ザ・グレート・展開予測ショー

傷ばかりの天使!!(その28)


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/12/24)

「ヘックションッ!」
女が大きいくしゃみをする。
「あぁ、風邪ひいたかも知れないじゃん・・・。」
そう言って女は指で鼻を擦る。
女といってもただの女ではない。
鷹のように鋭い爪、腕には翼がついていて、体は毛で覆われている。
「・・・暇じゃん。」
マチュアの部下であるハーピー部隊の1人アーシャである。
アーシャは城の通路の警備を任されていた。
「暇すぎて欠伸がでるじゃん。」
アーシャは大きな欠伸をする。
その横を、2人の男が通り過ぎる。
「アメリヤはどこにいるんだ?」
「TVゲームだと、魔王は最上階か地下の奥深くにいると相場は決まっているが・・・。」
「とりあえず最上階へ行ってみるか。」
「アリス王女、リナ王女も探さなくてはな。」
「ちょっと待つじゃーーーーん!!」
アーシャは叫んだ。
「ん?」
「なんだ?」
通り過ぎた男2人、横島と西条はその場に立ち止まり、後ろの方を向いた。
「キサマら何モノじゃん!?」
「何だ、ハーピーか。」
「悪いがお前に構っている暇はない。失礼させてもらうよ。」
アーシャの質問に答えず、横島と西条は前に向き直し、再び走り出した。
「ぐぐぐぐぐ!」
アーシャは額に青筋をたてる。
そして、翼から羽根を2本抜く。
「死ぬじゃん!フェザー・ブレット!!」
アーシャは横島と西条の後頭部目掛けて投げつける。
ビシュンッ!ビシュンッ!
凄い速さで横島と西条に迫ってくる。
「ったく、相手をする暇はねぇって言ってるのに。」
「仕方ない、すぐに片付けるか。」
横島と西条はアーシャの方に体を向ける。
西条はホルスターからベレッタM93Rを抜き、向ってくる羽根に標準を合わせる。
(遅い、遅すぎる・・・。)
西条は思った。
(スローモーション映像を見てるみたいだ。ギルファの速さと比べたら圧倒的に遅い。)
バンッ!バンッ!
西条は正確に羽根を撃ち落としていく。
「撃ち落とした!?嘘じゃん!!かなりのスピードがあったはずじゃん!!」
驚愕するアーシャ。
その時、西条の横にいたはずの横島が、アーシャの前に現れる。
「なっ!?」
「じゃあな。」
ズバァッ!
横島は霊波刀でアーシャを一閃する。
「ギャアアアアアアアッ!!」
断末魔の悲鳴をあげながら、アーシャは消滅した。
「時間を喰っちまったな。」
「行くぞ、横島クン。」
「あぁ。」
横島と西条は、階段に向って再び走り出した。





ちょうど同じ頃、アリスとリナが地下牢から出る。
「・・・・・・。」
「リナ、悲しいのは分かるわ。でも、泣いてもお父様やお母様は帰ってこないのよ。」
「・・・・分かってる。」
流れている涙を腕で拭うリナ。
「助けに行くわよ。」
「え?」
「アメリヤを助けに行くわよ。」
アリスはそう言った。
「何で!?パパやママや皆を殺したヤツなのよ!!何で助けるの!?」
リナは怒鳴る。
「彼女も苦しんでるのよ!!生まれた時からずっと!!」
「!!」
「あの娘の辛さや苦しさ悲しさは、私たちよりも大きいのよ!!」
「・・・・・・。」
「だから、あの娘を助けなくてはいけないのよ。お願い、力を貸して・・・。」
「・・・・・・うん。」
「ありがとう・・・、リナ。」
「・・・・行こう、お姉ちゃん!あの娘を助けにさ!」
「えぇ!」
アリスとリナは、アメリヤを助けるために動き出した。





ウー!ウー!
サイレンが城中に響き渡る。
「大変じゃん!地下牢から王女たちが脱走したじゃん!!」
ハーピー部隊のビーナスが叫ぶ。
「地下牢の入り口を警備していたザイナとユーリはどうしたじゃん!?」
「思い切り顔面を殴られたみたいで、再起不能じゃん!!」
ハーピー部隊のセリーが叫ぶ。
「た、大変じゃーーーーん!!」
そこに、同じ部隊のデミリアがやって来る。
「どうしたじゃん!?」
「アーシャがやられたじゃん!!」
「何!?」
「た、大変じゃーーーん!!」
「何事じゃん!?エリア!」
「マ、マチュア様がやられたじゃん!!」
「!!」
ビーナスたちは驚愕する。
その時、ビーナスたちの後ろから声がした。
「すまねぇが、そこ通らせてくれないか?」
「急いでるんでね。」
「!!」
後ろを振り向くビーナスたち。
そこには、横島と西条が立っていた。
「き、貴様らいつの間に!?」
「いや、ずっと前からいたんだけどな。」
ポリポリと頭を掻く横島。
「侵入者は処刑!!それがハーピー部隊に下された命令じゃん!!」
「やれやれ・・・。」
西条は霊剣ジャスティスを鞘から抜く。
「仕方ねぇな・・・。」
横島は右手から霊波刀を出す。
「死ねーーーーーーー!!!」
ビーナスたちは一斉に襲い掛かる。
「早く済ませようぜ、西条。」
「あぁ、余り時間をかけたくないからな。」
横島と西条はビーナスたちに向って走り出した。





「このぉっ!!」
ドバキャッ!
「ぶっ!?」
ハーピー部隊のフレイの顔に、リナの鉄拳がめり込んだ。
「はっ!!」
ドゴォッ!!
「がはっ!?」
アリスの崩拳を喰らい、ハーピー部隊のグレーヌが吹っ飛ばされる。
すでに床の上には、何匹ものハーピーが倒れている。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・。」
息を切らすリナ。
「リナ!後ろ!!」
「え!?」
ガッ!
後ろからリナはハーピー部隊のヒリアに羽交い絞めにされる。
「ぐっ、苦しい・・・。」
「リナッ!!」
「動くな!!動くとアンタの妹の首を折る・・・・。」
ズバァッ!!
「ギャッ!!」
「!?」
突然開放されたリナは後ろを向く。
そこには、床に倒れているヒリアと、十数匹の人狼と食人鬼女(グーラー)がいた。
「き、キサマら、何を!!」
ハーピー部隊のイノウが怒鳴る。
「ギルファ様の命令でな!!アリス王女様とリナ王女様を助ける!!」
「裏切る気か!?」
「私たちはギルファ様の部下だよ?マチュアの下僕になった覚えは無いね!!」
「き、貴様ら!!皆殺しじゃん!!」
「リナ王女、アリス王女!ここは我々に任せて下さい!!」
「すいません!お願いします!!」
アリスとリナは走り出す。
「あ!待つじゃん!!」
「おっと、貴様の相手は俺がさせてもらう!!」





同じ頃、場外では凄まじい戦闘が行われていた。
「やれい、マリア!!」
「イエス・ドクター・カオス!」
ガチャッ!
ドドドドドドドドドドッ!!
「ギャーーーーーーー!!」
断末魔の悲鳴を上げ、消滅する悪霊たち。
それを見て、カオスはニヤリと笑う。
「くくくく!!こんなに楽しいのは久々じゃのう!」
「何笑ってるのよ!こっちは忙しいって言うのに!!」
神通棍で次々と悪霊を倒していく美神。
「てぇーーい!!」
美神と同じ神通棍を使って、悪霊をなぎ倒す美智恵。
ピュリリリリリリリリ!!
ネクロマンサーの笛を吹くおキヌ。
「ふんっ!!」
横島から伝授した霊波刀で悪霊を斬り裂くシロ。
ボオォォォ!!
「ギャァァァァァァァァ!!」
狐火で悪霊を燃やし尽くすタマモ。
「さぁ、どんどん来なさい!!このGS美神が・・・・。」
「キシャーーーーーー!!」
「極楽に行かせてあげるわ!!」





地下ドーム・・・・・・。
落とし穴に落ちた時に着いた所に、横島と西条はいた。
そして、横島と西条の視線の先には1人の少女・・・・、アメリヤ・ラティル・バルチザンがいた。
「・・・・・・来てくれたんですね。」
「苦しんでいる女性を見捨てては置けないからね。」
「右に同じ。」
「貴方方しか、頼める相手がいなかったのです。」
「・・・・・・。」
「お願いです・・・。私の怨念を、消してください・・・・・・。」
「あぁ、分かった。」
「ありがとう。貴方方と出会ったこと、一生忘れません・・・・・・。」
アメリヤは上を見て叫ぶ。
「さぁ、出てきなさい・・・。もう私には、貴方を押さえつける力はないから・・・・・・。」
バタッ
糸が切れたように倒れるアメリヤ。
そして・・・・・・、
『グアァァァァァァ!!』
アメリヤの体から悪霊みたいなものが出現する。
「これが・・・・・・、バルチザン家の怨念?」
「・・・・・・でかい。」
その怨念の大きさは、地下ドームの天井に届きそうなくらい大きかった。
『我が名はバルチザン王国初代国王バルドルフ・ドティル・バルチザン・・・。我がバルチザン家の恨み、思い知れ!!!!!!』
バルドルフの左手から盾が、右手からは大剣が現れる。
「来るぞ!!」
構えをとる横島と西条。
『ヌゥゥゥゥゥゥゥゥゥン!!』
バルドルフは、大剣を2人に向って振り下ろした。


色々な場所で起きる戦い・・・。
最後の歯車が、回り始めた・・・・・・。


続く

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