ザ・グレート・展開予測ショー

愛しき者達の為 4


投稿者名:gosamaru
投稿日時:(03/11/16)

横島は、部屋に戻ると朝食時に両親を説得出来たことを思い出しながら、真面目に答えてくれた両親に対して、僅かながらの後ろめたさと感謝の気持ちを抱いていた。


(親父やお袋には、感謝だな・・・・・少し後ろめたい気持ちも有るけど・・・・もう俺は後悔だけはしたくないんだ、その為にもこのチャンスを逃したくない!!・・・・・・
しかし以外にも親父が、修行場と先生を紹介してくれるなんてな・・・しかもこれから向かうから準備しろって言われてもな・・・・意外と近場なのか・・・・。)


これからの事を思うと、横島は期待と不安に胸が高鳴り体が熱くなってくるのを感じていたが、時計が目に入り慌てて準備を終えると、両親の待っているであろう場所へと駆け出すように部屋をあとにする。







誰も居なくなった部屋・・・・・・・薄い光がかろうじてカーテンの隙間から差している

外からの音も・・・・時計も時を刻む事を忘れたのか・・・・・・一切の音が聞こえない



キィ・・・・ガッ・・・・ガッコン!!


どこか遠くから・・・・・部屋の中に音が届き・・・・・・・響き渡る・・・・・錆びつ

き・・・動かない筈の・・・・歯車が・・・・・部屋の主を嘲笑うかのように・・・・・

動き出す・・・・・・やがて歪な歯車の音が遠ざかり・・・時が動き出す・・・・・・。







            糸車が廻り出す運命の糸を紡ぎだす様に
          
              







車は高速から国道に入る。
道は空いていて円滑に流れる、休日のお昼頃にも拘らず快適なドライブだ。
横島は、途中うつらうつらとしてしまったようで、車窓からの風景がはじめての場所に来てしまったのだと教えていた。


車はまっすぐな国道を走る。
沿道には、田畑が広がりその中に家が点在しており、少し離れたとこに町が見える。
横島が窓のガラスをおろすと、轟々と水の流れる音が聞こえてくる。
車は橋の上を走っている、おもわず身を乗り出し下を流れる川を眺める。


(へ〜ぇ。綺麗な所だな。おっ!!魚だ!!気持ち良いな〜。)



橋を渡りきった先には、鬱蒼とした森が見えた。
車はしばらく走ってから森の前に広がる駐車場らしき所へ停車した。



「よし到着だ。ここからは歩きだ。なーに30分もかからないさ、どうした忠夫。早く降りろ、約束の時間が有るんだからな。」

「そうよ。早くなさい、こういう事はきちんとけじめを付けなきゃ。」

「あっ。わかったよ・・・・・・・・・。」



両親に急かされ車を降りるが、横島は正直な所・・・・凄く不安になった。
目的地については、車に乗り込んだ時から、しつこい位に尋ねたのだが教えては貰えず、
その際の両親の態度にも気になっていた。


「本当に此処なの?家なんて見えないし・・・・。」


と疑問に感じていた事を聞いてみる。


「ん。そうだが、それが何か問題でもあるか?」

「まあー初めてだから不安になってるんだろうけど大丈夫よ。心配しないで付いてきなさい。」



と大機と百合子はさっさと歩き出す。
横島は、慌てて遅れないように付いていく。
そこは、常緑の松や檜もあれば小楢や鶏爪椛のような落葉樹も混在していて、いわゆる雑木林なのだが、目立たない程度に刈り込みなどの手入れがなされているらしく、ごくごく
自然な風合いを保っている。


大樹と百合子は、その森の中にひっそりと隠れるようにしてある古びた木の門を入って行く。
横島も続いて門をくぐった瞬間、違和感を感じ意識を集中させる。


(結界が張られている。それも相当に強力だ、これだけの力を持つ人が居るとは思わなかったな。この人に師事することが出来れば、最高かもしれない。)


横島は背中をゾクゾクとする感覚に浸りながら、両親と共に木々の間を抜けながらしばらく歩くと、ようやく屋敷の渡り廊下の横あたりに出た。
そこには、作務衣を着た人たちが縁側のほうに立っていた。
横島達の姿を見るなり、その人たちは一斉に頭を下げ同時に言葉を発する。



「「「「「「「「お帰りなさいませ!!!!若様御一行!!!!」」」」」」」」



大樹と百合子は、顔を引きつらせながらもそれに応えている。
もう横島には何が何やらさっぱりでこの光景を理解できず、固まってしまう。





横島の思惑を超え・・・・そして歯車は廻り出す。

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