ザ・グレート・展開予測ショー

初めての聖夜


投稿者名:お茶会
投稿日時:(03/12/ 4)


ー初めての聖夜ー




町に流れる

ジングルベール、ジングルベール♪。


「ふ〜う」
思わず出た、ため息が小さな小さな霧を作る。


除霊の仕事が終わり、美神さん達と現場で別れた。何時もなら事務所へ一緒に帰り、おキヌちゃんの美味しいご飯を皆で食べてから、家に帰るのに・・・


何時もと変わらない表情で、美神さん達に・・・


「この近くに、学校のダチの家が在るんですよ、折角だからちょっと寄って行きたいんス」


我ながら、下手クソないい訳だな・・・


シロがお供すると言ったが。

「あのな、シロ、仕事が終わったばかりで疲れているのに、ダチの家から事務所まで、何キロ離れていると思っとんじゃ、第一今の時間なら、ダチの綺麗なお姉さまの手料理が・・・(汗)」

何時もの如く、皆にシバカレたが、何とか皆と別れて帰る事が出来た。
帰り際おキヌちゃんの顔が物凄く怖かった、もう、メシ食わしてくれないかな・・・

明日、あやまらなきゃ・・・


だけど、今は一人に成りたかった。


さっきまで、そんな事は思わなかったのに、今は皆と居るのが無性に辛かった・・・


町に流れる。まもなく来る特別な日の歌

ジングルベール、ジングルベール♪。



そうだ、これが聞こえてきた時からだ・・・

もうすぐ来る特別な日・・・

聖夜(クリスマスイブ)・・・


去年とまったく違う、だけど同じように来る聖夜。

その日に何時もと変わらない俺で居たいから、何時もと変わらない俺で皆と居たいから、今だけは皆と一緒に居たら駄目だ。


ボロアパートまでの長い道のりを、町並みから聞こえる近づく聖夜の歌。

ジングルベール、ジングルベール♪


「ごめんな、お前に取っちゃ初めての聖夜に、二人っきりというわけに行かないんだ。皆が気を使ってくれるから・・・」


「魔族のお前に取っちゃ聖夜なんてと、思うかも知れないけど、だけど日本じゃ恋人同士の特別な日、聖夜でも有るんだ・・・」


「お前には悪いけど、ちと早い二人だけの聖夜と思って勘弁してくれや・・・」


「今日は、今日だけは俺と俺の中に居るお前だけの聖夜だから・・・」


「二人だけの聖夜だから・・・」


町に流れる、

ジングルベール、ジングルベール♪


今日は二人だけの初めての聖夜・・・

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