ザ・グレート・展開予測ショー

真の勝利者


投稿者名:X
投稿日時:(03/12/25)





タマモが異変に気が付いたのは部屋に着いてすぐだった。

何かが違う

いつもの自分の部屋‐屋根裏部屋‐とは何かが違ったのだ。
さながら台風でも去ったかのように静かで、何も動くものなどなかった。

さっきシロが部屋に入ったの見たけど、見間違いだったかな。

彼女の疑問はすぐに解けた。自分のとは別の‐シロの‐ベッドの上にシーツに包まって
ちょこんと何かが乗っていたのだ。当然のようにそれに近づき、一気にシーツをめくると
そこには・・・

「なにやってんのよ。バカ犬。」

彼女のルームメイト‐犬塚シロ‐が獣形態でうずくまっていたのだ。

「バカ犬らしく変なものでも食べておなか壊したの?」

いつものように冗談でからかう、しかし相手はいつもどおりではなかった。

「・・・うるさい」

いつもの元気はどこにいったのか弱弱しい声で答えた。

<これはおかしい、あの元気であることしかとりえのないシロがこんなに弱ってるなんて
美神さんがタダで除霊する位ありえない。天文学的確率でしか起きないはず>

そう一瞬で判断したタマモはやさしくこえをかけた。

「どうしたのよ。」
「・・・・・・・・・」
「黙っていちゃわかんないわよ。」
「・・・」
「横島の事?」          ピクッ

一瞬だったがシロの身体が震えたのを見逃すほどタマモは落ちぶれちゃいない。
これだ!と確信したタマモは一気にたたみかけた・

「また、散歩でも断られたの。でもねそれはあんたにも責任があるのよ。
 横島だって一応?人間なんだから、毎日東京‐名古屋間を往復するのはちょっと
  難しい「違うでござる!」

「名古屋ではなく大阪まで行っているでござる!」
「そっちかい!」
ともかく、このやりとりで初めてシロが大声をあげた事に内心ほっとするタマモであった。



シロも人間形態に戻り床に座り、事情を聞く事にしたタマモと言うことになったシロ。
さながら取り調べのような雰囲気を出している。

「それで、いったい何があったの?」
「拙者・・・見てしまったのでござるよ。」
「何を?まさか・・・横島の裸!あんたそこまで・・・・・」
「聞くつもりがあんのか!この女狐!」

のぞきの容疑をかけられて怒らない者はいないだろう。シロとて例外ではない。
怒りをあらわにしてタマモにくってかかる。

「わ〜かったわよ。私が悪かったわよ。続き話して。ね。」

さすがに言い過ぎたと素直に反省するが内心では、

<ここまでムキになるなんておかしいわね。まさか本当にやってたりして。
あたししか覗いてないと思ってたのに、案外ポピュラーなのね覗きって>

とか、危ない事を考えていたりするタマモなのでした。
そしてシロが真剣な目つきで話し始めた。

「あれは、ついさっきのこでござった。先生とおキヌどのが・・・
<シロの話>
シロが屋根裏部屋に上がろうとしたときだった。
居間からこえが聞こえたのでドアの隙間からそっと覗いてみると

「あの横島さん。明日って予定ありますか?」
元幽霊である氷室キヌが横島忠夫に話し掛けているところを目撃してしまったのである。
 これはデートの誘いだ。間違いない。
横島の事になると抜群の集中力をみせるシロはそう判断した。
そして部屋に飛び込もうとしたが、ある考えが脳裏をかすめた。
ちょっとまてよ、相手はあのおキヌ殿でござる。
もしここで邪魔をしようものなら夕御飯ぬきもありうる。
いや、それどころかひょっとしたら先生に嫌われて散歩禁止になってしまうかも。
 ああ、拙者はいったいどうすれば・・・
そんなことを考えていたら。
「明日?特にないけど・・・買い物?いいよ。いこうか。」
という師の言葉で目を覚まし、見つかっちゃマズイと部屋に走り、今に至る。

・ ・・というわけでござる。」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「つまり、自分で自分の行動に悩んでいたらチャンスを逃したので、逃げてきたと、そういうことね・・・」
「はっきり言うな・・・」

やれやれといった様子でベッドに腰を降ろすタマモ

「それで、あんたはどうしたいのよ。横島に振り向いてほしいならモーションかければ?」

以前のおキヌに対する美神のようなコメントをするタマモだが、彼女が復活してもいない時期の話なのでそんな事を知る由もない。

「し、しかし拙者はその、契る・・・とか夜這い・・・とか夜伽・・・とか女としてどーと奪ってやるとか、そんなんじゃ「あんた、どういう教育受けてんのよ!」
「違うのでござるか?」
「当たり前でしょ!」

いったいどのような考えでこんな結論に至ったのか。やはり師匠に似たのだろう。
そんなことを考えているとシロが口を開いた。

「それではいったいどのように・・・」
「ふふふ、ようするに、横島にも嫌われたくなくておキヌちゃんにも嫌われないように邪魔するには・・・おキヌちゃんから横島を嫌いになってもらえばいいのよ!」

きっぱりと断言するルームメイトをみてシロは唖然とした。
彼女の言っていることは、シロが散歩を嫌いになることとほぼいっしょだ。
おキヌちゃんにとっての横島は、シロにとっての散歩にも等しい。
シロは呆れながらも尋ねた。

「それができれば苦労しないでござるよ。」
「そのバカを見るような目つきをやめなさいよ。あたしだってちゃんと考えがあっていってるんだから。」
「本当か!タマモ。女狐の名は伊達ではござらぬな。」
「あんた、それほめてんの?とにかくするんなら急ぐわよ。どっち?」
「言わなくてもわかってるでござろう!」
「OK。じゃ鍵かけて、特訓するわよ。」




音声のみでお楽しみください

「違うわ!ここはもっとこうしてこうよ!」

「キャイン!」
「立ちなさいシロ!あんたとわたし。ひとりひとりじゃ火だけどふたり力を合わせれば炎となるわ。炎となったあんたは無敵よ。立ちなさい!」
「タマモ、拙者の事をそこまで・・・拙者やるでござるよ!」
「その意気よシロ!」





屋根裏でそんな事が行われているとも知らない下の階の面々

「美神さん。シロ知らないっすか?いつもなら散歩〜って飛びついてくるんすけど」
「屋根裏にでも居るんじゃない?それよりもうすぐ夕食なんだけど・・・あんたも食べてく?」

!!美神さんが俺を夕食に誘ってくれた、ということはそのまま一夜を共に過ごすということであって、つまりこれは美神さんなりの愛の告白!そうとしか考えられない

コンマ数秒で自己中な考えをまとめた横島だったが

「美神さ〜「お夕食の準備ができたので、シロちゃんとタマモちゃん呼んできてくれませんか。横島さん・・・」はい・・」

殺気を放つおキヌに邪魔されて素直にドアに向かい開けると、そこにはタマモが立っていた。

「おう、タマモちょうど夕飯だってよ。シロは一緒じゃないのか?」
「ん。すぐ来るわ。」

そういい残しスタスタと、自分の席に座るタマモ
ちょっと不思議に思いながらも他の二人も席に着いてるので自分も座ろうと思い足を進めた横島を、愛弟子の叫びが引きとめた。

「先生!」

振り向くとそこにはシロが立っていた。

「シロ、どうかしたか夕飯だぞ。早く食おうぜ「待って先生!」

いつもと違う口調にちょっと驚くタマモ以外の面々
横島がらみのことなので女性陣は聞き耳を立てていた

「先生、明日おキヌちゃんと買い物に行くんでしょ。」

シロがおキヌのことを〜殿ではなく〜ちゃんで呼んだ事に少々疑問をいだくよこしまであったが、

「ああ。!散歩の事か心配すんな、ちゃんとつれてってやるから。」
「違うよ!・・・・そんなにおキヌちゃんがいいの?」
「へ?」
「あたし、先生の為だと思っていやな事も我慢してきたのにやっぱりあたしの事なんて、遊びだったんだね。先生のバカ!ひとでなし!いくじなし!」
「ちょっちょっと待てシロ!誤解を招くような発言は控えてくれ。
しかもなんだ!その口調は!・・・はっ!」

そのとき横島は気付いてしまった。後ろから放たれている2つの大きな殺気とキン!という神通根独特の効果音そして、着実に集結しつつある浮遊霊達の霊気に
このままだと殺される そう悟った横島の取れる手段は只一つ

「一応言っておきますけど、俺はロリコンじゃないからシロには手出してないっすよ。」

逆天号から返ってきたとき、美神とおキヌを魅了したさわやかな笑顔ではなったこの一言も今ではただの起爆剤でしかない

「変態に食わす飯はないのよ!さっさと出てけ〜!」
「明日の事は忘れてください。そしてしばらく顔見せないで下さい!」

美女二人ににっこりと微笑まれながら、フルパワーの神通鞭と浮遊霊を突進させられ事務所を追い出された横島であった。

<ふっふっふ、タマモの言っていたことをやっただけでここまでうまくいくとは、
 さすがでござるなタマモ。今度きつねうどんおごるでござ・る?>

親友に向けた感謝の眼差しの先には・・・誰も居なかった・・・






「ちっくしょ〜 俺が何したって言うんじゃ〜」

ゴミ捨て場にあった木の棒を杖代わりに、雪に降られながら歩く横島
通行人がぼろぼろの彼を軽蔑の眼差しで見つめるそんな状況の中、一人だけ異なる眼差しで見つめる少女が立っていた。タマモである。
彼女の姿を認識した横島の身体に緊張が走る。さきほど女性陣にぼろぼろにされたのである。警戒しないほうがおかしいだろう。

「なんだ。お前も殴りに来たのか?さっきも言ったが俺は本当に何もしちゃいないんだぞ」
「知ってるわ。」
「!!」

目の前の少女は信じてくれた。誰も信じてくれなかった事を素直に信じてくれた。
横島は驚きながらも喜びを感じていた。

「明日のデートなくなっちゃったんでしょ?だからさ、あたしとデートしない?横島?」
「・・・」
「・・・」
「俺で、いいのなら。喜んで。」
「決まりね♪じゃ明日♪」

そう言い残し少女は去っていき後には横島だけが残った。










<シロには協力するって言ったけど、裏切らないとはいってないし。
過程はどうあれ最後に勝てばいいのよね〜♪>

今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa