♯GS美神 告白大作戦!「今際の際に・・・」
投稿者名:BOM
投稿日時:(03/12/ 4)
バタバタバタバタッ・・・
慌ただしく過ぎていく足音。それもそうであろう。
何せ今しも一人の人間が死のうとしているのだから。
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#GS美神 告白大作戦!今際の際に・・・
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「ちょっとアンタ!どーゆー事よっ!?今更になって助かりませんなんてっ!?」
「い、いや、そう言われましても・・・こう病が進行していましては・・・あっ!苦しい苦しい!」
胸倉を掴まれて宙に吊り上げられつつ、必死になって弁解しているのは今で言う医者であろうか。
そしてそれを軽々と持ち上げている、とても恐ろしい形相の女性が一人。
恐らく餓鬼とて一瞬にして恐怖を感じて逃げてしまうであろうその形相は、言うなれば“鬼”のソレである。
「・・・止めたまえ・・・」
「お、おじい様っ!」
すだれの奥から少し弱った男性の声がする。年寄りじみてはいるものの、
そこには何かしらのオーラというべきものが出ているのがわかる。
「・・・そこにいるのか?・・・」
「もちろんよ」
そう呼ばれたのは先ほど医者を吊り上げていた女性だった。
この短い会話で話の真意を汲み取ることができるほどなのだから、よほど深い関係であることが伺える。
「・・・2人きりで話したいことがある・・・悪いが他の者は出ていってくれないか・・・?」
「・・・・・・わかりました。おい、行くぞ!」
しばらくの静寂。もうこの部屋には女性と病に伏しているであろう男性しかいない。
不意に、男性が話し出す。
「・・・私はもうすぐ・・・死ぬだろう・・・」
「!!」
―死―それは今一番聞きたくない言葉。
聞きたくなくてもいつかは聞かされる、でも今だけは聞きたくない、そんな言葉。
「・・・思えば、何とも短い人生だった・・・そして、退屈な人生だった・・・」
「そんなこと・・・言わないでっ!」
「・・・だが少なくとも、君と出逢ってからは違った・・・」
「え?」
「・・・君を初め見たとき、私は全てを奪われた・・・心を・・・全て奪われた・・・
私の心は、君のためにあったと言っても過言ではなかった・・・」
「・・・・・・」
「・・・まあ、君はその後すぐにアイツに心奪われたようだがね・・・」
「え?い、いや、それはその・・・」
「・・・君がまがりなりにも私の妹となった時・・・正直胸が躍ったよ・・・
まさかこんなに近くにいられるようになるとはね・・・」
「・・・何言ってんのよ、さんざん他の女の人と遊んでたのは誰?」
皮肉を込めて女性が突っかかる。男性は苦笑しつつも否定はしない。
「・・・そう言うなよ?まあ、あの後君は結局私に振り向いてくれなかったがね・・・」
「ダメなのよね・・・ワタシって・・・アイツのことは今でも忘れられないもの・・・」
「・・・それでいいじゃないか、少なくとも君がそう思っているのなら、アイツは幸せだろう」
「そう言ってくれれば・・・アイツも喜んでくれるかな?」
「・・・間違いないさ、長年、アイツと一緒にいたのだからそれくらいの事は分かる」
「本当にいい好敵手に会ったわね、アイツも」
女性が笑う。それは二人が言うアイツに向けてのものなのか、それとも死に行く男性に向けてのものなのか・・・
「ふっふっふ・・・・・・・・うおっ・・・!?」
「どうしたの!?」
「どうやら・・・・・・そろそろらしい・・・」
「いやっ!まだよ!お願いだからまだ逝かないで!」
「・・・そう言うなよ・・・形あるものはいつか壊れる・・・世の理だ・・・」
「でもっ・・・でもっ・・・」
「・・・そうだ、君に一つお願いしたい事がある・・・」
「・・・グスッ、グスッ・・・何よ?」
「兄としての、最後の頼みだ・・・また・・・またいつか逢おう・・・!」
「・・・・・・」
沈黙は、肯定を表す。ただ、言葉にできないだけ。
「・・・私もよい妹を持ったものだな・・・そろそろ限界らしい・・・」
「うっ・・・ぐすっ・・・」
「・・・顔を・・・顔を見せてくれないか・・・?」
女性がすだれを開けて男性と面と向かう。
やつれた顔、ただ、どこにも悔いなど無い、いつも通りの優しい顔。
そして男性の体から、生きる覇気―生気―が抜けていく。それはつまり、死を表す。
「じゃあね、また逢いましょう?兄上・・・いえ、西郷殿?」
「ああ、また来世で逢おう・・・我が妹、葛の葉・・・いや、メフィストよ・・・」
「・・・うん・・・!」
「今際の際に言う告白ではないかもしれんが・・・君のことを、愛していたよ・・・
我が妹としても・・・一人の女性として・・・も・・・」
「西郷殿?西郷殿ーーーっ!!」
(高島よ・・・お前もいい女に惚れられたものだな・・・)
妹思いであり、かつ親友思いでもある優しい魂が、天へと還っていった・・・
千年後、彼らは再び出逢う。美神令子として、横島忠夫として、そして・・・西条輝彦として・・・
これも、宇宙の意志の一つの可能性としてのお話。 完
今までの
コメント:
- ども、BOMです。っていうかほとんどの方お久しぶりです。(初めましてか?)
今回はですね、原作で平安京での一コマから生まれた発想です。原作だと西郷が確かに「決着は来世でつけてやる」って言ってますが、それだけでは巡り会わないのでは?と思ったのでもしかしたらこーゆー展開もあったのではないか?という発想から来たのです。
あと読み返して気づいたんだけど・・・全然告白SSになってねえ・・・(ガクリ)企画はずれかも知れないですけど、「ああ、そっか。こんな展開もあったかもな」って思って頂ければ嬉しいです。ではっ! (BOM)
- ウ〜ン、ええ話やなぁ〜
どうも〜ヒロでございます〜いえいえ、久しくなんかないさ!はっはっは・・・なんてちょっとBOMさんのこの間のコメント風に・・・そして作品やコメントを踏まえて『BOMスタイル』と。おお!!偉大な方だ。
いいお話ですね。原作ではここまで語られていませんでしたしね。でも我侭を言うなれば2話ほどかけてもよかったかなぁ?なんて。玩具をせがむ子供みたいに・・・なんて、なんて(汗)
であであ〜これからも頑張って下さいませ〜 (ヒロ)
- いえよかったです(つд`)
葛の葉さんと、西郷さんのやりとりが、ぐっときました(つд`)
しかも平安京の(゚ー^)b☆
実はこのお話だいすきなとこだったんです(つд`)すんごういいですよ〜 (hazuki)
- うう、これはきましたね!涙が溢れます。
死ぬ間際の告白ってのもなかなか・・・。
では、次回作冬探しに期待をしています(笑) (誠)
- 始めは誰かわかりませんでした。
やはり西郷殿の想いが西条と美神さんを巡り合わせたんでしょうね。
それも横島クンより先に。
いいお話でした。 (U. Woodfield)
- 久方ぶりですね!!
西郷が良い男ですね〜♪
なんかメフィストも可愛いし。
次回作まってますね! (gosamaru)
- >ヒロさん
BO、BOMスタイルっ!?どんなスタイルなんだ・・・一体・・・(汗)
ま、それはともかく、>2話ほどかけてもよかったかなぁ
・・・ムリッす。_| ̄|○いや、本当に。2話なんてできるわけねえよ・・・
>hazukiおやびん
お、おやびんからのコメントだぁっ!!
ああ、もう何か嬉し涙がボロボロ出ているです。もう涙で世界がいっぱいです。
しかもだいすきなところだったようで・・・書いて良かった・・・
本当に、コメントありがとうございましたぁ!
>誠さん
死ぬ間際の告白ってのもなかなかいいもんでしょ?(え?悪趣味?)
冬探しとかはもうやりません!ってかネタがないんです!マジムリです!
追伸 タマモ絵描きました?みんな待ってますぜ? (BOM)
- >U. Woodfieldさん
これは最初騙しネタで行くことで書いたのですが、途中で路線変更して告白SSにしたのです。
西郷の思いっていうか、これはもう執念といってもいいかと(笑)
>gosamaruさん
お久しぶりです(笑)
いい男です。でも見方を変えれば悲劇な男なのです。
メフィストが可愛かったようで・・・お気に召して何よりです。 (BOM)
- こんなにも潔い最期を迎えた男が、転生した途端にあんな陰険嫌味星人に……。
時の流れとは残酷なものなのですね(ノД`)←おひ (黒犬)
- >黒犬さん
やっぱり高島への妬みとかがちょっとは残ってたんじゃないすかね?(笑)
それが転生してからあんな風になってしまったと・・・
黒犬さんが仰るように、時って残酷なのですね(爆)コメントありがとうございました。 (BOM)
- 兄妹の関係を生涯貫いたのは、彼の矜持や亡き高島への手向け、そしてメフィストへの愛情故だったのですね。
今際の際のこの遣り取りも、長い時の中で家族としての信頼関係を築き上げてきたからこそ、できたものなのでしょう。
…でも、ここでの葛の葉って独身の様ですし、あまり歳を取ってなさそうですね。
西郷、奥さんに葛の葉との仲を勘繰られたりしなかったのかしら(笑)。
投稿お疲れ様でした。 (dry)
- >dryさん
そういうことです。こんな彼のプライド、書いてみたかったんです。
>葛の葉って独身の様ですし、あまり歳を取ってなさそうですね。
・゚・(ノД`)・゚・ゴメンナサイ、これはミスです。
設定ではすでに結婚しちゃって子どももいるっていう設定だったんすが書くの忘れました(汗)
ゴメンナサイm(_ _)m (BOM)
- 時を越えた義兄妹の恋ですか〜♪ そー考えると、ちょっとだけ西条さんを応援したくなったり(笑)
でも、葛の葉さんへの想いを秘めたまま何十年も、年老いてお亡くなりになるまで傍に居続けた西郷さんの想いって、スゴイと思います。それでも、来世でのメフィストさんの心は、横島君に向いていたんですよね…。なんだか悲しいです(涙)
再来世では想いが実るといいにゃ〜〜なんて、願います♪ (猫姫)
- >猫姫さま
時を越える想い…良い響きだなあ…(しみじみ)
想いって、偉大ですよね。もうこれに勝てるものなんてないなっていう感じがして…あ、涙が…
再来世でこの想い、伝わると良いですなぁ…
(BOM)
- コメントし損ね探しで、今頃書いてみます(ぉ
振り向いてもらえないまま想い続ける男の人生、その最後がメフィストの流した涙で報いられる、そんな静謐さを感じる場面でした。
こんな前世の結末を思うと、現代でこの二人が結ばれても良いかもなと思いました。でも・・・西条も女たらしだしなあ・・・ (フル・サークル)
- >フル・サークルさん
今でもコメントいただけるとは、嬉しく思いますw
静謐さ・・・確かにその言葉も当てはまりますね。ハートフルじゃなくてシリアス調でもあったからでしょうかw
現世で結ばれたとしても・・・あの西条じゃ修羅場になるのは必至かと(笑)
コメントどうもでした!m(_ _)m (BOM)
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