ザ・グレート・展開予測ショー

もらえない贈り物


投稿者名:浪速のペガサス
投稿日時:(03/12/25)



通い慣れた道


見慣れた街並


少しづつ、少しづつ変わっていって


あの頃の面影は欠片しか残ってない


あの頃


生意気だった僕は僕はこの街で何でも出来ると思っていた


怖いものは何もなかった


みんなが、みんなが此処にいたから…


僕は時の流れを超越してしまった者


僕は生き続けることを強制された者


この心にあるのは大きな大きな


何ものにもかえられない想い出


この胸にあるのは大きな大きな


何ものにもかえられない哀しみ


頭ではわかってる


しかたがないんだ


当然のことなんだ


けど


この胸が、この心が


それを決して理解させてくれない


頭にバンダナを巻いた人を見るたびに


亜麻色の髪をした乙女を見るたびに


慈愛に満ちた瞳をした神父を見るたびに


ほかにも


ほかにも


ほかにも……


僕は、振り返ってしまう


もう逢えない僕の心の「家族」を夢見て


淡く決して叶うことがない希望を抱いて


彼らの最後の一人が天に召されてもう十年


ちょうどこんな夜空の星が綺麗な時だった


あの人と一緒に夜空の綺麗な星を見ていた


あの人は言った


ごめんと言った


お前につらい思いをさせてしまってごめんと言った


お前だけを残して逝ってごめんと言い残し、逝った


家族の最後の一人が天に召されてしまった


あの人が召された時僕は喪失感に襲われた


初めて不死という存在に対し憤りを感じた


以来僕は他人との深い係わり合いを避けるようになった


表面上の関係しかしなくなった、というべきなのだろう


けれどこんな星空が綺麗な夜は無性にさびしさを覚える


無性に、全てが喜びに満ちあふれてた日々が恋しくなる


「家族」が天に召された時のような星が綺麗な夜だから


僕は…さびしかったから……


街行く人々は皆幸せそうに


いや、幸せを謳歌している


今が不幸だと言うわけではない


だが、幸せというわけでもない


今宵クリスマス


主よ


もしもあなたがプレゼントをくださるというのならば


僕は願います


あの時の、僕の家族たちに逢えると言うプレゼントを


僕は願います


子供じみた、決してもらえない、叶う事ない贈り物を





僕は




願います……


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