ザ・グレート・展開予測ショー

知ってるようで知らない世界―18―


投稿者名:誠
投稿日時:(04/ 1/ 3)





「すみませ〜ん!!」
「あれ、横島さんにピートさん?帰ったんじゃなかったんですか?」

横島とピートは奇妙な犬の襲撃を受けた事をおキヌに話した。

「それで美神さんは?」
「大変でしたね。美神さんと美智恵さんと神父さんは何か相談してるみたいですよ。
小竜姫様とヒャクメ様は・・・今ちょっと取り込み中みたいで・・・。」

おキヌの額に汗が浮かび、チラッと見た部屋の中からヒャクメの声が聞こえてくる。

『ほ、ほら!小竜姫!!横島さんが来たのね〜!!早く行かないと!!』

そしてドアが激しく音を立てて開き小竜姫が出てくる。

「横島さんどうしたんですか?それにピートさんはずぶ濡れで・・・。まさか二人で・・・。」

小竜姫は多少怪しい想像を始めたようだがそうとは知らぬ横島とピートは部屋に全員集めるとありのままを話した。

「そうですか・・・わたしはピートさんが横島さんを襲ったのかと・・・。」
「なんで僕が横島さんを襲うんですか!!」
「まあまあピートさん。どこかでピートさんにそっちの趣味があるって言われているだけなのね〜。」

ヒャクメはピートをフォローしたつもりのようだが全くフォローになっていない。

「それで横島君、その犬からは魔力を感じたの?」

それまで黙って考え込んでいた美智恵が口を開く。

「う〜ん、魔力ですか?少し感じたような・・・。でも霊力も感じましたね。なんでかな?」
「魔力と霊力を同時に?バンパイア・ハーフみたいなものかしら?」

令子が感じた疑問をそのまま口にする。

「でもピートからは魔力はあまり感じませんよね、戦ってるときも。」
「ああ、それは僕が魔力を使わないからですよ・・・。邪悪な力を使ってまで勝ちたいとは・・・。」
「バカじゃないのあんた!」
「ちょ、ちょっと美神さん・・・。」

ピートの言葉を聞いて令子が怒鳴る。横島が止めようとするが美智恵に止められる。

「あんたね〜、自分が持ってる力を使わなくってどうすんのよ。
もしあんたの目の前に今にも殺されそうな子がいてあんたが言うその邪悪な力を使わずに殺されちゃったらどうすんの!!」
「そ、それは・・・。」
「後で後悔したって遅いのよ!それともあんたはそんな半端な覚悟でGSになる気だったの?
そんなのじゃあオカルトGメンもあんたなんかいらないって言うわよ!
あんたが力使うのためらったせいで仲間が死んだらどうするの?」

令子はピートにマシンガンのように激しく言葉を浴びせた。ピートは俯き、唇をかんでいる。

「ありがとう令子君・・・わたしが甘かったのかもしれない。」
「せ、先生・・・。」
「ピート君、力が全てというわけではない。でも力が足りなかったら自分だけではなく周りの人にまで危害が及ぶ。
君が足を踏み入れようとしているのはそんな世界なんだよ?
わたしの力が足りず助けられなかった人もいるし、力があったからこそ助けれた人もいる。
君は自分の吸血鬼としての力を嫌がっているようだが君だったらその力を正しい方に使えるとわたしは思ってるよ。」

そう言って神父はピートの肩に手を置いて微笑んだ。

「・・・美神さん、先生ありがとうございます。もっと強くなってこの吸血鬼の力も人の役に立てれるようにしたいと思います。」
「分かればいいのよ!!明日足引っ張ってもらっちゃ困るからね!」

令子はそっけなく言うが耳まで真っ赤になっている。

「まあそれはいいとして問題はその犬ね。魔力と霊力使う犬・・・か。
試験に関係あるのかしら?もーーー!!ややこしくなってきちゃって!」

美智恵が頭をかきむしって叫ぶ。

「まあまあ・・・でも明日の配置もこれ以上のものはないですよね。
わたし達で早めに調査を終えて会場に急ぐしか方法はないですよ。
まあ会場にヒャクメも置いておきますしいざとなったら呼び戻してもらえれば大丈夫ですよ!」

小竜姫がボロボロのヒャクメをつまみ上げて言う。

「・・・あの〜小竜姫様、なんでヒャクメはボロボロなんですか?」
「気にしないで下さい♪」

横島が勇気を振り絞って尋ねたが簡単に返された。ヒャクメがなにやら手話で伝えようとしているようだが小竜姫に見つかり再び連行されてしまった・・・。





二日目の朝、小竜姫、美智恵、神父は三人でとりあえず白竜の方から調べて見ることにしたようだ。
令子とおキヌが出発するときに同時に出て行った。

「おキヌちゃんは一足先にGS資格取得だね。」
「おめでとう。」
「ありがとうございます、弓さん、一文字さん。」

もうすぐ弓の試合が始まるという時に弓達はおキヌの合格に喜びの言葉をかけていた。

「・・・でも弓さん気を付けてくださいよ?相手は強そうですよ。」

弓の相手の名前は陰念・・・昨日チェックした白竜の一人だ。
おキヌは二人にもメドーサの企みの事を言ってはならないと言われているので気を付けろくらいしか言えなくて心配だった。

「氷室さんは心配性ですわね。大丈夫ですよ相手が誰であれわたしは手加減しませんわ。」

そう言って弓は結界の方へと向かった。

「タイガー、ピート。白竜のやつの試合が始まるぞ。しかも相手はおキヌちゃんの友達だ・・・。」
「本当ですね。横島さんあの子と六道女学院で戦ったことがあるんでしょう?彼女の実力はどうなんです?」
「・・・見てれば分かるよ。結構強いし攻守のバランスも取れてるけど戦い方がちょっと教科書通りって感じがしたな。」
「どういう事ですかいの〜。」

タイガーが結界に入っていく弓を見ながら尋ねる。

「う〜ん、よく言えば基本に忠実な戦い方だな。でもそれじゃあ本当に戦いなれている相手には勝てない。」

横島は真面目な顔で結界の中を見た。二回戦で一番注目の戦いが始まった。


試合開始と同時に弓はジリジリと間合いを詰めていく。二人とも素手だが陰念は背が低く、リーチが短い。
それを頭に入れて弓は自分の蹴りがギリギリ届く位置まで近づき右足を振るう。

―――バシュッ―――

激しい風切り音を上げて近づいていた弓の足が届く前に陰念は自分の体から霊気でできた触手のような物を一斉に出す。

「く!!」

弓は残っていた左足だけで無理やり後ろに跳び、紙一重でかわすと勢い余ってさらにニ、三歩後ろに下がる。

「ふん、良く避けたな。読んでたのか?」
「バカみたいに余裕見せていたから少し警戒しただけですわ。それともそれで終わりですの?」

そう言って弓は陰念の周りを高速で走り始める。
陰念の触手は厄介だがスピードでは自分の方が上だと分かったので撹乱して攻撃をしようと考えたのだ。


「いいぞーーー弓ーーーー!!やっちまえーーー!!!!」
「い、一文字さん・・・もう少し静かに応援しませんか・・・。」

一応弓が最初の攻撃をかわしたのでおキヌは少しホッとした。


弓は陰念の背後から霊波砲を撃ち、触手を全て防御に回させている。
しかしこのままでは先にばてるのは弓だろうと誰もが思ったとき弓は一気に陰念との間の距離を詰めた。

「くっ!!」

陰念は背後から接近してくる気配を読んでそこに今まで防御に使っていた触手を一気に放った。

―――ザシュッ―――

「てこずらせやがって・・・終わりだ!」

そう言って後ろを振り向いた陰念は自分の触手が貫いている物(弓の上着)に気付く。

「終わりなのはあなたの方ですわ!!」

弓の渾身の右アッパーが陰念のあごにヒットする。そして間髪いれずに霊波砲を打ち込む。


「よ、横島さん!勝っちゃいましたよ!!」
「いや、まだだピート・・・まだ霊気が消えてない・・・。」

横島はまだ煙が舞っている辺りを見つめている。

「まだだ弓さん!!まだ終わってないぞ!」


「なんですって・・・キャッ!」

勝利を確信していた弓は横島の声を聞かなかったらやられていただろう。
さっきまで弓がいたところには霊気で覆われた右腕が地面に突き刺さっていた。

「な、なんですの・・・。」

煙が晴れて目の前に現れたのは霊波で体を覆われた魔物のような物だった。

「この魔装術がおれの切り札だ!覚悟はいいか?」
「・・・よくないなんて言っても待つつもりはないでしょう?」
「まあそうだな・・・死ね!」
「くっ!弓式除霊術奥義水晶観音!!」

弓の体を半透明の鎧が覆い、腕が六本になる。

「ふん、おまえもまだ本気を出していなかったということか?だがおれの方が出力は高そうだな!!」

そう言って陰念は弓に殴りかかる。弓は攻撃をさばくのが精一杯といった感じだ。



「あれは魔装術だわ。」

美神が横島達の横でつぶやく。

「魔装術?なんですかそれ?」
「・・・悪魔と契約した者だけが使える術よ。でもあの術を使えるなんて・・・これで白竜はメドーサと繋がっているってはっきりしたわね。」
「んなこと言ってる場合ですか!このままじゃやられちゃいますよ!」
「う〜ん、あの子が気付けば勝機はあるかもしれないわね。」
「気付くって何にですか?」
「あいつが妙に焦ってることによ。決着を急いでるように見えるわ。」

令子は結界の中の二人を見ようとしたが客席の一点で令子の視線が止まる。

「・・・メドーサ・・・。何故ここに?まさか向こうはおとりなの・・・?」

令子は気付かれないように目をそらすと携帯電話を取り出した。





「白竜・・・ここですね。二人とも気をつけてください!何があるか分かりませんから。」

すこし時間を戻して小竜姫と美智恵、そして神父の三人は白竜GSの道場に来ていた。

「来ましたよ!ビッグイーターです!あれはメドーサの手下・・・間違いありません。白竜GSがメドーサの手下です!」
「そうですね・・・でも小竜姫様、数が少ないしメドーサ本人が出てきません。もしかすると・・・。」
「美智恵君、まずはこいつ等を片付けてからだ!とりあえず奥まで行ってみよう!!」



「これは・・・白竜会の会長?」

やっと突破して最深部まで来た三人の前には石化した白竜会の会長がいた。

「遅かったわ。神界に行けば直るけど・・・美智恵さんこれは。」
「はい、間違いなく罠でしょう。メドーサはすでに会場に・・・。」
「小竜姫様は会場に!メドーサと互角に戦えるのはあなただけです!わたしと美智恵君は黄天の方を調べてから行きます!
黄天の方もなぜか霊感に引っかかって・・・。」

神父が不安を消すようにロザリオを握ってつぶやく。

「・・・そうですね。では黄天の方はお二人に任せます。頼みました!」

そう言って小竜姫は会場の方に飛んでいった。

「・・・もういいでしょう。そこにいる人、出てきなさい!」
「小竜姫様は焦ってらしたから気付かなかったようですが・・・あなたは魔族ですね?」

神父と美智恵は人ならざる者の気配に気付いていたが小竜姫にはメドーサを任せて自分たちはこの魔族の相手をしなければと考えたのだ。

「あなたの目的を聞かせてもらいましょうか?」

美智恵が神通棍に霊力を込めながら物陰にいる魔族に話し掛ける。

「美智恵君・・・相手は小竜姫様並の力を持っている・・・気を付けないと・・・。」

そう言って神父も聖書を開き、いつでも攻撃できる体勢に入る。

美智恵の携帯電話が鳴り、三人は一斉に動いた・・・。



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