ザ・グレート・展開予測ショー

After Carnival♪……?


投稿者名:ライス
投稿日時:(03/11/25)








 ―――オレが気付いた時、窓から朝日が昇っていた。




「………アレ。ここは………?」



 眠気眼を擦りながら、オレは上半身を起き上がらせる。
 少なくともオレの部屋じゃなかった。
 寝ていた所はやけに広いベッドだし、窓の外は都心のビルが立ち並んでいる。
 どうも何処かのホテルのようだ。


「………まぁ、いいか。とりあえず顔洗いに………、エェ!?」


 まず自分の風貌に驚く。
 ほとんど何も着ていない。言うなれば、パンツ一丁ってヤツだ。
 で、着ていた服はと言うと、床に脱ぎ散らされている。


「なんなんだ………?」


 戸惑ったが、それはあるものを見つけた事でさらにオレを困惑させた。
 そのある物はというと……、


「コ、コレは………、パパパパパ、パンティ!?」


 どど、どういうことだ!?なんで、こんな物があるんだって言うんだ!?
 いや、よく見ると、オレの服とは別に女物の服が散らばってるし、
 オマケに、ぶらじゃあまであるやないか!?
 いや待てよ?てことは……、


「ウゥン……。」


 ベッドの方から声が聞こえる。
 振り向いたら、モゾモゾとなんか動いてる………。
 えぇと、誰………だろ。


「ア〜ァ………!あ、オハヨ、ヨコシマ!!」


 ルシオラだぁ〜〜!?
 しかも、真っ裸!!!!?
 え、つまり………、いや、そんな………、えぇと………。
 ヨ、ヨシ、とと、とりあえず聞いてみよう!!


「ぁと、えぇと、ル、ルシオラ?」

「なぁに?ヨコシマ。」

「イ、イヤ、お、お前は………、な、な、なん………」

「なんでこんな所にいるかって?」

「イ、イヤ、なななんというか、その………」

「………昨日は良かったわ♪
 ヨコシマったら、あんなに強引だったからビックリしちゃったけど。」


 ダァァ〜〜!?
 オレ、一線を踏み切っちゃったわけ?
 全っ然、記憶ねぇぇぇぇぇぇ!?
 いや、待って、待ってくれ!?
 ていうことは、ルシオラは………?


「ルシオラ、お、お前、大丈夫なのか………?」

「? 何が?」

「何がって………、ウワァ!?」


 ルシオラは立ち上がって、近付いてくると、
 オレに寄り添ってきた。


「………嬉しい。これでようやく正真正銘の恋人同士ね?」

「ん………、あ、あぁ………。」

「………嬉しくないの?」


 いや、だからオレには何が起こってるか分からないんだって!!
 あぁ、でも、愛くるしそうに見つめてくるルシオラの顔がなんとも言えず可愛いし!
 ………も〜〜、なるようにしかならないのか!?


「ネェ?どうしたっていうのよ?ヨコシマったら!」

「ア………、ゴメンゴメン。ちょっと考え事してた。」

「もぅ。恋人が目の前にいるって言うのに、今度から止めてよね?」

「あぁ、分かったよ。今度からしない。約束だ。」

「じゃあ、約束のキスして?」


 瞳を閉じて、唇を差し出すルシオラ。
 ………もう、いーや。
 こうしてオレを愛してくれる彼女がいるわけだし、
 なんでこんな所にいて、ルシオラと一緒に朝を迎えてるのかよく分からないけど、
 良く考えりゃ、オレにとっちゃいい事ばかりだもんな。
 それじゃ、遠慮なく………♪


「もちろん………!」

「ン………♪」

「………………」


 唇をそっと重ね合わせ、そしてオレはルシオラを抱き寄せる。
 彼女もオレの身体を抱き寄せ、オレ達は暫くそのまま動かないで抱きしめ合った。
 そして、重ね合わせていた唇をお互い離すと、俺は見つめあいながら言った。


「じゃ、そろそろ着替えて、ここから出るか。」

「えぇ、そうしましょう?」


 ―――待った。ホテルに居るって事は当然、金払わなきゃいけないんだよな?
 一体、誰が払うんだ?


 オレ達は着替えると、
 部屋に鍵をかけ、エレベーターに乗って、一階のフロントへと向かった。
 鍵をフロントに渡すと、明細票を渡される。
 案の定、オレみたいな一般庶民から言わせれば、眼の飛び出るような値段だった。


「……ルシオラ。お前、金、持ってるか?」

「え、何言ってるのよ?昨日、大丈夫だ。って、ヨコシマ、自分から言ってたじゃない?」

「んな、バカな。だって、オレの財布が空っぽなのは……、」


 オレはそう言いながら、ポケットから財布を取り出して、
 自分の貧乏さをアピールしようと、中味を確認してみたら、なんと。
 財布の札入れの中には見たことも無いくらい札束が、ギッシリと入っている。
 もちろん全部一万円札でだ。


「アレ……?」

「なんだ、あるじゃない。脅かさないでよ?」

「っかしいなぁ……。なんでこんなに持ってんだ?」

「ヨコシマ。ホラ、さっさと払ってあげたら?待ってるわよ?」

「え、あ、あぁ。じゃあ、コレで……。」


 ホテルの支払いを済ませても、まだ金は有り余っていた。
 いや、マジでこんなに持ってるはずないんだけどなぁ……?
 美神さんが特別ボーナスでくれるにしても多すぎるし。
 それ以前にそんなボーナスもらうほどの仕事もしてないよなぁ?
 ま、まさか、オレ、事務所の金庫から勝手に持ち出してきちゃったとか……。
 いや、そんな事すれば、美神さんが地の果てまで追ってきて、制裁加えるのは分かってるし、
 じゃあ、なんで……?


 まぁ、いっか♪


 オレが持ってる金はオレのものって事で。
 深く考えるとややこしくなりそうだし。


「じゃあ、行こうか?」

「エェ♪」


 そうしてオレとルシオラはホテルの入り口を出て行った。



 ホテルを出て、オレ達が真っ先に向かったのは美神さんの事務所だった。
 なんでかって言えば、今日も仕事があるはずだから。
 なんか大切なこと忘れてるような気もするけど、
 分からなかったから、とりあえず向かう事に決めた。


「お早うございま〜っす……。」

「あら、オハヨウ。横島クン、それにルシオラも。」


 ルシオラと一緒に来たから、何か言われるんじゃないかと思ってたけど、
 美神さんは、意外に澄ました顔で挨拶を返してきた。
 変だな、いつもならすぐに拳骨が来て、その後、足蹴にされるんだけど。


「あ、ルシオラ。そう言えば、おキヌちゃんが探してたから行って上げて。」

「あ、ハイ。分かりました。じゃ、後でね?ヨコシマ。」

「オゥ。」


 ルシオラが部屋を出ていく。
 すると美神さんは席を立って、棚にあるファイルを取り出すと、
 手に持っていた書類をそのファイルに入れて、再び棚の中に戻した。
 美神さんは棚の戸を閉めると今度はオレの方を向く。


「さぁて、邪魔者は居なくなったことだし、始めましょうか……?」

「エ…………?」

「ルシオラと朝帰りとは、イイ度胸じゃないの……?え、横島クン?」


 ……ヒィィィィィィィィィィ!?
 やっぱり怒ってるぅぅ!?
 まぁ、バレない訳が無いか……美神さんに。
 もうどんな仕打ちが来ても我慢するしかないな……。
 さようなら、オレの人生……。


「よくもまぁ、見せ付けてくれるわよね……。
 あそこまでイチャイチャして。腹いせのつもり?」

「い、いや、そんなわけでは………………」

「……ヒドイじゃないのよ、私をのけ者にするなんて……!」


 そう言うと美神さんは、いとおしそうにオレにしがみ付いて来た。
 え……?どーいうことだ?


「私はこんなにも横島クンが好きだって言うのに……!
 なんでルシオラと一緒なのよ!?ねぇ、なんで?私のドコがいけないの?
 私の心も、身体も、みんな、横島クンにあげたっていい!
 なのに、なのに……!」


 ……夢でも見てるのか?オレって。
 じゃなきゃ、美神さんがこんなに迫ってくるわけもないし、
 ルシオラの事だって……。

 そうだ、そうに違いない!これは夢なんだな?オレの夢の中なんだな?
 だからオレは何をやっても許せるわけなんだな?
 だからいいんだな?
 ヤッちゃっていいんだな?
 ヤッちゃうぞ?
 つーか、ヤる、ヤってやるぅぅぅ!?


「美神さん!」

「キャッ!?」


 オレは強く強く、美神さんを抱き寄せた。
 美神さんの身体は暖かくて、柔らくて、いい匂いがする。


「横島クン……。」

「美神さん……。」


 お互いに見つめ合う。


「いいの?横島クン……。あなたにはる……、」


 そっと美神さんの口を押さえる。


「いいんです。オレはアイツの事も好きですけど、美神さんのことも好きです!
 どっちか選ぶことなんて出来ません!!」

「もう……、バカ…………。」


 顔を赤らめる美神さん。
 でも、そこがまた可愛くもあり、魅力でもあるなぁ。
 じゃ、早速……♪
 おっと、見てんじゃねぇよ?
 


 そして……、



 その後はすこぶる上々だった。
 え、何がかって?そんな野暮なこと、聞くなよ。





 まぁ、その後、色んな人と……ね。


 話のも面倒くさいから羅列していくことにしようかな。


 まず、あの後おキヌちゃんと。次に隊長、順不同に小龍姫様ワルキューレヒャクメエミさん冥子ちゃ

ん魔鈴さんマリア一文字さん弓さん愛子にシロテレサメドーサ朧神無迦具夜姫様グーラーハーピー小鳩

ちゃんベスパパピリオ六道女学院の女子高生全員俺の高校の綺麗どころ全員というか日本の美人女子高

生全員美人なネェちゃん全員、世界の綺麗なネェちゃん全員……!



 実際、オレを拒む人なんて誰も居なかった。
 ま、オレの夢の中だから当たり前か♪
 ♪金も有り余るほどあるし〜、
 ♪女もよりどりみどり〜、
 

 ♪というか、世界の美女は全部オレのものさ〜



 そうだ、思い通りなんだから、そのついでにアレもやってやるかぁ♪




 で、ここは日本武道館。


 中には世界から集まった美女美女美女の山。
 もちろんルシオラや美神さん、おキヌちゃんとかも、もちろんその中に。


 オレはギター片手にステージの上に立っている。
 そして、マイクに向かって喋りだした。


「イエ〜〜〜〜〜イ!!みんなノッてるかぁぁ〜〜〜い!?」

「キャ〜〜〜〜♪」

「ノッてみるみたいだな?オ〜〜シ、じゃあ、行くぞ!!
 曲は『ジョニー・B・グッド』だ!!!!!!!!」


 そしてオレは意気揚々に高らかに歌い出した。
 武道館の中に居るやつ全員ノリノリで、オレもテンションが高くなっていく。
 観客席の方も、異様にテンションが高くなっていったようで、みんな服を脱ぎ出し始めた。
 すると今度は、ステージに全員上って来て、俺の周りを取り囲むように密集する。
 そして、オレは全裸美女の集団にもみくちゃにされながら歌い続けた。
 持ち上げられ、
 押し競饅頭にされ、
 もみくちゃもみくちゃもみくちゃもみくちゃ………………。


 アァ〜〜〜〜!?エェ気分や〜!?最高やぁぁぁぁ!?


「もう、死んでもいいや、チクショ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?」


 













『言ったな?』

「何!?」




 その『声』が聞こえた途端、まるでスポットライトが消えたかのように、
 一瞬にして、周りが一気に真っ暗闇へと変貌した。


「な、なんだ!?オレの美女達は?美神さんは?おキヌちゃんは?ルシオラは
 世界各国の数多あらゆる美女達はドコ行ったぁぁぁぁl!?」

『おう、ニィちゃん。遊びの時間はもう終わったんだよ!?』

「だ、誰だ!?ドコから声を掛けてやがる!!」


 ドコからともなく、『声』が聞こえてくる。
 それはどこらからか、響いてくるのではなく、オレの頭に直接響いてくる感じだった。


『まぁ、落ち着けや、ニィちゃん。オレはアンタなんだからよ。』

「ど、どういうことだ!?」

『まぁ、説明してやるとするか。ここは「宇宙の卵」ってヤツの中だ。
 ニィちゃん、アンタそれに飲み込まれて、閉じこまれていたのさ。』

「……いや、待ってくれ。『宇宙の卵』、だと?そんなモンにいつ飲み込まれたんだ?」

『ヤレヤレ、覚えてねぇのか。しょうがねぇな。
 ヨシ、特別サービスだ。今から「外」の記録見せてやるから、良く見ておけ。』


 『声』はそう言うと、オレの目の前が突然スクリーンみたいになって、映像が映し出された。


『「外」の場所は南極のアシュタロス様の基地の中だな。覚えてねぇか?』


 そう言われるとなんか見覚えがあるような……。あ、美神さんとべスパだ。


 ―――横島クン!!

 ―――おっと、そいつに触らない方が身のためだよ?

 ―――なんでよ!?

 ―――こいつは宇宙の卵って言ってね、新しい宇宙の雛形なんだよ。   
    下手に近付くと中に吸い込まれちまうから、気を付けな!

 ―――で、でも、横島クンが……!

 ―――ポチの事は諦めな。入った卵が悪かった。ポチが入った卵は失敗作だ。
    そこには何にもない。だから本人の心理内容が反映されて、思い通りの空間が出来る。
    でも、それも欲求が満たされた途端、リセットになって、飲み込まれる。
    そして、何も残らなくなる。

 ――― ……助けられないの?

 ―――だから言ったろう?この卵は失敗作だって。
    例え探しに行ったって、ポチが満足したらそれまで。
    その時は私も飲み込まれちまう。諦めな、運が悪かったんだ。

 ―――そんな……!

 ―――さ、アシュ様が待ってるよ?早く来な!

 ―――え、ちょっ、ちょっと待って!?横島クン……、



 ベスパが出した鏡へと腕を引っ張られ、
 オレの名を呼びながら、美神さんが吸い込まれていった所で映像は消えた。


『どうだ?ちっとは思い出せたか?』

「あぁ、大体な……。じゃあ、お前は……、」

『そうさ、お前の「妄想」そのものさ。どうだ、流石に気分は良かっただろう?』


 オレは激しく後悔していた。
 結局の所、「現実」では
 地球の危機も、そして自分の彼女も救えていないということを。
 もう元には戻れないということを。
 もう誰にも会えないということを 
 そして助けてくれる者もいない、
 自力でこの状況も脱することも出来ない。
 ただ絶望が残るのみだった。


『おっと、もう時間だな。』

「ま、待ってくれ、もう少し気持ちの整理をしてから……!」

『駄目だね。お前は言っちまっただろう?「もう、死んでもいい」って。
 その時点で既に手遅れなんだよ。』


 気付くと、オレの身体は周りの闇に侵食され始めていた。
 既に足と手は消えかけている。
 その後も物凄い速度で闇がオレの身体を蝕んでいく。
 とろけゆく意識と共に、『声』はオレに向かってこう言った。


『気持ちの整理?なんだ今更、後悔してるのか?アレだけ十分に楽しんだって言うのに。
 人間って強欲なモンだぜ。あっと、そう言えば、いい言葉を思い出したぜ。
 今のアンタにぴったりの言葉だ。』



『「あとの祭り」さ。いい言葉だろ?』




 ―――The end―――
   

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