ザ・グレート・展開予測ショー

『Pure Darkness』


投稿者名:かぜあめ
投稿日時:(03/11/19)

〜 Pure Darkness 〜 



 


 夜がある。
 息もできないほどに張りつめて・・・
 舞い散る雪よりなお白い・・・・・・
 ・・そんな夜。














「――・・横島?」

不意に聞こえた背後からの声。
それに、青年は驚いたように振り向いた。

・・・。

「よぉ・・。こんな遅くにどうかしたか?」
視界に映る見知った少女に挨拶を返す。


「それはこっちのセリフよ。あんたこそ何してるの?」

「・・オレか?
 オレは、・・・・そうだな・・なんとなく散歩したくてな。」

・・・・・。

「・・散歩?」

「・・そ・・散歩。」

・・・・・・・・・・・。

「真夜中に、こんな場所で?」

「・・夜の東京タワーってのも、実は、オツな散歩スポットなんだぞ?」


・・立ち入り禁止区域だけど・・・

彼は、ぼそりとつぶやいた。










 


 夜がある。
 息もできないほどに張りつめて・・・
 夜空の月よりなお、淡い・・・・・

 ・・・・そんな夜が・・・・
 
 青年は嫌いだった。

 夜は寒い。

 闇は暗い。













「・・散歩って・・はい、そうですかって納得できると思う?」

「・・・まあ、そうだろうな・・。」

苦笑。

しかし、その乾いた笑いは、なんの真実も紡がない。

埒が明かないと考えた青年は少しだけ、言葉をつまらせて・・、

・・・。


「・・・知人が死んだ夜に、今日は似てるんだ。」
 
なんとなく、そう口にした。

・・・ウソではないが、ごまかしだった。


「そういう日は・・決まってここに来ちまう・・。」

「・・知人って・・」

「ん・・・。タマモが事務所に来る前のな・・。」



・・ここは・・・思い出の場所なんだ。













 傍らの少女の知らない、『あの人』との思い出。
 その、温もりと痛みを決して忘れないように・・、この場所は存在する。
 ここに来るという行為は、その確認にも等しいことだ。













「・・・ごめん・・。」

「?何で謝るんだ?」

「・・・横島・・。悲しそうだから・・・。」



・・・。

・・・・・・。
















帰り道。

私は横島と並んで歩いた。
ゆっくりと、横島は私に歩調を合わせている。



「ねぇ。」


「ん〜?」

「柄にも無く心配になって・・・・大した理由もないのに、
 アンタ追いかけたお節介がいたとしたら・・やっぱり怒る?」


「・・・・・。」


そんな私の言葉に、彼は、一瞬、キョトンとして・・・・


「・・・・怒らねぇよ。・・・・サンキューな。」


・・そして、少しだけ微笑んだのだ。














 夜がある。
 あなたの行く先を知りたい・・・
 ・・・そんな夜がある。

 でも、そこに私の居場所があるのだろうか?

 分からない。
 
 少しだけ距離を置いて歩く私には・・ただ想うことしか浮かばない。

 それでも・・・私はあなたが見つめるものを知りたい。




 夜。

 闇よりもなお深い・・静寂の夜。




〜おしまい〜





『あとがき』


うあ・・・まず最初に土下座いたします(笑
ご無沙汰してしまって申し訳ございませんでした〜
シリーズが終わって一息つこうと思ったら・・3ヶ月近く間が・・(汗)

特にユタさん、ヴァージニアさん、えび団子さん、作品全部にコメントを書くと宣言しておきながら・・
ごめんなさい〜
これから読ませて頂きます(爆


・・というわけで、かぜあめです。お久しぶりです。

今回はタマモ→横島→ルシオラのSSということで・・いかがでしたでしょうか?

寝不足で意識が朦朧としている時に書いたので、分かりにくくないか非常に不安です(爆



それにしても本当にオレってタマモばかり書いてるような気がしますね(汗


ご意見・ご感想があればお聞かせください。

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