ザ・グレート・展開予測ショー

想いが貴女から届いた日


投稿者名:gosamaru
投稿日時:(03/12/ 7)

想いが貴女から届いた日
   〜俺は途方にくれる〜



今日、俺は此処を辞める。

    ・
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    ・
    ・
    
俺には・・・・耐えられなかった・・・・・。

アノ人の声に・・・アノ人の笑顔に浮かぶ・・・想いに・・・気が付いたから。

俺ってサイテーだ。

アノ人の想いにも・・・自分の想いにも・・気付かない振りをした・・・・。

自分の中にある・・・アイツに対する想いに・・・踏ん切りがつかないから・・

・・・。





「俺には・・・・如何すれば良い・・・か・・解からない・・・サイテーだ。」



心が磨り減っていく。


二つの想いに・・・揺れ動く・・・・自分が・・・許せない。

だから・・・もう此処に居る事は・・・・出来ない・・・・今の俺には・・・ア

ノ人の想いに・・・気付かない振りをするので・・・・精一杯だから・・・・・

・・・アノ人への想いにも・・・アイツへの想いにも・・・整理がつかないから

・・。






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「事務所に向かうのも・・・・これで最後かぁ・・・・。」



通いなれた道、見慣れた風景。

グルリと周辺を見渡せば、目に映る幾多の思い出深い場所・・・。

その一つ一つが記憶を揺り動かし、辛かった事、嬉しかった事、全ての思い出が

蘇る。


思い出を噛み締めている間に、空模様は今にも泣き出しそうだ。

「っと・・。急がないとやばいなこりゃ・・・・。」

最後くらいはとバンダナを取り、なけなしの金で買ったスーツで俺は身を固めている・・。
雨で濡らしてしまうには惜しい。
なにより「飛行機の時間も有るしなぁ〜。」と、思考を断ち切り俺は先を急ぐ事にする。

ぽつん! ぽつん!   ザーーーーーーーー!


俺が事務所についた瞬間、雨が降り出し始めた。
雨音に周囲の音が掻き消される。

ドクン! ドクン! ドクン!

静かな空間に響く俺の鼓動と雨音がまるで唄でも歌っているかのようにシンクロする。
二つの異なる音が、俺の混沌とした気持ちを落ち着かせ不思議と心地いい。


「ふーぅ。」


一呼吸しノックする。

「はーい。あっ横島さん・・・・。」

おキヌちゃんは、俺の姿を見て少し表情を変える。

「おっす!おキヌちゃん。・・・居るかな?・・・挨拶に来たんだけど・・」

俺は勤めて明るく尋ねる。

「さっきから待ってますよ。・・横島さん・・本当に辞めちゃうんですね・・・。・・・その格好似合ってますよ・・・・・あっ・・・・・・・あのう・・・・独立しても頑張ってくださいね・・・。」

おキヌちゃんはそれだけ告げると、キッチンの方へ行ってしまった。
たぶん・・・気を利かせてくれたんだろう・・・ごめんな・・・。



アノ人が窓の外を見ている。


俺は静かにアノ人の後ろに黙って立つ。
どれ位時間が過ぎたのかさえ解からない・・・5分だったかも知れないし・・・・もっと速かったのかも知れない・・・でもそんな事は如何でもよかった。


アノ人の後姿が・・・・・儚く見えたから・・・・。


心がイタイ。




アノ人がゆっくりと振り向く・・・・。
俺の中の時が止まる・・・・アノ人の笑顔が・・・深く胸を抉る・・・。


「気合いれて頑張んなさいよ!!なんたってアンタは私の丁稚なんだから!!」


アノ人はそれだけ言うと・・・・クルリと背を向けた。
俺は必死に込み上げてくるものを押さえつけ・・・・最後の挨拶をする。
何を喋ったのか解からなかった。


「お世話になりました。・・・・お元気で・・・・・・・・・・・・・。」


俺は挨拶を済ませた。
アノ人の後姿から・・・目を離す・・・。

このまま此処に居たら・・・・アノ人を抱き締めてしまいそうになるから・・・・・それだけは・・・出来ない・・・から。




「アッ!!・・・・アンタも・・・元気でやんのよ・・・。」



立ち去ろうとする俺にアノ人が言葉をかけるが、俺は振り向かずにそのまま事務所を後にする。







ずっとアノ人の後姿を追ってきた・・・・・。
今・・・・手を伸ばせば・・・届く所まで・・・追いついた。
だけど・・・まだ隣に立つことは出来ない。



「っ!ごめん・・・・美神さん・・・俺・・・は未だ、アイツへの想いが整理できないから・・・・だけど・・・俺は・・・美神さんの事を・・・・」





美神さんの笑顔が・・・・胸を焦がす・・・・気が付くと・・・涙が一滴流れ落ちる。
俺は・・・・泣いていた・・・。

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