ザ・グレート・展開予測ショー

クリスマスネタ


投稿者名:MAGIふぁ
投稿日時:(03/12/23)



雪のちらついたある日を境にして、横島の様子が少し変わった。



「美神さん、ちょっと本貸してくれませんか?」

「え〜?残念だけどアンタの好きそーなスケベな本なんて持ってないわよ?」



突然そう言った横島に、やや意外そうな顔をしつつそう返す美神。



「そんなんじゃないッスよ。ちょっと魔法陣の一つも覚えようかと思いまして…」



「「「「「………………………………」」」」」



横島がそう言った途端、事務所の時が止まった。



TVを見ていたシロタマがそのままの姿勢で固まり

お茶を持ってきていたおキヌも、カップを美神に渡そうとした姿勢で硬直し

それを受け取ろうと手を伸ばしたままの美神もピクリとも動かなくなり

人工幽霊壱号もフリーズを起こし、事務所に常時張られている結界も消えうせた。





そして、時が動き出す。





「先生をどこにやったー!!」

「ニセモノねっ!?この私を幻覚で騙すとはよっぽど強力な妖怪よっ!」

「ええ〜〜ん、よこしまさはぁ〜〜ん!!」

「吐けーーー!!アンタ何モンだーーーっ!!?」



合図も無しに同時に動き出し、見事な手際とチームワークで横島を捕獲、呪縛ロープで縛って吊るし上げて尋問(?)する美神達。



「お…俺が自分から向上心を持っちゃイカンのかっ!?この縄をほどいてーーっ!!」



横島はそう叫んだが…誤解が解けたのは、まだフリーズしている人工幽霊壱号が再起動した1時間後だったという。





その翌日、深夜の公園の駐車場で人目に付かぬように、とある魔方陣をせっせとチョークでアスファルトに描く横島の姿があった。



「ふふふふ…待ってろよ…もうすぐだ。もうすぐお前を復活させてやる…」



時折そう呟きながら魔法陣を描き続ける横島に…偶然それを目撃した通行人も彼を見なかった事にして精神的衛生を保ち、そのおかげで邪魔も入らず…ついに魔法陣は完成した。



「一度は俺とシンクロしたお前だ……俺の思いはわかってくれるな?わかったなら、今ここに来てくれ…」



祈るようにそう口にすると、横島は魔法陣に向かって呪文を唱え出す。



「アブドル…ダムラス…ベルエス…ホリマク…我は求め、訴えたり!!されば今ここに!再びこの世に生まれ出でよ!!」





そして、更にその翌日…





「「フハハハーー!!別れろーー!!カップルなんざみーーんな別れてしまえーー!!」」



男性をシバき、女性にセクハラを働き…目に付くカップルというカップル全てに人智を超えた素早さで嫌がらせをしながら――人智を超えればいいものではない、といういい例といえる――街を練り歩く、横島と…彼が復活させた妖怪コンプレックスがいたという。



「街にはこんなに幸せそうなカップルが溢れているというのにー」

「おみゃーの隣にはだーれもいにゃーでよー」

「お前が家に帰って一人で眠りにつく頃…」

「こいつらは一緒にお楽しみだぎゃー!」



怪しい名古屋弁を操るコンプレックスと横島のコンビネーションによる説得に、世の独身男性たちは次々と彼らに加勢し…

この日はクリスマスイブだというのに、恋人達の3割が碌な目に会わなかったという…



めでたしめでたし。









…ところで…



「何やってんのよ、アンタはーー!!」

「ああっ、スンマセン、スンマセーン!仕方がなかったんや…あいつらが羨ましかったんやーー!!」



…彼らもその“碌な目に合わなかったカップル”に含めていいのだろうか?

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