ザ・グレート・展開予測ショー

幸せ


投稿者名:月夜
投稿日時:(03/10/14)



 日の暮れ始めた河原は、人も疎らで、建物が少ないから、夕日がとてもよく見える。
 そこでルシオラは、右手を横島の腕に絡ませ、ぎゅっ、と手を握る。
 夕日からは目を逸らさず、けれど、横島も手を握り返す。
 繋いだ手が、ひどく心地良い。


「……綺麗ね」

「……そうだな」


 ――でも、夕日よりもルシオラの方が……――


 言葉には、出さない。
 代わりに、繋いだ手に、力を込める。
 ルシオラも、握り返してくる。
 自然に、微笑が漏れた。
 隣に、ルシオラがいる。
 それだけで、何故――こうも優しい気持ちになれるのだろう。



 目の前の夕日が、だんだんと沈んでいく。
 夕日は、寂しいと思う。
 子供の頃の一日の終わり、サヨナラの時間を思い出させるから。


「だけど、今は……」


 ――今は……ルシオラがいてくれる……――


「何? どうしたの?」


 小首を傾げて、横島の顔をのぞき込むルシオラ。
 そのルシオラに、横島は、自分でも驚くほど、ひどく優しく微笑んで――


「ありがとな……」


 ――ただ一言、礼を言った。


「え?」


 きょとんとしたルシオラの顔に、何故か突然、笑いたくなった。


「ぷっ、くっはははは」


「ちょっ、笑わなくても良いじゃない!」


 そう言って、顔を背けて拗ねるルシオラ。
 けれど、その顔は耳まで真っ赤で、照れているのが良く分かる
 その姿が、どうしようもなく愛しくて――優しく、壊れ物を扱うように抱きしめた
 ルシオラは最初は吃驚していたが、すぐに優しく微笑んで、横島の背中に手を回す。
 そのルシオラの耳元で、囁くように言う。


「ルシオラ……」


 その声に、ルシオラが上目遣いに横島を見上げる。
 その肩を優しく抱いて、微笑みながら、ゆっくりと顔を近づける。
 ルシオラは頬を染めて、瞳を伏せる
 前髪が重なり、静かに瞳を閉じる。

 ――幸せだった……



 消えていく夕日は、まるで幕引きのように二人の姿を黒く染めていく――

 やがて、完全に夕日が沈み、夜の闇が空を染めきった。

 ――けれどそこには、幸せを掴んだ二人の姿があった………



 ――なぁルシオラ……

 ――何、横島?

 ――幸せに……なろうな……

 ――ええ……もちろん……



 End




 後書き

 みなさん初めまして、月夜と言います。
 まずは、僕の作品をここまで読んでくれて、本当にありがとうございます。
 GSの小説は初めてなんですが、思ったよりも上手くいきました。
 まぁ、多少(?)横島とルシオラのキャラが違いますが………。
 それに、何かお話が中途半端ですが………。

 ちなみに、細かい設定は、ルシオラは死なずにアシュタロスを倒し、それから1年後というIFのお話です。
 ……まぁ、悪く言えばご都合主義なんですが(苦笑)


今までの コメント:
[ 戻る ]
管理運営:GTY+管理人
Original GTY System Copyright(c)T.Fukazawa