お電話、ありがとうございます。
投稿者名:BOM
投稿日時:(03/11/14)
プルル・・・ガチャッ
プルルル・・・ガチャッ
「・・・・・・はぁ・・・・・・」
そう深いため息をついた後、おキヌはベッドに倒れ込み、枕に頭をうずめた。
(何で、こんなことができないんだろう?ただ、電話をかけるだけなのに・・・)
そう、ただ電話をかけるだけ。
相手先の電話番号を押し、相手が出るまでの間の呼び出し音を聞き、相手に用件を伝えるだけのこと。
それでもおキヌはその過程を踏めずにいた。
最初は緊張のせいか、電話をとっては戻し、取っては戻しの繰り返し。それを20分もしていたし。
その後は電話の通話ボタンを押しては切って、押しては切ってのくりかえしを30分。
そして今はやっとのことで呼び出し音を待つ段階に入れた。
しかし・・・
プルル・・・ガチャッ
プルルル・・・ガチャッ
・・・・・・の繰り返しである。
コール音は長くて1回、短いときには鳴った瞬間に切ってしまう。
もちろん、相手が出るわけがない。もしかしたら、気づいてないかもしれない。
それでもおキヌは掛け続けていた。相手は、横島。
昨日、おキヌは携帯電話を購入した。
淡い水色をベースにした明るい色で、手のひらサイズ。もちろんカメラ付き。
そして一番最初に通話する相手は横島と決めていた。
その上・・・
(明日はせっかくのお休みだっていうのに・・・何で私ってこう不器用なんだろう?
朝から丸一日お休みだってのに・・・弓さんや魔里さんとも遊ぶ約束してないし・・・
『横島さん、明日暇なら一緒にどこか遊びに行きませんか?』っていうだけなのに・・・
返事はどーであれ、掛けなきゃ何も始まらないのに・・・・・・)
「どーしてこんな簡単なことができないんです〜〜?」
足をバタバタさせて枕に顔を押しつけてそう叫ぶおキヌ。
枕に声は吸収されて、叫んでもささやき程度にしか聞こえない。
「・・・やっぱり怖いのかな?断られるのが・・・」
そう思ったが、その可能性はほとんどないに等しかった。
ましてや相手はあの横島だ。断れるような男ではない。
「それにこの前は2人でお化け屋敷にも行ってきたし・・・
腕とか組んじゃったりして、少しは進展したはずだし・・・」
この前、とはデジャヴーランドに美神を助けに行った時のことである。
「あう〜〜」
枕にそう言いながら、今の自分の恋愛状況を考えるおキヌ。そして、
「よし!決めた!今度こそ、横島さんに電話かけよう!」
そう言ってケータイを取って通話ボタンを押し、
「プルルルル・・・プルルルル・・・
はい、横島ですけど?
よ、横島さん?あ、あの、わた、わた、私、おキヌですけど・・・
お、おキヌちゃん!?どーしたの?こんな夜中に?
あ、あの、その、今、新しい横島さんからケータイは暇ですか?と昨日電話を・・・・・・」
プチッ ツーツーツー・・・
「・・・・・・一人芝居でこんなんじゃ、本番はもっとダメじゃないですかぁ!?
こんなんじゃお話できませんよ〜!」
ケータイを片手に悩むおキヌ。悩みすぎて頭が痛くなってきた。
こーゆー時は気分転換した方が良い。
「・・・・・・何でなんでしょうかね?う〜〜、シャワーでも浴びてこようかな・・・」
ガチャッ パタン
パタパタパタ・・・
おキヌが部屋を出て数分後、つまりシャワーを浴びている頃、
ベッドの上に置いてあったケータイの着メロが鳴り響いた。が、5回ほどコールしてから切れた。
ガチャッ パタン
「ふぅ、気持ち良かった。・・・あれ?何だろ?
不在着信記録1件・・・?」
不思議に思いそれをチェックするおキヌ。するとそこには・・・
「この番号、どこかで・・・?あっ!もしかして!」
すかさず先ほど自分が掛けていた番号を確かめてみる。
そしてその番号を先ほど掛かってきた番号と照らし合わせてみる。結果は・・・
「やっぱり、横島さん!」
電話を掛けてきた人は横島その人。先ほどまで自分が掛けていたその人。
(何か・・・嬉しいな。・・・でも何で私の番号知ってるの?まだ教えてないはずなのに・・・)
ちょっと不安に思いつつ、それでも嬉しそうに横島にリダイヤル。
今は呼び出し音が早く終わるのが待ち遠しい。早く横島の声を聞きたい。
プルルルル・・・
プルルルル・・・
「はい、横島ですけど?」
「あ、あの、横島さん?私、おキヌですけど・・・」
「おキヌちゃん?やっぱりか、よかった・・・」
「やっぱりって何ですか?その前に何で私のケータイの番号知ってるんです?」
「何でって・・・おキヌちゃん、覚えてないの?」
「はい?」
「今日の仕事の帰りに教えてくれたじゃん。美神さんの車乗ってるときに」
「え?・・・・・・・・・あーーーーーーーーーっ!!そう言えば・・・」
(そうだった・・・横島さんに教えたんだったっけ)
「もしかして、忘れてた?」
「あうう、スミマセン・・・」
「ま、いーっていーって、気にしてないし。それよりさ、おキヌちゃん!」
「は、はいっ!?」
「明日・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後に人工幽霊壱号はこう語る。
『その日、美神除霊事務所の一室には、夜遅くまで明かりが灯っていました。
そしてその翌日、おキヌさんはとても嬉しそうに出掛けていったのです。』
おしまい
お知らせのこーなー!!
皆さんに嬉しいお知らせです!11月10日、なんと!
♪GTYの送信容量が激増しました♪
これまでの約2倍近い容量を一気に送れる模様です!
これで前後編に分ける手間などが省けたりしますね♪
これもひとえにfukazawaさん、斑駒さん達の働きがあってこそです!
この場を通してお二人をはじめ、多くの方々に深く御礼申し上げさせて頂きます。
さあ、今後のGTYのよりよい繁栄を願いましょう!
このお知らせについて、詳しくはマリあんのトップページを御覧下さい。
お知らせのこーなー、おしまい。
今までの
コメント:
- ど〜も、BOMです。
ますは、容量激増に感謝です♪ありがとうございます!
さて、今回のお話ですが本来は「おキヌが何でもない電話を掛けるのに躊躇う」というテーマでした。それが自分の力量不足により、なんかちょっとだけラブな話になってしまいました。ゴメンナサイ、本当に力量不足でして・・・
まあ、こんな文でも楽しんでくれれば本望です。ではっ! (BOM)
- くっ騙しかと・・・落ちがあると思ってたのに・・・最後までほのぼのとは・・・。
ちょっとショック。
でも、おキヌちゃんがうれしそうでよかったです。次回作は秋さがしですか?
頑張って下さい (誠)
- おキヌちゃん、次回は自分から誘えるように、ふぁいとですよ〜♪
自分から誘うのは、最初は勇気がいりますけど、一回慣れちゃえば誘いほーだいの甘えほーだいで、あとはごろごろのふにふにです♪(←え?)
明日の天国のために、ガンバ!です〜♪ (猫姫)
- どーもーヒロでっす〜
いやいや、力量不足だなんて・・・ここまで描ければ素晴らしいかと思いますよ。く、そーなると新人さんで一番ダメダメじゃん!僕ァァ・・・(鬱)
で、GTYの送信容量の激増!!素晴らしいですよ、これ!
しかも3000マリ円(違うやろ!!)これは買いですよ?今すぐ電話しなくっちゃ。
0120−斑駒ー万歳!!(って激しく違う!!)(これに携わった皆様、申し訳ないです)
でわでわ〜これからも頑張って下さいませ〜 (ヒロ)
- 取りあえず作者様ではなく、おキヌちゃんに突っ込ませていただきます。
横島クンの番号くらい即電話帳登録しなさい! ……以上です。
で、何度も電話すればそりゃコールバックされるよ! って思ったけど、
横島クンですからね。ケータイなんて持ってないでしょうね、きっと。
でも電話がかけられない心理ってわかります。
私も昔、ケータイなんて(今ほど)なくて当然番号通知なんてなかった時代に(ああ、年がバレる)
電話をかけるのにひたすら悩んで部屋中ジタバタした記憶があります。
別にデートに誘うわけでもなく、単に学校の用事だったんだけど、
それでも異性に電話かける度胸はありませんでした。
あの頃は純粋だったなあ(遠い目)。 (U. Woodfield)
- ども。4年前(え)好きな人に修学旅行のお土産を飼ってきたとユーのに、素敵なくらい根性がなかったせいで手渡し損ねた記号野郎♪♪♪です。もちろん、その人に電話かけた経験どころか、携帯の番号すら知りません(涙)
いやぁ。青春してるなあおキヌちゃん。自分の高校時代は本当に華のない、悲しすぎる青春だったのでうらやましい。
あの頃は私も若かった←(幾つだおどれわ)
そーなんですよね。これが本当のおキヌちゃんなんですよね。
自作であんなことこんな事させてるから、忘れがちになってしまいますが――嗚呼心が和む。 (♪♪♪)
- おキヌちゃんのもどかしさが伝わってきました。
好きな人に電話をかけるって、大変ですよね。ドキドキです。
幸せそうなラストがハートフルでした。
ではでは。 (KAZ23)
- あー。送信容量の規制緩和に私が寄与した部分は殆んど無いのですが……(汗&照)
誰もが共感できる『意識してしまう相手への電話』というネタで、おキヌちゃんというキャラが綺麗に描かれていたと思います。
電話って離れたところにいる相手との距離をイッキに縮める魔法の道具ですよね♪
嬉しそうなおキヌちゃんに文句なしの一票です。
このお話のB面として横島くんサイドの話も書けそう…… (斑駒)
- ぼへ〜〜〜〜(ほのぼの)
はっ!ほのぼの感がいつの間にか俺に侵食していた。
・・・・・っていうくらい、ほのぼのしていて良かったです。俺、この頃お笑いか、シリアスしか書いてないからそれもあって有り難みみたいなのがあります。
次回も頑張って下さい! (DIVINITY)
- わー!チャットでお願いした「電話」の話だー!(挨拶)
ヨコシマンです。
あの時は軽い冗談のつもりだったのに・・・ほんとに書いてくださるとは(嬉し泣き)。
上で斑駒さんが仰ってるように、次は横島サイドへGO!てことで!(え?) (ヨコシマン)
- hazukiさんとハウンドさんを足して2で割ると、こういう感じな作品になりそうですねえ。
なんともワンパターンになりがちなネタですが、こういうお話は大好きです(^^ (マリクラ)
- 好きな人にかける電話って慣れないとドキドキですもんね、
そんな純粋なおキヌちゃんの恋愛に幸あれ!!w
そして横島編に突入決定・・・とφ(..。) (ユタ)
- コメント返しです。この後もコメントは構いませんよ♪
>誠さん
こればっかりは騙しなんてやってられませんよ。
おキヌちゃんがかわいそうじゃん!そんなことやっちまったら!
>猫姫さん
そうです!一回やっちゃえば後はこっちのモノ、甘えまくりです!
コメントどうもでした。『!』もUPしましたのでどぞヨロシク。
>ヒロさん
いえいえ、ダメなんてことありませんよ。面白いじゃないっすか!
そろそろヒロさんの短編も読みたいなぁ・・・とか思っちゃったりして。
>U. Woodfieldさん
こうやって共感して頂くことがこの作品の1つのねらいであったりします。
ご感想、誠にありがとうございました。 (BOM)
- >♪♪♪さん
これが本当おおキヌちゃんだと、自分も思います。
心が和んで下されば嬉しいです。ありがとうございました。
>KAZ23さん
>おキヌちゃんのもどかしさが伝わってきました
ありがとうございます。書いて良かったと思える作品になったような気がします。
>斑駒さん
キャラが綺麗に書かれていたと思って頂ければ嬉しいです。
んで・・・横島サイドですかっ!?・・・考えてもなかったよ・・・
>DIVINITYさん
ぼへ〜〜〜ってして頂けたことが嬉しいです。作戦成功だね(ふっふっふ)
今度チャット行きませんか?楽しいですよ。 (BOM)
- >ヨコシマンさん
だって書きたかったテーマだったし・・・(笑)
ってここでも横島編リクエストっすか!?じぇんじぇん頭にないのよ・・トホホ・・
>マリクラさん
>ワンパターンになりがち
う〜ん自分でもそう考えたんすけどね。ハートフルをめざしたのでそこはご勘弁を
>ユタさん
おキヌちゃんと横島は温かくて書いてるほうも好きな話です。
あぁっ!?もう横島編が決定事項に!?メモんないでくださいよぉ!(笑) (BOM)
- 携帯電話って、ホントに便利ですよねー(挨拶(笑))
初めまして、ロックハウンドです。
いや、良いですね。他の方々も言っておられますが、確かに用件、恋愛、事情を問わず、異性への電話はドキドキものです(笑)
おキヌちゃんの一人芝居に笑ってしまいました。爽やかな読後感を下さった事に感謝して、賛成の一票を投じます。 (ロックハウンド)
- >ロックハウンドさん
やっぱり異性への電話は緊張しますよね。心臓がバックンバックンいきます(笑)
>おキヌちゃんの一人芝居に笑ってしまいました
よかった・・・ここはどうやって笑わそうか悩んだんす。笑って頂きありがとうございます(笑) (BOM)
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