ザ・グレート・展開予測ショー

不思議の国の横島 ―8後半―


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/10/14)


<前半からの続き>




か、唐巣クン!?それってつまり神父?!

「一応この世界じゃ〜5本の指に入る超一流のGSなのよ〜?」

意外なところで意外な人が出てくるな。
でも、あれ?

「つまり、超一流のGSが助っ人頼んでくるようなヤマなんっすね?」
「あ!………………」

六道理事長は、しまった!って顔をして固まった。

「………………そんな訳で、詳しい話は明日唐巣クンに聞いてね〜♪オバサンちょっと用事思い出したから〜…」

―― スタスタスタスタスタ、ガチャッ ――

「までごるぁっ!俺もいつまでも従順な羊じゃあいらんねーぞっ!!?」

既にドアの向こうにいってしまった六道理事長に言う。
面と向かって言えない自分が、ちょっと可愛いと思う今日この頃です。

『ここで臨時ニュースです。最近街を騒がせている…』

―― クイッ ――

「横島さん〜そろそろご飯ですよ〜食堂いきましょう〜♪」
「あ、もうそんな時間?」

アニメを見終わった冥子ちゃんが俺の腕を引っ張ってきた。
俺は座っていたソファーから引き上げられる。といっても、冥子ちゃんは力が弱いので半ば俺が自分で立ち上がったんだけどね。

―― ニコニコ ――

凄く機嫌の良い表情を見せる冥子ちゃん。
実は彼女、意外と俺に懐いてくれてる。どうやら、初めての友達っていうのが嬉しかったらしい。
一方俺の方はと言うと、この冥子ちゃんが高校生ってことでいわゆる恋愛やら欲望やらの対象としては正直見れないんだけど……それでも可愛い女の子が懐いてくれると結構嬉しいもんだ。

「じゃあ、行こうか?ほんと、ココん家の飯は豪華で美味いからな〜♪」
「えへへへ〜♪」

―― ブラ〜ン、ブラ〜ン ――

冥子ちゃんは立ち上がった俺の左腕にぶら下がってニコニコしている。何が面白いんだか、最近のお気に入りらしい。
俺と冥子ちゃんの身長差でぶら下がれるのか?なんて疑問は持っちゃあいけないってのは、昔からのお約束だよ。

―― まだまだ子供だなー♪ ――

とても高校生には見えないぞ。
この行動もだけど、男に対する警戒心の無さとかもね。

―― ま、可愛いんだけどな ――

そうそう、俺は今、六道さんの家で厄介になっている。
正式に事務所を立ち上げるまで、ホテル暮らしするつもりだって言ったら、六道理事長が「うちに来るといいわ〜」って進めてくれたんだ。
今の俺は六道家から仕事を紹介してもらっているので、その辺の打ち合わせするのにもその方が都合良いって是非にと進められた訳である。
正直とっても快適な生活です。
快適すぎて逆に居心地悪いときがあるのは、やっぱり俺が根っからの貧乏性だからなんだろうね。

「ま、さっさと食堂行っとくか。」
「う〜ん〜♪」

『予告状が届いた金成木財閥では、直ぐ様警察に連絡を……』

―― ピッ ――

俺はテレビを消すと、左腕に冥子ちゃんをぶら下げたまま応接室を後にした。

………………










「さてと、この教会で間違い無いみたいだな?」
「なんだか〜随分とぼろっちい教会ね〜〜〜」

翌日、俺たちは唐巣神父の教会を尋ねて来た。本日の仕事についての段取りなどを打ち合わせるためである。

―― 唐巣神父か ――

こちらの俺は初対面だが、俺は当然この人を知っている。
頭が薄くて重度の近眼。人が良くて熱血正義感。そしてこの世界でもTOP5に入るとも言われている超一流のGSである。
ただし生活能力ゼロで常に貧困に喘いでいる、ある意味非常に同情できる人物だ。
とてもアノ美神さんの師匠だとは思えない…

「あ!?」
「どうかしましたの〜?」
「あ、いや!なんでも無い。」

そうだった!
唐巣神父は美神さんの師匠で、それで美神さんは高校生の時は神父の所で研修してたんだよな!?
今まで俺の出会った奴らって、エミも冥子ちゃんも高校生くらいの年齢になってるだろ?美神さんってこの娘たちと殆ど変わらない年齢な訳だし!

―― って事はだ! ――

もしかして、もしかしたらっ!?

「………ゴクッ!」

―― コンコン ――

「こんにちは〜…六道家の紹介で来た者ですけど〜…」

俺は1つ唾を飲み込むと、少し緊張して扉を叩いた。
そのまま暫し待つ。

―― ガチャッ ――

そして、内側からドアが開けられた。

「!!?」

果たしてそこにいた人物とは…

「六道さんの所から来てくださった方ですね?僕はピエトロ、唐巣先生の弟子をしています。ピートと呼んで下さい。」
「お前の方かーーーっ!!!」
「は、はいっ?」

そうだった、唐巣のおっさんの弟子って言ったらこいつもそうだよ!

「俺のドキドキを返せ。」
「あ、あの…何の事かさっぱり……?」

あ〜、損した!ドキドキして損したーーーっ!!

「お客様?」
「あ、例の六道さんの所から来てくれた今回の助っ人の方達ですよ。」

と、ピートの後ろ、教会の中のほうから若い女の声が聞こえてきた。ピートが後ろを振り返って俺たちのことを紹介する。

―― ま!まさかっ!? ――

「はじめまして。アン=ヘルシングと言います♪」
「2段オチかよっ!?」

そこで出てきたのは、全く予想外の人物、アン=ヘルシング嬢だった。
詳しくは知らんが、ピートの知り合いでとりあえずいろんな意味で迷惑な姉ちゃんである。
とりあえず、この娘がここにいるってのはどうなんだろ?
あ、そういえばこの娘はあっちの世界の年齢と変わらないように見えるな?
と言う事は、ちらっと頭に浮かんだ

―― 俺以外のみんながちょっとだけ若い世界か? ――

っていうのは間違いらしい。

「やあ、ようこそ来てくれました。私が唐巣です。」
「あ、先生。」

そして教会の裏手から現れたのは、間違い無くアノ唐巣神父だった。

「横島さんですね?そっちの娘さんは、もしかして六道さんの娘さんだね?確か冥子ちゃん……だったかな?大きくなったものだ。」
「あ、こんにちは。横島忠夫です。」
「六道冥子です〜♪」

丁寧な神父に釣られて、俺も頭を下げて挨拶を返す。

「貴方の事は六道さんから聞いてますよ。とても優秀なGSだとか?今回はかなりの相手なので心強い限りです。」

そんな風に紹介してくれているんですね、理事長アンタは……

―― プレッシャーだっちゅうねん! ――

ああ、これから一体、どうなるんだろうか?!

………………



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