ザ・グレート・展開予測ショー

#GS美神 告白大作戦!『プロローグ・短い連載継続』


投稿者名:Iholi
投稿日時:(03/10/12)

 ……うーん、どうしようかしら。
 いえ、如何(なに)をするのかは、とっくに決まってるんだけど。
 問題は、何如(どのよう)にするかよね。


 何事も結果が大事なの。
 いえ、結果こそが全て。
 「おわりよければすべてよし」なんて昔から謂うけど。
 わたしは昔から、そうやって生きてきた。

 その為に、そこまで至る課程が犠牲になった。
 それはまるで、果てしない茨(いばら)の道。
 でも、わたしには見えていたから、歩き続けた。
 ずっと最初っから、終わり(ゴール)が輝いていたから。

 好き好んで選んだ道じゃない
 選べる道が、たまたまそんなのばかりだった、それだけ。
 ……あら、それだけ、かしら?
 あなたは、そんな道にある事を喜んでいたんじゃなくて?

 ええ、もちろん、その課程は愉しくもあったわ。
 何より命を張り、魂を賭ける、何物にも代え難い緊張とスリル。
 そして、身体を突き抜ける熱い、快感!
 ……いつしか、忘れてしまっていた、高揚感。

 傷付き疲れ果て命を失った者たちの末路を、いくつも見た。
 ある時は敵対者、ある時は味方……そして無関係な者。
 世の無常を説きながら、その無常と相対する。
 何とも因果な商売ね。いえ、因果な血筋? それとも宿業?

 そして、人類にとって未曾有の危機の到来する、そんな予感。
 「課程」を愉しむ楽観を失くしいつつあった、そんな時。
 「家庭」を嘆じる悲観を捨て去りつつあった、そんな時。
 わたしにはもう、「結果」しか残っていなかった。 

 大義名分を振りかざし、多くに犠牲を強いてきた。
 それは命。それは心。それは魂。
 幾ら詰(なじ)られようと、責められようと、もはや償えないもの。
 それはヒト。それはモノ。それは――ワタシ。

 今、わたしたちは一つのエピローグに辿り着いた。
 そこが最初見えていたゴールなのか、もう解らなくなった。
 でもしっかり前を向いて、ここを新たなプロローグとしなくては、
 かの貴い犠牲たちに報いることは、とてもできない。

 今更、十字を切ったり手を合わせたりする殊勝さは無いから、
 わたしは目を閉じ、両手をお腹に添えて、深呼吸する。
 ごめんなさい。そして、
 ありがとう、みんな。


 ……だなんて現実逃避まがいの自分ツッコミ入り回想なんぞしている場合じゃないのにっ。えーと、結局どうするんだったけ? ってまだ何も決まってないっ!
 ……取り敢えず、穏便にあーしてこーしてそーするのが無難かしら?

「せめてあやまれーーーーッ!!」

 よし、決めた。
 わたしはお腹をひと撫でして、これから行われる一大告白劇の段取りをざっと復習した。
 そして深呼吸の後、ごく自然な笑顔で、建物の角からごく自然に顔を出した。

「ごめんねー令子!」


おしまい。

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