ザ・グレート・展開予測ショー

シロといっしょ。 ―再会は突然に―


投稿者名:ヴァージニア
投稿日時:(03/12/18)

―――少年時代―――

「 銀ちゃん、あのボディならモーターのパワーをおとしたほうがー 」
「 大丈夫やて横っち! 問題ないて! 」
《 ワンワン! 》

犬のサンポの途中、少年横島は友人とミニ四駆の話題で盛り上がっていた。

「 だからコーナーでの安定性がやなー 」
《 ワンワン! 》

するっ‥
話に熱中するあまり、少年横島は右手のリードをゆるめてしまう。
すると、白い仔犬は元気よく前に走り出していった‥‥

「 あ! シロ待てー!! 」
《 ワンワン! 》

横断歩道。
信号は赤。
行き交う無数の車。
追いかける少年横島。
歩道を渡る白い仔犬。

そして車の急ブレーキの音が鳴り響く‥‥



「「「「「   シロ―――――――――――!!!!!!!!   」」」」」












◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ハートフルペットコメディー
              シロといっしょ。 ―再会は突然に―

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




◇◇教室◇◇

「 ‥‥ま ‥‥‥‥こしま! 起きんか横島あぁああっ!!!!! 」どごっ!

担任の先生は、おもいっきり横島の頭をどついた。 体罰反対!などとは誰も言わない。

「 GSの仕事があるからとかいって期末テストにも出てこんで、
  やっと学校に来たかと思ったらグースカ眠りやがって!
  そんなに俺の授業が退屈か!? ええぃ横島っ!!! 」

教師は横島の制服をつかみ、がくがくと揺らしていた。 そして目を覚ました横島の第一声は―――

「 先生‥‥ 」
「 なんだ。 」
「 腹減った‥‥昼休みまだっスか? 」

プルプルプルプルプルプルプル‥‥ぷちっ!


「「「  ふっざっけんなあぁあああっ!!!!!  」」」


その怒声は、校舎の窓ガラス全てを震わせた‥‥





◇◇商店街◇◇

‥‥で放課後。 横島・愛子・ピート・タイガーの4人はいっしょに帰っていた。

「 横島さん、昨日仕事遅かったんですか? 」
「 は? 」
《 今日ずっと寝てたじゃない! まさに青春のムダ使いだわ! ‥‥あら? 》

すると机を背負った女子高生(妖怪)愛子は、店のショーウィンドウにはりついて―――

《 あ 見て見てかわいー! 犬のぬいぐるみにサンタの帽子かぶせてるー! 》
「 そういえばもうクリスマスの時期なんですねー 」

ピートは周りを見回しながら言った。
あちこちに飾りつけがされており、商店街はまさにクリスマスムード一色になっている。
そんな雰囲気の中、愛子は―――

《 ‥‥ねえ、わたし学校で動物飼ってみたいと思うんだけど。 》

ピクッ‥‥横島の動きが一瞬止まる。

「 動物って‥‥またどうして? 」
《 だってピートクン、うちの学校なにも生き物飼ってないじゃない。 》
「 まあ小学校ならニワトリやウサギを飼ってたりするけど‥‥ 」
《 高校だっていいじゃない! 毎朝エサをあげたり掃除したり――― 」

目をキラキラ輝かせながら、熱く語る愛子であったが―――

「 やめとけよ。 」
《 えっ? 》

横島は視線をあわせないまま愛子に言った。

「 興味本位で犬なんか飼ってもいいことなんて全然ねえよ。
  どんなにかわいがってしつけても、“バカ”で“わがまま”で、
  1日中サンポを強要するような“バカ犬”になることだってあるんだからな。 」

黙ってしまう愛子たち。 するとピートが‥‥

「 横島さん、僕たちだれも犬を飼うなんて言ってませんけど‥‥ 」
「 え? ‥‥‥‥あ、とにかく俺は面倒見ないからな! 飼いたきゃ勝手に飼えよ。 」
うるるっ
《 そんなっ! 飼育当番は私と横島クンって決めてあるのに! 》
「 勝手に決めんなっ!! つーかお前どこに帰るつもりなんだよ! お前の家は学校だろ!? 」
《 いいじゃない! 登下校のたわいない会話も青春の1ページなんだから!
  それより横島クンは明日、ちゃんと期末テスト受けに来ないと留年しちゃうんだから! 》
「 う‥‥ヤなこと思い出させるな‥‥(汗) 」






◇◇横島のアパート◇◇

( ‥‥ったく愛子のヤツ、妖怪のクセに生き物飼いたがるんじゃねえよ。 )

とか考えながら、横島は自分の部屋の前に来た。
鍵を使って開けようとすると、すでに扉は開いている。
取られるようなものがない自分の部屋に泥棒‥‥とは思わなかったが、とりあえず警戒しながら入口のドアを開くと‥‥


「「「   タダオどの―――――――――!!!!!   」」」

だきっ☆
「 うわあっ!! 」


部屋の中から飛び出してきた中学生ぐらいの美少女に、いきなり抱きつかれた横島。
煩悩の権化である横島とはいえ、さすがに一瞬(0.03秒ぐらい)驚いた。
そして恐るべきスピードで、思考をまとめようとする‥‥

( なぜ美少女が俺の部屋に!?
  でもこのやわらかい感触、微妙な胸、ひなたぼっこしているようなやあーかい髪の匂い!
  サンタのじじいが俺の願いを叶えてくれたのか!? いや、アイツは燃え尽きた!
  いきなり女に抱きつかれることなんて‥‥くーっ、ときめくーときめくぞ〜〜〜!!! )

「 おじょおさーん!! ずっと前から愛してました―――っ!! 」
「 きゃん♪ 」


≪結論≫―――おもいっきり抱きしめ返して愛の告白をする。


さわさわさわ‥
「 ちくしょ〜〜〜あったかいなーやーらかいなー
  とくにケツのフサフサ感がたまらなく‥‥‥‥‥‥え? フサフサ感?? 」

片方長く片方短いGパンをはいたその少女には、なんと白いシッポが生えていた。

「 タダオどの〜 そんなにおしりを触られたら拙者‥‥!(ポッ)/// 」

シッポをさわさわと触る横島に対し、少女は顔を赤らめている。 すると部屋の奥から‥‥

《 横島さん 相変わらずのようですね。 》
《 昼間っからおあついのよねー。 》
「 しょ 小竜姫さま!? それにヒャクメ‥‥!? 」

そこには小竜姫とヒャクメの姿があった。 ただ‥‥

「 なんでサングラスなんかしてるんスか? 」
《 神事機密なんです!/// 》

照れながらサングラスをあげる小竜姫であった―――




◇◇横島の部屋◇◇

「 なんだって!? こいつがシロ!? 」

小竜姫から事情を聞いた横島は、隣で正座して座ってる少女が昔自分が飼ってた犬、“シロ”だということに驚きを隠せなかった。

「 そうでござる! 8年前までお世話になっていた、シロでござる! 」
「 その赤い前髪と白いシッポは確かに―――
  でもシロはあのとき事故で‥‥ってゆーか、なんでおまえ人間なんだよ!? 」
「 はいっ!! 拙者は‥‥拙者は死んでよみがえったのでござる! 神界軍用戦士・犬神族の人狼として! 」

混乱中の横島に、小竜姫が補足する。

《 実はシロが死んだあと、シロの魂は冥界のほうに送られたんです。
  シロは、横島さんに再び逢うため、自ら神界軍に入隊を志願しました。
  結果、彼女は犬神族の人狼“犬塚シロ”としてよみがえり、神界軍の兵士として活躍していたんです。 》
「 それがなんで今頃‥‥ 」
「 拙者は、先の魔界派遣等にも参加し、このたび“犬佐(けんさ)”に昇進したのでござる! 」
《 神界軍にも階級があって、犬族の部隊では“犬士”“犬曹”“犬尉”という具合に―――
  シロは“犬佐”に昇進して、これより彼女はほかの神族と同様に休暇等が認められるんです。 》
「 拙者の希望は休暇中、タダオどのと過ごすことでござるが‥‥もちろんいいでござるよな! 」

シロはシッポを振り、目をキラキラさせながら期待の目で横島を見ている。 その横島は―――

うふっうふふふふふふふふ‥‥
( 俺といっしょに‥‥てことはこの部屋にこいつは泊まるわけだ。
  てことはこの女と一晩でも二晩でも一つ屋根の下で‥‥
  てことはてことは、あらぬハプニングもおこっちゃったりなんかして――― 」←

―――妄想にふけていた。 それを見た(聞いた)小竜姫はにっこりしながら‥‥

《 横島さん。 シロはあくまであなたの『飼い犬』だということを忘れないようお願いしますね。 》
「 はっ!!(汗) 」

小竜姫の言葉に正気を取り戻す横島。 なにげに『飼い犬』を強調しているのがポイントだったり。




ざわざわざわ‥‥

「 それでは私たちはこれで! 休暇はとりあえず3週間です!
  それとこの件は神界軍機なので、くれぐれも内密にお願いしますねー! 」
「 ‥‥内密にねえ。(汗) 」

駕籠(かご)に乗った小竜姫は、人に化けた鬼門2鬼にかつがれながら妙神山へと帰っていった。
行き交う人々の注目度は、かなり大きい。
横島はアパートの2階から、異様に目立つ小竜姫たちを見送った後、横にいるシロに目をやった。

( ‥‥確かに冷静に考えてみれば、人の姿をしているがこいつは犬‥‥しかもシロだ。
  人として手を出すわけにはいかん‥‥だが‥‥だが‥‥! )

するとシロは、色々難しい顔をしていた横島の右腕に抱きついて―――

むぎゅ
「 どうしたでござるか? 」

やわらかい感触が腕からつたわってくる‥‥


(((   耐えられるのか俺――――っ!!!!!   )))





―――シロが帰ってきたことはもちろん嬉かった。 だが―――


ちちゅんちちゅんっ

「 ねえ〜タダオどのってば〜〜〜! 」

シロはフトンにくるまっている横島を揺さぶっていた。

「 タダオどのーいっしょにサンポに連れてってほしいでござるよ〜〜〜! 」
「 あ〜うるせ〜〜〜俺は眠いんだよ〜〜〜 」



狭い部屋の中で、フトンを2つ並べて一晩を過ごした横島とシロ。
すぐに眠りについたシロとは違い、横島は一晩中理性と戦っていた。
なにしろすぐ隣に、年頃の女の子がシャツ1枚パンツ1枚という無防備な形で寝ているのである。
煩悩の権化である彼が、この状況で何もしないはずがない‥‥はずがないのだが‥‥

  『 うにゃむにゃ‥‥タダオどの〜〜〜 』
  『 ‥‥‥‥! 』

相手は幼い頃、家族同然に過ごしてきたシロ。
小竜姫の言うとおり、犬に‥‥家族に手を出すわけにもいかない。
いや‥‥それ以前に、ここまで無防備な女性を目の前にされたら、逆に手をだしにくいものなのかもしれない。
まさにごちそうを目の前にして、「待て」を言われている状態なのである。
罪悪感にも悩まされた彼が、この夜とった行動といえば‥‥

  『 ワン ワン ワオ〜〜〜〜〜〜ン!! 』

深夜、アパートの屋根の上で犬のように遠吠えする横島犬。
‥‥この場合、血の涙を流したのは横島のほうかもしれない。



「 タダオどの〜サンポー 」
「 うるせえ! サンポにいきたきゃ勝手にいけ!! 」
「 うっ‥‥! 」

ついに怒鳴る横島。 シロが取った行動は‥‥

「「「  キャンキャンワオーンワオーン!!  」」」

窓を開けて吠えること。 だが横島は‥‥

「 いくら吠えてもムダだだからな。 」
「 どーしてもダメとゆーなら‥‥(泣) 」
「 切腹か? 俺は気にせんぞ。 」

「 腹いせにタダオどののフトンの上で粗相してやるでござるっ!! 」
「 やめんかはしたない――――――ッ!! 」

ズボンを下ろそうとするシロをあわてて止める横島であった。






◇◇とある公園◇◇

ベンチには、ごく平凡な男子高校生が1人座っていた‥‥

どっどっどっどっどっどっどっどっどっどっどっどっ

―――俺は今、彼女と待ち合わせをしている。
3回目のデート・・・・・・今日の俺はとてつもない野望を胸に抱いていた。 それは―――



ど――――――ん
「 今日こそ赤城を俺の家に招待するっ!!! 」



「 ・・・・・・・・・・・・若いのオ。 」
「 ママ〜、なにあれ〜? 」
「 しっ、関わっちゃいけません! 」

突然立ち上がり、ガッツポーズをしながら大声で叫ぶ男子高校生。
公園にいた人々は、不信がっていたりする―――

たったったったっ
「 わんわんわんわんっでござる―――っ♪ 」
どしゃ――――っ
「 こらーっ!! 止まれと言っとるのがわからんのかこのバカ犬―――っ!!!!!(泣) 」

男子高校生の目の前を、猛スピードで横切る者たちがいた。
自転車に乗り、頭にバンダナを巻いた自分と同い年ぐらいの少年(横島)と、
その自転車と自分の体にロープを繋ぎ、自転車をぐいぐいと引っ張るようにして走っていく少女(シロ)。

不思議がる男子高校生であったが、これはまた別のお話。





◇◇横島のアパート◇◇

「 ぜ〜は〜ぜ〜は〜 」
「 いや〜楽しかったでござるなー♪ 」
「 いいかーシロ‥‥ 」
「 なんでござるか? 」

「 俺が「止まれ」と言ったら止まれ!!
  バカ犬みてーにロープをぐいぐいひっぱって、つっ走るんじゃねえッ!! 」
「 きゃいんっ 」

頭を抱えて縮こまるシロ。

「 つい嬉しくて‥‥テヘッ♪ 」
「 テヘッ♪じゃねえっ! お前それで事故ったこと忘れたのかよ! 」
「 タダオどの‥‥ 」

「 ‥‥俺は学校に行ってくるから、部屋でおとなしくしてろよ。 」
「 あれ? 今日は学校休みだったのでは? 」
「 ヤボ用があるんだ。 」
「 あ だったら拙者もお供を‥‥ 」
「 学校に犬は連れてけないんだよ。 」
「 でもこの姿(人間形態)なら――― 」
「 余計ダメだ! いいからお前はここにいろ、わかったな! 」

そう言うと、横島はそのまま学校に行ってしまった。

「 ‥‥タダオどの、なんだか冷たいでござるよ。 昔はあんなに優しかったのに――― 」

少し寂しそうな顔をしているシロ。 するとそこに―――

ぽんっ☆
《 苦労してるみたいなのねー 》
「 ヒャクメどの!! 」

空中からトランクを持ったヒャクメが現れた。 彼女は昨日からずっと横島の動きを観察していたのである。

《 事故のこと、気にしてるのよねー 自分が引き綱(リード)を放したせいだって‥‥
  横島さん、あなたが死んでからしばらく食事もろくにとらなかったのよねー
  おまけに大好きだったミニ四駆もそれ以来やめちゃってー ‥‥ってシロ!? 》

[脱走。]

‥‥シロはこつぜんと消えていた。






◇◇教室◇◇

担任の先生のはからいにより、一人遅い期末テストを受けることができた横島。
昼過ぎまで行い、なんとか全科目を終わらせることができた。 そして―――

「 ふぁあ〜〜〜〜っ ‥‥んじゃ愛子、俺帰るわ。 」
《 ねえ横島クン、いまからペットショップに行ってみない? 》
「 ‥‥ペットはもう充分だよ。
  それに美神さんが2日連続で休みをくれることなんて滅多にないんだぞ。
  今日1日ハネを伸ばせるかと思ったのに‥‥でもまあウチにいてもアイツがいるからなあ〜 」
《 ? あいつって? 》
「 いや こっちの話。 じゃ愛子、また今度! 」
《 あ 横島クン! 》

そう言うと横島はそそくさと帰って(逃げて)しまった。

《 ‥‥んもうー、せっかく2人っきりになれたかと思ってたのにー 》
「 ほう〜2人っきりになって何をするつもりだったのでござるか? 」
《 何ってそりゃもちろん青春なことよ。
  だって休みの日に学校に1人でいたってつまんないんだもの。 
  でも横島クンとなら退屈しないし、動物を飼いたいなんて言ったのも
  ホントは横島クンと朝の飼育当番をいっしょにやってみたかったからで‥‥ってあんた誰!? 》

背後にぬっと現れたシロに、ようやく気づく愛子。

「 貴様かああ―――っ!! 貴様が拙者とタダオどのの貴重な愛の休日を―――!! 」
《 な なによあなた―――!! 》
「 決闘を申し込むでござる!! 」





◇◇河原◇◇

2人は向かい合い、お互いをにらみあっていた。

「 おのれ敵性机妖怪! タダオどのの愛情は、拙者のものでござる! 」
《 私の青春‥‥誰にも邪魔はさせない!
  ‥‥でも一人の男をかけて決闘する‥‥これはこれで青春よねっ♪ 》

別の方向に期待を持ちだす愛子。 シロは少しの間あっけにとられていたが―――

ばっ!
「 と‥‥とにかく勝負! 拙者とタダオどの間に誰も割り込ませないでござる!!! 」
《 はっ! やる気ねっ! 》

右手に霊気を凝縮した剣、『霊波刀』をかまえて襲いかかるシロに対し、愛子は自分の机を抱えて吸引する体制に入る!
―――しかしシロは、愛子に斬りかかる数歩手前であるものを見つけ、動きを止めた。

「 ‥‥誰でござるかあれはー 」
《 え? 》

愛子が振り返ると、そこには買い物袋を持った横島と女子高生が並んで歩いていた。

    「 ありがとうございます横島さん。 荷物をもっていただいてー 」
    「 いいって、小鳩ちゃんにはいつも差し入れもらってるからな。 」

横島と小鳩はいい雰囲気をかもしながら、シロたちに気づくことなくそのまま土手沿いの道を通りすぎていった。

《 あれは横島クンちの隣に住んでる、1年の花戸小鳩さん! 》
「 タダオどのを誘惑するとは言語道断! かくなるうえは‥‥! 」





◇◇国道の下◇◇

「 な なんなんですかあなた! 愛子さんまで! 」
《 小鳩さん。 上級生を差しおいて横島クンとお買い物だなんて、そんなの校則違反よ! 》

‥‥そんな校則はない。
シロと愛子の2人は、横島が目を放したスキに小鳩を捕まえ、人気の少ないこの場所に連れてきたのである―――

「 愛子さん! いっしょにワイド版の表紙を飾った仲じゃない! 」
《 フッ そんなこともあったわね‥‥でもそれはそれ! 愛は勝ち取るべきものなのよ! 》

愛子の目は燃えていた。

ふはははははははは!
「 勝負!! 敵性女子高校生!! なーに、殺しはせぬから心配いらぬ。 」
「 小鳩がいったい何をー!?(泣) 」

普段見られないようなダークな笑いを見せる愛子とシロ。 小鳩は泣き叫んでいた。

「 さあ! どっちの順位が上なのか、はっきりさせてやるでござる! 」
「 順位ってナニ―――!?(泣) 」

シロが小鳩に霊波刀で攻撃しようとしたその時―――

ふぎゅっ
「 やめんかっ!! 」
「 きゃんっ☆ 」

横島はいきなり、シロを後ろから踏みつけた(ケリ倒した?)。

「 順位ってのは群れの中での順位のことだよ。
  犬は人間の家族も自分の群れとして認識してるんだ。 だからしつけに失敗するとこーなるんだ。 」
「 タダオどのっ!? どうしてここが‥‥っ!? 」
「 お前の首輪には発信機がついてんだよ! 万一のために小竜姫さまが貸してくれたんだ!
  もしやと思って発信機使ってみたら、案の定小鳩ちゃんに迷惑かけやがってー‥‥
  愛子! お前もいっしょになってなにしてんだよ!! 」
《 あ いや、私はその― ‥‥あっイタイ!! おなかイタイ!!(汗) 》<フッ>

愛子は本体である机の中に隠れてしまった。

「 こら―――っ!! てめーまた都合が悪くなるとすぐ机の中に―――!! 」
《 ‥‥‥‥(汗) 》

横島は愛子をあきらめ、シロのほうをにらむ‥‥

「 せ 拙者は、この件に関しては、ひとえにタダオどのを思えばこそ―――
  タダオどのの友人にふさわしいかどうか、ちょっとだけ試してみようかなーなんて‥‥
  ただのおちゃめでござるよおっ!! 」

オドオドしながら言い訳するが‥‥

「 おまえやっぱりバカ犬だよ!
  自分がボスだってカン違いして、いくら教えても覚えなくて、あの時も――― 」
「 タダオどの‥‥!? 」

横島の目頭が、幾分赤くなっているように見えた。

「 わがままで自分勝手で、どうしようもなくサンポ好きで、
  俺が止まれと言ってもゆうこと聞かなくて、ちっとも成長しちゃいねえ!
  おあずけをくらった状態でこれから毎日耐えないといけないと考えるともー‥‥! 」

涙ながらに語る横島。

「 タダオどのー、ガマンはからだによくないでござる‥‥拙者ならいつでも――― 」ポッ☆
「 だから動物に手をだすわけにはいかないっていってんだろ!! 」
「 !! 」

幾分ショックを受けるシロ。

「 せ、拙者は人狼として復活したのでござる!
  それにこうして人型になることもできたわけでござるしー 」
「 それが余計だっつんだよ!! 」
「 !! 」
「 出ていけ!! おまえみたいな女、俺は知らん!! 」


し〜〜〜ん ‥‥幾分の静寂。


「 ‥‥本気で言っているのでござるか? 」
「 ああ。 俺のシロは、あの時もう死んだんだ‥‥ 」

横島はシロと目線を合わせることなく、そう言った。 シロはしばらくうなだれると、土下座して―――

「 お‥‥お世話になったでござる!! 」

そう言ったシロは、トボトボとその場から去ったのである―――
 

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