ザ・グレート・展開予測ショー

知ってるようで知らない世界―13―


投稿者名:誠
投稿日時:(03/11/16)




「どうすんだ!これから。」
「どうするって言ってもこの悪霊達は私達を遊園地から逃がさないようにしていますわ。」
「そうですね・・・。でもこれだけの力があるネクロマンサーがなぜパイパーの手下なんかやってるんでしょうか?」
「それは・・・。」

三人は悪霊から逃げながら話し合っている。
すると、地響きと共に地面が割れてその割れ目から巨大なネズミが飛び出してきた。

「ネ、ネズミ!」
「たぶんあれがパイパーの本体ですわ・・・なんて大きいネズミですの。」

悪霊は三人を取り巻くだけで襲ってこようとはしないが囲まれているため逃げることもできない。
どうする?三人の間を緊張が走る。さすがにかなり不利な状況だ・・・。
その時、巨大ネズミの額あたりからパイパーが生えてきて、三人に話し掛け始めた。

「ホッホッホ、もうあきらめましたか。では、あなた達も子供にしてあげましょう。」

そう言うとたくさんのネズミ達がパイパーの周りに集まり、一匹を残して小さいパイパーになった。
そして、全員が笛を構えて吹き始める。

「な、なんて強力な霊圧ですの・・・。二人とも、耐えましょう!」
「そうだな、これを耐えたら攻撃を・・・。」
「はい、わたしが霊達の動きを止めるから二人はパイパーを攻撃して下さい。」

三人はあきらめずにガードの体勢をとる。あきらめたら終わりだというのを三人とも良く知っているのだ。

ミニパイパー達が笛を吹き終わり、ものすごい衝撃が三人に向かってくる。

―――『守』―――

その時一つの珠が飛んできて三人の足元から強力なドーム型の結界がはられる。

「ごめん、おキヌちゃん。待った?」

その声を聞いたおキヌは顔を上げて今一番来てほしかった、一番会いたかった男の笑顔を見た。

「よ、横島さん・・・なんですか?・・・修行はどうしたんですか?」
「ああ、ヒャクメがこの事件のことを教えてくれてね。急いで来たんだよ。」

そう言って横島は頭をかいた。
今までと変わらない仕草で・・・。
それを見て
おキヌの胸に温かい物がこみあげてくる。
おキヌは横島に抱きついた。

「えっと・・・おキヌちゃん?大丈夫?」

おキヌが怪我でもしてるのかと思って多少慌てる横島、しかしおキヌの言葉はまったく予想外のものだった。

「ずるいです・・・。」
「へっ?」
「横島さん、ずるいです。こんないいタイミングで来て、かっこよく助けるなんて。ずるいです。」

おキヌのかなり理不尽な言葉に横島は何も言えなかったがおキヌに抱きつかれているので顔が赤くなっている。
抱きついているおキヌの顔も赤くなっている・・・・・がこのいい雰囲気を邪魔する者がいた。

「こらーーー!なにいちゃついているのですか。せっかく子供にしてやろうとしたのに邪魔をして・・・。」

そう、パイパーだ。やはり戦闘中に無視されては面白くないだろう。
しかもなにやらピンク色の空気を二人は発し始めている。これはもてない男にはつらい・・・。
見せつけられては邪魔するのも無理はないだろう誰だって邪魔をする・・・。
パイパーの突っ込みでパイパーの方を見て横島は口を開いた。

「おまえがパイパーか。で、単刀直入に聞くけどそこにいる一匹だけネズミのままなのがネクロマンサーだろ?」
「な、なにを・・・・・。」

パイパーは反論しようとするがかなりの慌てようだ。
まったく説得力が無い。その通りですと言っているようなものだ。
それを見て弓、一文字、おキヌそして横島はネズミがネクロマンサーだという確信を得た。

「横島さん何で分かったんですか?」

おキヌの疑問は当然だ。普通ネズミがネクロマンサーだなどと考えないだろう。

「ああ、ヒャクメがネクロマンサーはネズミだって教えてくれたんだ。
そしたら一匹だけパイパーの足元にいるじゃん。こいつしかいないかなって思って。」

それを聞いてパイパーはショックを受けている。
このネズミはパイパーが使い魔達を集めた時見つけたネクロマンシーを使えるネズミだ(原作にも出た。マーロウが殺したけど・・・。)
パイパーは横島の結界に攻撃が効かず、そしてネクロマンサーの存在までばれたので逃げを考えた。
だがそれがいけなかった。

パイパーが動かないうちに弓と一文字そしておキヌはさっきの打ち合わせ通り行動を起こしていた。

「くらえパイパー!」
「弓式除霊術奥義、水晶観音!」

一文字はありったけの霊力を拳にこめた。
弓は水晶の数珠を持ち、水晶の鎧を発動させる。
一文字は右から霊気をこめた拳で、弓は左から水晶観音で六本に増えた腕で殴りかかる。
おキヌは霊の邪魔が入らないように笛を吹き、霊の動きを止めている。

二人の攻撃に気づいたパイパーは慌てて後ろに飛びのいて攻撃をかわした。
しかし、そこに横島が霊波刀状態の栄光の手を振りかざして飛び込む。
栄光の手の甲には取得したばかりの力を使い『爆』の文字がこめられている。
弓、一文字の攻撃を慌ててかわしたため体勢をくずしているパイパーはよけることができない。

「くらえーーーーー!」

激しい爆発音がして、パイパーの頭部分が爆破され、そのまま栄光の手で真っ二つにされた。
パイパーは断末魔の悲鳴を上げることもできずに消えていった・・・。





「さて、これで終わりだな・・・。」

パイパーが除霊され、残ったネクロマンサーネズミも横島が殺した。
四人は子供にされた者達の記憶などがつまった風船を金の針で全て割った。
これでみんな元に戻るはずだ。
しかし他にもあるかもしれないという事で二手に分かれて探すことにした。

おキヌの強い希望でおキヌは横島と二人っきりで風船を探している。

「横島さん・・・なんか雰囲気変わりましたね。」
「えっ?そうかな?」
「はい、なんか今まではわざとふざけたりしてわたし達と必要以上に仲良くなるのを避けていたような気がして・・・。」

それを聞いて横島は小竜姫に言われたことを思い出して、おキヌに答える。

「おれ、不安だったんだよ・・・。いつかみんなとお別れしないといけないかもしれないとかって思って・・・。
でも、この後どうなるかわからないのなら今を考えて生きることが一番だって小竜姫様に言われたんだ・・・。
みんなもそれを望んでるって。だから後で後悔しないように今をしっかり生きようって、決めたんだ。」

横島は照れたように微笑んで言った。
それを聞いておキヌは小竜姫を恋敵(ライバル)と判断した。

「小竜姫様・・・ですか。でも、横島さんお別れなんて言わずにわたしと一緒にいてくれませんか?」

おキヌが真っ赤な顔をして多少遠まわしな告白の言葉を言った。
しかし、某所で鈍感王の名をいただいている横島はこれを告白などとは思わなかった。
(やっぱり悪魔と女の子三人で戦うのは心細かったのかな?)
などと考えた横島は見当違いの事を言い始める。

「おキヌちゃん、悪魔相手に三人でよく頑張ったね・・・。」
「えっ?」
「もう大丈夫、今日はおれも一緒に事務所まで行くよ。」

横島は笑っているがおキヌは多少遠まわしな告白を受け流されたショックでフリーズしている。

「おーいっ、もう風船はないみたいだぞ。」
「そうですわ。そろそろ帰りませんか?」

その時、風船が残ってないか見に行っていた弓と一文字が戻ってきた。

「氷室さん?どうしたんですの?」
「おキヌちゃんどうしたんだよ、かたまっちゃって・・・。」

おキヌはこの時ばかりは親友二人を恨んだ・・・。





一度一緒に帰ることにした横島も一緒に帰りの電車に乗った。

「横島さんも今度のGS試験に出るんですの?」

今まで自己紹介や今回の除霊の話しなどをしていた四人だったがやはり話しは次のGS試験の事になる。

「ああ、出るけど。」
「ま、マジかよ!さっきの攻撃見たら戦って勝てる気しねぇよ。」

横島の答えに手強いライバルが現れた事を知り、弓と一文字はそれぞれショックを受けたようだ。



その後、弓と一文字が黙って何かを考え込んでいるのでおキヌと横島は二人でしゃべっていた。

「お、着いた。三人とも降りようよ。」

横島に促され電車から降りたが二人は無言のままだ。

「おキヌちゃん、おれなんか悪い事言ったかな?」
「さあ・・・。分かりません。」

おキヌと横島が話していると弓と一文字が怖い顔で近づいてきた。

「な、なに・・・?」

横島が多少引きながらたずねると弓が先に口を開いた。

「GS試験で会いましょう。それまでに修行して必ずあなたを倒せるようになってあげますわ!」

そう言うと弓は歩いて去って行った。
すると次は一文字が横島にまくし立てる。

「今はあんたに敵わねぇ・・・。でも、試験で当たったら絶対に勝ってやるからな!」

言うだけ言って一文字は走っていった。

「ねえ、おキヌちゃん・・・。二人とも何考えてるんだ?」
「さ、さあ・・・。わたしも分かりません・・・。」

後には何がなんだかわかっていない横島と親友達の変わりように戸惑っているおキヌがいた。
どうやら弓と一文字は横島をGS試験のライバルに決定したようだ・・・。

「と、とりあえず美神さん達の所に行こうか。」
「はい、そうですね・・・。」

二人は教会へと向かって歩き始めた。




「うう・・・小さい令子・・・かわいかったのに・・・。何で戻っちゃうのよ!」
「知らないわよママ。おキヌちゃん達がパイパーを倒したからでしょ!」

神父の教会では出張から帰った美智恵が子供の令子を見つけて狂喜乱舞していたのだ。
しかし、その直後に令子、神父、ピートは元に戻って美智恵に何があったのかを話していた。

「はぁ・・・。そうなの・・・パイパーがね。でも元に戻ったって事はおキヌちゃん達がうまくやったのね。
それにしても令子あんたあっさりやられちゃったのね・・・。
まったく、プロ失格よ。」

美智恵が令子に説教をはじめる。

「う・・・。でも西条さんだと思って電話してたから・・・。」
「でもあんたねえ・・・。もしおキヌちゃん達までやられちゃったらどうしたの?」
「まぁまぁ美智恵君わたしもあっさりやられてしまったし、令子君も不意打ちでは仕方ないよ。」

神父が美智恵をなだめる。実際プロの令子と神父の二人は不意打ちであっさりやられてしまったのだ。
しかし、パイパーは見つからずに隠れて攻撃するぶんにはなかなか強力な相手だ。
それを考え、美智恵は再びため息をついた。

「まぁ今回はこのぐらいで許してあげるわ。でも令子もう少ししっかりなさい。
横島君が修行に行ってからあなた少し気が抜けてるわよ。」

美智恵の最後の言葉は余計だった。令子は真っ赤になって反論をはじめる。

「な、なんであいつがいないくらいでわたしの気が抜けないといけないのよ!大体ねぇ・・・。」

そこまで言った時教会の扉が開いて、

「大丈夫ですか?あ、元に戻ったみたいですね。よかったー。」

おキヌと、

「お久しぶりッス。神父も美神さんもやられちゃったみたいだからちょっと下山してきました。」

横島が入ってきた。
タイミングがいいとは言えないだろう・・・。
怒りの矛先を向ける物を探していた令子が横島に向かっていくのはある意味当然だといえる・・・。
横島は令子の表情を見て逃げ出した。それを令子は追う。

「待て〜!!」
「お、おれがなにしたって言うんですか〜!!」






その頃の妙神山・・・。

「うう、横島さん・・・早く帰ってきてほしいのね〜。小竜姫〜もう許してなのね〜。」

縛られて食事抜きの刑を命じられているヒャクメが涙ながらに謝っている。

「ダメです。あなたを簡単に許してもまた同じ事をやるでしょう?
今のうちにしっかりお仕置きしときませんと♪」

小竜姫はニッコリと笑って『何か』を持ってヒャクメの方に歩いてくる。

「しょ、小竜姫・・・そんなものでなにをするつもりなのね〜・・・。
キ・・・キャーーーーーーー!!!」

また妙神山にヒャクメの叫び声が響き渡った・・・。




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