ザ・グレート・展開予測ショー

知ってるようで知らない世界―12―


投稿者名:誠
投稿日時:(03/11/15)




「バブルランド遊園地・・・どうやって行くんですの?」
「タクシーは高いし・・・。」
「やっぱり電車かなぁ・・・・・。」
「でも、電車だと一般の方を巻き込みかねませんわ。見つかったら逃げ場もないですし・・・。」
「「「う〜〜〜〜〜〜ん。」」」

三人はどうやってバブルランド遊園地まで行こうか考えている。
しかし、いいアイディアが浮かばない。

「やっぱり、車が一番いいですわね。」
「車っていっても私達免許持ってないんですよ。」
「そうだぜ、車の運転なんてできねえよ。」
「大丈夫ですわ!わたくしが運転しますわ!乗って下さい!」

そう言うと弓は令子の車の運転席に乗り込んだ。
残る二人は後部座席に乗り込む。

「へ〜知らなかった。弓、おまえ運転なんてできたんだな。」

一文字が以外そうに弓に言った。

「大丈夫ですわ。グラン○ーリスモでコンピュータに勝ったことがあります!」

その言葉を聞いて一文字とおキヌの顔は真っ青になる。

「行きますわよ!」
「や、やめろー!」
「弓さん、やめてくださ〜い!」

しかし弓は止まらない・・・思いっきりアクセルを踏んだ。ちなみにギアはバックに入っている(汗)。
勢い良くバックする車・・・・・―――ガッシャン―――
衝突音が響いて教会の壁に穴が空いた・・・。

「く、車はダメですわ!電車で行きましょう。」
「そ、そうだな。途中で見つかったら緊急停車してもらって逃げよう。」
「そうですね。ならこれを持っていきましょう。」

おキヌは教会に突っ込んだ令子の車から一つリュックを取り出した。

「なにが入ってるんですの?」
「結構重いな。」

そう言ってリュックを開けた弓と一文字の顔が真っ青になった・・・。

「ひ、氷室さん・・・これはちょっとまずいんじゃ・・・。」
「大丈夫です!美神さんは勝つためなら何を使ってもいいんだって言ってました!」
「おキヌちゃん美神さんって・・・ヤクザ?」
「いえ、GSですよ。でも美神さんの事務所の稼ぎはヤクザより多いらしいですから・・・。」
「そ、そうじゃなくって・・・氷室さん?銃刀法違反って知っていますの?」
「じゅーとーほーいはん?なんですかそれ?」

最近まで幽霊だったおキヌは常識に疎いとは思っていたが・・・。
弓と一文字は顔を見合わせため息をついた。

「まあいいや。行こう・・・。」
「そうですわね・・・。とりあえず駅に行きましょうか・・・。」

三人は持ち物検査をされたらすぐに捕まってしまうだろう。
しかし弓と一文字はそんなことを気にしている場合ではないということで納得しておくことにした。





「しかし、悪魔パイパー・・・教科書には封印されたって書いてあるぞ?」
「力を少しずつ回復したのでしょうね。そしてこの針を手に入れたら・・・。」

そう言って弓は険しい顔で金の針を見た。
三人は電車でバブルランド遊園地に向かっている。
しかし真っ直ぐ向かうとすぐ発見される恐れがあるのでわざと遠回りのルートを選んで近づいていっている。
それがうまくいったのか遊園地の近くまでなんとか見つからずに近づけていた。
・・・が、弓の霊感が悪霊の接近を告げる。

「二人とも!来ましたわ!」

そう言って弓は窓の外を睨む。そこには大量の悪霊がいて車内を見ていた。

「ネクロマンサーの霊力が回復したんだな・・・。」
「氷室さんの霊力はどうですの?」
「わたしも大分回復していますよ。」
「なら今は霊力を使わないように、向こうは少しづつ霊力を消費しているはずですわ。」
「はい。」
「いくぜ・・・3、2、1、0!」

一文字が緊急停止レバーを引くと電車は音をたてて停車した。
電車と並走していた悪霊達は勢いを殺しきれずに通り過ぎていった。

「行きますわよ!そう距離はありません。一気に遊園地まで行きますわ!」
「はい、作戦通りにやりましょう。一文字さん頑張って下さいね!」
「お、おう!まかせろ!」

三人は遊園地に向けて走っていく。後ろには迫ってくる悪霊達・・・。
遊園地の入り口の目の前で一文字が悪霊達に向けて破魔札を投げつけた。
強烈な爆音がして前列の霊が吹き飛ぶ。

「じゃあわたしは作戦通りあっちに行くぜ!」
「分かりましたわ。失敗したら許しませんわよ。」
「分かってる!じゃあ二人もしっかりやってくれよ。」

そう言うと一文字は二人とは違う方向に走っていった。
爆発から逃れた霊達は針を持っている弓とおキヌを追う。

「さあ、氷室さん。わたくし達も行きますわよ!」
「はいっ!」

二人は霊に追われながら『ある場所』に向かって走って行った。






「よしっここだな。本体を隠しておける場所は地下しかない・・・か。」

そう言って一文字は遊園地の見取り図を見つめる。
その見つめる先には地上から地下へと向けて走るコースターがあった。

「後はおキヌちゃんと弓があの悪霊達をうまく誘い込めば・・・。よし、急ごう。」

一文字は待ち合わせている場所へと走り出した。







―――ハァハァハァハァハァ―――

横島忠夫は走っている。
バブルランド遊園地、そこでおキヌ達が戦っているはずだ。
もしやられていたら・・・そこまで考えて首を振っていやな考えを振り払う。

「くそっ!間に合ってくれよ!」

横島は焦っていた。バブルランド遊園地まで後少し・・・・・。








「あ、弓さん。見えてきましたよ、あれじゃないですか?」
「そうですわね。じゃあ一気に入りますわよ。」

二人はそのまま走って『お化け屋敷』へと駆け込んでいった。
二人を追っている悪霊達もそれを追ってお化け屋敷の中に入っていく。
全ての悪霊が入りきった所で一文字が入り口の所に現れた。

「よし、うまくいってるみたいだな。」

そう言うと一文字はお化け屋敷の入り口に札を貼った・・・。





「出口ですわ、氷室さん笛を!」
「はい!」

お化け屋敷を抜け、おキヌは笛を吹き悪霊の動きを止める。
弓はお化け屋敷の出口に札を貼った。

「もういいですわ、氷室さん。霊力は残しておきませんと。」
「はい、でもうまくいってよかったですね。」
「そうですわね、後はこれを・・・。」

弓はそう言うと害虫駆除に使うようなもの(一応除霊道具だ)をお化け屋敷に投げ込んだ。
煙がお化け屋敷内に充満し、悪霊達が消えていく・・・。

「お〜〜〜い。大丈夫か?」
「一文字さん、そっちこそ大丈夫でしたか?」
「そうですわ。あなたに任せるのはかなり不安でしたのよ。」
「な、なんだと〜〜〜!」

いつも通り喧嘩を始める二人を見ておキヌはため息をついた。

「それで一文字さん、地下につながってそうな所は見つかりました?」
「ああ、多分コースターが地下に向かっていると思う。」
「あなたの言う事だからいまいち信憑性がないですがとりあえず行きましょうか。」
「なんだと〜〜〜!!」
「もー、二人とも喧嘩してる場合じゃないでしょう!」

三人はいつも通りの会話をしながらコースターの方へと向かって行った。
お化け屋敷で悪霊達を一気に倒したことで三人は有利になった。
相手のネクロマンサーの霊力はかなり減っただろうし、道具を使っての除霊だったため霊力の消費がほとんど無い。

パイパーが自ら分身を送ってこないことから三人はパイパーは無駄に使える力があまり残っていないと判断した。
そして厄介なネクロマンサーの霊力を減らしてパイパーとの戦いに集中できるようにしようとしたのだ。
この二つを考えて三人が立てた作戦が『密室で滅殺♪作戦』だ。
ちなみに氷室キヌ立案、命名のなかなかいい作戦である。





「このコースター電源通ってないですよね・・・。」
「ってことは?」
「レールの横を歩いて行くしかないですわね。」
「「「ハァ」」」

三人は思いっきりため息をついてレールに沿って歩き始めた。
道を進むにつれてだんだん真っ暗になっていく・・・。
三人が警戒しながら歩き続けるとやっと下り坂が終わった。
しかし、そこにはたくさんの水がたまっていてまるで池のようになっている・・・。

「もしかしてこの水の向こうにいるんですの?」
「げー、いやだぜこんなところ入るの・・・。」
「そうですね、制服が汚れちゃいますし。」

三人が口々に文句を言っていると、

「ホッホッホ、これ以上進む必要はないよ。」
「パ、パイパー!美神さん達を元に戻しなさい!」

突然現れたパイパーを見て三人は身構える。
しかし、パイパーはなぜか笑ってこっちを見ているだけだ・・・。

「くっこの先にあんたの本体があることぐらい分かってんだよ!」

一文字がパイパーに叫ぶ。しかしパイパーは笑ったまま動こうとはしない。

「キャア。」

おキヌが叫び声を上げた。

「どうしたんですの?氷室さん?」
「す、すみません。ネズミが肩に乗っていて・・・・・あれ!無い!針が無い!」
「な、なんだって?」
「ど、どこに落としたんですの?」

三人は針の紛失を知り慌て始める。それを見たパイパーが声を出して笑い始めた。

「ホーッホッホッホ!あなた達の探している針はさっきいただきましたよ。
言ってませんでしたか?ネズミは我が使い魔・・・。意のままに動いてくれるんです。
さぁ、本体に戻りますか。本体に戻ったら真っ先にあなた達を子供にしてやりますからね!」

そう言うとパイパーは姿を消した・・・。

「ど、どうしましょう。ごめんなさい、わたしが取られたせいで・・・。」

俯くおキヌ・・・。

「仕方ありませんわ。それにこんな所で戦うのは不利ですわ。
早く上まで行きましょう!」
「そうだな。広い所の方が戦いやすいしな。」

三人は地上へと駆けだしたが背後から悪霊達が追ってきた。

「もう霊力回復したのか!」
「し、信じられませんわ!」
「とにかく早く地上に・・・。」

三人は全速力で地下から脱出した。









「ホッホッホ・・・。やっと元の力を取り戻せる・・・。
とりあえずこの国の人間をすべて子供にしてしまいましょう。」

そう言うとパイパーは本体である巨大なネズミに重なっていった・・・。



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