ザ・グレート・展開予測ショー

不思議の国の横島 ―7前半―


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/10/13)

「ごめんなさいね〜…見苦しい所見せちゃって〜♪」
「うう〜〜お母さま酷いわ〜〜〜」
「はは…は、ははははは……」

俺の口から漏れるのは、乾いた笑い声だけだった。
冥子ちゃんは床に崩れ落ち、ル〜ルル〜〜〜って泣いている。
六道理事長恐るべし!
いや、何が恐ろしかったのかは敢えて語るまいっ…

「お母さまが一緒に来て〜〜って言ったから着替えも済んでないのに着いて来たのに〜〜〜」

ん?そう言えば、なんで冥子ちゃんが一緒に来る必要が有ったんだ?
今の話は六道家当主として来たわけだろう?だったら、冥子ちゃんが来る必要なんて無いはずだよな?

「貴女があまりにも情けないからです〜〜!!このままだとGS免許は取れたとしても、その後の仕事は殆ど上手くいかないに違いないわ〜〜!!そうしたらGS協会が免許取り消しを検討しだしてぇ〜〜〜」
「そんなこと〜〜〜わたし頑張るわ〜〜お母さま〜〜〜」

六道理事長、貴女の推測……間違ってないです。
さすが一流の霊能力者、良い勘してるね。
数年後、貴女の娘さんはそうなってますよー!
違う世界の話だけどさ…

「貴女はいっつもそうやって口ばかり〜〜〜あの人が甘やかすから〜〜〜ああっ…」
「ああ、お母さましっかり〜〜〜…負けたら駄目よ〜〜〜」

着物の袖を目頭に当てて軽くしなを作り、ヨヨヨと崩れ落ちる六道理事長と、原因は自分に有るくせに人事の様に慰める冥子ちゃん。
どうでもいいがこの2人、行動がいちいち芝居じみてるな。

「このままいくと〜…ほんのちょっと難しい仕事が入っただけで直ぐに誰かに応援を頼むような他力本願な娘になってしまって〜〜〜…しかも仕事中にちょっとほっぺたが切れたぐらいでプッツンしちゃって〜…悪霊どころか目に入るもの全部を破壊しちゃって〜〜〜…『でもね〜失敗をわかちあえる友達がそばにいてくれてうれしいわ〜〜〜♪』なんて反省の色が全然見えない娘になってしまうわ〜〜〜!!!」
「奥さんアンタ、勘が鋭いにも程が有るよ。」

実は見てきたのかっ!?そうなのかっ?!!
ってかそこまで判ってんなら早い段階で矯正してくれーーーっ!!

「そんな訳で冥子っ!」
「ひっ?!」

―― ビシッ! ――

六道理事長はスッと立ち上がり、右手の人差し指を冥子ちゃんの顔に突きつけた!
そして続けて口を開く。

「貴女はこれから、こちらの横島さんに弟子入りするのですっ!!」

―― ババ〜ン! ――

「………………」
「………………」

―― アナタハコレカラコチラノヨコシマサンニデシイリスルノデス ――

「ぬぅわぁぁぁんだぁとぅうおぉぉぉぉぉっっ?!!!!」
「なんでですの〜お母さま〜〜〜?!」

とんでもない事をっ!?とっ!とっ!ととととんでもない事をっ!!?

「ひとっ言の断りも無く言わんで下さいよコノ御方はーーーーーぁっっ!!!?」
「え〜?いいじゃないのそれくらい〜?」

ふざけんなよコンチクショー!!
俺が冥子ちゃんに何を教えるって言うんだよっ?!!
いや、確かにこっちの冥子ちゃんはまだGSになってないんだろうけどなーーーっ!!
式神だぞ、式神っ!!?
式神の使い方なんて専門外じゃーーーっ!!!

―― はっ?! ――

いかん!あまりの事に動転してしまったようだ。
問題はそうじゃないっ!!
弟子という事は、一緒に除霊すると言う事ではないですかっ?!
冥子ちゃんと一緒に除霊作業だって?

「俺をプッツンに巻き込むなーーーっ!!!」
「ひ〜ど〜い〜〜〜っ!わたしのこと〜良く知らないくせに〜〜〜っ!!」

未来が見えるっ!俺には未来が見えるっ!?
式神に揉みくちゃにされる、俺の姿がはっきりと目に見えるーーーーーっっ!!!

「揉みくちゃにされるなら、美人で気立ての良いおねーちゃんの集団って決めてるんじゃーーーーっ!!!!」
「ほらほら2人とも落ち着いて〜」

六道理事長がやっぱりニコニコしながらドウドウってジェスチャーを見せる。

「原因作ったんはアンタやろがーーーぁっ?!!」
「修行き〜ら〜い〜〜〜」

―― シャキーン! ――

「アンチラの耳は良く切れるのよ〜?」
「うっ!?」
「ひっ?!」

み…見えんかった……?!
俺の首筋に、ウサギの式神アンチラの耳が当てられる。
集中力が高まっている時なら、小龍姫様の超加速ですら目で追える自信が有るのに…
ノーモーションで殺気も見せないでいきなりだから、全然対応し切れんっ!!?
ちなみに耳は2つ有るのもで、もう1つの耳は冥子ちゃんの首筋に当てられていた。

「2人とも落ち着いて〜話を聞いてくれるわよね〜?」

―― コクコクコクコクコクコクコクコクコクコクコクコクコクコクコクコク ――

そりゃあもう。力の限りに首を縦に振ります。俺も冥子ちゃんも。
それ以外の選択肢なんてココには存在しませんよ。

「それじゃあ続けるわね〜」

そんな俺たちの様子に満足したのか、六道理事長はニコニコと話を続けた。

「冥子ってば甘ったれだから〜…今までどおりに六道家で修行させても全然成長しないと思うの〜…だからね〜横島クンに弟子入りさせて〜性根を叩きなおして欲しいのよ〜〜〜」

いや、言ってる事が正しいってのは俺にも理解できるんですけどねっ!

「勘弁してください。俺じゃあ荷が重すぎっすよ!」
「そうよ〜〜〜お母さま〜〜〜。わたし、今までどおりで大丈夫よ〜〜〜!」

俺も冥子ちゃんも、この提案にはそれぞれの理由で反対の意思を告げる。
六道理事長に意見するのはすげえ怖いが、それでもこんな大事な事ってか重大な事をむざむざと流れに任せて承知するわけには行かない。

「あら〜?横島クンなら絶対大丈夫よ〜〜〜?私が保証するわ〜〜〜♪」
「全然根拠の無い保証じゃないっすかーーっ!?」

俺が冥子ちゃんにモノを教えるって事が無理。
俺が冥子ちゃんのプッツンを抑えるってのが無理。
つまりどーやったって無理。何もかんも無理三昧じゃーーーっ!!!

「ほんと、まずいですって。折角作った事務所がその日のうちに無くなるっす。」
「あら〜?じゃあ、事務所起こすのやめる〜?オバサンのお願い聞いてくれないなら融資の話引っ込めちゃうわよ〜〜〜?」
「あっ?!ひでっ!?ずりーーーっ!!?汚ね〜っ!?さっきの話はこれとは関係なく決まった事だったろっ!?今更追加で条件出すなんて汚ねーぞっ!!?」

そりゃあ俺の方がちょっと得する感じの話だったかも知れんが、この条件とは全然釣り合わんぞーーーっ!!!

「あらあら〜ん♪なんの事かしら〜〜〜?」
「わたしを置いて〜話を進めないで〜っ!」

と、そこに冥子ちゃんが割って入ってきた。
六道理事長に向かって食って掛かる。




<後半に続く>

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