ザ・グレート・展開予測ショー

帰還者(2)


投稿者名:よれよれパンダ
投稿日時:(04/ 1/10)

帰還者第ニ話「再会」


<除霊現場>

「うわー、大きい家でござるな。」

「バブル時代に建てられたものよ。ママからもらった資料によると元々不良債権だったものに、最近大量発生した悪霊が住み着いたみたい。」

「じゃあ、ちゃっちゃと除霊しちゃおうよ。」
タマモが気軽に言う。

「あのねータマモ、私達がこれからするのは除霊じゃなくて調査よ!ちょ・う・さ!
 もちろん除霊もするけど、地脈の関係とか色々調べてなぜこんなことになったのかちゃんと原因をつきとめないといけないのよ。他にもここみたいに悪霊が住み着いちゃったところがあるし、最低でも一週間はかかるはね。」

「「「一週間も!!」」」

「あんたたち、そんなことも知らずに私にあんな視線を送ってたの?(怒)」
美神が三人を睨む。

「そ、そ、そんなことないわよ。も、もちろんわかってたわよ。」

「そ、そーでござるよ。」
あせるタマモとシロ。

「そ、そーですよ。けっ決して今日で終わるなんて思ってませんよ。・・・・っあ」
おキヌ爆弾投下。

『『おキヌ(ちゃーーん、どのーーー)!!』』

三人は美神の怒りに対する恐怖から身を寄せ合う。

三人のビクビクした姿を見て、美神はあきれて
「ふーー、もういいわ。それよりこんな割に合わない仕事さっさと終わらせましょう。」
そう言うと屋敷に入っていく美神。

『『『よかったーー。』』』
安心すると三人も屋敷に入っていった。

「うわーそれにしてもウジャウジャいるわね。」
タマモが気持ち悪そうにボヤく。

「そういえば美神さん、どうして最初にここにしたんですか。事務所からならもっと近い所があったのに。」
おキヌが思い出したように聞く。

「地脈の関係上ここに霊が住み着くなんてありえないの。住み着くなら近くにもっといいところがあるのよ、けどそこに霊はいない。だからここに何かヒントがあるんじゃないかなって思ったの。」

「なるほど。」

「じゃあ仕事を始めるわよ。私とシロがオフェンス、おキヌちゃんは私達の援護、タマモはおキヌちゃんのフォローをお願い。」

「わか(りました、ったわ、ったでござる)。」

ピュルルルルルーーーー

おキヌがネクロマンサーの笛を吹く。

「グオオォォー」
声にもならない音ともに悪霊の動きが鈍る。

「シロ!いくわよ!」

「了解でござる!!」
シロが人狼の身体能力をいかしたスピードで動きが鈍った悪霊をかく乱し、
かく乱した悪霊を美神の神通鞭、シロの霊波刀で次々と倒していく。

「ガアァァー」
自分達の行動を抑制するおキヌに、一部の悪霊がせまる。

「甘いわ!!狐火ーーー!!」
タマモの狐火によって、おキヌに向かっていく悪霊を焼き払う。


『おかしい。霊達から悲しみも何もかんじられない・・・。』
おキヌは霊に違和感を覚えた、いつもなら感じられる霊の気持ちが感じられないのだ。そして霊達とは別の意思のようなものにも気がついた。
「美神さん!この人達何かに操られてるみたいです!!」

「操られてるっていうことはどこかにネクロマンサーがいるってことか。
 シロ、タマモどこかに人間か動物がいない?」

言われてシロとタマモがニオイを調べてみるが
「ごめん、わかんない。」

「ネズミ一匹いないでござるよ。」

「操られているのにネクロマンサーがいない・・・・・なにかニオうわねこの一件。
 ・・・まあいいわ、とにかくこいつらかたずけてこの屋敷を調べるわよ!!」
美神は疑問を一時置いておき、除霊に集中する。

『何?この嫌な感じは?』
タマモは狐の優れた第六感から何かを感じ取っていた。
そしてその《何か》をすぐ知ることになる。


霊を半分ほどかたずけた時、変化が起こった。
バチバチバチバチ!!
急に光が発生し一部の霊が光に集まりだし、集まった霊が一つの人型霊を形成する。

「ウソ!!」

「マジ?!」

「っえ?!」

「な、なんでござるか!!」
目の前で起こっていることが信じられず、唖然とする一同。
雑霊が霊団を形成することはあっても、このように人型になることはないはずなのだ。

合体霊が霊波を放つ。

ブオオォォォーーーー

「くっなんて霊圧なの!中級魔族なみだわ!!なんで雑霊が固まっただけなのにこんなパワーが!?」
美神が信じられないといわんばかりに叫ぶ。

「うおおおーー」
シロが恐怖を振り払い合体霊に突っ込む。

「待ちなさい!シロ!」

シロの霊波刀が合体霊を真一文字に切り裂いた。
しかし合体霊は周りの雑霊を吸収し、傷を癒す。

「なっ」
驚愕するシロ。

「シロ!周りのザコをかたずけないとソイツにダメージを与えても意味はないわ!離れなさい!」

「ハイッでご

シロが言い終わる前に、合体霊が右腕を振るいシロを突き飛ばす。

ドーーーン!!

壁に叩き付けられるシロ。

「「「シロ(ちゃん)!!」」」

シロにタマモがかけよった。
「ちょっと大丈夫なの?シロ。」

「な、なんとか。」
苦しそうに起き上がるシロ。

「おキヌちゃん!ネクロマンサーでアイツどうにかならない?」
美神が指示を飛ばす。

「や、やってみます。」

その言葉に反応したのか、本能的に雑霊をコントロールしていたおキヌに危険を感じたのかはわからないが、
合体霊はおキヌに向かって駆けだした。

「させるか!!」
『倒せなくても足止めぐらいには!』
美神が神通鞭を振るう。

合体霊の体にキズを負わせたが、合体霊の勢いは止まらなかった。そのままおキヌに向かって行く。

「おキヌちゃん!逃げて!!」

合体霊はおキヌの所まで来ると腕を振り下ろさんとした。

『速い!!これじゃ逃げられない・・・・・・・』
おキヌは次にくるであろう衝撃に身を硬くした。

次の瞬間、おキヌと合体霊の間に《何か》が割って入って、振り下ろされる腕に拳が突き上げられた。
拳が合体霊の腕を吹き飛ばす。次に合体霊の腹に手がそえられ

「おキヌちゃんに近いからもう少し離れてもらうぞ。」
その言葉とともに今度は合体霊の体が宙を舞い八メートルほど遠くに落下した。

「「「「なっ・・・・・・・・・」」」」
自分達をピンチに追い込んだ合体霊を割って入ってきた男が簡単に吹っ飛ばす光景に呆然とする美神達。
さらに美神達は男の顔を見て絶句することになった。
『『『『横島(君、さん、先生)!?』』』』

横島は美神達の方を向き
「や、やあ、みんな久しぶり。」
ぎこちなく挨拶する。一年ぶりに帰還した青年はどうやら少しびびっているらしい。

「「「「・・・・・・・」」」」
四人全員呆然としている。
再会の驚きや嬉しさ、一年間の寂しさ、全く連絡のなかった怒りなどが一気に吹き出してなにがなんだかわからなくなったようだ。

「おーーい、やっほーー」
再度呼びかけてみる。

「「「「・・・・・・・」」」」
復活までまだ時間がかかるようだ。

『なんかちょっと寂しいぞ(涙)・・・・・・。ま、まあいい、とりあえずアイツをかたずけるか。』
美神達が無反応なので動揺したが、気を取り直して合体霊の方に向き直るすると、合体霊は起き上がりなくなった腕を再生していた。

「ヒュー、再生能力かこいつはやっかいだな。それに霊圧が異常に高い・・・。
 俺達のやった合体みたいに霊波をシンクロさせてパワーを上げてるってところか。たいしたもんだ。」

スターン、スターン、スターン、
何度か軽く跳びリズムをとる。自分のリズムがとれたところで

「いくぞ」

横島が駆け出すと合体霊との距離が一瞬でゼロになり、胸に拳を叩き込む。
拳の当たった場所に穴が開き、穴を塞ぐために雑霊が集まる。

「アルマゲドンによろしくってね!!」
文殊を生成し塞ぎかかった穴につっこむ。込められた言葉は《爆》。

内部からの力に耐え切れなくなり合体霊は四散し、それと一緒に呪文の書かれた拳大の球が飛び出した。
球はしばらく床を転がり止まると、浮き上がり光を放つ。光に反応し雑霊が集まって来る。

「させるかーー!!」
霊波刀を作り出し、一直線に走り出す。

交差する横島と球。

球は真っ二つになり、屋敷の中にいた雑霊も次々と散っていく。

「コイツが雑霊を引き寄せてたのか。こういうもんを作んのはアイツらだな。」
半分になった球を持ち上げて憎憎しげに言う。何か心あたりがあるようだ。

「さーーて今度はこっちだな。しっかしどーしたもんかねーーー。」
困ったように固まったままの美神達を見る。

何か思いついて美神に近づき、そして・・・

「このシリコン胸ーーーーーー」

「悪質なデマを流すんじゃないっ!!」
横島の急所に容赦なくパンチの嵐を叩き込む。

ドガ ベキ メキ グシャ

「ギャアアァーーーーーー」
『懐かしい。けど、けど・・・・・・・・・・・痛い。』

「「「はっ!!」」」
横島の悲鳴に正気に戻った三人。

正気に戻った三人の見たものは

「さんざん人に心配かけておいてシリコン胸たーいい根性してるわね。(怒)」

「ヒーーかんにんや、しかたなかったんやーーー。」

ベキ バコ ドコ

血だるまになる横島とそれを殴り続ける美神だった。

「や、やめてください美神さん!!」

「先生が死んでしまうでござるよ。」
必死になって美神を止める二人。

「放してシロ、おキヌちゃん。こいつを一年分殴ってやっるのよーーーー!!」

「そんなことしたら、ホントに死んでしまいますよ!」

「おーい横島生きてる?」
タマモが赤い物体に話かける。

「オーホシサーマーキーラキラー」

「ダメだわ。イッチャってる――」

「ヒーリングね♪」
とうれしそうに言う。

「ずるいでござるよ!タマモ!」
駆け寄るシロ

「シ、シロちゃん!私をひとりにしないでーーー!!」
自分も駆け寄りたいが美神を押さえるのに手一杯のおキヌ。

「ジャマしないで!横島はワタシがヒーリングするのよ!!」

「そんな大役女狐なんかにまかせられるわけないでござろう!」

「なんですってーーーー」

「なんでござるかーーー」

ガルルルルーーーーーーーー

二人がいがみ合っていると

「お前らホントに仲がいいなー。」

「「仲良くなんかない(わよ、でござよ)!!・・・・えっ横島(先生)!?」」

「しっかりハモッていうなよ。(汗)」

「「どうして立ってるの(でござるか)?」」
再びハモりながら聞く二人。

「んっ?あーこれのおかげだ。」
そう言うと左腕を上げ腕輪を見せる。腕輪には《治》と書かれた文殊がいくつかついていた。

「これは俺がケガすると自動的に文殊が発動して治してくれるっていうすぐれもんだ。」

「「「「へぇーー」」」」
美神もまざり感嘆する。どうやら横島を殴り殺すのはあきらめたようだ。

「けど、あの合体霊はどうやって吹っ飛ばしたの?あんたの霊力あんまり前と変わってないのに。」
美神が聞く。他の三人も疑問に思っていたのか、ウンウンとうなずく。

「ああ、アレね、アレは文殊の応用ですよ。」

「「「「文殊の応用!?」」」」

「はい、文殊は非常に使い勝手がよく強力ですけど、生成―念を込める―発動と時間がかかります。
 当然時間がかかるとスキができます。だから俺は強力で文殊より短い時間で効果的に作用する方法を探しました。
 それが霊力の収縮と解放です。」

「それが文殊の応用とどう関係があるのよ。」

「今から話しますって。文殊というのは霊力を凝縮したものです。それを応用して拳の相手に当たる部分に霊力を収縮させます。
 拳が当たる瞬間収縮した霊力を解放する。すると収縮されていた霊力は解放されることにより一気に爆発します。
 簡単に言ったら、零距離で爆弾を爆発させるってことです。
 これは攻撃以外にも使えるんですよ。例えばダッシュする時足の裏でこれを使うとかなりのスピードが得られます。」
 
「あんたにしちゃーよく考えついたわね」
素直にほめない美神。やはり横島が相手だと素直になれないらしい。

「ありがとう美神さん。ちょっと用事があるので俺はこれで失礼します。」
そう言い残し走り出す横島。

「「「「チョ、チョット横島(君、さん、先生)ーーーーー」」」」

すぐに見えなくなった。

「いっちゃいましたね。」

「そうね」

「どうするでござるか?」

「調査を続行するの?」
美神に聞くシロとタマモ。

「やめとくわ、またあんなの出てきたら命がいくつあっても足りないわ。
 それに原因はこれみたいだし。とりあえずこいつを調べないとね。」
真っ二つになった球を持ち上げて言う。

「じゃあ、いったん事務所に戻りますか?」

「ええ」

「あっ!!」
タマモがいきなり声をあげる。

「どうしたでござるか?タマモ」

「横島に写真の女のこと聞くの忘れてたわ!!」

「「「あーーーーーーーーーーーー!!」」」
屋敷に三人の声が鳴り響いた。

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