ザ・グレート・展開予測ショー

もう一つの物語(3)


投稿者名:山屋
投稿日時:(00/ 2/16)

 西条は戦場の跡を思い出した。厚さ数千メートルの南極氷河が1000キロ四方に
わたって溶け、何万年ぶりに現れた大地は焼けただれ、えぐられていた。

「生まれ変わる事もできない。そうなんですね。」
「・・・その通りです。」
「知らせてくださって、有り難うございました。」西条は小竜姫に背を向け歩き出し
た。小竜姫は声をかけようとしたが、やめた。

・・・ 神や魔族が何万年生きようとも、人が幾万回生まれ変わろうとも、
   ここまで愛し合える相手に巡り会えたならばそれは奇跡です。

    ・・・たとえその結果が滅びであったとしても。・・・

    だから、彼らは悲しみのうちに悼まれるのではなく、
   羨望とともに祝福されるべきなのですよ・・・

 そう告げようとしたのだが、それで友を失った者の悲しみが癒せる筈がないことは、
小竜姫自身よくわかっていた。


 公園のあちこちでは、肩を寄せ合う恋人達や、歓声をあげて駆け回る子供達が、
やわらかな冬の陽を浴びていた。寒さはまだ厳しかったが、木々の枝では蕾が春に
備えて力を蓄えていた。そう、命は巡る。なぜならば、天の光も地の石も、全てが
命なのだから。
 たとえ魂は失われても、いつかは美神さんや横島君だった命が、他の命の中に
よみがえる日が来るかも知れない。小竜姫は祈った。


 はるかな時の彼方におわす造物主よ、

 願わくばいつの日にか、彼らを再び巡りあわせたまえ。

 かなうことならば安らかな日々を・・・

全知万能の主でもそれだけは無理か、小竜姫は寂しげに笑った。


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