ザ・グレート・展開予測ショー

Non Standerd Double Team Show Down!!


投稿者名:トンプソン
投稿日時:(04/ 1/ 4)

その有名な物語に省かれた部分がある。
最初は街の人の為に害虫を魔笛で追い遣った少年はあらぬ疑いをかけられた故、
次に文明の宝ともいえる子供を全員攫っていった。
それを阻止しようとした男は、消え行く子供を見て、
「しもうたっ!遅れた・・お終いじゃ!」
人知れず泣いていたという事だ。今となってはその街、風土と化し廃墟ですら無い。

21世紀の東京、ビル群の狭間に老人と青年。
「ウチの学生から聞いたんやけどな。なんや暗闇に引き込まれそうな感じするいうたてんや」
「それでか、この辺りを探りにいれていた訳は・・確かになにかあるな」
学校の特質もあってか霊害をも監視する目的で来た鬼道正樹とその怪しげな場所に立っていた老人・・Drカオスである。
ここで話していても始まらないという事もあり、二人はビルの隙間に足を入れる。 「こ、ここはどこや?」
一歩足を踏み入れただけで、異様である事が理解出来る。
「ふむ。まるで本物の洞窟その者じゃな」
老人はそういって壁にあたる部分にてを当てる。
「あ、あぶないんとちゃうか?」
「まぁ、そうじゃがな。これは大事だぞい?」
「大事?」
手に取った岩石を鬼道正樹に見せる。
「コレは精神観応やのぉてホンマの洞窟に繋がってる言う事か」
「そうじゃ。かなり高等な技じゃが、龍脈を捻じ曲げればじゃ」
可能ではあるそうだが、薄ら寒く感じるのは当然である。
ぽんと背中を叩いたカオス。
さて、恐らくは出口もなかろう、行くゾイ?」
足音が大げさまでに響く洞窟内である。一度「なぁ」と鬼道正樹口を開いてから、
「爺さんは・・怖くはないんか?」
ふと足を止めて。
「怖いぞ?じゃが動かねば解決になるまい、それに・・」
「それに?」
一度沈黙をする。
「上手いことを言えんのじゃが・・なにかこの事件解決する事により過去の過ちを直せる気が・・するのじゃよ・・」
くるりと前方を向き後は何も聞くなという態度であった。
先程からなのだが、風が妙な音を奏でている事に二人は気がついている。
不意に何かを踏んだようだ。
「なんや?」
足元を見る、今まで全く気にはしていなかったのだが、場所が場所である。
「蛇?・・やな・・」
うぎゃぁ!と女子供みたいな悲鳴を上げるのも当然と言えるか。
「う、五月蝿い!静かにせんかい、ボケ」
それお主が叫ぶから降って来るではないかと、ため息を付く。
「何が」
降って来るのか?との答えは顔にあたった軟体物である。
「当たり前じゃ。蛇が下だけかと思うてか・・・。あー五月蝿い!」
ばしんと頬を叩き正気に戻す。
「全く、とんでもないやつを連れてきたもんジャワい・・」
ぶつくさいいつつ何か奇異な空気を感じる。
それに呼応したのか、それとも叩かれて正気に戻ったか鬼道正樹まずは霊力を高めていく。
「・・そうやな。ワイらは侵入者、蛇は魔に属するモンやから・・」
うにうにと、蛇がひとつに集まり邪神の姿に変わっていく。
「やるぞい?」
とカオスは手に霊力を集める。
「せやな。ワイはちと特殊な力なんや」
「特殊な?」
「デェ!夜叉丸!」
御存知鬼道正樹式神使いのエキスパートである。
「ほぉ、戦闘とならば、問題は・・ちとあるがのぉ」
一度溜めた霊力を解除し蛇と子神のやり取りを見る。
その程度の余裕はある。
抜刀してまずは顔面へと跳躍させるも、蛇神は身を半身引いて攻撃を交わす。
交わす勢いで尻尾を鞭の要領で撥ねさせるがうなる空気を利用して数メートル身を引かせている。
「参ったな。こないな奴はどないすればええんや?」
ほとんど動かぬ式神使用でも消費する精神力は並大抵ではないのだ。
「おい、その蛇のな、腹を狙え」
アドバイスを発し、素直に従ったが正解である。
矢の如く腹部を狙った攻撃が剣先が突き出るほどであった。
「やってしまうと、楽なもんなんやなぁ」
今までのパニック状況が嘘のようである。
ほぉと呼吸を整える。
「サンクス、爺さん」
礼を言われて悪い気はしないであろうが、
「爺さんはないじゃろうが、ワシを知らんのか?」
「・・・知らん」
実直な性格である。一度体のバランスを崩しかけて、今更ながらのの自己紹介である。
「ワシはな、欧州が最強の魔王、ドクターカオスじゃ」
聞くや、
「あぁ、冥子ちゃんから聞いた事あるな。なかなか愉快な人やて」
カオスの心中、複雑になるのも無理はなかろうか。
「ま、ええわ行くゾイ」
「あぁ、せやな」
蛇の死体が完全に止まるのを確認して二人は先へと進む。
次いで虻の化け物が出てきたがこれはカオス、先を取った故、攻撃すらさせず、
胸からの霊波動で一撃であった。
他にも他愛ない攻撃が続くのだが、カオスにとっては問題ないという所だが、
「くのっ」
と、時に引っかかる鬼道であった。
「しょうがない奴じゃ」
と、三回ほど、手助けをした後、小休止のとれそうな場所に出る。
「しっかし」
幸い清水が流れていたので、汗を流しながらであった。
「おぬしも面白いのぉ、霊力はトップクラス、使う式神も強いのじゃが・」
そう切り出されると何か思う節があるのであろう。
「甘い、言いたいんやろ?」
「そうじゃよ、実践経験・・ほとんどないのじゃろうかな?」
あぁ、とかぶりを振って。
「せや。ワイはな。さっき話に出た冥子ちゃんを敵としての修行やったんや」。
「ほぉ、敵討ちか・・。じゃがそれではあかんだろうな」
「まったくや。だからいざ敵対となると、さっぱりわからへんのや」
「負けたのか」
「あぁ、実践が少ないちゅうのもあったけどな・・それよりも・・」
何事か口の中に隠している事にカオスはある種、男の葛藤に気が付く。
もっとも一人合点である故、鬼道の話はもう少し続き、それでもこの洞窟内で少しは勉強できたと強がってはみる。
「ま、そうじゃろうかとは思うたが・・」
顔に付いた水を拭って、
「ええか、年寄りのたわごとじゃがな。強くなるには・・」
答えを聞かず。
「あぁ、実践が一番やろ?ワイも判って来たとこやで」
と旱魃を入れず霊力をダーツに見立て、一線。
「何っ?」
と針の先を見ると。
『ぐぅ』
何処から現れたのか、笛をピエロが一体。肩に突き刺さったダーツを抜かんとしている。
「おんどれが、首領かっ!」
と、夜叉丸を召還し、自らもピエロに向かっていく。
「お、思い出したぞ!貴様笛吹きかっ!」
「なんやて?」
鬼道は知を担う仕事である。頭の片隅に礼の物語が事実である事は知っていた。
「ま、まさか、子供を攫う悪鬼の類ちゅー訳か?なぜ日本に?」
一瞬とまったのが正解か、そのピエロは岩にすっと消えていく。
「おい、ここは日本かどうかはわからんぞい?じゃが間に合ったようじゃな?」
「間に合たって?」
身を起こすカオス。
「あぁ、ワシもかつてあの時代に奴を追いかけた。そして倒した、じゃが・・」
「・・子供はみつからんかったちゅう訳やな」
「そうじゃ、だが今回は一縷の望みがあるわい!」
えい、とばかりにピエロの消えた場所に拳をあてる。間違いない、
「音がちがうぞ。ここじゃっ」
と、霊力を迸させると、大音とともに、壁・・いや景色が崩れた。
辺りを見回すと・・。
何のことはない、忘れられたビルの隙間に幾人かの子供がいる。
「だ、大丈夫かいな?」
と、小柄な女の子を一人抱きかかえると幸い、
「息はあるようじゃな。暫くすれば眼も覚めよう。じゃが・・」
敵を取り逃がしたのは痛い、と呟くカオスである。
呟いたと同時に気が付く。
「おい、おぬしの式神は?」
にやりと笑い、
「式神ちゅうんは、大きさも変えられるんや。せやからな追ってる訳や」
「あ、あのピエロをか?」
そうだと答えてから。
「ほれ、そこのどぶ見てみぃ。ハーメルンの正体やな」
どぶを見ると成るほど、肩から血を出してるねずみが一匹。
逃さないように尻尾に噛り付いている小さい夜叉丸の姿。
「わ、ワシに敗北感を味あわせたのが・・。このネズミ!」
これはワイの想像やけど、と断ってから。
「あの笛吹きはネズミを退治したんやよな?まぁ、金はもらえへんかったちゅうても、や
 いくらなしても、子供を攫ういうんはきついやな」
あぁ、とカオス。
「これはこのネズミの怨霊がそうさせたと考えてもええんやないかな?」
「そ、そうかもな。・・そういう事にしておいた方がええじゃろう」
少し考え深い表情をしてから、
「それはそうとのぉ、鬼道とやら」
「なんや?」
「わぬし、あの冥子ちゃんに惚れてるんじゃないのか?」
突然の事実に再度慌てる鬼道である。にしてもどうしてばれたのかと聞くと、
「なぁに。六道の嬢ちゃんの名前を言った時の態度じゃよ。なに、なかなかどうして」
似合っているかも・・な。とウインク交じりのからかいであるが。
何も言えぬ純な男が、鬼道正樹である。

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