ザ・グレート・展開予測ショー

知ってるようで知らない世界―14―


投稿者名:誠
投稿日時:(03/11/17)




「よう、鬼門ただいま。」
「おう、横島。帰ってきたか。」
「ヒャクメ様もお喜びになるだろう。」

横島は一日東京で過ごして今日は妙神山の修行に戻ってきた。
鬼門の二人の言葉を聞いて横島は訝しげな顔をする。

「なんでヒャクメが喜ぶんだ?」

それになにやらそっぽを向いて鬼門は答える。

「「我等からは・・・何も言えん・・・。」」

そんな二人を見ながら横島は修行場の中に入っていった。





「帰ってきました〜。」
「よ、横島さ〜ん、待っていたのね〜。」

ヒャクメが泣きながら飛びついてくる・・・が横島はそれをかわした。

「どうしたんだ?おれがいない方が楽だっただろうに。」
「それが・・・。」
「あら、横島さんお帰りなさい。」

ヒャクメがビクッとして口をふさぐ。小竜姫は笑顔で横島に挨拶した。しかし、その前にヒャクメを一睨みするのは忘れていない。
小竜姫の目はしゃべる事=死と錯覚してしまうほどヒャクメを怯えさせた。

「それでどうでした?修行の成果は出ましたか?」
「はい、小竜姫様が言われた通りそこまで強い相手ではなかったです。正面から戦えば美神さんも神父もやられなかったでしょう。」
「そうですか・・・。GS試験に来るメドーサは多分そうはいきません。今日からわたしとの実戦をメインに修行していきましょう。」
「はい。わかりました。あと半月くらいですけどよろしくお願いします。」

残り半月の修行期間・・・横島と小竜姫は進展するのだろうか。それはヒャクメがいるかぎり無いだろう・・・。
ヒャクメが邪魔をしてお仕置きされてといった毎日が繰り広げられるに違いない・・・。





西条は仕事中だ・・・。美智恵に頼まれた今度のGS試験でなにが起こるか、警備をどうするかなどの書類を作っている。
しかしなにしろ上司が美智恵だ生半可なものではOKはでないだろう。

「ああ〜!まったく・・・ばれちゃいけないから隠れて警備しないといけないし・・・。」

そう言って西条は頭をかきむしった。

―――トゥルルルルルル―――

「はい、こちらオカルトGメン・・・ああ、令子ちゃんどうしたんだい?
ああ、明日横島君が帰ってくるんだったね・・・なに?協会が?・・・しかしなぜ・・・文珠の事はまだ知られていないはずだろ?
先生はなんて・・・ふう、そうか分かった。じゃあ。」

そう言って西条は受話器を置いた。そして一つのファイルを持つと美神除霊事務所に向かって行った。





「おキヌちゃんもう少し落ち着きなさいよ。」
「そんなこと言っても・・・美神さんだってケーキ買って来てたじゃないですか。」
「う・・・そりゃずっと山奥にいたんだからおいしい物でも食べさせてやろうかと思って・・・。」

令子は口篭もったが強引に言い放つ。それを見たおキヌは美神さんらしいなあと思っている。
おキヌは一つの疑問を令子に聞く。

「さっき西条さんにした電話・・・なんだったんですか?なんか難しいお話しだったみたいだけど・・・。」
「あれ・・・ね。おキヌちゃんパイパーと戦った時誰かが見てる気配とか無かった?」

おキヌは少し考え、そんな事はないと言い何故そのような事を聞くのかといった目で令子を見る。

「協会から連絡があったのよ・・・。お宅のところで雇っている横島という男は一般枠で参加させるのかって。明らかに警戒してるわ。
横島君の力に協会の上層部が気づいたんだと思う。しかも、魔族と繋がってる上層部のバカがね!」
「協会のえらい人が魔族と?」
「ええ、そうよ。でもそうなら今回の部下にライセンスを取らせるという魔族の企みもかなり現実的だわ。
自分達が起こす事件に手心を加えるようにするには上層部にも何人か繋がってる連中がいないとダメだしね。」

GS協会などといってもしょせんは人間の集合体だ。協会で働く全ての人間が善人だなどありえない。
そればかりか地位、権力を手に入れた者はさらに高い地位へと、さらに強い権力をと考えるのだ。

「ていう事は・・・どうなるんですか?」

まだいまいちよく分かっていないおキヌを見て令子は苦笑する。

「だからね、協会のバカな奴が魔族と繋がっているってことはもし大事件を魔族が起こした時にこっちの能力、作戦が全て筒抜けになっちゃうって事よ。」
「それじゃ・・・どうするんですか(汗)?」

一瞬焦ったおキヌだが令子の黒い笑いを見て冷や汗を流す。

「おキヌちゃん、組織の不正を無くすにはどうすればいいか知ってる?」

令子は美智恵、西条と共にあるプロジェクトを計画中だ・・・。






一ヶ月の修行は横島の実力を確実に上げていた。

「横島さん一ヶ月間よく頑張りました。今のあなたの実力なら今度のGS試験あなたに敵う者はいないでしょう。しかし油断してはいけません。あなたに文珠があるように他の人にもなにか能力があるかもしれませんから。」
「はい、分かりました。一ヶ月の間ありがとうございました。」

いかにも師匠と弟子の会話だ。だがそこに懲りないヒャクメが割り込んでくる。

「小竜姫〜、横島さんが下山するからさみしくなるのね〜。」

だが、横島はたいしたリアクションをせずに焦る小竜姫とにやけるヒャクメに挨拶をして妙神山を降りていった。

「ふう、聞こえなかったようですね・・・。さて、ヒャクメ。わたしをからかうときは命をかけろと言いましたよね?」

小竜姫は誰もが見とれるような笑顔でヒャクメの方を向く・・・。後ずさるヒャクメ。

「い、いや・・・聞こえなかったんだから問題ないのね〜。」
「そういう問題じゃないのよヒャクメ。逆鱗に触れるって言葉を知ってるわよね?」

そう言うと小竜姫は自分の背中に手をやる・・・。

「ちょっちょっと、それはまずいのね〜!」

妙神山に竜の咆哮とヒャクメの叫び声が響いた・・・。






そして・・・。



「弓さん、一文字さんいよいよクラス対抗マッチですね。」
「そうですわね。わたくし達なら優勝も狙えますわ!」
「まあやるからには優勝しないとな・・・ってあれ横島さんじゃないか?」

学校からの帰り道、三人がクラス対抗マッチについて話しながら歩いていると、今日帰って来た横島を一文字が発見した。

「あ、本当だ・・・よ・・・・・えっ?」

横島に声をかけようとしたおキヌだったが横島の隣に現れた人を見て驚愕する。

「二人とも、隠れて!」

おキヌは電柱の陰に弓と一文字を引っ張り込んだ。横島と二人で楽しそうに歩いているのは美智恵だ・・・。

「な、なあおキヌちゃん?あの人って美神さんのお母さんの・・・」
「ええ、美智恵さんです。」
「それでなんで隠れなくっちゃいけないんですの?」
「・・・ふり・ん・・。」

おキヌの口からそのような言葉を聞くとは思っていなかった二人は固まる。しかしおキヌは止まらない。

「不倫かもしれないじゃないですか。昨日みたワイドショーで言ってましたよ。
女の人は夫が近くにいないと側にいる若い男に・・・。男の人も人妻には弱いって・・・。」
「・・・な、なあおキヌちゃん?だからってそうと決まったわけじゃ・・・。なあ弓?」
「そ、そうですわよ氷室さん・・・。いくらなんでも・・・。」

おキヌが暴走をはじめるといつもいきなり仲良くなる二人・・・。しかし、次の光景を見て三人は衝撃を受ける。
夕日をバックに重なり合う横島と美智恵の影・・・。
それを見て真っ先に行動を起こしたのはおキヌだった。
いつもの彼女からは考えられない速度で地面を蹴る、制服のスカートが多少めくれているが気にしていない。

「横島さんの・・・浮気者〜〜〜〜〜!!!」

見事な腰の捻り、踏み込み、そして強烈な腕の振りでおキヌの右腕が横島の顎を打ち抜いた・・・。

「ガッ・・・ハァ・・・」

横島は空中に浮き、そして放物線をえがいて落下する。ドサッと音がして、ピクピクと動いている横島はとりあえずほっといておキヌは美智恵に詰め寄る。

「美智恵さん、ひどいです。いったいどう・・・。」

そこまで言っておキヌは美智恵が抱いている者・・・ひのめを見た。

「お、おキヌちゃん?浮気ってどういうこと?横島君と偶然会ったから一緒に事務所まで行くことにしただけだけど・・・。」

もう皆さん分かっているとは思うが横島は抱いてたひのめを美智恵に渡しただけなのだ。シルエットだけ見ればキスシーンに見えない事もないが・・・。
『不倫』と思っていたおキヌには正常な判断は出来なかったのだろう。

「ご、ごめんなさい・・・。」

おキヌは真っ赤な顔で美智恵に謝る。

「いいわよ。でも横島君ノックアウトしちゃって・・・どうするの?」

弓と一文字がここでやっと追いついてきた。これだけでもおキヌのダッシュがどれほどの物だったか分かるだろう・・・。

「はじめまして、弓かおりです。」
「一文字魔理です。」
「弓さんと一文字さんね。美神美智恵です、よろしく。」

美智恵は有名だ。オカルトGメンの女帝としてGS協会の中で幅をきかせているし、責任者として記者会見なども行っている。
弓と一文字にとって美智恵は令子よりも雲の上の存在なのだ。二人は横島などほって置いて美智恵に色々と話し掛けている。
しかし、窮地に立たされているおキヌはそうはいかなかった。今彼女は横島に膝枕をしているがそのような状況になる攻撃をしたのは自分だ。
(どうしよう・・・。文珠があればなかったことにできるのに・・・。)
多少怖いことを考えるおキヌ。やはり恋は盲目という言葉は真理なのだ。

「う・・・う〜ん。」

横島が目を覚まし、周りを見て現在の状況を把握する・・・。

「おキヌちゃん?一体なにが・・・?」

おキヌは確信する、一瞬の事だったため何があったのか横島は分かっていない・・・と。

「大丈夫でしたか横島さん。強力な霊が横島さんに攻撃したんですよ。ねえ弓さん、一文字さん?」

弓と一文字はおキヌの目を見た瞬間同じ事を考えた。『逆らったら死ぬ!』

「そ、そうですわ。強かったですわあの悪霊は・・・ねえ一文字さん?」
「あ、ああ。あんなに恐怖を感じさせる奴はじめてだぜ。」

一文字のセリフは多少的を射ている。

「そうだったのか。油断していたつもりはないのに・・・で、そいつはどうなったんだい?」

横島の疑問は当然だ。弓と一文字はおキヌをそっと見た・・・。
しかし、おキヌは笑顔で答える。

「大丈夫です!封印したから。」

確かに、確かに封印した・・・おキヌの心の中に・・・。弓と一文字、そして美智恵もそう思った。
その時黒塗りの車が彼女達の横に止まり、中からニ人の女性が降りてきた。

「こんにちは、美智恵さん。GS試験の打ち合わせは今日でしたよね・・・。」
「ふっふっふ、おキヌちゃんうそはいけないのね〜。」

小竜姫とヒャクメの神族コンビだ、もう少しでGS試験なのでその作戦などの打ち合わせをするためにやってきたらしい。
しかし、今回もヒャクメは余計なことを言ってしまったようだ・・・。

「ヒャクメ様?ちょっとこっちへ・・・美智恵さん、小竜姫様、横島さん・・・わたしとヒャクメ様は後で事務所に行くから先に行っていて下さい。
弓さん、一文字さんまた明日学校で・・・。」

おキヌは有無を言わせぬ口調で言うとヒャクメを引っ張っていく。
どこからかドナドナが聞こえてくるようだ・・・。

「誰か助けてなのね〜〜〜〜〜。」

ヒャクメの悲痛な叫び声が響いたが誰も助けることはできなかった・・・。


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