ザ・グレート・展開予測ショー

傷ばかりの天使!!(その25)


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/12/ 3)

ダッ!
同時に駆け出した2人は、一気に間合いを詰めた。
ガキッ!キンッ!
金属音が辺りに響く。
ギルファが霊気の爪で攻撃しても、西条がジャスティスの刀身で防ぎ、
西条が剣を振り下ろすと、ギルファが爪で受け止める。
一進一退の攻防戦である。
バッ!
後ろへジャンプして、間合いを作る西条とギルファ。
「ほぉ・・・・・。少しはやれるようになったみたいだな。」
「お前の教えられた通りにやっているだけさ!」
西条は再び間合いを詰め、剣を振るう。
ヒュッ!キンッ!キンッ!ヒュッ!
避けたり防いだりしながら、ギルファは後ろへ下がって行く。
ヒュッ!
西条が剣を振るう。
後ろにジャンプして、それを避けたギルファは間合いを作った。
「学習能力はあるみたいだな。」
「いろんな場合を想定しながら戦わないと、命が幾つあっても足りないからな。」
「なるほど・・・・・。」
ギルファは、地面に落ちていた一輪のバラを拾う。
そして、それを振るう。
ヒュッ!
空を切る音が西条の耳に聞こえた時、ギルファはバラを持っていなかった。
そのかわり、バラのように紅い長剣を持っていた。
「魔剣ローズマリー・・・。魔界でもっとも美しい剣だ。」
ギルファはそう言った。
「感謝したまえ、このローズマリーの餌食となる人間は、君が初めてだ。」
ギルファはゆっくりと構える。
「さて、始めるとするか。」
西条も構える。
ツゥ・・・
西条の頬を、一筋の汗が滑り落ちていく。
「さて・・・・、いくぞ!!」






ガキンッ!キンッ!
「くっ!」
防戦一方の西条。
ギルファの剣さばきに、西条は翻弄されていた。
(強すぎる・・・・・!)
イギリスに留学した時に、西条は剣術を学んだ。
その剣の腕は、世界で一番と言ってもいいかもしれない。
しかし、ギルファの動きには隙がない。
しかも攻撃する暇も与えないほど、激しく攻撃してくる。
「どうした?攻撃しないのか?」
「くそっ!」
ヒュッ!
バキッ!
「グハッ!」
ギルファに蹴りを入れられ、その場に膝をつく西条。
「剣ばかりに気をとらわれていると、こうなる。」
「ぐぅ・・・・!」
腹を手で押さえながら、西条は立ち上がる。
「さすがだな。痛みに耐えて立ち上がったか。」
ギルファはニヤリと笑う。
「しかし、今ので骨が数本折れたようだな。」
「ちっ・・・・・。」
ギルファの言ったとおり、西条の肋骨は、数本が折れており、
少しでも動くと、体中に激痛が走った。
「ま、まだ勝負はついていない・・・・・。」
痛みを堪えながら、西条は剣を握る。
「やめておけ、すでに勝負は目に見えている。」
「目に見えていても、僕はお前を倒さないといけないんだ・・・・。」
剣を構える西条。
「愚かな・・・・・。」
ギルファは呟いた。






「くっ・・・・!」
ヒュッ、ヒュッ
剣を振るう西条。
しかし、激痛のせいで思うように力を出せない。
「遅すぎる。」
ザシュッ!
「ぐぁっ!!」
ギルファの剣は、西条の胸を斬り裂く。
胸に出来た傷口から血がダクダクと溢れ出てくる。
「ま、まだだ・・・・・。」
「フンッ。」
ヒュッ!ヒュッ!
ギルファが剣を振るう。
ザシュッ!ザシュッ!
「ぐぅっ!」
その度に、西条の体に傷が出来ていく。
顔、胸、腹、右腕、左腕、右足、左足。
体のいたるところから、血が流れ出ていた。
「ぐぅ・・・・・。」
必死に痛みを耐える西条。
「・・・・・・。」
「どうした・・・・・。まだ僕は倒れていないぞ・・・・。」
「まだ戦おうというのか・・・・。」


("女性のためなら、命を捨ててまでも戦う"人ですから。)


(・・・・・・・だが、あの方には勝てないだろう。)
ギルファは心の中で思った。
(この男には素質がある。しかし、それをまだ開花していない・・・・。)
ギルファは西条の目を見る。
その目は、まだ勝負を捨てていなかった。
(この男、私との戦いで、アリス王女を守る騎士(ナイト)になることは出来ないか・・・・。)
「なら・・・・・。」
ヒュッ!
ザシュッ!
「ぐあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
ギルファに斬られ、その場に倒れる西条。
(急所は外した。あとは部下がやってくれるだろう・・・・。)
ギルファは、庭園から出るため、歩き出した。






「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「!?」
ギルファの耳に、西条の叫び声が聞こえた。
後ろを振り向くギルファ。
「な!?」
驚愕するギルファ。
すでに立ち上がることも出来ないはずの西条が、物凄い速さでこちらに向かってくる。
西条は、剣を水平に構え、狙いをギルファの胸に合わせる。
「ぬおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「!!」
ギルファは瞬時に剣を構える。
そして・・・・、
ザシュッ!
「がはっ・・・・・。」
西条の霊剣ジャスティスが、ギルファの胸を貫いた。
ズルッ・・・
ギルファの胸から、突き刺したジャスティスを抜く西条。
そして、ギルファは仰向けに倒れた。
「・・・・・・・・何をしている。早く止めを刺せ・・・・。」
ギルファは西条に向って言った。
西条は、ギルファの目を見て、言った。





「何故、僕を殺さなかった?」


続く

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