ザ・グレート・展開予測ショー

知ってるようで知らない世界―16―


投稿者名:誠
投稿日時:(03/12/ 7)




「へ〜、ここで試験があるのか・・・なんか変な人達ばかりだな・・・。」

横島は周りを見渡して他の参加者を見てつぶやいた。

横島、おキヌの二人が美神除霊事務所からこの試験に参加する。おキヌはネクロマンサーなのでその能力を見せるだけという特別枠でのほぼ合格確実な受験だ。
しかし横島はいざというときのための一般参加。令子は二人の応援をしつつ参加者の監視、警戒という役目だ。
事情を知っている者達にとってこの試験はただの試験ではない。この試験に介入してくる魔族の目的を阻止するのが最優先事項である。
西条、神父、そして小竜姫は参加者のチェック。美智恵は現場でオカルトGメンと雇ったGS数名を指揮する。
美神除霊事務所以外に雇われたのは小笠原エミ、六道冥子だ。
エミは自分の事務所のタイガーが参加するので令子と同じように参加者の監視、警戒が可能だ。
そして六道冥子は試験の救護係という役割で有事に備える予定になっている。

美智恵、西条が考えた最高の布陣だ。これならばとは思うがそれでも相手はメドーサ、油断は命取りになる小竜姫は皆にそう言っていた。

横島は会場の前で真顔で考えていた・・・が。

「横島さーん!先生に聞いていたけどやっぱり横島さんも参加されるんですね!もう僕は朝から不安で・・・。」

そう言ってピートが横島に抱きついてきた。周りの視線が痛い・・・。

「こ、こらっ!やめろピート周りが見てるじゃねーか!いらん誤解が〜〜〜!!」

横島は男に抱きつかれてもうれしくなどないのだ!彼は変態ではない!

「横島さ〜ん!わっしはもう・・・落ちたりしたらエミさんにしばかれてしまうんじゃ〜〜〜!!」

聞き覚えのある声が聞こえ今度は大男が突進してくる。タイガーだ!
横島はタイガーの突進をくらうのを覚悟した・・・がいつまでたっても衝撃はこない。それどころか体にしがみついていたピートも離れたようだ。
一体何があったのだろうか・・・?横島は目を開けてみた。

目の前にはニッコリと微笑むおキヌが手を差し伸べている・・・。

「横島さん、お待たせしました。さ、一緒に会場に行きましょう♪」

そう言って横島の手を握るおキヌ。

「あの〜、おキヌちゃん?ピートとタイガーは?それに美神さんと一緒に来るんじゃなかったっけ?」
「ピートさんとタイガーさんは先に行きましたよ。美神さんは後から小竜姫様達と来るって言ってました。」

おキヌは横島の手を引いて会場へと向かって行った。




一次試験は霊力測定だ。おキヌは特別枠なので違う部屋へといったが横島は室内に入り、見知った顔を見つけた。

「あれ?一文字さんに弓さんじゃないか。君達もこの組なの?」

横島の言葉になにやら口喧嘩していた二人が振り返った。

「横島さん、この試験・・・当たったら容赦しませんわ!そちらも手加減したら容赦しませんわよ!」
「学校では負けたけど今回は負けないぜ。覚悟しといてくれよ!」

二人とも横島に個性的な挨拶(?)をする。横島を完全にライバルとして見ている。

「あ、ああ。当たったときはよろしく・・・。」

横島は多少引きながら二人に答えた。やはり女性には弱い。

「横島さん、わっしもおるんですがの〜。」

横島の後ろにはタイガーがいた・・・どうやらずっといたらしい。なぜか疲れているようだ。

「タイガー、何でそんなに疲れてるんだ?」
「そ、それは・・・。」

タイガーの脳裏に自分に起きた恐ろしい出来事が浮かぶ。しかし・・・

「なんでも・・・ないですじゃ〜・・・。」

タイガーは横を向いている。その姿は何も聞かないでくれという雰囲気をかもし出していた。

「あ〜・・・そうだ。この二人はおキヌちゃんの友達の弓さんと一文字さんだ。」
「よろしくお願いしますじゃ〜。」

タイガー、弓、一文字が互いに挨拶をしていると

『では、全員白いラインに整列して合図があったら霊波を放出してください。』

前に座っている審査員らしい人達から指示が出た。
四人は横一列に並び合図を待つ・・・・・。

『では・・・始め!!』

合図と同時に部屋にいる全ての者がそれぞれ霊波を放射する。
横島はあらかじめここで本気は出すなと言われていたので横にいる弓と同じくらいの霊波を出す。
霊力が低い者は落とされていき少しづつ人数が減っていく・・・。

『よし、そこまで。残っている者は合格だ。』

もちろん四人は予選を通過した。

「よし、じゃあ行こうか。組み合わせが決まり次第二次試験が始まるんだろ?」
「そうですわね。早めに準備をしておかないと誰かさんなんかすぐ負けてしまうかもしれませんわね。」
「おい、弓誰の事だよ!」
「さあ、少なくともわたくしではありませんわ。」
「ふ、二人ともその辺でやめといた方が・・・なんでもないですじゃ〜。」

いつもならおキヌが止める二人の喧嘩だが彼女は今いないのでタイガーが止めようとする。
しかし二人に睨まれてあっさりと撤退した。

―――ドンッ―――
「キャッ・・・。」
「ってーなどこ見て・・・・・。」

弓と一文字、その後にタイガーと横島が続いて廊下の角を曲がったところで弓が可愛らしい声を上げて倒れる。
彼女がぶつかったのは背の低い目つきの悪い男だ。
男は倒れた弓に文句を言おうとして絶句し、つぶやいた。

「マ、ママに・・・似てる・・・。」

・・・・・・・・・・・・時が止まる・・・・・・・・・

「「「「はあ!?」」」」

四人が同時に突っ込んで時が動き出した。

「い、いや・・・すまん立てるか?」

目つきの悪い男はかなり焦ったが平静を装い弓に手を貸す。

「おれの名前は伊達雪之丞だ・・・。」

雪之丞はとりあえず自分の名前をいい、四人の顔ぶれを見る。

自分がぶつかった「ママ」に似てる女、大男とがさつそうな女、そして最後に横島を見る。

「大丈夫か?さあ行こうぜ始まっちまうよ。」

そう言って横島が弓を促がす。
その光景を見てなぜか雪之丞はショックを受ける。なにか勘違いしたようだ。

「ま、まさか・・・そんな・・・。」

なんかつぶやいてる雪之丞を置いて立ち去ろうとしていた四人のスピードが心なしか上がる。どうやら関らない方がいいと判断したらしい。
しかし・・・。

「まてぃ!!!」

四人を雪之丞が呼び止める。

「そこのバンダナ!!名前は!」
「おれか?おれは横島忠夫だけど・・・。」
「横島・・・横島か!俺と当たるまで負けるんじゃないぞ!せいぜい今のうちに女といちゃついておくがいい!!ハーッハッハッハッハッハ・・・・・・・」

かかわらない方がいいどころの話しではない!一緒にいたら周りからどのような目で見られるか分からない!!
四人はその場からダッシュで逃げ出した。



四人が去った後雪之丞に話し掛ける猛者が一人いた。

「何馬鹿笑いしてるの雪之丞?」
「ん、勘九郎か?」
「凄い勢いで走って逃げてく四人組みとすれ違ったんだけどあんた騒ぎ起こしてないわよね?」
「ああ、心配するな。大丈夫だ。」
「だといいけど・・・。バンダナまいた男が『あいつはヤバイ』ってつぶやいてたわよ。」

勘九郎は冷や汗を流しながら走っていた四人組を思い出して言った。

「ふ、あんな一瞬でおれの強さを感じ取るとは・・・できるな!!」
「いや多分違うと思うけど・・・。」

今度は『変態ジャ〜』とつぶやいてた大男を思い出す勘九郎・・・。

「でもやっぱりあなたもわたしと同じなのね。」
「何がだ?」
「あなたもああいう母性本能をくすぐるタイプが好みなのね!!わかるわ〜〜〜。・・・ってどうしたの?」

雪之丞は地面に突っ伏している・・・。

「あほか〜〜〜!!おまえのような限りなくホモ属性に近い変態オカマ野郎と一緒にすんな〜〜〜!!
一緒にいた髪の長い子がいただろ?彼女がまたママに似ていて・・・。」
「あんた・・・マザコンのくせにわたしを変態呼ばわりするの・・・?」

至極最もな意見だ・・・だが雪之丞は聞いちゃいない。

「横島よ!彼女の目の前でおまえをボコボコにしてやろう!!」

そう言って雪之丞はまた笑い出したのだった・・・。

オカマとマザコン・・・この恐ろしい二人組みは試合会場の方へと歩いていった。





「ふう、なんだったんだいったい・・・。」
「変な人でしたの〜。」
「ああいうのを変態って言うんだろうな。」
「そうですわね・・・。」

会場の客席に駆け込み好き勝手に雪之丞の評価を下している四人だったがとりあえずそこで分かれた。
横島は美神達と合流しなければならないし、タイガーもエミと行動を共にする予定だ。
二人とも師匠と一緒ということで全く違和感なく「何か」に備えられる。

他の受験生達には魔族の事は言ってはならない事になっている。弓と一文字も例外ではない。おキヌもこの二人にしゃべっていない。


「横島君、タイガー君どうやら無事に一次試験は突破したようだね。」

集合場所に行くと真っ先に二人に話し掛けてきたのは神父だった。

「まあとりあえずは・・・って何やってんですか?」

小竜姫、美智恵、令子、エミそして西条の五人が地図を広げて話し合っている。

「それが・・・妖怪によるビルの立てこもり事件が発生してね。どうしても大量の人員を向こうにも割かないといけなくなったんだよ・・・。」
「メドーサの仕業です!!」

小竜姫が悔しそうに唇をかむ。

「やつがこっちの戦力を削るためにやったに違いありません!」
「小竜姫様、落ち着いてください。西条君、向こうの指揮をお願い。部下も連れて行っていいわ。」
「部下もですか?でもそうしたらこっちが・・・。」
「大丈夫よ。こっちはGS試験。いざとなったら参加者も戦うことができるでしょ。でも向こうで巻き込まれてるのは一般市民よ。」

美智恵はGメン隊長としての鋭い眼差しで西条を見る。

「・・・分かりました。何かあったら連絡を下さい。」
「解決を焦りすぎてはダメよ。焦っても何にもならないんだからね。」
「分かりました。」

そう言って西条は部下を連れて現場へと向かった。

「西条さんにはああ言ったもののやっぱり心構えができているスタッフといきなり戦う事になる参加者じゃあ違いがありすぎるわよママ。」
「そうよね。でもこっちも少数精鋭なら少なくとも敵は少しは油断するわ。メドーサは小竜姫様に任せるとして他の連中を速攻で片付ければ問題ないわ。」
「そうですね。奴等のナンバー2を早めに倒してしまえば多分大丈夫でしょう。」

小竜姫は顎に指をそえて考え込む。

「ナンバー2か・・・。相手によるけど・・・わたしとママと横島君で一気に倒しましょう。」
「ちょっと待つワケ!なんでそこにわたしの名前が無いワケ?」

エミが令子に突っかかる。

「あら、決まってるでしょう。横島君は知識は足りないけどまあ強いわ。ママも強いし・・・わたしとあんたを比べたらどっちが強いかなんて明白でしょ?」
「あ、あんたね〜〜〜〜!!ここで決着つけるワケ!?」

エミがこめかみをひくつかせている。

「だって〜〜〜GS試験わたしが主席で冥子が二位。あんたは三位だったじゃないの〜。」

令子がエミを挑発するようにゆっくりとしゃべる。

「ああああああ!!!いまやればあんたなんか一発で倒せるワケ!」
「上等よ!決着をつけるわよ!!」

にらみ合う二人だが・・・―――ゴンッ―――

美智恵が二人の頭に同時に拳を叩き込む。

「は〜〜〜、先が思いやられるわね。」

美智恵の言葉は居合わせた全ての者が感じた事を代弁していた。




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