ザ・グレート・展開予測ショー

この風に吹かれながら


投稿者名:SooMighty
投稿日時:(04/ 1/ 1)

あなたと出逢えて本当に良かったと思う。

あなたは私に一人では生きていけない事を教えてくれた。

あなたにはどれだけ救われたかわかってる?

あなたは私の世界の全て。

今は小さい声でしか言えないけど・・・

いつかもっともっと大きい声であなたに告げたい。

この想いを。

















この風に吹かれながら













まぶしい朝日に目覚めた。
時計を見ると午前の9時。
ひとつ伸びとあくびをして、となりの男・・・横島クンを
見てみるとまだ夢の中みたいだ。






私、美神令子は横島忠夫と同棲している。
一ヶ月前に彼からの付き合ってほしい。という
告白を受けた。気持ちのいい春風が吹く
仕事帰りの何も無い場所で不意をつくように。
なんのロマンも感じられないのが彼らしく、
むしろそれが微笑ましかった。

私は考えるフリをしたが既に答えは決まっていた。

私も彼と同じ気持ちだった。
長い間、どんな時でも私を支えてくれた。

悲しさも優しさも、共に背負い乗り越えてきた。



それだけじゃない。
アシュタロスの部下という鳥カゴの中で一生を終えるはずの私
に色んな世界を見せてくれた。色んな事を教えてくれた。


そして、前世での約束を守って、今また私と一緒に寄り添ってくれる
と言ってくれたことが何より嬉しかった。


今の私があるのは彼のおかげ。
彼と寄り添うことが私の全て。


意地っ張り私は真っ赤な顔を見られるのが嫌で彼とは反対方向を向きながら
了承の返事をだした。


その時、感じた風の心地よさは今も鮮明過ぎるほどに覚えている。




しかし、内心では不安もあった。
彼はなぜ私を選んだのか理由がはっきりしてない。
自分からそれを聞くのもなんか嫌だが、いつまで経っても
話してくれる気配がないので、今日話してもらう予定だ。









「おはよう、令子。」

物思いに耽っていると、いつの間にか彼も目覚めていた。

「あ〜今日もいい天気だなー。」
彼は窓を開けながらそんなことを呟いていた。

「ねぇ。」
早速疑問を解決する為に彼に尋ねた。

「ん?どうした?」

「あんたが私に告白してくれた日、覚えてる?」

「ああ、覚えてるけど・・・それがどうかしたか?」

「なんで私を選んだの?」

「言ってなかったけ?理由。」

「聞いてないわよ。」

「そーだっけ?んーなんつうか・・・うまくは
 言えないんだけど・・・それに照れくせぇし・・・」

「歯切れが悪いわね。とっとと言いなさいよ。」
どうも要領の得ない彼に苛立ちを憶えた。



「・・・この女なら俺のことを完全に理解して
 一緒に歩んでくれる、いや言い方が悪いな・・・
 俺の喜びも悲しみも美点も欠点も全部ひっくるめて
 支えてくれる。そう思ったからだよ。」

「それにお前がいなければ今の俺はなかったよ。
 色んな世界を見せてもらって、色んなことを教えてもらって
 本当にお前と出逢って良かったと思ってる。
 いやそれだけじゃないな。ありきたりなことしか
 言えないけど俺が苦しんでるときでも何気なく支えて
 くれた、手を差し伸べてくれたんだ。」



「カッコ悪いことに俺ってつくづく一人じゃあ生きていけないって
 実感したよ。まあ不思議と悪い気分じゃないけど。」





ああ、なんだ。
私もこいつと同じだったのか。
私は自然と笑いが零れた。





「ううん、そんなことないわよ。だって・・・」
彼の手を取りながら笑顔で














「私もあんたと同じ気持ちだったから。」

「そうか。」
彼はそれ以上何も言わず、私の肩を優しく抱き寄せた。











「それにしても私とあんたって好きになる理由までが同じ
 だったなんてね。結局似たもの同士がくっついたって
 ワケか。こりゃああんたとの腐れ縁も相当だわ。」
私はニヤニヤしながらそう言った。

「そうだな・・・」
彼もつられるようにニヤニヤしていた。









ふと気づけば窓からあの時感じた心地よい風を感じた。





「あの時もこんな気持ちのいい風が吹いていたよな。」

「ええ。」

私たちはそれ以上は会話もせず、お互いの唇にKISSをした。
風が二人の旅路を祝福してくれてる気がした。

私らしくないけどなぜかそんな気がした。






















いつもいつの日もこの風に吹かれながら、あなたの隣にいたい。




















そんな穏やかな春の流れだった。








END



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