ザ・グレート・展開予測ショー

知ってるようで知らない世界―11―


投稿者名:誠
投稿日時:(03/11/14)





「クッ!人工幽霊壱号!あんたの結界はどうしたの!」
『すみません、オーナー。何者かによってわたしの結界が解除されてしまっています・・・。』
「なんですって。こいつら、いくら倒しても沸いて出てくるからきりが無いのよ!」

令子は事務所で裏帳簿のチェックをしていた。
すると、いきなり大量の悪霊が窓を突き破って室内に侵入してきたのだ。

「も〜、なんでこんなに・・・。こんな奴等に何でてこずらなきゃいけないのよ。
いつもならおキヌちゃんが一発で・・・。」

令子がそこまで言ったとき、待ち望んでいた笛の音が聞こえてきた。
―――――ピリリリリリリリリリリッーーー―――――
しかし、いつもならすぐ成仏するはずの悪霊が動きは止めたものの消える気配が無い。

(何かがおかしいわ・・・)

令子がそう思いつつ、動かない悪霊を神通棍で強制的に成仏させていると、

「美神さん!大丈夫ですか!」

おキヌが笛を片手に部屋に入ってきた、その横では弓、一文字の二人が霊を倒している。

「大丈夫よ!ありがとう、おかげで助かったわ。」

そう言い放つと令子は残っていた三体の悪霊を倒してた。
今までどんどん入ってきていた霊はとりあえず収まったようだ。
とりあえずおキヌは弓、一文字を令子に紹介し、何があったのかをたずねる。

「どうしたんですか?こんなたくさんの霊がなんで事務所を襲ってくるんですか?」
「知らないわ。でも、何かに操られてるって感じだったわね・・・。
もしかしたら・・・・・?でも、なんでここを?」
「おねーさまは心当たりがあるんですの?」
「ええ・・・、もしかしたらネクロマンサーかも・・・。」
「えっ!おキヌちゃんと同じネクロマンサー?
でもなんでネクロマンサーが美神さんを狙ったんだ・・・ですか?」

一文字がいつもの言葉遣いをしてしまい慌てて敬語にかえたのを見て令子はクスリと笑った。

「いいわよ、普通に話してくれれば。
わたしもここを狙ってくるような奴の心当たりは・・・たくさんあるけど。
たぶん間違いなくネクロマンサーだわ。
さっきのおキヌちゃんの笛で動きは止まったのに、成仏しなかったし。
ネクロマンサーってのはそんなにたくさんある能力じゃないわ。
世界でも本当に少ない希少な能力なのよ・・・。
ママに相談しようにも出張中だし・・・そうだ!おキヌちゃん、ついてきて。」

そう言うと令子は部屋を出ようとする。

「待って下さい、おねーさま・・・あの、わたくしも連れて行っていただけませんか?
決して足手まといにはなりませんから。」
「ちょっと待った、ならわたしも行く!おキヌちゃんも行くんだろ?
わたしでもおキヌちゃんの護衛くらいはできると思うし・・・。」

令子は少し考えた。
横島がいないし、おキヌを護衛しながら戦わないといけない・・・。
さっきのようにおキヌなら悪霊を止めれる、ならおキヌを連れて行けば有利だ。
しかし、おキヌの力が効かない霊もいる、そいつらがおキヌを直接狙ったら・・・。
そこまで考えて令子は二人を見る。
二人ともさっきの戦いを見る限りでは半端なGSより強いだろう・・・。

「わかったわ。でも二人に危険な事をさせるわけにはいかないわ。
ちゃんと指示を聞いて無理はしないようにしてちょうだい。」
「「はい!」」

二人の返事を聞いて令子は満足そうに頷くと三人を促し、ガレージへと向かった。





「いいかい、ピート君。この静かなひと時・・・これも神の恩恵なんだよ。
自分の罪を省みて、それを懺悔する・・・。それだけで心が軽くなるでしょう。」
「はい、先生・・・。先生はなにを懺悔しておられるのですか?
毎日のようにしておられるようですが・・・。」
「そ、それは・・・。」

神父がピートに答えようとしたとき、教会の外で車の急ブレーキ音が聞こえ、続いて教会のドアが激しい音を立てて開いた。

「神父!わたしの事務所が悪霊に襲われたのよ!わたし何にもしてない・・・と思うのに!」

令子が教会に入ってきていきなりまくし立てた。

「おお、神よ。このような弟子を世に送り出してしまったことを許したまえ!
願わくば罪多き彼女に慈悲を・・・許しを〜!!」

涙を流しながら神に祈る神父。何本か髪が抜けていっている・・・。
彼の頭が軽くなっても心が軽くなることは難しいだろう・・・。



「で、令子君・・・、何があったんだね・・・。」

やっと正気に返った神父は疲れた顔で令子に聞いた。
令子はとりあえずあったことを話した。相手がネクロマンサーであろうことも含めて。
神父は少し考え込んだが令子にたずねる。

「令子君、今何か厄介な事件を抱えていないかい?」
「今抱えてんのは神父も知ってるあれと、それから・・・パイパー、悪魔パイパーの事よ。」
「パイパー!あのパイパーかね?でも奴にネクロマンシーはできるはずが無いのだが・・・。」

神父はまた考え込んだ。ちなみに令子が言った『神父も知ってるあれ』というのはGS試験のことである。
弓、一文字がいるので教えるわけにもいかない。

「そうよ、ハーメルンの笛吹き・悪魔パイパー・・・。
会社が経営破綻して工事が中止されたバブルランド遊園地、そこで子供になった作業員が発見されたわ。
たぶんパイパーの仕業だと思って奴の力の元であるこの金の針を取り寄せたんだけど・・・。」

そこまで言った所でどこからともなくなにやら音が聞こえてきた。
―――チュラチュラチューラーチューラーラー―――

「ヘイッ!」

妙な掛け声と共に神父が子供になった。

「探していた金の針がこんな所にあったとは・・・。その針を渡せ!」
「あんたがパイパーね・・・。よくも神父をやってくれたわね!
人間を子供にするなんてせこい能力のくせに。このロリコン!」

令子はそう言い放ち、パイパーに向かっていく。
しかし、令子の周りを悪霊の大群が囲んだ。

「おキヌちゃん笛を!弓さん、一文字さんはおキヌちゃんのガードをお願い。
ピート!あんたは雑魚霊の除霊を。パイパーはわたしが殺るわ!」

令子の指示で全員が動く。
おキヌは笛を吹き、霊を止める。弓、一文字はおキヌを襲う霊を倒す。ピートは動かない霊を倒していく。
令子はパイパーに笛を吹く暇を与えさせないよう連続で切りつける。

「パイパー、あんたにネクロマンシーなんてできるわけないわよね・・・。あんたなにをしたの?」
「ほっほっほ、簡単に教えると思うかい?君みたいな生意気な大人は子供に戻ればいいんだ!」

そう言うとパイパーは令子に向けて霊波を放つ。しかし、

「本体じゃないあんたなんか笛吹かなきゃただの雑魚なのよ!」

叫びながら令子は霊波を神通棍で弾き、そのままパイパーに渾身の力で切りかかった。
パイパーは真っ二つに切り裂かれて消えていく。

「ふんっ分身程度じゃこんなもんね。みんな、大丈夫?」

令子が尋ねたとき、最後の霊がピートによって倒された所だった。

「美神さん、神父が子供になっちゃったんですけど・・・。」
「大丈夫よ。奴の本体の所に行けば戻せるわ。でも、あいつずいぶんあっさりやられたわね。」
「これからどうするんですの?おねーさま。」
「とりあえず、西条さんに連絡してGメンに協力してもらいましょう。
パイパーだけならともかく、ネクロマンサーまでいるなんてきついわ。」

そう言って令子は電話を取り、Gメンへの番号をプッシュした。

『はい、西条です。』
「あ、西条さん。大変なのよ、神父が・・・・・。」

令子は電話に向けて起こった事を話し始めた。

「これで一安心ですわね。一時はどうなるかと・・・。」
「そうだな、あの神父が子供になった時はビックリしたし。」
「でもまだ終わってないですよ。まだパイパーを倒さないといけないし、ネクロマンサーだって・・・。」

弓、一文字、おキヌが三人で話しをしている。ピートは子供になった神父の世話をしている・・・。
そのとき、ポンッという音がして令子が子供になってしまった。

「え!美神さん!なんで・・・・・。」

おキヌが令子に駆け寄る。

「電話だ!電話に出たのはパイパーだったんだ!」

ピートが叫び、全員が電話から離れる。

「まさか・・・美神さん無しで何とかしないといけないんですか?」
「おねーさま無しで、ですの?そんな・・・。」
「でも、Gメンへの電話に奴が出たって事はGメンに行ってもダメなんじゃねえか?」

三人ともかなり慌てている。今までの除霊にはプロが最低でも一人は一緒だったのだ。
ここでピートが口を開いた。

「とりあえず知り合いのGSの力を借りましょう、実際に会いに行ったほうがいいと思います。」
「なんでですの?」
「電話はまた待ち伏せされるかも知れませんから・・・。」

そこまで言ったとき、パイパーが再び教会に現れた。

「ほっほっほっ、ぼくが簡単にやられると思うかい。さっきはやられた振りをしただけさ。」
「なっ!みなさん、ここは僕に任せて針を持って早く行って下さい!」

ピートはそう言うとパイパーに向かって飛び掛った。

「ピートさん!」
「大丈夫です、さっきみたいに悪霊達が一緒に来ないという事はネクロマンサーの霊力が切れたんだと思います。
霊力が回復して敵の数が増えないうちに早く!」
「は、はいっ。分かりました。」

そう言うとおキヌ、一文字、弓は教会を飛び出して行った。

「あの女はもう子供になっちゃっただろう?おまえ達だけでどうするつもりだい?」
「だまれっ!僕でも足止めくらいできる!おまえなんか他のGSが来たらお終いだ。」

ピートはパイパーに向かって行った・・・。





「あの人は大丈夫なんですの?」
「はい、ピートさんはバンパイア・ハーフだし結構強いんです。
そう簡単にやられるわけないですよ。」
「で、これからどうすんだ?さっきの奴が言ってたみたいに誰かに手伝ってもらうか?」
「エミさんは確か出張中って言ってたし、冥子さんは・・・ちょっと不安だし・・・。
ああ〜こんな時に横島さんがいてくれたら・・・。」
「横島?ああ、あの一緒に働いているっていう・・・。そんなに強いんですの?」
「はい、横島さんは強いですよ。でも、今修行に行ってていないんですけど・・・。
どうしよう、他に知り合いのGSなんて・・・。」
「ちょっと待て・・・あれはまさか・・・。」

おキヌと弓が一文字が指差した方向を見るとこちらに向かってパイパーが飛んでくるのが見えた。

「あれは、パイパー?ってことはピートさんも子供にされちゃったの?」

焦る三人だがパイパーの分身は近づいてくる・・・だが真っ直ぐ近づいてくるわけではない。
三人は急いで物陰に隠れた。

「気づいてない・・・みたいですわね・・・。」
「ああ。」
「そうですね・・・。」
「こうなったら私達でやりましょう。奴は針がないと霊力を消耗するだけで派手に動けないっておねーさまが言ってましたわ。
気づかれないようにバブルランド遊園地に行ってパイパーを倒しますわよ!」

弓の言葉に二人ともそれしかないと頷いた。





そのころの妙神山・・・。

「横島さん、大変なのね〜。」
「どうした?ヒャクメ。」
「美神さんが悪魔に子供にされちゃったのね〜。」
「えっなんだって?」
「命に危険はないのね〜。それで、おキヌちゃんが友達二人と一緒に悪魔を倒そうとしてるのね〜。」
「おキヌちゃんが?他のGSはどうしたんだよ。それに友達って・・・。」
「神父とピートさんも子供にされたのね〜。それに友達っていっても霊能があるし二人とも結構強いのね〜。」
「強いったってさあ・・・。」

横島は不安を隠せない。

「横島さん、心配なら行って来てもいいですよ。実戦経験も必要ですし。
それに心配で修行どころじゃないでしょう?」

小竜姫がニッコリと微笑んで言った。

「横島さん、悪魔・パイパーの本体はバブルランドにあるのね〜。
詳しくはおキヌちゃん達が持っている金の針が教えてくれるのね〜。
美神さんがやられたって言っても不意打ちだったし、まともに戦えば勝てるのね〜。」
「私達は簡単に人界の事件に手を出すことができないんです。」

小竜姫が申し訳なさそうに言い、そしてパイパーの能力、弱点などを知ってる限り横島に教えた。

「ありがとうございます。じゃあ行ってきます。」

そう言って横島は走って山を降りていった・・・。


「横島さん行っちゃったのね〜、小竜姫・・・寂しいんじゃないの?」

にやりと笑ってヒャクメが小竜姫の方を振り向くと・・・
そこには、怒れる竜がいた・・・。

「ヒャ〜ク〜メ〜・・・よくも今までからかいまくってくれましたね・・・。」
「ちょ、ちょっとまってなのね〜」
「ダメです、お仕置きです!」
「い、いや〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!」

妙神山にヒャクメの叫び声が響きわたった・・・・・・・・・・。


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