ザ・グレート・展開予測ショー

最狂の魔神(出会い)


投稿者名:誠
投稿日時:(03/11/29)




横島とルシオラは森で向かい合っていた。横島はいつになく真剣な顔でルシオラを見つめている。
何かを決意したような眼差しで横島は口を開く。

「アシュタロスは、おれが倒す!」

横島はルシオラの肩をつかみ、叫んだ。




ルシオラは横島の後姿が見えなくなるまで見送ると自分達のアジトへと向かって飛んで帰った。その顔には笑みが浮かび、横島への彼女の想いの深さが見て取れた。


━━━ ガチャッ ━━━

ルシオラは静かにドアを開け、中に入る。しかし・・・。

「どこへ行っておったんじゃこんな時間に!」

ルシオラの上司、ドグラがルシオラに声を掛ける。

(やばい!見つかった・・・。)

ベスパにも見つかったが多分報告はしないでおいてくれるだろう。だが、ドグラは確実にアシュタロスに報告するだろう・・・。そうなったらルシオラは確実に処分されてしまう。
ルシオラの背中を冷たい汗が流れる。

「まあそんなことはどうでもいい!」

ルシオラはドグラの言葉に驚いた。

「大変なことが起きたのだ。おまえも手伝え!実は・・・・・。」

ルシオラはドグラの言葉を聞いて絶句する。

(まさか・・・そんな。横島!)

ルシオラは不安そうにさっきまで自分がいた森の方向を見た。





「ハア、ハア、ハア、ハア。」

横島は走っていた。なぜかは自分にも分からない。しかし彼の第六感が『逃げろ』とうるさいくらいに叫んでいる。

「なんなんだ?このいやな感じは・・・。」

横島はそうつぶやいて走り続ける・・・が。
目の前の草むらを飛び越えた時横島の顔が驚愕で染まった。
断崖絶壁とはこういう所の事を言うのだろう。目の前の崖は深く、下を流れる川の水流もすさまじかった。

「なんてこった・・・。」

横島はつぶやく。なぜかは分からないが今自分は逃げないといけないのだ。
美神さんのお仕置きの時もこんな恐ろしい感じはしなかった。

その時横島の後ろで何者かの気配がした。横島はその気配を感じたがなぜか振り向けずにいる。その者が放つ強力なプレッシャーがそうさせるのだろう。
冷や汗が止まらない・・・。

「鬼ごっこは終わりかい?」

横島の耳に男の声が聞こえた。どこかで聞いたことがあるような声・・・。

「そんなに怯えさせるつもりはないんだが・・・。大丈夫だ今は君には手を出さない。こちらを向いてくれ。」

横島は男の言葉に従い男の方を向き、顔を見る。

「お、おまえは・・・誰だ?」

横島は恐怖を振り払い男に尋ねる。

「おや?平安時代に会ったはずだが・・・。そうか、わからないか。悲しいな・・・。」

その時、男の顔を見つめていた横島の額から血が出た。

「ほう、体は・・・いや魂は覚えているようだな・・・。では教えてやろう!我が名はアシュタロス!」
「お、おまえが・・・アシュタロス・・・?」
「そうだ、わたしがアシュタロスだ。」
「・・・おれをどうするつもりだ?」

横島はいきなりのアシュタロスとの遭遇に驚いているがそれを顔に出さずに逃げる機会が来るのを待つ。

「おまえをどうするかだと?きまっている・・・」

横島はアシュタロスの最後の方の言葉を聞くと真っ白になり谷底へと落ちていった・・・。

「チッ・・・まあいい。そのうち・・・。」

アシュタロスはニヤリと笑い、その場を立ち去った。





「まったく・・・なんでちゃんと報告しなかったんだ?奴等を捕らえる絶好のチャンスだったんだぞ!」

西条が横島に詰問している。

「しかたがなかったんだよ!逆天号の中に通信鬼を置きっぱなしだったんだから・・・。」
「ふんっ、君の事だから敵の幹部といい仲になっていたりしてな。」

西条の言葉を聞いて横島は青くなる・・・。

「な、なんでおれが・・・。」

はっきりいって説得力がない。西条が不審に思いさらに横島を問い詰めようとするが・・・

「横島君!」
「「横島さん!」」

ドアが物凄い勢いで開き、三人の女性が入ってきた。令子、おキヌ、ヒャクメだ。

「ただいま。」

そう言って軽く微笑む横島の顔に三人ともドキッとする・・・。

「あ、あんた本当に横島君?」
「なんか雰囲気が・・・。」
「どこからどう見ても横島さんなのね〜・・・。」

三人の不思議そうな顔を見た横島は苦笑して頭をかく。

「いやぁいろいろ苦労しましたから・・・最後なんて特に・・・。」

横島の最後のつぶやきは誰にも聞こえなかった。
横島は令子の体についているたくさんの傷を見て口を開いた。

「美神さんそうとうきつい訓練やってるみたいですね・・・。おれにもその修行やらせてもらえないでしょうか。おれも自分の意志で、あの変態魔神を倒したいんです!」

びみょ〜な空気が室内を流れている・・・。真っ先に口を開いたのは西条だった・・・三分経ってからだったが。

「よ、横島君?今君は変態魔神とか言わなかったかい?」
「ああ!言ったぞ!」

その時、激しい音をたてて窓が割れ、何かが飛び込んできた。

「ヨコシマ!」
「ル、ルシオラ?」

見詰め合う二人・・・とはならなかった。

「どういう事なのよ!横島君!そいつは敵の幹部じゃない!」

激しく横島を怒鳴る令子。西条、おキヌ、ヒャクメは何がなんだか分からないといった表情だ。

「いや、美神さん。こいつは、ルシオラは・・・。」

しかし、横島は黙らざるを得なくなった。そこに新たな乱入者が現れたからだ・・・。

「アシュ・・・タロス・・・。」

令子がつぶやいた。ヒャクメ、西条、おキヌは結晶を持つ令子を守ろうと令子を囲む。・・・だが。

「アシュ様・・・ヨコシマは、やらせないわ・・・。」

ルシオラの言葉が皆に衝撃を与える。

「な、なに?アシュタロスの狙いは・・・横島君なの・・・?」
「そ、そんな・・・今まで令子ちゃんが襲われていたのに・・・。」

呆然とする令子と西条、アシュタロスはそんな二人を見て笑った。

「平安時代・・・おまえ等に出会った時にわたしの計画は大きく変わったのだよ・・・。」

そう言ってアシュタロスは横島の方を見た。

「あの時、わたしは・・・横島忠夫!おまえが欲しくてたまらなくなったのだ!」

部屋の時間が止まってしまったかのような気がする・・・。アシュタロスの鼻息だけが響いている。
数人の頭の中に横島は物の怪に好かれやすいという事実が浮かび上がる・・・。

「ヨ、ヨコシマは・・・犯らせないわ!」

ルシオラは多少冷や汗を流しながらアシュタロスに言い放つ。
隣では横島が男は嫌だ・・・男は・・・。とつぶやき続けている。

「フハハハハハーーーー!!!」

突然アシュタロスは笑い出した。

「ルシオラ、おまえも横島の事が好きなのだな?よかろう!ライバルがいた方が恋愛は楽しい物だ!ルシオラよどちらが横島にふさわしいか・・・勝負だ!」

「の、望む所よ!どうせ一年間の命・・・必ず横島と・・・イチャイチャ新婚生活を!」

ルシオラの目に炎が見える。この親にしてこの子有り?なのだろうか・・・。
しかし、アシュタロスはルシオラの言葉を聞いて首をかしげる。

「一年?・・・なんだそれは?」
「えっ?ドグラ様がわたし達の寿命は一年だって・・・それにアシュ様に逆らったら・・・ってあれ?逆らってるのになんともない・・・。」

ルシオラは自分の体を点検するが全く異常はない・・・。

「ドグラがそんな事を?ああ、多分おまえ等が裏切らないように保険かけたんだろ。」

アシュタロスの説明を聞いてルシオラはドグラを半殺しにする事を心に決める。

「さて、おしゃべりはここまでだ・・・ってどこに行った忠夫〜〜〜!!」

アシュタロスが激しく叫びだした。そう、今までいた場所に横島はいなかった。

「くっくっく・・・。わたしから逃げられると思うなよ!忠夫〜。必ずおまえを捕まえてわたしの妃に・・・。」
「あっ!待ちなさい!この変態魔神!わたしの寿命の問題がなくなった今わたしと横島の愛を妨げる物など何も無いのよ!待ってて横島。早く二人でラブラブ新婚生活をはじめるのよ!」

そう言ってアシュタロスとルシオラは部屋を飛び出して行った。

後に残された四人は皆今の一連の出来事を思い返し、真っ白になっていた・・・。




その頃の横島。


「逃げてやる・・・。ルシオラだったらいい!しかし、あの変態に見つかったら・・・。うっ、考えただけでも嫌だ・・・(汗)。」

しかし無常にもそんな彼に魔の手が・・・。

「み〜つけた♪ダメじゃないか忠夫〜わたしを置いて行ったりして・・・。今夜は寝かせないからな♪」

「イーーーヤーーーーーーダーーーーーーーーー!!!」

横島の叫び声が響き渡る・・・。彼の不幸はまだ始まったばかりだ・・・。






今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa