ザ・グレート・展開予測ショー

知ってるようで知らない世界―10―


投稿者名:誠
投稿日時:(03/11/12)




「よ、横島さん!老師、横島さんは大丈夫なんですか?」

小竜姫が横島のもとに駆け寄り、猿神にたずねる。
その様子を見た猿神はニヤリと笑って言う。

「大丈夫じゃ。その小僧わしの突きを胸に受けたときサイキックソーサーで多少威力を軽減しおった。
まったく、小器用な男じゃ・・・。
さて、小竜姫わしは神界に行って来る・・・確かめねばならんことができたからのぉ。」
「確かめねばならないこと・・・?
それは横島さんに何か関係があるんですか?」
「なんじゃ小竜姫、お主その小僧に惚れたのか?そんなに心配して・・・。」

ニヤニヤと人の悪い笑いを浮かべ、猿神は小竜姫をからかう。
小竜姫は真っ赤になって否定する。

「な、ちょっ、老師!なんでわたしが・・・その・・・・・。」

俯いた顔を上げた小竜姫は猿神がいない事に気がついた・・・。
少しぽかんとしていたがからかわれた事に気づいた小竜姫は猿神のゲームソフトを売ってやることを心に決めた。

「う・・・・。」
「あ、横島さん!気が付いたんですね・・・良かった。」

横島がうめき声を上げて上半身を持ち上げたので慌てて近寄り、背中を支えてやる。

「ふう、良かった・・・。成功なんですね。」
「ええ、あなたは見事に自分の潜在能力を引き出しました後はそれを理解して使いこなすだけです。
あ、横島さん治療をするので上着を脱いでください。」

小竜姫に言われ、横島は上着を脱いだ。相変わらず傷だらけで自分は見慣れているが小竜姫にとっては初めて見る物だった。

「こ、これが・・・美神さん達が言っていた傷跡ですね。
老師にやられた所は・・・あ、大丈夫ですニ、三日もすれば直りますよ。」

そう言うと小竜姫は服を着るように促した。

「で、後一ヶ月あるんですよね。その間の修行はどのようなことをするんですか?」
「それはですね、とりあえず習得した能力を使いこなすトレーニング。それと実戦です。」
「実戦?小竜姫様とですか?」
「いえ、わたしともですが他にもいくつかの式神とも戦っていただいて戦闘経験をつんでいただきます。
あなたは戦闘経験が豊富だと思われますが、戦闘中の思考が体の動きについていけていませんので思考を鍛えます。」

小竜姫は条件反射での回避などに横島の思考がついて来れるようにしろと言っているのだ。
横島は自分が覚えている実戦経験などでは令子や美智恵には及ばない。
文珠に必要な閃きや、判断力を養うためには実戦が必要だと小竜姫は考えていた。

―――グウウウウ―――

横島が慌てて腹を抑える。
小竜姫はクスリと笑って横島に微笑むと、

「その前にご飯ですね。部屋で待っていてください、ご飯作りますから。」
「あ、どうもすんません。」

横島は苦笑いして頭をかいた。



「横島さん、ご飯ができましたよ。」
「あ、ありがとうございます小竜姫様。あれっ今日は中華じゃないんですね。」

テーブルに並べられた料理は肉じゃが、焼き魚、味噌汁といった和食メニューだ。
加速空間の中では小竜姫はほとんど中華料理を作っていた。

「あの、横島さんは和食の方がいいかなと思ったもので・・・和食はお嫌いですか?」

少し上目づかい、しかも頬を染めて言う小竜姫を見て横島は不覚にもかわいいと思ってしまった。

「い、いやそんなことはないですよ。小竜姫様の作るものは何でもおいしいですし。」
「よかった。じゃあいただきましょう♪」

小竜姫は心底うれしそうに言う。
やはりこんな山奥に一人で住んでいるのは寂しかったのかもしれない、と横島は思った。
ちなみに猿神は修行者がいないときは大抵神界にいるらしい。(鬼門は忘れられている)

「あれ?老師はどこですか?待たなくてもいいんですか?」
「老師は神界に行っておられます。なんでも少しの間帰らないらしいのでとうぶんわたし達だけです・・・。」
(鬼門は忘れられている)

小竜姫の言葉に少し横島は動揺した。
馬鹿な自分を演じるのをやめると決めたがやはりこんな美人と二人っきり(くどいようだが鬼門は忘れられている)で意識しない男などいない。

(しょ、小竜姫様と二人っきり・・・結構最近仲良くなったしなんといっても美人だし・・・)

などと横島は考えている。(声にはでなかった。)
しかし、顔は多少赤くなり箸が止まっているので結構不審だ・・・。
そのとき、

「こんにちはなのね〜。」
「「えっ!ヒャ、ヒャクメ?」」

聞き覚えのある声に二人は同時に言った。
声のした方向には不良神族のヒャクメがいてニヤニヤしている。

「二人ともずいぶん仲良くなったみたいね〜。
でも残念なのね〜わたしが人界で起こっている不穏な動きを調査するために当分妙神山に派遣される事になったのね〜。
だから残念ながら二人っきりにはならないのね〜(やはり鬼門は・・・以下略)」
「「な、仲良くって!」」

横島と小竜姫は同時に言って顔を見合わせると俯いた。
その様子をニヤニヤしながらヒャクメは見ている。

「加速空間で何があったのか興味があるのね〜。
小竜姫、見せるのね〜!」

そう言うとヒャクメはなにやら吸盤のついた機械を取り出した。
横島の過去を調べようとしたあれだ・・・。

「ちょっ、ヒャクメ冗談でしょ?」
「冗談じゃないのね〜、見せるのね〜!」
「キャー!!」

横島は二人のやりとりを見ていたが正気に返り冷めないうちに料理を食べることにした。
妙神山はこれから騒がしくなりそうだ・・・。





修行場に鋼をぶつけ合うような音が響いている。

「横島さん、もっと踏み込みを鋭く、腰の捻りを素早くしなさい。
そうすればもっと突きのスピードが上がります!」

小竜姫の言葉を受け、横島は突きのスピードを上げる。
連続で栄光の手で突きを放つ横島、小竜姫は最初余裕を持って受け流していたが、どんどん鋭くなる横島の突きに余裕はなくなってきていた。

「よし、終了です。少し休憩した後式神との実戦トレーニングに移りましょう。」
「ゼイ、ゼイ・・・。はい・・・わかりました・・・。」

横島は荒い息をはきながら座り込んだ。

「は〜、横島さんも良くやるのね〜。小竜姫のいじめにここまで耐えるなんて。」
「ヒャクメ?あなたも鍛えてあげましょうか?」

小竜姫がヒャクメにニッコリと微笑んで言った。
その言葉を聞き、ヒャクメは額にでっかい汗を浮かべてあとずさる。

「え、遠慮しておくのね〜。じゃあ二人とも頑張るのね〜。」

そう言うとヒャクメは逃げて行った。

「まったく、でも横島さん。肉体的にかなり辛いでしょう?よく毎日頑張れますね。」

小竜姫はヒャクメの逃げて行った方に向かってつぶやくと横島を労う。
それに対して横島は少し息を整えてから答える。

「なんかおれ強くならないといけないって思うんですよ。
なぜか知らないけど強く、強くって。
自分の記憶なんかまったく思い出せないけどそういう強い気持ちだけが心の奥から湧き出てくるんです。」

そこまで言ってから横島はちょっと照れた顔になって続ける。

「それに今度の試験で強い魔族と一戦やらかさないといけないかもしれないんでしょ?
小竜姫様やみんなを守る・・・なんて小竜姫様よりも弱いおれが言っても、とは思うけどそれでもみんなを守りたいって思うんですよ。」

変ですかね?とつぶやいて横島は赤い顔で頭をかいた。
小竜姫は一瞬ポカンとした顔になったがすぐに笑顔を浮かべる。
今まで小竜姫を守るなどと言った者などいなかった。
なのに目の前にいる少年は、はっきりと守ると言った。
小竜姫はそれがなぜかとてもうれしかった。

「じゃあ次の修行に行きましょう。強くなって、守ってくださいね♪」
「はい。頑張ります・・・。」

小竜姫は微笑みを浮かべて上機嫌で、横島は赤い顔で照れながら言った。
横島の修行は始まったばかりだ。






ほのかに香る甘酸っぱい香り・・・
ここは女子高!
六道女学院、ここには霊能科という物がある。後少しでGS試験・・・。
この霊能科に通う者達にとって最後の、そして最大の目標。
しかし全員の出場が認められるわけが無い、彼女達は戦わねばならないのだ・・・。
GS試験に出場する権利を得るために。
弱い者を出場させても学校のレベルが落ちたのか?と業界の者に思われかねない。

だから出場できる者を選ぶ、クラス対抗マッチという舞台を用意して・・・。



「あ〜っ!そうじゃないって何度いったらわかりますの!霊力をもっと絞り込んで使いなさいって言ってるでしょう。」
「うっせーな。そういうちまちました戦い方は苦手なんだよ!」
「まあまあ二人とも・・・そんなに喧嘩しないで下さいよ。」

横島が修行に行ってから十日。
弓かおりと一文字魔理がけんかをして、それをおキヌがなだめるという彼女達にとってはいつもの光景が繰り広げられていた。
彼女達は六道女学院の三年生だ、今年は全員GS試験を受けて資格を獲得しようと考えている。
そう、彼女達は三人一チームでクラス対抗マッチに出場する事になっている。
そのクラス対抗マッチ、そしてその後に控えるGS試験のために放課後は特訓をしているのだ。

「はぁ〜、こんなんじゃ一文字さんあなたGS試験受かることなんてできませんわよ。」
「な、なんだよ・・・。どこが悪いってんだ?」
「あなたは確かに戦闘経験もあるし、攻撃力もあるんですがそんなずっと全力で戦うような戦い方ではすぐバテてしまいます。
もっと必要最低限の霊力を使って戦うことを覚えなさい!」
「うっ・・・。」

魔理は何も言い返すことができなかった・・・。
それを見たおキヌがフォローをする。

「弓さん、ちゃんと魔理さんも分かってますよ。
魔理さんも、弓さんはあなたの事を心配しているんですよ。」
「「う・・・」」

おキヌに諭されては二人とも何も言えない・・・。
やはり険悪なムードをあっさり変える事ができるということはおキヌの能力だろう。

「二人とも、今から事務所に来ませんか?美神さん今日は仕事無いって言っていたし、美神さんならどうやったら強くなれるか教えてくれますよ。」
「ほんとですの!令子おねーさまに会えるんですの?行きます!行きますわ!」
「お、おい弓・・・おまえ反応激しすぎだぞ・・・。」

興奮する弓に魔理は多少引き気味になるが彼女も令子にはあこがれている・・・。
結局三人はそろって事務所へと向かうことにした。



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