ザ・グレート・展開予測ショー

不思議の国の横島 ―6後半―


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/10/12)


<前半からの続き>




「もしかして、俺に六道の派閥に入れって事ですか?」
「あらあら?やあねぇ〜強制なんてしないわよ〜♪でもでも、出来たら横島クンにはうちのグループに入って欲しいな〜ってオバサン思っちゃうの〜♪」

六道理事長は右手の掌をパタパタとさせてホホホって笑いながら言ってきた。
俺としては六道の派閥に入ることに異論は無い。ってかむしろ歓迎?

「最近、三世院(さんぜいん)ちゃんの所が色々と目立って来てね〜…二条(にじょう)ちゃんの家と四乃宮(しのみや)ちゃん家がウチと五代(ごだい)みたいに一族中で婚姻結んで結束するって噂も有るし。一都橋(ひとつばし)家は相変わらずだけど…ウチもやっぱり優秀なGSが入れば出来るだけ集めておきたいの〜♪」

だんだん、細かく思い出してきた。
日本に『六芒六家』有り。
それぞれ、一都橋、二条、三世院、四之宮、五代、六道と言う。
なんて始まる話だったと思う。
それぞれが古くから脈々と続く家柄であり、当主の力は皆一様に凄まじいとか……
それを聞いて感じた俺のイメージは

―― 六人の冥子ちゃん ――

…身体の振るえば、止まらんかったとですたい。

「あの〜…六道の派閥に入るって事については異存ないんですけど〜…」
「あら、本当?オバサン嬉しいわ〜♪」
「いや、一応最後まで話を聞いて下さい。」

くっ!
流石にこの人は冥子ちゃんの母親だな。

「これから俺の事、話します。それを聞いてもらって、それで俺の方からも少しだけ聞いて欲しいお願いが有りまして……どうでしょう?」
「あらあら?六道家当主を相手に駆け引き?随分と勇気有るのね〜♪」

―― ニコニコ ――

だから怖えーーーってば!!

ま、少しだけ俺の事……文珠が使えるって事だけ話しておこう。
六道家の派閥に入っておけば、仮に文珠の存在がバレても何とかなるだろうし。
流石に他の世界云々は言えねーけどさ。

「実は俺、霊波刀の他にも……」

俺は居住まいを正し、ニコニコのプレッシャーに必死で耐えつつ、文珠についての説明を始めた。

………………










「…ま、だいだいそんな感じです。」
「へ〜……横島クンってば凄いじゃないの〜」

俺は簡単にだが文珠についての説明をする。六道理事長は何かの文献で読んだ事が有るらしく、文珠という能力の存在を知っていた。だから説明は、随分とスムーズに出来たのである。

「で、どうでしょうか?俺のお願いのほうは聞いてもらえますかね?」
「うん〜♪全然お〜け〜よ〜〜〜♪」

俺が頼んだ事は2つ。

「横島クンが文珠を使えるって事は内緒にして置けばいいのよね〜?」
「はい。なんだかおおっぴらにバレると面倒臭い事が起こりそうでしてね。」
「じゃあ、横島クンは秘密兵器って事ね〜?格好良いわよ〜♪」

俺が文珠を使えるって事は、なるべく内緒にして欲しいって事と

「あとは横島クンが事務所開くのを手伝えば良いのね〜?」
「はい。準備資金の前借と、あとは仕事の方紹介していただけると嬉しいです。」

流石に時間が無いからな。利用できるものは利用しておかないと、エミさんにしばかれてしまう!

「でもでも〜横島クンになら全面協力してあげても良いのよ〜?事務所にウチの公認だって入れてくれても良いのよ〜?むしろ入れて貰えたらこっちとしても嬉しいんだけど〜?なんなら開業資金は全部ウチが持ってあげるわよ〜?」
「いや、あまり大げさに目立つのは好きじゃ無いんで。公認は勘弁してください。お金もちゃんと、軌道に乗ったらお返しします。」
「あらそう〜…ちょっと残念ね〜〜〜」

いくら利用できるものは利用すると言っても、けじめ的な部分はしっかりしておかないとな。
これだけで十分だ。ってか、上手くいきすぎだ!逆に恐縮だ!

「でもでも〜…今日は来て見て良かったわ〜♪大収穫〜〜〜♪」
「いや、そこまで言われるとプレッシャーですが?何しろ、実績の無いぺーぺーって事に変わりは無いんですよ?」

文珠は確かに使い勝手の凄く良い道具だけど、除霊ってのはっそれだけで出来るものでもない。もっと言えば、事務所の経営についても同様だ。
だからこそ、こんなに手放しで褒められるのは困るんだけどな。

「横島クンなら大丈夫よ〜♪オバサンの勘は当たるんだから〜♪」

優秀なGSは勘も鋭い。それは分かっている。分かっているが……

「……それでも不安っす。」

―― トントン ――

「あれ?誰だ?」

と、丁度話もひと段落した所で、病室のドアがノックされた。

「お母さま〜〜〜お話ってまだ終わりませんの〜〜〜?」
「!!?」

こ、この声はっ!!?
そして、外からは六道理事長に似た、それでも理事長よりももっと若い声で声が掛かる。

「あら?ごめんなさい。娘を外で待たせておいたの〜…そうだわ〜!横島クンにも紹介しておこうかしら〜?どう〜〜入ってもらっても良いかしら〜〜〜?」

―― コクコク ――

間違い無い!この人の娘!!それはつまり!!!

「入っても良いですって〜〜〜…入っていらっしゃ〜い。」
「は〜〜〜い。失礼します〜。」

―― ガチャッ ――

ああ、やっぱりそうだよ!?

「はじめまして〜こんにちは〜♪」

ドアを開け、室内に入ってきたのは制服姿の女の子。黒い髪を肩口で切りそろえた、上品な髪型。ほわわあ〜んとした雰囲気は六道理事長に良く似てる。
そして勿論、この娘が誰なのかを俺はよ〜く知っている訳でして…

「六道冥子です〜〜〜♪」

―― 冥子ちゃん女子高生だーーー! ――

ご存知、六道冥子ちゃんその人でした。でも六女(六道女学院)の制服を着ている事から、俺の知る冥子ちゃんよりもいくらか若いって事が分かる。

―― でも ――

あんまり変わらんな〜?
制服ってオプションが無ければ高校生だって分からないかも。あっちの世界の冥子ちゃんと殆ど変わんないや。
別にこっちの冥子ちゃんが老けてるんじゃない。向こうの冥子ちゃんがあどけなさすぎなんだな。

「は、はじめまして。横島忠夫です。」
「娘は今、17歳でこの間六道女学院の3年生になったばかりですわ〜♪」

お〜…やっぱり女子高生。

「今度GS試験を受けるんですの〜…それなのに〜……」
「ひっ!?」

とそこで、六道理事長の声のトーンが少しだけ下がり、その瞳がキラーンと光った気がした。
対照的に、冥子ちゃんの顔にはビクッとした焦りが浮かぶ。

「この娘ったら〜未だに式神の制御もままならないなんて〜〜〜!!」
「え〜〜〜んっ!お母さま御免なさい〜〜!!許して〜〜〜っ?!!いやぁ〜〜〜!!苦しいの〜〜〜!!?」

出たぁっ!!?
冥子ちゃんの陰から、蛇の式神サンチラが飛び出してくる。そのまま冥子ちゃんに巻きついて締め上げた。
そうだった。六道理事長がそばにいるときは、式神を操る主導権は冥子ちゃんから理事長に移るんだっけな!

「いっつもいっつもプッツンプッツン!!このままじゃあGS試験だって受かるかどうかーーっ!!!」

―― ビビビビビビビビビビビビ ――

「いやいやいやいや!!シビシビシビシビ?!!や〜め〜て〜〜〜!!!お〜か〜あ〜さ〜ま〜〜〜〜〜!!!!」

あ、サンチラ電撃。

「南無〜…」

俺は両手を併せ、とりあえず冥子ちゃんのご冥福を祈ったのだった。

………………










―― ビビビビビビビビビビビビビビビ ――

「わ〜た〜し〜ま〜だ〜生〜き〜て〜る〜の〜〜〜〜〜!!!!」




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