ザ・グレート・展開予測ショー

知ってるようで知らない世界―19―


投稿者名:誠
投稿日時:(04/ 1/12)





美智恵は柱の影にいる魔族に霊波を放ち、牽制する。
爆発音と同時に美智恵は神通棍を構えて柱に向け走る。神父も同時に逆から柱の方に走り挟み撃ちにしようとする。
しかし、柱の裏に回り込んだ二人はお互いに顔を合わせる。

「美智恵君!奴は!?」
「いえ・・・こっちには・・・先生!!後ろに・・・。」

美智恵は神父の後ろにいる魔族を見つけ、注意を促がそうとするが途中で言葉を中断する。
首筋にあてられた冷たい感触・・・。
美智恵の額に汗がにじむ。神父も動くことができないようだ。
神父のこめかみに突きつけられている銃口を見て、そして神父の顔に目をやる。
彼の目はまだあきらめていない。しかし神父は持っていた聖書をゆっくりと地面に置いた。
『さっきのビッグイーターとの戦いで疲れがあったとはいえ・・・こいつ等、戦いなれてるわね・・・。さあ、どうしましょうか・・・。』
美智恵は大きく息を吐くと手に持っていた神通棍を地面に落とす。
静かな空間に神通棍が落ちる音が響く・・・。
二人の戦いは一瞬で終わった。




「早くしないと・・・。」

小竜姫はGS試験会場のドアを開け、駆け込んだ。そして急いで周りを見渡す・・・。

「おや、小竜姫。久しぶりだねぇ。」

小竜姫は見知った顔を見つけると、神剣を抜いて構える。

「メドーサ・・・覚悟しなさい!」
「おや、こんな所でわたしと戦う気かい?わたしは別に構わないけど・・・何人観客が死ぬんだろうねぇ。」

メドーサはわざとらしく客席を見渡すと再び小竜姫に視線を戻す。

「・・・くっ・・・卑怯な・・・。」

小竜姫は悔しそうに神剣を鞘に戻す。

「ほ〜っほっほっほ!!しょせんあんたは甘ちゃんだね!さっさと妙神山に帰って剣術のお稽古でもしてたらどうだい?」

メドーサのあからさまな挑発に小竜姫は体を震わせている。

「ふん!悔しいのかい?でも悔しくってもあんたはな〜んもできないんだよねぇ。」
「小竜姫〜、落ち着くのね〜。」

小竜姫の怒りがまさに頂点に達しそうになったときタイミングよくヒャクメが近づいてきた。

「ヒャクメ・・・。」
「そんなことじゃ横島さんに嫌われるのね〜。」

ヒャクメの登場で何とか落ち着きを取り戻すかに見えた小竜姫・・・だがヒャクメはやはり一言多かった。

「余計な・・・お世話です〜〜〜〜〜!!!!!」

メドーサにぶつける分の怒りまでヒャクメにぶつける小竜姫・・・。

「ひどいのね〜〜〜!!」
「うるさいです!大体あなたはいつも・・・。」
「・・・どうでもいいけど・・・あんた達わたしの事完璧に忘れてるだろ・・・。」

メドーサのさりげない突っ込みも二人には届かない・・・が今度こそ救世主(ヒャクメ主観)が現れた。

「小竜姫様!!調査は終わったんですか?」
「あ、横島さん!こちらにメドーサがいる可能性に思い当たったので戻ってきたんです。」

一瞬でヒャクメを座席の後ろに押しやって満面の笑みで小竜姫は横島の目の前に移動して手を取る。

「で、横島さんは試合勝ったんですか?」
「ああ、おれはまだ・・・まだ六道女学院の弓さんって人と『白竜』の陰念って奴の試合が終わってないんですよ。」
「白竜・・・ですか?」

小竜姫がチラリとメドーサの方を見るとメドーサはニヤニヤして小竜姫を見返した。

「小竜姫、その横島って奴はおまえの男かい?堅物なあんたにもようやく男ができたのかい?
ま、あんたにゃ人間のガキがお似合いさね。あんたのその小さい胸でどうやってたらしこんだんだい?」
「な!あなたみたいに重力に負けて垂れ下がった胸よりはましよ!押さえつけとかないと下を向くくせに!!」
「ふん!自分が無いからってひがんでるんじゃないよ!小隆起な胸の小竜姫のくせに!!」
「なんですって〜〜〜!!」

二人の言い合いはヒートアップしている。最早周りの観客達でこの言い合いに耳を傾けていない者はいない・・・。
横島は復活したヒャクメと共になるべく二人の言い争いを聞かないように弓の試合を眺めていた。





「はあ、はあ・・・あなた・・・何故そんなに焦っているんですの?」
「うるせえ!!」

結界の中では陰念が攻撃をしてそれを弓がかわす・・・この繰り返しが続いていた。
しかし弓にとってはこれが良かった。不完全な魔装術は長時間の使用はできない。
陰念は焦っていた。魔装術を解いたらやられる、このまま使いつづけたら・・・。




客席ではメドーサと小竜姫の言い争いが一段落ついたところだった。

「あんたの部下・・・もう限界じゃないの?まさかメドーサ・・・!使いこなせない者に魔装術を!?」
「ふん!だれがわたしの部下だって?」
(それにしても陰念め・・・免許取得もできないまま負けちまう気かい?『勘九郎・・・』)



「やばいな・・・このままでは陰念の奴・・・おい、勘九郎てめえ何やろうとしてやがる!!」

雪之丞は勘九郎の手をつかみ勘九郎を怒鳴りつける。

「雪之丞!放しなさい!!メドーサ様の指示よ!!あんた裏切る気?」
「うるせー!!真剣勝負に周りが余計な手出しするなんておれの趣味じゃねえんだよ!」
「く・・・放しなさい!!!」

鈍い音がして雪之丞の体が椅子に叩きつけられる。

「グオオオオオオーーーーー!!」

勘九郎が雪之丞を吹き飛ばすと獣の雄叫びのような叫び声が聞こえてきた。
再び舞台の方を見るとそこには少し前まで陰念だったと思われる知性の無いただの化け物が結界を殴っていた。

「・・・遅かったわね。」

つぶやくと勘九郎は掌を化け物に向け、強力な霊波を放った。
勘九郎の掌から放たれたそれは激しい爆発音と共にクリーンヒットする。
その横では弓が自分の目の前で起こっている光景を一歩も動けずに眺めていた。

「救護班!!早く!」

審判の声で冥子が気絶している陰念の元へ駆け寄り式神のショウトラを出してヒーリングを始める。



「メドーサ・・・何故です?こうなるかもしれないことは分かっていたでしょう?」

小竜姫がメドーサに詰め寄るがメドーサはフンッと鼻で笑う。

「何の代償も無しに強くなんてなれないものさ。あんたの妙神山でも生きるか死ぬかの修行をさせるんだろ?それと同じ事さ。」
「少なくとも・・・わたしはあなたのように人間を道具として見ないわ!!」
「道具として?わたしは魔装術を教えただけだよ。道具としてってのは・・・もっと・・・。」

メドーサは苦々しげな顔になり、嫌悪感剥き出しの表情で天井を見上げた。




「雪之丞・・・何故邪魔をしたの?」
「てめえはなんとも思わねえのかよ!女相手に負けそうになって仲間に助けられるなんて・・・俺には耐えられねえ!!」
「それはあんたの価値観でしょ?陰念はそれでも勝ちたかったはずよ。」

勘九郎はそう言って運び出されていく陰念を指差す。

「・・・おれは強くなりたかっただけだ!もうおまえ等とはこれまでだ!!おれは抜けさせてもらう!!」

雪之丞は胴衣に書かれた白竜の文字を右手で引っ張り引きちぎる。

「ま、ピンク。」
「やめんか!いきなりギャグにすんじゃねえ!!」

勘九郎が雪之丞のあらわになった肌をつつこうとするが雪之丞はそれを全力で避ける。

「・・・メドーサ様を裏切る気?殺されるわよ。」
「フン!奴が俺を殺す気ならさらに強くなって返り討ちにしてやるまでだ!」

そう言って雪之丞は次の試合へと歩いて行った。




「弓さん、おめでとうございます!これでGS免許取得ですね!!」

おキヌが心底嬉しそうに弓の元に駆け寄る。

「・・・ええ、ありがとう。でもなんか後味悪いわね。一文字さんは?」
「一文字さんは弓さんが試合やってるうちに試合終わっちゃったんですよ。勝ったんですけど怪我しちゃって、今治療しています。」
「一文字さんも合格したのね!これでわたくし達三人ともGSですわね!」

そう言って弓とおキヌは喜びを分かち合う。

「さあ、こうなったら狙うは主席合格ですわ!!次のわたしの相手は・・・」

弓はトーナメント表を見ると絶句する。
弓かおりVS一文字魔理・・・これが三回戦のカードだ。そしてその後四回戦は・・・。

「一文字さんとわたし・・・勝ったほうが横島さんと試合ができるってことですか・・・。」

弓は自分の頬を両手で叩いて気合を入れなおすと今行われている三回戦最初の試合に目をやった。

結界の中にいるのはピエトロ・ド・ブラド―、そしてタイガー・寅吉の二人だった。




「タイガーとピートが試合か。」

横島は令子と共に試合を見守っている。後ろでは小竜姫とメドーサがピリピリとした空気を作り出している。
そしてヒャクメが二人にジュースを持ってきたりと世話をしている。

「ま、順当に行けばピートお勝ちでしょうね。でもピートもタイガーもあんたも三人とも資格取得するなんてね。」

令子は横島に話し掛ける。

「う〜ん、俺の場合は相手にめぐまれたっちゅうか・・・。でも三回戦の俺の相手・・・あの黄天の奴ッスよ・・・。」
「あんた黄天の奴をぶちのめすのよ!そしてボロボロになった奴からメドーサとの繋がりを聞き出すのよ。」
「でもそしたら白竜はどうなるんっすか?」
「ああ、あんたの後に奴等の勘九郎って奴と黄天の片割れが試合やるみたいだからそれからね。
雪之丞って奴はこの後ピートが倒すでしょ。」
「・・・美神さん、なんかピートがタイガーに押されてるんですけど・・・。」
「え〜〜〜〜〜!!」

令子は絶叫した。





「タイガーが見えない・・・精神感応か?」

ピートはタイガーの精神感応で視覚を奪われ、気配だけでタイガーの攻撃をかわしている。

「ピートさん、あきらめるんジャー。こうなったらわっしには勝てんけんノー。」
「そこだ!!」

ピートはタイガーの声がした場所にダンピール・フラッシュを立て続けに放つ。

「ぐは!!・・・ひどい・・・。」
「タイガー・・・君の能力は凄いけど・・・声を出したら場所が分かっちゃうでしょ。」
「うかつ・・・じゃった。」

タイガーの巨体が地面に崩れ落ちる。同時にピートの視力が回復した。

「勝者、ピエトロ・ド・ブラドー!!」

勝ち名乗りをうけ、タイガーの側に行くピート・・・。

「タイガー、大丈夫かい?」
「わっしは・・・わっしは合格したんジャー・・・。」

何故かタイガーはめちゃくちゃ満足そうだった・・・。


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