〜『影とキツネと聖痕と』〜
投稿者名:かぜあめ
投稿日時:(03/11/24)
――・・君がもっとも望まぬものを君にあげよう。
来訪を告げる鐘の音・・・それが合図・・。
〜『影とキツネと聖痕と』〜
「っ!!」
目の前の視界が開けていく。
身震いするような闇は遠のき、代わりに光が差し込んだ。
朝。
・・そう・・朝だ・・。
タマモは、安堵の息をひとつこぼすと、髪をくしゃりと掻きあげた。
(・・すごい汗・・・。)
寝まきに腕を差し入れて、自分でもその量に驚いてしまう。
背中にべっとりこびりついた服の感触は・・
まるで先程の悪夢の尾をひくようで・・・・・・。
その日、タマモは夢を見た。
闇の奥で、誰かが自分を呼んでいる。
夜の闇など問題にならない・・・・それはまさに漆黒。
・・その中で、『誰か』が自分に囁くのだ。
「・・私がもっとも望まないこと・・。」
それを自分に与えると・・。
・・逃げられない・・・・なんとなくだが、そう思った。
「・・・また朝から難しいセリフを・・・・。」
「?」
不意に頭上から声がする。
タマモは辺りを見わたして・・・・
「横島・・・。」
すぐそばに、見知った青年の姿を確認する。
バンダナがトレードマークの、仕事仲間の青年だった。
「・・・おはよ。」
「・・ん。おはよう・・・ってかその前にもっと騒げよ。
朝起きたら、いきなり、部屋に色情狂がつっ立ってるるんだぞ?」
わざと、おどけた調子でそんなことを言って・・
「?なんで目を細めてるの?」
「・・いや、汗でパジャマが透けて下着が・・・。」
・・・。
・・・・バコッ!!!
いつも自分をなぐさめてくれる・・。
「痛ってーな!!!!妙にしおらしいと思ったら・・急に何しやがる!!」
「・・・どっちが悪いのよ。」
ため息をつきながら、タマモはゆっくり体を起こす。
青年が入ってきたことで、部屋の空気は一変した。
たかが夢で・・あれだけ落ち込む方が可笑しいと・・・・少なくとも今はそう思える。
「・・で?あんた、人の部屋に何しに来たの?」
「朝飯だってさ。(俺はたかりだけど)早く着替えて降りてこいよ。」
・・食卓では、きっといつもの面々が、自分のことを待っていてくれて・・・。
「あ・・それとも、着替え・・手伝ってやろうか?」
・・・・・。
・・・・バキッ!!!
早くみんなに会いたいと・・、柄にもなくそんなことを考えた。
〜 appendix 1. 「例えば彼らの日常は.......... 」
「・・・・・・油揚げが・・・ない・・・。」
「人を待たせた報いでござる。」
・・・なんて会話がなされた後、いつも通りの乱闘が始まった。
卓上で飛び交う炎と刀。
毎度のことながら、バイオレンスな朝の情景。
「来る日も来る日も・・・よく飽きないよな〜・・。」
「2人のレクリエーションなんですよ、きっと・・。温かい目で見守ってあげましょう?」
自分たちの朝食を退避させながら、横島とおキヌがボソボソつぶやき・・・、
「見守れるわけないでしょうがぁぁぁ!!」
中央で美神が雄叫びをあげる。(彼女は女性だが、それでも雄叫びをあげる)
――退屈で、変わり映えのしない・・その日常は・・・
『美神オーナー。お客様のようです。』
「なに?こんな朝っぱらから・・。金もってそう?人工幽霊壱号。」
「・・こだわる所はそこっすか・・。」
――実はとてもとても壊れやすいガラス細工に等しいもの・・・。
そして、道は開けてしまう。
ゆっくり・・・ゆっくり・・・・。
まるでそれら全てが必然であるかのように・・・・。
多くのものを犠牲にして・・・。
・・・。
・・・・・・。
その時だった。
部屋の奥、
乱立する家具の中で、ただ一つ異彩を放つ・・そんな古時計が、荘厳な鐘を打ちはじめる。
――・・ゴォォォン・・・ゴォォォン・・・。
「?なんだ?タイミング悪いな・・。故障か?」
「・・・・・。」
「タマモ?顔色が悪いでござるよ?」
「・・・大丈夫。そんなことより、おキヌちゃん。あの時計って・・今まで鳴ったことある?」
・・・そう。ソレは胎き出してしまったのだ。
「う〜ん・・。長い間ここにいるけど、こんなこと初めてかな?」
――・・来訪を告げる鐘の音・・・・それが合図・・・。
〜続きます〜
『あとがき』
失敗!!!!(爆)
こんにちは〜。かぜあめです。皆さんお元気ですか?
というわけで・・、始まってしまいましたねぇ。長い長い、シリーズの幕開けでございます(笑)
う〜む・・この「聖痕」自体は、5・6話で終わる予定なのですが・・、この話全体が一種のプロローグみたいになってまして・・。
つまり、この第一話は後々のお話にも関わってきます。
動きは少ない上、ちょっと短いですが、序章としてはぎりぎりセーフ・・なのかな?(・・アウトかも・・)・・いかがでしたでしょうか?(汗)
ここで一つ暴露話を・・・実はわたくし・・・今までマリあんにどうやって行けばいいのか知りませんでした(激爆)
このページの下のほうから行けるんですね〜
最近、色々GTYで大変なことが起こって・・・・それでやっと知ることができました(泣
しかし・・素敵なところですね〜掲示板に・・チャットまでついてる!!(爆
機会が会ったらお邪魔させていただきますので、よろしくお願いします〜
今までの
コメント:
- おお!タマ者仲間のかぜあめさんのタマモ作品!待ってましたよタマモ連載を!
序章という事で除霊事務所のいつもの風景を少しミステリアスに描かれていていいと思います。
しかし、横島・・・。タマモの部屋に勝手に入るとは何事だ!全世界6億5千万のタマモファンに代わってお仕置きをしてやろう!
ということで横島はわたしのSSの方で痛めつけておきます(ニヤリ)
では次回も待ってますよ。あとチャットでお会いできることを楽しみにしています。共にタマモについて語ろうじゃありませんか! (誠)
- ども、BOMです。
いやあ、いい展開だと思います。タマモがこれから遭遇する事件が楽しみな展開です・・・なのですが、票はこの「聖痕」が完結してから入れようと思うのです。自分の方針として、新しく始まった連載物にはラストにて票をいれたいと思っているので・・・どうかご了承くださいm(_ _)m
それにしても相変わらずタマモを描くのがお上手ですね。自分もチャットで会いたいです。逢えるのを楽しみにしてます(爆)ではっ! (BOM)
- 初めましてですね?gosamaruと申します。
記憶の片隅にでも置いていただければ幸いです。
連載ものですよね、凄く嬉しいです!!
タマモの妖の勘・・・鋭すぎ!な展開を期待していますね!!(^−^)v
それでは、大変かもしれませんがこのお話は、好きなので楽しみに待ってますね!! (gosamaru)
- どうも〜ヒロです〜
く、賛成を入れたい、非常に賛成を入れたい。でもまだ本編が始まっていない(らしい)のでどうにもいえない。まるで映画の前の予告編のような出だし・・・期待感ばっかりが前に出てきて自分がその感情についていけない・・・流石です。
でも本当に賛成を入れたいんですが、導入部分なので中立で。賛成入れたい〜(血涙)
であであ〜これからも頑張って下さいませ〜 (ヒロ)
- 私は横島×タマモと横島×小竜姫なので賛成です^^ (羅綺紫好姫)
- どのキャラも「らしい」ですね。
プロローグであればこのくらいの長さでも問題はないでしょう。
無理矢理詰め込むよりも話の切りの良さが優先ですからね。
では本編に期待しています。 (U. Woodfield)
- やった!!やったー!!ついに☆ついに、待ちに待った、かぜあめさんの長編SSが始まったっすねー!凄く嬉しいです!!もー感謝感激雨霰ってかんじです!今回のSSで一番、印象に残ったのは、やっぱり今まで鳴らなかった古時計が鳴るシーンですね!!なんか新たな事件が始まっていく感じが、物凄く出ていて、かぜあめさんって、やっぱり上手いなって実感しました。それで、これからの展開も予想できないし、次回が楽しみでなりません☆!!かぜあめさんも色々、忙しいと思いますが連載頑張ってくださいね!!なんか、ここ最近、グレート展開予想が生きがいになってきたかな! (GTY)
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