ザ・グレート・展開予測ショー

傷ばかりの天使!!(その22)


投稿者名:TAITAN
投稿日時:(03/11/12)

「いくぜっ!!サイキック・ソーサー乱れ撃ちぃ!!」
女性化した横島は、女独特の高い声で叫ぶ。
そして、掌から次々とサイキック・ソーサーを作り出し、それをマチュアに向かって、次々と投げつける。
「くっ!」
マチュアは扇を広げ、守りの体勢になる。
ドガガガガッ!!
次々と襲い掛かってくるサイキック・ソーサーを扇で防いでいくマチュア。
しかし、横島は攻撃の手を緩めない。
「どらららららっ!!」
叫ぶ横島。
しかし、その勢いも直ぐに終わった。
「ぜぇぜぇ。女に、ぜぇ、なったから、ぜぇ、体力が、ぜぇ、落ちてる・・・・。」
息を切らし、汗をダラダラ流している横島。
「だが、やった甲斐はあったみたいだな。」
横島は顔を上げ、マチュアの様子を見る。
「はぁ、はぁ・・・・。」
マチュアも横島と同じように、息を切らしていた。
着ているレオタードは、サイキック・ソーサー乱れ撃ちのせいで、ボロボロになっていた。
「私の服、よくもこんな風にしてくれたわね・・・・。」
マチュアの眼が怒りに満ちた。
「アナタも、こんな風にしてあげるわ。」
マチュアは、広げた扇を横に振るった。





ドドドドッ!!
「げっ!!」
今までとは比べ物にはならないほどの量の真空の刃が、横島に迫ってくる。
「サイキック・フィールド!!」
横島は右手を前に出し、掌から巨大なサイキック・ソーサー"サイキック・フィールド"を出す。
ガガガガガッ!!
サイキック・フィールドに、次々と真空の刃が当たっていく。
「くっ!お、重い・・・!」
衝突していく真空の刃の衝撃を必死に耐える横島。
しかしその衝撃は、女性の体となった横島には辛いものであった。
そして、ついにサイキック・フィールドが消える。
「くっ!!」
残っていた真空の刃を避ける横島。
しかし、小さい刃が、横島の右肩を斬り裂いた。
「ぐぁっ!」
傷は浅いが、そこから血が出てきて、痛みが全身に伝わる。
ブォンッ!!
「!!」
ドゴッ!!
「ぐぅっ!!」
休む暇も与えず、マチュアは扇を振るい、強風を放った。
その風により、横島は吹っ飛ばされ、背中を壁に強くぶつけてしまう。
衝撃と激痛が伝わっていく。
「ちっくしょ・・・・・。」
横島は呟いた。
(精気を吸われる危険性はなくなったが、このままじゃ・・・。)
「どうしたの?さっきまでの勢いは?」
マチュアは、横島を見て言う。
その口元は歪んでいて、妖艶な笑みを浮かべていた。
「くっ・・・。まだだ・・・・・。」
ゆっくりと立ち上がる横島。
「ムダなことをするのね、アナタ。」
マチュアは扇を振るった。
ヒュッ、ヒュッ、ヒュッ!
扇の先から、小さい真空の刃が飛び出し、横島の左肩、右脚、左脚を斬り裂く。
「うぅっ!!」
激痛が走り、横島はその場で膝をついてしまう。
「なんだか、アナタに興味が湧かなくなってきたわ、私。」
マチュアは溜め息をついた。
「私は女は嫌いだけど、自分の虜にならない男も、もっと嫌いなのよ。」
「・・・・・・。」
「アナタの他に、私の虜にならない男がいたわ。つい最近のことだけど。」
マチュアは言った。
「あの男・・・・。何て名前だったかしら。・・・・そうそう。」
次のマチュアの言葉に、横島は衝撃を受けた。
「ガルス・ゾト・メタリア国王だったわね。殺しちゃったけど。」
「!!」





それは、横島と西条が1度目の救出のため、エードリッヒ城に向かった時の頃・・・・・。
メタリア王国 王宮
「がぁ・・・・・・。」
骨と皮だけとなった兵士が床の上に倒れる。
「フフフvご馳走様。」
妖艶な笑みを浮かべるマチュアは、玉座に座るガルス・ゾト・メタリア国王を見る。
「もう全ての兵士は私の虜になったわよ。」
「そうだろうな、貴女のような美女の虜にならない男はいまい。」
苦笑するガルス。
「ありがとうvそれじゃ、私の虜にしてあげるわ。」
「悪いが、私には妻と娘がいるんでね。」
チャキッ
拳銃をマチュアに向けるガルス。
「・・・・・バカな真似はよしたら?」
「バカか・・・・。確かにバカげた事かもしれん。」
ガルスは言った。
「だがな、一生を捧げる約束をした妻を裏切る行為は絶対にせん!!」
「・・・・・バカだわ、アナタ。」
マチュアは扇を広げる。
「私の虜になれば、気持ち良く死ねたのに。」
「私の嫌いなものを知っているか?ピーマン、仕事、そして、浮気だよ。」
「分かったわ、とっとと死になさい。」
マチュアは、扇を振るう。
真空の刃が、玉座に座ったガルスに向かってくる。
「フフ・・・・・。」
ガルスは、持っていた拳銃を床に捨てた。
(リナ、アリス・・・・・。お前たちと過ごせた時間、とても楽しかった・・・・・。)
ガルスは目を閉じ、愛する娘たち、そして、最愛の妻を思い浮かべた。
(エリーよ・・・・・。天国へ行っても、私は君を愛し続ける・・・・。永遠に・・・・・。)
そして、目をカッと見開き、ガルスは叫んだ。
「その目に焼き付けておくがいい!!愛に殉じた男というものを!!」
ブシャァァァァァーーーーーーー!!
ガルスの座っていた玉座が、赤く染まった・・・・・・。






「・・・・テメェ、リナの父親を・・・・・・。」
「バカな男。この私より、年老いたババァの方がいいだなんて、バカは死ななきゃ治らないってことね。」
ブチッ!!
横島の頭の中で、何かが切れた音がした。
「・・・・・・・。」
横島はゆっくりと立ち上がる。
「あら、まだ立ち上がるの?もういいわ、死になさい。」
マチュアが扇を振るうと、今までにないほどの大きさの真空の刃が現れる。
「・・・・・・。」
キュイーーーーーン・・・・
横島の右手に霊力が集まってくる。
「サヨナラ。私の虜にならなかったバカな男。」
マチュアは言った。
バシーーーーーーーン!!
「!!」
マチュアは驚愕した。
なんと、マチュアの放った真空の刃が、弾き飛ばされ、向こうの壁に激突したのである。
そして、横島の右手には、霊波刀・・・・・いや、"霊波鞭"が出ていた。
「・・・・・・・鞭か。ますます美神さんっぽくなってきたな。ま、"栄光の鞭(ウィップ・オブ・グローリー)"ってとこか。」
横島は、ギロリとマチュアを睨む。
その目、いや、眼を見たマチュアの体中に、恐怖という感覚が伝わってくる。
横島の眼は、まるで鬼神のようだった。
「許せねぇ・・・・・。」
横島の顔が、怒りの顔に変わる。
「テメェは、絶対に許せねぇーーーーーーーーーーー!!!!!」
「ヒィィーーーーーー!!」
悲鳴を上げるマチュア。
マチュアは初めて、快感以外の感覚、"恐怖"というものを実感したのである。
「絶対に許さねぇぞ、マチュアーーーーーーーーーーー!!!!!」


続く

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