ザ・グレート・展開予測ショー

もう一つの物語(4)


投稿者名:山屋
投稿日時:(00/ 2/17)

 そんな小竜姫を、一人の幼い男の子が見ていた。

・・・きれいなお姉さんだな・・・
 両親はまだ気づいていなかったが、生まれつき彼は、きれいなお姉さんが
とても大好きだという困った性格をしていた。それだけなら良くある話だが、
彼には行動力もあったので、将来トラブルを引き起こす可能性が大きかった。

 小竜姫は男の子に気がつかないまま、テレポートで姿を消した。男の子は
ぽかんとしていたが、よちよちとおぼつかない足取りで小竜姫がいた場所に
歩いていくと、不思議そうにあたりを眺めてからぺたんと座り込み、紅葉の
ような手で地面をたたいてみた。
 そしていきなり暴走してきた三輪車にはねとばされた。三輪車はひっくり
返り、乗っていた女の子は男の子の上に落ちてきた。客観的に見る限り、
どう考えても女の子が悪い。しかし女の子は少しも悪びれず。

「どうちて、あんなところに座ってたんでちゅか! あぶないでちょ!」
男の子は訳が分からず反射的に、
「ご、ごめんなちゃい。」
「ごめんでちゅめば、けいさちゅは、いやないのよ!」
「け、けいさちゅ?」
 男の子は警察とは何なのかよく分かっていなかったが、母親がその言葉を
出すときの雰囲気から、なんだかとてもこわい所だとは知っていた。

「そうよ、これからけいさちゅで、しけいになゆのよ!」
「し、しけい?」
 男の子は死刑とは何なのか全然知らなかったが、女の子の口調から
なんだかとてもこわいことだと察した。

男の子は泣き出した。
「ご、ごめんなちゃい、なんでもしまちゅから、ゆるしてくだちゃい。」

女の子は
「なんでもしゆのね。」
「なんでもしまちゅ。」
「やくちょくよ。」

その時、男の子と女の子は、前にも同じ事をした気がした。

・・・・「約束よ。」 「・・はい。」・・

それが、何なのかはわからなかった。だけど、とても大切な事だった気がした。

女の子は、男の子をじっと見つめていた。

男の子はうなずいた。

「うん!」


 神族にも魔族にも、第2段階霊体融合をやり遂げた者はいない。それで、小竜姫や
合同調査委員会は見落としたのだ。無に帰した魂が新生することを知らなかったから、
無理はない。
 過去の因縁を全く持たない生まれたばかりの魂には、かつての美神さんや横島の
霊的特徴はきれいさっぱりなくなっていた。

 彼らが過去から引き継いだものは、たった一つの約束だけだった。
それが二人にとって幸せになるだろうか?

 これは先の話だから、まだわからない。

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