけると同時に、部屋の戸が開いた。

 「あっ、もう大丈夫なんですか?」

 入ってきたのは、ショートロングの髪の可愛い女の子だった。

 「ホテルまで連れてきたんですけど、全然気が付かないから心配してたんですよ。」

 その女の子は、にこりと笑ってそう言った。 綺麗な笑顔だな、癒されるって奴だ。 と、和む前に現在地が何処だかと今の状況を聞いておかないと。

 「ホテルって言うと?」

 「あれっ? あなたも、この『人骨温泉ホテル』に除霊に来たGSじゃあないんですか?」

 人骨温泉だって! おキヌちゃん、本当に凝った演出をしていたんだな。

 「「あなたも」ってことは、君はGSなの?」

 「いえ、私はまだ助手なんですよ。」

 「へ〜〜〜、君みたいな優秀そうな助手を雇えるなんて、すごい人なんだろうね。」

 今の言葉に嘘は無い。 実際目の前にいると、この子の高い霊力が感じられるから。 しかし、なんで俺ってこの子をナンパしないんだろう。 いきなり飛び掛ったりは流石にしなくなったけど、可愛い子に会ったらナンパすることは癖になってるはずなのに。 見た感じ、年齢的には十分許容範囲に見えるんだけどな。

 「そんな、確かにすごい人に雇われてますけど、私は優秀じゃあないですよ。」

 赤くなって、俯きながら答えてるよ。 本当に可愛いな。 なんで、ナンパしようと思わないんだろう、俺は?

 「ところで、そのすごい人の名前は?」

 「あっ、はい! 美神令子さんっていうんです。 女の人なんですけど、すごく強い人なんですよ!!」



 



 ナンデスト、イマアナタナントオッシャイマシタカ。

 その時、俺の灰色の脳細胞が未だかってないほどに活発に動き出した。

 さっきのおキヌちゃんの変な行動、ここが人骨温泉であるということ、そして、目の前の女の子の言葉、それらを統合して考えてみると・・・・いや、しかし、だとすると、目の前の女の子は、

 「と、ところで、君の名前は?」

 俺は動揺を隠せない声色で、目の前の女の子に尋ねてみた。

 「あ、そういえば自己紹介がまだでしたね。 横島唯っていいます、よろしくお願いします。」








 まじかよーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!










 どうも、みなさん、ほんだら参世です。 ご指摘があったので名前の一部を変えてみました。 さて、拙作の「素晴らしい日々へ」の第2話を見て下さって有り難う御座います。 今回の話を見てわかる通り、この世界の横島君は女性です。 元々この作品は、ナデシコとかの作品には、逆行先の自分が女ってのはあるのに、GS美神には無いなーって思ったことから書き始めた作品です。 実際にはあるのかもしれないですけど、自分は見たことがないです。 性格とか、能力とかの設定資料は、次回の作品を今回より少し短めにして書いておくつもりです。
 それでは、皆さん。 また次回にて。
 

 

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