おーまいごっど!
投稿者名:もんじゃ
投稿日時:(03/11/25)
某日、東京には雨が降っていた。
「あ〜やる気でないわねぇ。今日の仕事は全部パス!」
「相変わらずの大名仕事やなぁ・・・」
「うるさいわね!大体こういう日は別件で何か大きい仕事が入るもんなのよ」
そう、確かに以前にそのようなことはあった。その時はずぶ濡れのピートが現れたのだが・・・
「おじゃまします・・・美神さん」「「ピート!?」
そこに現れたのはまやもやピートだった。
「・・・は?」美神が呆けた顔で聞く。
「だから、先生の髪の毛をどうにかして欲しいんです」
真面目な顔して言うが、美神と横島は今イチよく分からない、という顔をしている。
「いきなり何?だいたい先生の髪の毛は、もう取り返しがつかないじゃない。いまさらねぇ」
結構ヒドイことを言う美神。
「それが最近ますます抜け毛が増えてきたみたいで・・・このままではそのうち太陽拳の使い手になってしまいます!昨日も夢で「髪は私を見放したか!」って言ってましたし・・・」
「じゅ・重症ね・・・。でも、そんなのなんで私に言うのよ?それこそアデ○ンスとかに行けばいいじゃない?」
まだ納得いかない美神。
「その程度でどうにかなるなら・・・」
ふう、とため息をつくピート。お前もヒドイぞ。
「悪いけどコレばっかりはどうもねぇ。先生のことじゃお金にもなりそうにないし」
悪いけど、と言うわりには全く悪びれずに言う美神。
「・・・寝言で、よく「ああ、私は令子君を改心させられませんでした・・・」っ言うんですよね」
ビクッ!
「朝のお祈りの時も「どうか彼女をお救いください」って・・・」
ビクビクッ!
「そ・そこまで・・・」
たじろぐ横島。
「僕が思うに先生の頭の後退の原因は美神さんかと」
ジト目で見るピート。
「わ・・・わかったわよ!やればいいんでしょ!やれば!」
やはり多少の罪悪感はあるようだった。
「で・・・どうする?」
言ってみたものの、なんの対策も思いつかない美神は聞いた。
「俺の文殊で「髪」ってやればどうすかね?」
「ううん、文殊の持続時間は無限じゃないから・・・意味ないわ」
「なんかそういう魔術なかったかしら?」「ドクター・カオスに頼んで・・・」「やっぱアデラ○ス・・・」・・・・・
話し合いは一時間に及び、結果として
「「美神さんが改心したようにふるまうのが一番!」」
ということになった。
「チョット!冗談じゃないわよ!なんで私が・・・」
「お願いします!フリだけでもいいですから」
「あ〜もう!しょうがないわね」
かくして、ミッション『神に見放された髪救済計画!〜愛は髪すら救う〜』が実行されることになった。
―次の日
「こんにちは、先生」
「やぁ、令子君。どうしたんだい?ちょっとこれから一件除霊の仕事があるので手が離せないが、まぁゆっくりしていきなさい」
「あら、除霊の仕事ですか?お手伝いしましょうか?」
えっ!と驚く唐巣。
「て・手伝ってくれるのかい?どうして・・・」
「お世話になった先生に対する恩返しのつもりですけど・・・いけません?」
「いやいや、ありがとう。とても嬉しいよ!ちょっと大変そうな仕事でね。今日はピート君も急用で来れないとかで、内心あせってたんだ」
もちろん全部作戦どおりである。
「あんまり無茶しないで自分の体も気遣って下さいね?」
「れ・令子君・・・」
むせび泣く唐巣。
((グッジョブ!))
影で見守る横島とピートもちょっと涙目である。
「じゃぁ、現場に行くよ、美神君」
「はい」
そして、除霊も成功し・・・
「ありがとうございます、神父様」
感謝の意を表す依頼主。見た目的には、そこそこお金を持っていそうである。
「いえ、私は当然のことをしたまでです。気になさらないで下さい」
「では、代金はいくらほど・・・」
「ああ、それは・・・」
((ヤバイ!))
思わず口走る美神と、あせるピートと横島。
「・・・お気持ちだけで結構です」
((セ・セーフ・・・))
なんとか抑えた美神。
お礼をいいながら去っていく依頼主。その後ろで唐巣は、喜びの涙を流しながらひざまずいて神に祈っていた。
「それじゃぁ、そろそろ失礼しますね」
「あ・ああ、ありがとう、令子君。またいつでも来てくれ」
我に返った唐巣が見送る。その顔は充実していた。
「ただいま帰りました、先生。おや、美神さんこんにちは」
タイミングを見てくるピート。
「こんにちは、そんじゃね」
そして帰る美神。
「先生?幸せそうな顔をしてますけど、どうかしたんですか?」
知ってはいるが、聞いてみるピート。
「いや、何。私は主に感謝している所だよ・・・」
その顔は幸せに満ちていた。ストレスなど全く感じさせない顔であった。
よかった、と思うピート。
「それじゃぁ、今日は久々に外食しましょう、先生!食事券が手に入ったんですよ」
さして駄目押しの攻撃。
「おお、それはありがたい。ああ、今日は本当にいい日だ。さぁ行きましょう」
これ以上ない程幸せそうな顔の唐巣。ミッションは無事成功したようだった。
が、
外に出た途端、
「いえ、先生がやっぱり気が変わって、200万円いただきたいと言ってまして」
「はい、200万ですね」
代金請求をしている美神が目に入ったのであった・・・・・
ちなみにそれ以降、どうやら余計に進度が早まったらしい・・・
太陽拳を使えるようになる日は・・・そう遠くないかもしれない。
「おお、髪よ!」
ちゃんちゃん
今までの
コメント:
- どうも、二作目ということで、ちょっと悪ノリしてみました!
なんか前作で唐巣神父の髪の毛に注目した方が多かったので・・・。僕は、あの髪の原因はやっぱり美神母娘だと思うので。では! (もんじゅ)
- あと、除霊のシーンで「神父のために御札を使う美神」とか出したかったんですが、実力不足でどうしてもバトルシーンが書けずに断念しました。う〜ん、文を書くのって難しいですね。 (もんじゅ)
- どうも〜ヒロです〜
このくらいの長さの短編でしたら、バトルは必要ないかもしれないって僕は思いますよ〜神父さんの髪の毛が中心(え?)っていう何気ないギャグのお話ですからね〜バトルシーンを描いちゃうと長くなる恐れもあるのかもしれません。と思いますけど、どうでしょう?
で、面白いですね〜、美神さんのやった最後の安直な行動で、神父さん人間不信になっちゃうかも・・・髪は・・・いないのか・・・
であであ、これからも頑張って下さいませ〜 (ヒロ)
- 「…とうとう先生の生命[いのち]、あと三本になっちゃいました)。ねえっどうしましょうっ! あれから先生、すっかり引き篭りがちになってしまってっ!! あの美神さんの弟子で、先生の孫弟子の、横島さんっ!」
「あのなピートっ、肩書きばかり強調して、他人の罪悪感を煽んなっ! とはいえ、うーん。あのおっさんにはこれからの世話になるかもしれねえし、ほっとけないか。」
「……よっと。まず、文珠を2つ出す。」
「あれ? 文珠は意味が無いって、確か美神さんが…。」
「そこは抜かり無い。無理やり毛を生やそうとするんじゃなくて、頭部の血行を善くし毛乳頭に刺激と栄養を与えて『髪が生える素地』を作るんだ。」
「…養毛材のCFの受け売りですか?」 (Iholi)
- 「その素地が出来る様、念じながら文珠を使う。劇的な効果は期待できないが、あとはおっさんに体力[わかさ]と霊力[きあい]さえあれば、またのんびり生えてくるじゃないかな?」
「なるほど。でも文珠は1文字までしか使えないのに、どうして2つも…?」
「そう。連載終了の段階でも、それが俺の限界だった…だがしかーし!!」
「(ビクッ)」
「複数の文珠を組み合わせていち文字作れば、あの超加速状態の上級魔族メドーサすら『縛』れるのは25巻で実証済み! つまり『長』を持つ俺と『友』を持つお前と唐巣のおっさんで三角形を作れば、それはもーたまらん強力な『髪』が完成するってわけだ!!」
「…また、一昔前の養毛剤のCFですね(発汗)。 (Iholi)
- 「…ぶつぶつぶつぶつ。」
「…ま、そーゆー事で『除霊作業前の事前説明及び同意確認[インフォームド・コンセント]』終了!」
「先生相変わらず体育座りで泣いてるけど、可いのかなあ。」
「んじゃいくぜおっさん、ピート! 『髪』は『長』ーい!!」
「あ、はい! いきますよ、先生!! 『友』だちーっ!!」
…………
「…あ"ーっ、しまったーーっ!」
「どうしました、横島さん!」
「よくよく見たら『髪』の字の左上のアレ、よく似ちゃいるが『長』いじゃない!?」
「え"っ。ボ、ボクは、その…ぢ、ぢゃっぽねーぜハもーるとムズカシーデ〜スネ!」
「今ごろ不慣れな留学生を気取るんじゃねえっ!! 俺なんか自慢じゃないが全教科ムズカシーぞっ!」
「…そりゃ、自慢になりませんって。」 (Iholi)
- …………
「で、結局はショックが逆療法になってくれて、何とか引き篭り前の状態までは快復したってわけね、先生?」
「ああ、今まで見過ごしていたんだね…在るがままの日常がこんなにも輝いていたって事を、ねっ(優美な微笑)。」
「ねっ、って…それは結構な事で。…でさあ、アイツらは…文珠の効果が切れるまでどうすんのよ。」
「ああっ、髪の毛の伸びるのが止まらないっ! ツルツルも嫌だけど教会の床を覆い尽くす程『長』いのもイヤーーっ!!」
「さあ、今日6回目の朝シャンだよっ。…これからもずっと、僕の素晴らしい『友』達でいてくれよ、僕の美しい天使・金髪くん?」
「さあ…それは『カミのみぞ知る』事さっ。」
おしまい。 (Iholi)
- てなわけで……もんじゃさんごめんなさい(笑)。
感想。これは明らかに令子への代わりの駄賃を設定していなかった連中のミスですね。「香港編」の冒頭でも師匠相手に義理と人情を切り捨ててギャラを請求したよーな(あれは周囲の求めるキャラクタを演じる為のポウズとも取れますが)女ですからねえ。そんな彼女を説得だけで動かした訴えの切実さが光りますが……やはりピート、詰めが甘かった(笑)。客もポンと200万を出すようなそこそこの金持ちだったのも「不運」でした。せめてその1/10でも受け取っていたら…。
とまあ、色々と考えさせて頂きましたんで、賛成に1票。 (Iholi)
- 純粋に展開として賛成。てゆーか面白い。これに尽きます(笑)。
いやもぅ、作戦名からオチまで、すべてにおいて楽しませてくれました。こういう、原作そのままの雰囲気を原作そのままのキャラのみで動かしてゆくSSって最近はあまりないような気がするので、むしろ新鮮味をすら感じましたね。いほりんさんの寄生SSを誘発してるくらいですし……。
投稿お疲れ様です。 (ロックンロール)
- どうも〜ヒロです〜
え〜ト・・・今回は中立にさせてくださいませ〜すいません(汗)
展開的にはもう僕のつぼをぶさぶさと貫きまくり!!最後の皮肉的な終わり方も文句は無いです。どこに文句をつけろってんだ?!(いやすいません)
ですが、最初のグレーゾーンをブッちぎり超えたような描写にちょっとひっかかったもので・・・ってそれだけ?いや、それが一部で論議されたくらいですし・・・こんなんですいませんです〜
であであ〜これからも頑張って下さいませ〜
(ヒロ)
- ↑あぁ、すいません、これは違う作品に対してのコメントです。さっきまで違うページを開いていたのになぜこのページに飛んできたんだ!?
申し訳ないです〜(いや、でも本当になんでこのページに書き込まれているんだろう?) (ヒロ(バカ))
- うお〜、面白いですよこれは!
あるべき日常の一ページといえるのではないでしょうか。
神父の髪と神父が信じる神をかけていたのもよかったし、太陽拳もよかったです。
最後の落ちもなかなか・・・。
では次回も頑張って下さい! (誠)
- 純粋に、神父のハゲ問題という点で賛成です。
ども、BOMです。
まあ太陽拳をピートが何故知ってるのかというのも気になりましたが、面白かったです。
自分としては一刻も早く使い手になってほしいというのもありますがね(笑) (BOM)
- アートネイチャーという選択肢は無かったんですね〜
唐巣神父、頑張ってください。 額がちょっと広くたって良いじゃないですか。
髪を笑う者は、髪に泣くんです。
以前、帽子を手放さなかった知人の取って付けたようなボリュームのある頭髪を見た時に思いました・・・自然が一番(@_@)
このネタは危険すぎるので・賛成に一票入れます(^^ (黒川)
- あぁ、そげそげ。なーんかダラズげなもん書いちょった所為で言ー忘ぇちょった事が1つ有ーましたわ(何故かナマってる)。
*半角カナ文字の使用はご遠慮下さいませ。 (Iholi@ぱらさいと)
- Iholiさん、面白い作品、ありがとうございます(笑)賛成一票!
半角カナについて、すみません。なんであそこだけ出てしまったのか、不明です・・・。
賛成票いただけてうれしいです♪ありがとうございました〜 (もんじゃ)
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