ザ・グレート・展開予測ショー

賭博


投稿者名:まゆ
投稿日時:(03/12/18)


アシュタロス戦より幾ばくかの時が流れ、横島も傷は完全には癒えていないが何とか日常を取り戻した

そんなある日

「む、あぁあああ」

大あくびをして起き上がったのはこの部屋の主、横島忠夫その人である

「むぅ」

横島は寝ぼけた声をあげると着替え、洗面、トーストだけの朝食をすませる

「いくか」

何かいつもと違う、わずかな違和感を感じた、だが気にするほどのことでもない

彼は今日も美神除霊事務所に幾分マシになった給料のために出かける



普段はドアを開けると
シロが飛びついてきて・・・
タマモが軽く挨拶してくれて・・・・
おキヌちゃんが優しくむかい入れてくれて・・・・・
美神さんに遅いと文句を言われ仕事に行く・・・・・・

普段なら・・・
おかしいとは思ったんだ、事務所の雰囲気が変わっていて、人口幽霊一号の気配を感じない
そして

「ようこそ、美神探偵事務所へ」

これが決め手だった
何がかって?美神"探偵”事務所になってるし、おキヌちゃんが営業スマイルで俺を迎えたことだ、自惚れすぎかもしれないが・・・

「え〜と、とりあえず中に入りませんか?」

突っ立っている俺に中に入るようにうながすおキヌちゃん

「あ、ああ」

とりあえず入ってみる俺

中は変わっていた、いままで雰囲気を出すためだと言って置いてあったオカルトアイテムがすべてなくなっており、代わりに絵や花瓶が置いてある

「少々お待ちください」

そう言っておキヌちゃんは奥へと入っていった、頭の中の整理がつかなくなり、ビックリドッキリカメラかな?とか思っていると美神さんが入ってきた、その姿は露出度の多いいつもの服だったが何かが違う、美神さんは俺の前に座った、ちなみに俺は来客用に使っていたソファーに座っている

「私は美神令子、この探偵事務所の所長をしているわ。」

・・・何が違うと聞かれれば、俺を知らない事とか、性格とか、いろいろあるが一番の問題はそこじゃない、

        霊力がない

それが一番の問題だ、完全に一般人と同じだ、隠そうと思ってココまで隠せるものでもない
よく観察するとおキヌちゃんもだ、今は人間とはいえ300年間幽霊だったためそこらの人とは違う、霊力の質が違うのだ、しかし目の前にいるのは何処からどう見ても何の変哲もない人間

「聞いてるのかしら?」

「あ、はい」

ドアの隙間からこちらを伺う二つの視線、その見覚えのある感覚は、シロとタマモ、だがその視線に含まれているのは好奇心、それも未知のものに対する・・・・・
しかも二人とも人間だ、間違いなく・・・

どうする?今までの事をまとめると、みんな一般人になっていて俺の事を知らない。そして探偵をしていること、ぐらいだ・・・情報不足だな

横島は普段はどうしようもない助平だが非常時、仲間が危険な状態のときは恐ろしく冷静に物事を判断する

「いきなりなんですが、これ、初対面ですよね?」

「?ええ、そうだと思うけど、どこかであった事あるかしら」

「いえいえ、気のせいでした」

さりげなく確認を取ってみる、まあ予想どうりかな

「・・・小笠原エミ、っていう人知っていますか?」

「エミ?・・・ええ、小笠原探偵事務所にいる、あのエミなら・・・彼女が何か」

小笠原探偵事務所・・・か、

「・・・・・ルシオラの事、覚えてますか」

「???知らないけど、って、さっきからなんなのよ!あんたは一体、冷やかしなら出て行きなさい!」

「あ、いえ、そういうわけじゃあ・・・」

「出てけ!」

追い出されてしまった



おかしい、もうその思いは確信に等しかった
あのあとエミさんの所へ行った・・・・・美神さんと同じように何も覚えていなかった、霊力もない。タイガーも同じ
唐巣神父の所へ行った、協会で神父をしていた!だが、俺の事は覚えておらず、ただの神父だった。
ピートは高校に通いつつ手伝いをしているそうだ・・・入会勧められた・・・
カオスのところへ行った、マリアが人間になっていてカオスと二人仲良く暮らしていた、おじいちゃん、などと呼ばれていた
GS協会やオカルトGメンはもともと存在しないようだ、あるかもしれないが自分に探す方法はない

霊力のない知り合いに会った、俺のことを覚えていた、だがみんなの言っているその人物は俺のことじゃあない・・・スケベで貧乏暮らしの高校生、姿形も同じ、だけど俺はみんなの知っている俺じゃあない、、、俺が知っているみんなじゃない、

極めつけは妙神山、山のふもとまで言ってみると道路があり照明が完備されていた、さらに上ると
「そうこそ 妙神山ハイランドへ」  「ウェルカム 妙神山」
という看板と竜神のようなぬいぐるみを来た係員 

がっかりして妙神山を後にした、



・・・なぜ今まで気づかなかったのだろうか?朝感じた違和感の正体、そう

霊気が感じられない

悪霊、浮遊霊、霊能力者、、、霊力、妖力、魔力、何も感じられない、、、まさか

「霊波刀」

そう呟くと右手に集まる霊気、刀の形を成す、

「・・・・・」

整理しよう
霊気が無い、感じられない、俺は使える、みんなは使えない、オカルト関係で俺が知り合った人は俺の事を知らない、

     不安

漠然とした不安、誰も俺の事を知らない、知っている人はいなくなった
これが悪戯なんかじゃないのはわかる、ココまではしない、悪魔の仕業か?・・・そんなやつ知らない、、、くそっ

横島は苛立っていた、何もわからない、頼れる人もいない、そんな時

どん

「ってえな」

横島が通っている高校とは違う生徒がぶつかってきた、明らかにわざとだろうというぶつかり方で

「おい、何ぼおっとしてるんだよ!」

ひとりが服をつかむ、

横島は苛立っていた事もあり、さっさと振り払って逃げるつもりだった、そして振り払おうとするが

ザシュ

「え?」

その学生から血が噴出し、ゆっくり倒れる、横島は始め何が起こったのかと思ったが、原因は簡単にわかった、右手・・・
そこにまだ零波刀が存在していた、

「な、」

いくら苛立っていたからって、こんな事、こんなミスがあるわけ・・・
横島はそう思った、が

「きゃーーーーー」

女の悲鳴が事実だと伝えていた

横島は走った



何処をどう通ったのか、アパートまでたどり着いていた、

「はぁ、はぁ」

呼吸は荒い、部屋に入ると座り込み呼吸を整える

「どうなってんだよ」

そんな言葉が漏れた
今日はいろんな事が起こりすぎた、さすがに横島も限界だった、

布団に横になる、疲れていた、ひょっとしたら寝ておきたらみんな元に戻っているのではないかと思った、

まぶたが重くなり、眠・・・



睡眠を許さなかったのは・・・横島の目にとまったのは箱、大事なものが入った箱、ルシオラの欠片が入っている箱、

ココで思い出した、転生の条件、子供にルシオラが生まれるためには霊力の高い女性との間に子を作らなくてはならない、神族、魔族、霊能力者の女性、妖怪、みんないないならルシオラは?

飛び起きて箱を開ける横島、中のものを手に取る、が

何も感じられない、力が・・・暖かさが・・・・・

「う、うわあああああああああ」

横島は叫び、家を飛び出した。ルシオラに会えない・・・から・・・

文殊「転」「送」




行き先は東京タワー

光と共に現われタワーの上部、外側に座り込む

突然光と共に現われた男にタワー内は騒がしいが横島はそれどころではない

「もう会えないのか?夕日を見えないのか?会えないのか?」

呟きつづける横島、横島にとって愛する人はルシオラただ一人、普段どんなに美神に飛び掛っていても見かけだけ、演技に過ぎない、
横島はそれを強く感じる時、いつもこの蛍に向かって愛の言葉をささやき、共に夕焼けを見ていた、それだけで救われていた、しかし

今手元にあるのは、冷たいプラスチックで出来た安物の・・・

「ぅああああ」

ソレを横島は投げた

落ちていくソレ

落ちていく蛍

落ちていくルシオラ

気が付くと横島は飛んでいた、あっと言う声をあげるギャラリー

空中でソレに追いつき・・・掴む

見る見る近づいてくる地面

冷めた目で見つづける

     未だになぜこんな事になったのかはわからない、

ソレ・・・ルシオラの・・・いや、ルシオラを胸元で握り締める
 
     だが、わかった事がある

もう、間に合わない、どうしようもない、激突する、、、



    「俺はお前無しじゃ生きれなかったんだ」



ぐしゃ



横島忠夫---------死亡










ある所

「私の勝ちですね」

「あかんかったか〜、いや、いけるかと思ったんやがなぁ」

「この賭け、この状況で生きていけるか?は、生きていけないに賭けた私のかちです。」

「そんなん繰り返さんでええがな・・・はぁ、これで5329戦1973勝3356敗やな」

「ええ、では次に行きましょう、アシュタロスの残した宇宙の卵はまだまだありますからね、今度は小竜姫あたりで試してみましょう」

「うん、そうすると、やっぱり聖書級崩壊の危機に立ち向かわせるっちゅーやつやな、今度は負けへんで」



二人の暇つぶし、賭博は今日もまた続く

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