新・ふたりくらし(2)
投稿者名:土也紫緒
投稿日時:(03/12/ 3)
注)前回、『反世界』と書きましたが、『平行世界』に訂正させてもらいます。
「平行世界…?」
聞き慣れない言葉に、横島はいぶかしげな表情を浮かべた。
「ようするに、どこかが違う別の世界よ。 ここと私の世界は、男女の性別が逆転しているみたいね」
どこか冷静に答える、女横島…忠美。
「とにかく…こういうワケが分からない事は、美神さんに相談だな」
無理矢理、結論づける横島だった。
「でも……」
「なんだよ?」
「この格好で、外に出るのはちょっと……」
忠美は今、パジャマ一丁である。
「あ…あの、私が服を貸してあげましょうか?」
おずおずと、小鳩が申し出た。
「ありがと〜、鳩也く…じゃない。え〜と、なんて名前だっけ?」
「小鳩です…」
「小鳩ちゃん、ありがと。 この世界でも優しいのね」
「そ…そんな〜〜(百合子お母様にそっくり…)」
なぜだか、顔を赤らめる小鳩だった。
早速、小鳩が持ってきた服に着替えようとする忠美だったが。
「…悪いけど、みんな30分くらい席を外してくれない?」
「ささ、横島さん。外で待ちましょう」
「俺の家なのに……」
小鳩に引っ張られて、横島は部屋の外に連れ出された。
「先生〜〜(パタパタ)」
その目の前では、妙にご機嫌そうなシロがシッポを振っている。
「な…なんだよ」
嫌な予感がした。
「着替えが終わるまで、近所を散歩するでござる〜〜!!」
素早く横島の右手に紐を巻き付け、そのまま全力疾走で引っ張っていく。
「わっ、わわ〜〜!」
砂煙を上げながら、横島とシロは道の彼方へ消えていった。
「え…え〜と」
その様子を、唖然と見送る小鳩だった。
「そろそろ、朝ご飯つくらなきゃ…お母さんと貧ちゃん、おなか空かせてる
わね」
そそくさと、部屋に戻って行った。
……30分後。
アパートのドアの前に帰り着いた二人。
「まだまだ、走り足りないでござる〜〜」
「うるせえっ、このバカ犬! いい加減にしないと、マジで保健所でガス室送りにするぞ!!」
寝間着のまま引きずられて、横島の背中と尻はヒリヒリだった。
「うう…スマンでござる〜」
「お前の『スマン』は聞き飽きたわ!」
と…その時。
「おまたせ〜〜、もう入っていいわよ」
ドアが開いて、部屋に上がる二人。
そこには……
「なああっっ!!」
横島の驚きの声が響き渡った。
忠美の服は、横島が通っている高校の女子制服だった。
貧乏神から解放されたとはいえ…小鳩の私服はドテラやモンペが主流であり。
人に貸せるのは、セーラー服位であった。
「うふっ…この服、私の学校のとデザインが一緒なのね」
得意げに、セーラー服姿を見せつける忠美。
はっきり言って似合っている、スタイルも出るところが出て、引っ込むところは見事なくらい引き締まっている。エース級のカワイコちゃん(死語)だ。
だが、横島が驚いたのは、そればかりではなかったのだ。
部屋が……さっきまでゴミとエロ本に覆われて『夢の島』状態だったのが。
すっかり片づけられ、布団も畳まれ、部屋の隅にはパンパンに膨らんだゴミ袋が置かれている。
「あ…ああああ」
口をパクパクさせる横島だった。
「ついでだから、掃除させてもらったわよ」
忠美は、さらりと言いのける。
「お…俺のエロ本は〜〜!!」
「捨てたわよ、あんなゴミ」
「ぬうぁんだとぉ〜〜!」
怒りの余り、横島のこめがみに膨らんだ血管から、プシューっと血が吹き出した。
「お…俺の……血と汗と労働の結晶がぁぁぁ」
只でさえ給料が安い癖に、一冊千円前後はするエロ本を買いあさる横島。
生活が苦しいのは、こういう所にも原因があるのかもしれない。
「せっ先生、落ち着くでござる!」
倒れそうになる横島を、シロが素早く支える。
その時
「あの〜、お着替えは終わりましたか?」
小鳩が様子を見にやってきた。
その横には、元貧乏神の貧ちゃんが浮いている。
「ほおお〜、横島の女版って聞いて、どんなブスかと思たけど…えらい別嬪さんやんけ」
貧ちゃんは感心しながら、忠美を見ていた。
「貧ちゃ〜〜ん、この世界でもカワイイね〜〜(はぁと)」
「姉ちゃん口がうまいな〜、お世辞ゆうてもな〜んも出んで」
そんな忠美に、小鳩は控えめに話しかける。
「あの…忠美さん、その服はサイズが合いましたか?」
「うん!バッチリ……でも、ちょっと胸が窮屈かな?」
その言葉を聞いて…小鳩はちょっとショックだった。
家は貧しくとも、胸が人一倍豊かなのが密かな自慢だったのに……
「さあ、美神さんの事務所に行きましょ!」
元気いっぱいな忠美……だが。
横島は精神的ショックから立ち直っておらず、シロはそれにかかりっきり。
小鳩はなんか俯いて、顔に斜線が掛かっていた。
そんな様子を見ながら、貧ちゃんが呟いた。
「みんな、えろう難儀やなあ……」
次回に続く。
あとがき
と…いうわけで、次回は美神さんとおキヌちゃんとタマモの登場です。
貧ちゃんの大阪弁がいい加減でスミマセン。(作者は九州男児)
それでは、読んでいただいてありがとうございます。
今までの
コメント:
- しまった〜〜タイトルを間違えた!
正確には「新・ふたりぐらし」です。スミマセン… (土也紫緒)
- 内容は、まだ物語が進んでいないのでまた保留にさせていただきます。ただ、シロがいきなり紐をくくりつけて走り出すというのは違和感を感じました。そこまでしないのでは?
それと、老婆心ながら苦言を申し上げます。
まず、半角カナは使わないように願います。機種によって見えなくなるようなことがあるようですので。
次に長さですが、fukazawaさまのご好意により、現在の一回の話に対する用量は、明確なところはわかっていませんが16〜18kbとされています。
今の容量では、一話と二話合わせても約8kb、つまり半分程度でしかありません。ぎりぎりまで書けとはいいませんが、せめて以前の容量、一話あたりで8kb前後は書くように願います。
この点についての詳しいことはマリアのアンテナを見てください。 (灯)
- 今回は中立とさせていただきます。
非常に興味を引かれる設定で面白いとは思うのですが、前回と今回でほとんどお話が動いていないと言うことと、二日間連続投稿が出来る速度で書き上げることが出来るほど、お話が決まっているのだからもう少し量が欲しいと言う読者の我が儘があります。
流れの速い版ですから毎日少量でもという思いもわかるのですが、読む方としてはもう少し身が欲しいのです(^^
細かい設定自体は今後の話しの展開で出てくるでしょうから楽しみにしていますが、今回解ったこと・・・向こうでは小鳩が男の子であると言うことと・・貧ちゃんは向こうでも男の子っぽいっていうことかな〜〜
こういうヒントの出し方は好きです(^^
(黒川)
- どうも〜ヒロでございます〜
話的には面白いと思いますね〜なので賛成。
でも少し短いですね、やっぱり(汗)ちょっと苦言に聞こえてしまうかもしれませんが、連載ならば長さというのも評価を入れるに際して重要な要素だと僕は考えていますので・・・ね?
あと忠美の性格が忠夫と全然違いますね〜(笑)この二人、ほんとにどーなっちゃうんでしょ?
でぁでぁ〜これからも頑張って下さいませ〜
(ヒロ)
- 胸が窮屈・・・。小鳩ちゃんが負けるとは!そんなバカな・・・。
次回はタマモ!タマモがでるんですね!タマモの登場を待っています!
他の人の作品やコメントを見ると書き方とかが分かりますよ。
では、次回のタマモを待っております! (誠)
- 皆さんご指摘の長さは、まあごもっともかな。
何らかの理由があってふたつに分けたのであれば(例えば続きを引っぱるため)、
作品を作る上で必要なことだと思うので、そっちを優先していただいて構わないと思うのですが、
今回の場合は2回分をくっつけて1回で投稿しても展開的に支障はないと思うんです。
が、それはそれ、形の上でのことであり、展開の評価とは別の次元の話ですので、
素直に賛成です。面白いですよ。美神さんやおキヌちゃんがどんな反応を示すのか楽しみです。 (U. Woodfield)
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