ザ・グレート・展開予測ショー

#GS美神 告白大作戦!「変わらない気持ち」


投稿者名:G-A-JUN
投稿日時:(03/11/ 2)



「やっぱり外は気持ちがいいでござる!」
薄暗い倉庫での除霊を終わらせて、外に出ると体を大きく伸ばして、全身で太陽の光を浴びる。

「仕事も終わったし、帰るぞ」
「うん!」

帰り道を二人で並んで歩く。

「横島先生。さっきはありがとうでござる!」
隣を歩いているシロが腕に抱きつきながら、さっきまでやっていた除霊中の話をしてきた。
「ん。ああ、お前がケガをしなくてよかったよ。」
そう言いながら、シロの頭を優しくなでる。
たまに驚かされる時もあるが、それでも最近はシロの犬(狼)としての過剰な愛情表現にも対応ができるようになってきて、自然に接することができるようになってきた。

なんかコイツの頭をなでるのが癖になってきてるなぁ・・・

うれしそうになでられているシロを見て、少し気になったことがあった。

いつもなら、すぐに舐めたり、抱きついてくるはずなのに・・・
ま、気にすることでもないか。

なでていた手を離すと、再び歩き出した。

シロは普段と違いおとなしそうにしている。
除霊作業の途中で助けられてから、何か普段とは違う感情に戸惑わされていた。
いつもすぐ近くで見ている、横島の強さ。そして優しさ。
いつの間にか、強さには憧れを。 そして、優しさには好きという感情を持っている。
それが今回、憧れていた強さによって守ってもらえた。
そのことが強さに対して憧れだけではなく、優しさに対して持っていた好きという気持ちを持つきっかけとなっていた。
これまでも何度か守ってもらったことをよく覚えている。
その度に、うれしさとは何か違うもの感じていた。
もちろん、横島が自分のことを守ってくれたのだから、うれしさもある。
でも、それ以外の何かもある。 いつもそんな気がする。

自然と横島の腕を抱く力が強くなった。
こうしていれば、少しだけ戸惑う気持ちが落ち着いて、安心できる。

途中で別れるはずだったが、横島はいつも少し様子が違う気がするシロを心配して事務所まで送ることにした。
シロも本当なら、もっと横島に抱きついたり、顔を舐めたいと思っていた。 でも、できなかった。
事務所に着いてから、タマモたちにも、どうかしたのか。と聞かれたけど、何でもない。としか答えられなかった。

自分自身でもわからなかったから・・・

この後もずっとよくわからない感情に戸惑い続けた。
ただ一つだけ気づいたのが、それは好きという気持ちに近いこと。
今までも横島が好きかと聞かれたら、迷わず「大好きでござる!!」と答えていただろう。
でも、それとは何かが違う。
いつもと同じはずなのに、何か違う。
そんな感情に戸惑いながらも、自分なりに一生懸命考え続けた。
そうしたら、やっぱり自分の気持ちは変わらない。

横島先生のことが好きだ

もしかしたら、その気持ちがいつもよりも強くなっているのかも知れない。
だから、横島先生のことが頭から離れないで、こんなにドキドキしているんだろう。
そして、もう一つ・・・必然的に出てきてしまう悩みがある。


・・・横島先生はどう思っているんだろう・・・

自分のことを好きでいてほしい
でも、実際はどうなんだろう・・・
ふと、散歩のときを思い出した。


自分はいつも楽しんでいるけど、横島先生は・・・
あまり楽しそうじゃない気がする・・・
でも、なんでいつも付き合ってくれるんだろう?
ひょっとしたら先生も・・・
ほんのわずかな可能性でしかないことは、わかっている。
それでも、それに賭けたい。
でも・・・ダメだったら・・・


小さく息をはいた。
「・・・これ以上迷惑をかけちゃダメでござるな」
横島先生に迷惑をかけてはいけない。
先生にとって、拙者が迷惑な存在だったら、その時は・・・
自分の気持ちを整理し決心した。


そして、明日の日付へと変わる。
一日の仕事が終わった夕方、シロは横島を散歩に誘い、二人で歩いている。

言い出すタイミングは自分次第だ。
そう心の中で呟く。
そして覚悟を決めた。

「横島先生! 拙者、先生のことが好きでござる!!」

「へ?」
いや、突然そんな真剣な表情で言われても・・・
どう対応すればいいのかわからず、呆然としてしまった。
シロが何を言いたいのかを必死に理解しようとするが、わからない。

少しの間ができて、シロが口を開いた。
「ごめんなさいでござる。・・・迷惑でござるな」
必死に涙をこらえ、振り返ると走り出そうとする。

「あ! 待てよ!!」
今、ここでシロと離れたらいけない。そんな気がする。 
何故かそんな気がして、慌ててシロの肩をつかみ走り出そうとするシロを止める。

少しの間だけ立ち止まり、再び横島の方を向き、抱きついた。
横島もそれを優しく受け止める。
「やっぱりダメでござる!! 例え先生に嫌がられても、拙者、横島先生が好きでござる!!」
我慢していた涙も流れ出す。

「シロ・・・ありがとう」
ごめん。と言えば、また誤解されそうだからあえて言わない。
わざわざ、さっきの言葉の意味を考える必要はなかった。
本当にシロは自分のことを好きだと言ってくれただけだったのに、気づけなかった。
そして、自分もシロに惹かれ始めていたのに、それを否定し続けていた。
シロのことを必要以上に子供として見ていたからだと思う。
いつもシロのことを子供として捕らえていたことに悪い気がする。
それなのに・・・そんな自分のことをこんなに想ってくれていたのが、とてもうれしいかった。

横島はシロを抱きしめているとき、少しだけ違和感を感じたが、その原因にすぐ気づいた。

右手がシロの体から離れる。

やっぱり迷惑だったのだろう・・・これ以上迷惑をかけちゃいけない。
そう思い腕の力を弱め、横島から離れようとした。

「え?」
一度離れた手は、そっと自分の頭に乗せられた。

「お前に子供っぽいことをするなって、怒られそうだけど、よくお前のことをなでているから、くせになったみたいで、こっちの方が落ち着くんだ・・・わるいな」

横島先生が、頭をやさしくなでてくれる。
どんなときでも、自分の気持ちを自分以上にわかってくれている。
そんな横島がすごくうれしい。
好きになって本当に良かった。

心からそう思えた。
だから・・・

「横島先生!!」
横島を力いっぱい抱きしめた。

この後、横島の家に連れて行ってもらった。

「・・・すまん、シロ。本当なら、こんなのよりも、もっといいものを食いたいと思うだろうけど、これしかなかった。」
「まだあったんでござるか」
横島は、以前シロが遊び(修行)に来たときに買ったドッグフードを持ってきた。
その気になれば、自分の非常食にもなると、大きい徳用サイズを買ってくれたのをよく覚えている。

それを二人で食べた。

横島には、あまりおいしくはなかったようだが、シロにはとても懐かしい味だった。
軽食程度に食べると、この後は帰るまでずっと頭をなでてもらっているとき、横島先生が自分のことを好きだとハッキリと言ってくれた。
そろそろ帰らないといけなくなったとき、明日も会うことを約束するならと、横島先生が送ってくれた。
約束をする必要はなかった。でも、本当はもっと二人でいたかったからだ。

翌朝
いつものように事務所内で抱きついてきたシロをうっかり抱き返してしまった。
別にコイツだって、子供じゃないんだからと、言おうとしたけど、喋ることができなかった。
言ったところで、さら傷も増えそうだったので、これ以上傷が増えないうちにと、シロとの散歩―――デートと呼ばれるものに変わる日も近いだろう―――に出かける。

すぐ隣で自分に笑顔を見せてくれるシロ。
元気よく尻尾も振られている。

そんなシロを想いながら心の中でそっと呟いた。


いつかお前にも本当に好きな相手ができるだろう・・・
それが俺以外の他の奴かも知れない・・・
それなら、お前が選んだのだから、そいつにお前のことを任せるよ・・・
俺はお前の幸せを願っているから・・・
でも、できるなら、このまま変わらずに俺を選んで欲しい・・・
そう願っているよ・・・


「ん? 何か言ったでござるか? 横島先生」

「いや」

そっと手を頭に乗せて、やさしくなでた。

少なくとも、その時が来るまでは、いっぱいかわいがってやるからな。シロ・・・


fin


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