ザ・グレート・展開予測ショー

首謀者が消えた後で(その3)


投稿者名:ウェスペル
投稿日時:(03/12/ 4)

 研究所へ向け崖と森に挟まれた山道を行く車の中
マリアをGメンの最高級装備で改造するDrカオスや
支給された幕の内弁当を「タンパク質ー!!」とか言いながらがっついている横島、タイガーや、何故かタマモにすすめられてきつねうどんを食べているシロや
「きつねうどん日記」なるものに先ほど食べたきつねうどんの評価を事細かに書き込んでいるタマモ以外は今回のことについて話し合っていた。

「ところで先生、今回の件は故意によるものだと思いますか?」

「そうだね、おそらく偶然によるものだろう。」 弟子の問いに唐巣が答える。

「ほへは、ほへはひほほひひはふはへほはははは。」

 幕の内弁当をめいっぱい頬張りながら雪之丞が口を挟む。

「あんたねぇ・・・食べるのか話すのかどっちかにしなさいよ。」

 その令子の言葉の後、雪之丞は黙々と幕の内弁当を食べていた。

「もしかして〜〜お引越しの時忘れてっちゃったんじゃないかしら〜〜〜。」

「オタクじゃあるまいし・・・
 むしろ処分に困って置いていったって考えたほうがいいワケ。」

「でも、何で今更・・・?
 !まさか今まで心霊兵器の開発が続いてたんじゃ・・!?」
 
 車を運転しながら美知恵が言う。

「ま、どちらにせよ事故って線が有力ね。 自分を襲わせるとは思えないし・・。」

 令子がそう言ったときだった。

<キキイィィッ>  突然車にブレーキがかかる。

「どうしたのママ!?研究所は頂上あたりのはずでしょ!」 令子が言う。

「・・20m程先の道が崩れててこれ以上は進めなくなっているわ。」

 美知恵が緊張した面持ちで言う。

「なんですって!?」 令子が車を飛び出す。

 確かに道の大半が崩れていて車ではとても進めそうにない。
ところどころから立ち昇る霊気を帯びた煙からそれがつい先ほど、
霊波砲により崩されたことがわかる。

「なにかわかりましたか美神さん!」

 横島がピート、雪之丞とともに車から降りて来る。

「気をつけて!これは魔族の仕業・・それもついさっきのものよ!!」

 美神がそう言った時だった。


 突然、森の茂みから横島へ向け霊波砲が放たれる。

「うわぁぁ!?」

 横島はサイキックソーサーを展開するが油断していたため防ぎきれそうにない。

「ボケッとしてんじゃねぇ!!」

 変わりに魔装術を纏った雪之丞がそれを跳ね返す。
跳ね返された霊波砲により木々が吹き飛ぶ。

『チッ、邪魔が入ったか。』

 吹き飛ばされた木々の跡から少年の姿をした魔族が現れる。

「デミアン!? お前は確か美神さんに倒されたはずじゃ・・!?」

『貴様から受けた屈辱を晴らすため地獄から舞い戻って着てやったぞ、ボンクラめ。』

 デミアンが忌々しげに横島をにらみつける。

「フッ、何を言ってるのかしら?
すでに弱点がわかってるあんたなんて敵じゃないわ。
今ならまだ命だけは勘弁してあげるから知っていることを洗いざらい吐きなさい。」

『・・・確かに弱点がばれている以上まともにやっても勝ち目は薄い。
だが、これならどうだ?』

<パチンッ> デミアンが指を鳴らす。


<ヴゥゥゥン> 直後、あたりの木々から無数の小さな虫が現れる。

『フハハハハ!勝ち目がねぇのはてめぇらだ、俺様がいるからにはな!!』

「ベルゼブルまで出てきやがった!」

『ククク・・・私の本体はこいつの本体に持たせておいた。』

「「「「え・・・」」」」

『・・お前たちがこいつの本体を見つけるのと、
私達がお前たちをバラバラするの、どちらが早いかな?』

『説明は以上だ。いくぞっ!!』そう言った瞬間デミアンの姿が醜い化け物に変形した。





『横島ぁぁぁぁ!!今度はこのベルゼブル様がてめぇのどてっ腹に風穴開けてやるぜぇ!!』

 横島に襲い掛かろうとするベルゼブルの一団が一斉に叫ぶ。

「ヒィィィィ!!何で俺ばっかり恨まれるんですかぁぁぁぁ!!?」

 涙と鼻水を噴出しながらも横島は栄光の手を剣にして応戦する。

「横島クン、ピート!私と雪之丞はベルゼブルの本体を探すから
その間デミアンを頼むわ!!」

「頼むって・・・また面倒はオレ任せっスか!?」

「そんなこと言ってないでとりあえず時間を稼ぎましょう!!」

 ピートは横島に言いながらも霊波砲を放ちデミアンをけん制する。

『フハハハハ・・・その程度の攻撃では目くらましにもならんぞ!!』

 霊波で体が削られるのにも構わずデミアンが横島とピートに迫る。

「んじゃ、これでもくらいな!!」

<ドォォォン> その迫り来るデミアンを横島は『爆』の文殊で吹き飛ばした。






 令子たちがデミアンと対峙していたころ
ベルゼブルの大群に囲まれ美智恵たちはバスから出られなくなっていた。

『ケケケ・・てめぇらをとっととぶっ殺してオレたちも横島を切り刻むぜぇ!!』

 ベルゼブルたちの一部がガラスを突き破りバスに侵入する。

「くっ・・みんなバスの中心に固まって!!エミさん、唐巣神父、吸魔式の結界をはって!!」 美智恵が叫ぶ。

「「わかった(ワケ)!!」」

 2人は全員がバスの中心に固まったのを見て神と魔の二重の吸魔結界をはる。

 ちなみに吸魔結界とは中にいる魔族の霊力と体力を少しずつ奪う結界である。
が、奪う霊力があまりにも少ない上、他の結界と違い常に術者が霊力を送らなければならないため長時間はっていることができない。それでも、存在するのに必要な
最低限の霊力と体力しか持たないベルゼブルのクローンには有効である。

「冥子さん、カオスさん、マリア、シロちゃん、タマモちゃん敵を攻撃して!!」

「わかったわ(でござる)!!」

 タマモとシロはそれぞれ狐火と霊波刀で

「わかったわ〜〜〜〜」

 冥子は対ベルゼブルに適したバサラ、ハイラ、アジラ、サンチラを結界の外に出して迎撃させる。

「だめじゃ、マリアはまだ改造中で動けん!!」

「まずいわね・・・おキヌちゃん、タイガークン、この『魔族コロリ』を使って!!」

 美智恵がこの状況では能力を生かせそうもない2人にスプレーを渡す。

「わかりました!・・・え、えいっ!!」

<ぷしゅー>

『ぐががが!!!』 スプレーをあびたベルゼブルがよろめきながら落ちる。

『ムダだぁ!!このまま皆殺しにしてやるぜぇ!!』

 それを気にもとめず無数のベルゼブルは一斉に叫んだ。






『それで終わりか?』 爆炎の中からあざ笑うかのようかのようなデミアンの声がする。

「ふっ飛ばしても即再生かよ・・。」 横島がたいして驚きもせず言う。

『復活した際に強化処理されたんだ。そのくらい当然だ。』

「強化処理・・・やはり貴様誰かにつくられたのか!?」ピートが半ば確認のため言う。

『・・・今から死ぬおまえたちには関係のないことだ!!』

 言うが早いか、デミアンの身体から無数の触手が横島とピートを貫こうと伸びる。

「うわぁぁ、来るなぁぁ!?」

 そのうちの十数本が5本の鞭状となった横島の栄光の手により切り落とされる。
が、残りの数十本が横島を貫く・・・・いや、無抵抗にすり抜ける、霧と化した横島を

『ちっ、下等なバンパイアハーフごときが・・・!!』

「大丈夫ですか、横島さん!?」

 デミアンの攻撃範囲の外でピートがバンパイアミストを解く。

「ああ、お陰で・・・」 霧状態が解けた横島がピートに礼を言おうとする。

 しかし、

『へっ、すきだらけだぜ!!』

 それはバンパイアミストが解けた直後の無防備な2人を狙って突撃したベルゼブル達に遮られた。

「「ぐあぁ!!」」防御できなかった2人の切り裂かれた皮膚から血が流れ出す。
 致命傷ではないがほっといていい怪我ではない


 普通は、

「くっ・・・すいません横島さん。僕のせいで・・・」

 バンパイアハーフの生命力で起き上がりながら、ピートがベルゼブルに霊波を放つ。

「へっ、だてに毎日美神さんにシバかれて血流してねぇからこんぐらい大丈夫だ!!」

 横島もすんごい理由をつけて起き上がる。

「横島くん、ピート大丈夫!?」「横島、ピート大丈夫か!?」

ちょうどそのときベルゼブルを蹴散らしながら令子と雪之丞がやって来る。

「なんとか・・・でも、早く本体を見つけないと時間の問題ですね。」 ピートが言う。

「私と雪之丞でざっと探してみたけどぜんぜん見つからないわ! 何か手はないの!?」

「無理です。それに見つけただけじゃすぐクローンにまぎれてしまいますよ。」 横島が言う。

『!美神令子・・・ちょうどいい、まとめて殺してやる! くらえ!!』

 横島達を追って来たデミアンの水晶状の部分から先ほどの倍は強力な霊波砲が放たれる。

「チッ、バカの一つ覚えの霊波砲か!!」 雪之丞がそれを弾き返そうと霊力を防御にまわす。
 直後、今まで全員に行われていたベルゼブルの攻撃が雪之丞に集中する。

「クソッ!邪魔すんじゃねぇ!!」 その迎撃のために雪之丞は霊波砲を放つ。

『バカが、くらいな!!』 無数のベルゼブルが死に際にそう叫ぶ。

「!?」 ベルゼブルのために霊力を集中し損なった雪之丞の目の前にデミアンの霊波砲が迫る。

「しまっ・・・<ドゴォォォン>
 
言い切るまもなく雪之丞は爆発に巻き込まれた。




<ぷ・・す・・>

「た、隊長――スプレーが切れちゃいましたーーー!!」「こっちもジャー!!」

「わかったわ、2人は結界の中央で待機してて!
 エミさん、唐巣神父結界はあとどのくらいもちそう!?」 美知恵がやや焦り気味に言う。

「あとよくて15分悪ければ10分ももたないワケ!!」

『ククク・・10分もいらねぇぜ!今すぐにでもデミアン達が外のやつらを片付けて・・・
「ふざけるな!!」

 その嘲笑うベルゼブルの内の数十匹をシロの霊波刀の一太刀が両断する。

「おまえらのように本体を隠しコソコソ逃げ回るような卑怯者に
 横島先生達が負けるはずなかろう!!」シロが真顔で言う。


 シロちゃん、横島さんって結構逃げ隠れしているような・・・

とはとても言えずただ冷や汗を流すおキヌであった。

『ケッ、背中がら空きで何ほざいてやがる!!』

 シロが前方に構えをとっている隙に他のベルゼブルが背後から襲い掛かる。

<ボッ>が、それらは一瞬にして青い炎に包まれる。

「たくっ・・・こいつらいったい何匹いるのよ。」 それを出した主―――タマモがぼやく。

『オレの本体がいる限り無限に分裂するぜぇ!!』

際限なく増殖していくベルゼブル達が一斉に叫んだ。



「ぐ・・・ベルゼブルで俺の気を散らすとは考えたな・・・。」 爆煙の中から雪之丞が現れる。

 無事・・・とはいかず魔装術のほぼ全体にひびが入り、所々欠けている。

『フンろくに集中できていない霊力でよくやる・・・やはり貴様らの生命力はゴキブリ以上だ。』

集中・・・


「そうだ! なんでこんな簡単なことに気づかなかったんだ!!」

デミアンがそう言ってから少し間をおいて突然横島が言う。

「よ、横島クン・・・?」 突然の横島の言葉に令子はポカンとする。

『ハハハハハ・・・!今更自分のしぶとさに気づいたか!!』

デミアンの侮辱混じりの笑いがあたりに響き渡る。


 だが、

「ちげーよ。やっとお前らを倒す方法がわかったんだよ。」

 デミアンの予想に反し横島の反応は自信に満ちたものであった。
その右手には1つの文殊が輝いていた。

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