ザ・グレート・展開予測ショー

傷ばかりの天使!!(その24)


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/11/23)

カチャッ!
西条はホルスターから銃を抜き、こちらに向かってくるギルファに銃口を向ける。
バンッ!
「ふっ。」
銃から発射した弾丸を、軽々と避けるギルファ。
バンッ!バンッ!
次々と発射される弾丸を、いとも簡単にギルファは避けていく。
シャキッ!
「!?」
ヴォンッ!
「ちっ、外したか!」
霊剣ジャスティスでの攻撃をかわされ、西条は舌打ちをする。
「だがっ!」
西条は左手に持っていた銃をホルスターに戻し、ジャスティスの柄を両手で握る。
「てぇーい!」
シュッ!シュッ!
「ふんっ。」
ギルファは、楽に西条の攻撃を避けていく。
「そんなものか?君の力は。」
「人をバカにすると、怪我をすることになるぞ!」
西条はそう言って、体を回転させて勢いをつけ、剣を振るう。
ヴォンッ!
「甘いな。」
それを避けたギルファ。
ベキィッ!
「がっ!?」
ギルファの脇腹に、西条の回し蹴りが当たった。
「だから言っただろ。人をバカにすると、怪我をすることになるとな。」
「くっ!き、貴様・・・・!」
脇腹を押さえるギルファ。
「とうっ!」
西条はギルファを剣で斬り裂く西条。
しかし、
「なっ!?」
西条の剣は、空を斬っていた。





その時、背後から気配を感じた。
「残像だ。」
「くっ!」
殺気を感じた西条は、間合いを取ろうとする。
ザシュッ!
「ぐぁっ!」
その時ギルファの爪が、西条の脇腹を切り裂く。
「ぐぅっ!」
脇腹を押さえる西条。
「安心しろ。皮膚を切り裂いただけだ。」
そうギルファが言った。
「この程度の傷で!!」
西条は素早い動きで剣を振るう。
しかし、ことごとくそれをギルファがかわす。
「何という醜い剣さばきだ・・・・。」
避けながら溜め息をつくギルファ。
「そんな腕で私と逮捕すると言うのか?無謀だな。」
バシッ!
剣を掴むギルファ。
そして、西条の胸に蹴りを入れる。
「がはっ!」
蹴りの激痛が、西条の全身に走る。
「もうやめたらどうだ?君に勝ち目はない。」
ギルファはそう言って、近くにあった花の香りを楽しむ。
「それに、この空中庭園にある花々を、醜い者の血で汚したくはないからな。」
「何だと!?」
西条はギルファに向かって何度も斬りかかる。
しかし、それを軽々とギルファは避けてしまう。
「そうやって、やぶれかぶれに剣を振っていても・・・・。」
ヒュッ!
空を切った音がした時、ギルファは西条の後ろにいた。
「結局は、隙だらけになる。」
ブシュッ!!
「ぐぁぁ!!」
西条の体のあちこちから傷が現れ、血が噴き出す。
そして西条は、その場に膝をついてしまう。





「君の弱点は、戦い慣れしていないということだ。」
そうギルファが言った。
「君が勤めるオカルトGメン、最新オカルト兵器を使い、悪霊を倒す。」
ギルファは、西条を指差す。
「しかし、私みたいな強力な魔族と戦うとなったら、どうなる?」
ギルファの額に青筋が浮かび上がる。
「自分の武器が無くなってしまったら、逃げるしか選択しないではないか!!」
「違う!!」
西条は叫んだ。
「オカルトGメンは、そんな武器に頼りきった者たちが集まって出来た集団ではない!」
「どうかな?」
ギルファは鼻で笑う。
「例え、勇敢にも私のようなS級魔族に戦いを挑んだ輩がいたとしても、その輩に訪れるのは、死だけだ!
君が、その剣術を使って戦ったヤツはどれくらいだ?武器を使って倒したヤツらよりも少ないだろう?
剣を使って倒したとしても、一撃で倒してしまい、これほど苦戦したことはないはずだ。」
「・・・・・・。」
西条は唇を噛む。
「そこが君の弱点だ。君と一緒に行動していた横島忠夫は、数々の修羅場を潜り抜けた結果、あの魔王アシュタロスを倒した。
ところがどうだ?君は何をした?悪霊や低級魔族を倒しているだけではないか!
・・・・・・お前は弱者だ。貴様みたいな弱者が、この私に勝てるわけがない!!」
「ふざけるなぁ!!」
西条は立ち上がり、疾風の速さでギルファを斬る。
「!!」
ギルファの胸に、大きな切り傷が現れ、そこから血が出てくる。
「僕は、人の喜ぶ顔が見たいからオカルトGメンに入ったんだ!お前みたいな犯罪者に分かってたまるかーーーー!!」
西条の姿を見て、ギルファは叫んだ。
「怒りに身を任せても、結局は隙を見せるだけだと、なぜ分からん!!」
ズバァ!!
ギルファの霊波の爪が、西条の体を切り裂く。
「ぐぁぁぁぁぁ!!!」
血を噴き出しながら倒れる西条。





「終わったな。」
ギルファはそう言って、その場から立ち去ろうとする。
その時、西条がゆっくりと立ち上がった。
しかもその体には、一つも傷がついていない。
「・・・・・・・なるほど、文珠を使ったか。」
「横島クンも味なマネをしてくれる。僕の上着のポケットの中に文珠を入れておくなんてな。」
霊剣を握りしめ、構える西条。
「さぁ、再開といこうじゃないか!」
「愚かな・・・・。」
ギルファは、鼻で笑う。
「無謀なことだとは分かっているのに、何故戦おうとする?」
「女性(レディ)を助けるのに、理由がいるのか?」
西条の言葉に、ギルファは一瞬驚いた表情をするが、すぐに元の表情に戻る。
そして、笑みを浮かべる。
「なるほど、アリス王女が言ったとおりの男だな、君は。」





それは、横島と西条が黒ずくめの男たちや悪霊たちと戦っていた頃。
牢屋の中で、ギルファとアリスは会話していた。
「先ほど連絡が入り、貴女方の護衛をしていた2人が、こちらに向かっているようです。」
「そうですか。」
アリスはニコリと微笑んだ。
「しかし、例えエードリッヒ城に着いたとしても、私とマチュアの手によって、醜く葬られるでしょう。」
「さぁ、そうはどうでしょうか?」
「・・・・・・私たちが負けるとでも?」
「えぇ。」
アリスは微笑んだまま言った。
ギルファは、溜め息をつく。
「参りましたね。それほど私の力を舐められるとは。」
「あの2人は、似てないようで似てるんです。」
「どういうことですか?それは。」
ギルファがそう聞くと、アリスはこう答えた。
「あの2人は、"女性のためなら、命を捨ててまでも戦う"人ですから。」
そう言って、アリスはクスリと笑う。
「貴方もきっと、分かるはずです。」





(命を捨ててまでも戦う人か。この男なら・・・・・。)
ギルファは、西条の姿を見て思った。
(フッ、私らしくもない。奴がこの私に勝てるわけが無い・・・・・。)
ギルファは、1回深呼吸をする。
そして、構えをとる。
「見せてもらおうか!その言葉に偽りは無いのか!!」


続く

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