ザ・グレート・展開予測ショー

横島、決意する!


投稿者名:ヨコシマン
投稿日時:(03/10/11)

うっそうと茂る深い森に、動く物陰が二つ。そこは、地元の人間ですらめったなことでは入らない、古くからの言い伝えのある場所 「鎮守の森」。

まだ9月の始めだと言うのに森の中はひんやりとしていて、しかも密生する木々のせいで日差しがあまり入らない。そんな中を、背中に20キロはあろうかと思われる重そうなリュックを背負い、死にそうな顔で歩く男がいた。

「み、美神さーん!もうダメっス!ここで少し休みましょーよ!」

美神と呼ばれた女性は足を止め、男の方を振り返る。綺麗にまとまった栗色のロングヘアー、均整のとれたプロポーションもさることながら、世の中の男の殆どが「美しい」と評価を下すであろう美貌がそこにあった。

「あんたねー、さっきっからそればっか言ってんじゃないの。男の癖にだらしないわよ、横島クン!」
美神は半ば呆れ顔で、後ろを歩いていた男‐横島を叱咤する。
「俺に荷物全部持たせといてなに言ってンスかぁ!もう10km以上歩いてるんスよ!おまけに昨日俺は徹夜で仕事で・・・、俺を殺す気かぁ!」
横島の必死の反論も美神の耳に届いていないようだ。
「あーあ、本当にこんな歩かされるとは思わなかったわねー。断ればよかったわー。」
などと言いながら横島と目をあわせようとしない。
(こ、このアマ・・・、しかしここで休まねば本当にに死んでしまう。)
「あ!ほらほら、あそこに石碑が有りますよ!あそこで休憩しましょう、ね、ね?」
多少は悪いと思っていたのか、美神は横島の必死の懇願に(仕方ないわね)と苦笑いした。


「 唵 摩 諭 吉 羅 帝 莎 訶 」

自分を苦しめていた背中のリュックを下ろし、ペットボトルの水を飲む。一息ついたところで横島は自分が腰掛けている石碑に目をやった。
「なんじゃこりゃ?まったく読めんなー。」
「孔雀明王の真言ね、これ。」
美神は石碑を触りながら続けた。
「大昔にここで暴れていた大蛇を、ある高僧が孔雀明王の力を借りてこの地に封じたって刻まれてる。多分今回の私たちのターゲットのことね。」
「なーんだー!この呪文使えばラクショーじゃないっスか!」
とっとと終わらせて帰りましょー、などと言ってる横島を尻目に美神は
「ムリよ。ただ呪文を口にしても何の効果も無いもの。仏法に帰依して正しい印を組まないといけないのよ。ま、どの道こんなもん無くても、あたしの力なら楽勝よ、楽勝。大体ここに書いてある高僧ってのもどの程度かわかったもんじゃないしねー。」
(この女、いつか罰が当たるな・・・)
バシバシと石碑を叩いて笑っている美神を見て、横島はそう思ったが口には出さなかった。


充分に休憩を取った二人は、石碑のあった場所から15分ほど歩いた場所にいた。
「ここね。かなり強い妖気を感じるわ。」
「深そうな洞穴やなー。」
そう言って横島は直径3メートル程もある洞穴に近づいていった。
「ちょっと、横島クン!迂闊に近づいちゃ・・」
美神が台詞を言い終わらないうちに、入り口に近づいた横島の体がスパークしたように光った。
「いってー!なんだーこりゃー!」
後方に吹き飛ばされながら叫ぶ。
「結界!?それもかなり強い!」
目の前に飛んできた横島を鮮やかにかわし、洞穴を睨み付ける。受け止めてくれたってええやないかぁぁぁ・・・、後方に遠ざかる声に耳を貸す気は当然無い。

ズルリ、ズルリ。
強烈な妖気を放ちながら洞穴の奥から近づいてくる金色の眸、炎のように赤くチロチロと動く舌。
それはゆっくりと洞穴から姿を現す。頭だけで1・5メートルはあるだろうか、巨大な白い蛇だ。

「「ワガ森ニ踏ミ入ル愚カナ餌ヨ、骨ゴト呑ミ砕イテヤロウ。」」

まるで質の悪い鐘が鳴っているかと思えるような声が響く。

「残念だけど、餌の時間じゃ無いのよ!このGS美神があんたを極楽に行かせてあげるわ!」
大蛇の眼光に押されないように、美神は精神を集中した。

「じゃっ!後はお任せします!!」
今迄で一番早い動きで横島は逃げ出した。
「待たんかい!このドアホ!!」
後頭部にシャイニングウィザードが炸裂する。
「いややー!でかい蛇はバイオハザードだけで充分じゃー!!!!」
(なんでこいつGS試験合格出来たんだろ・・・?)
美神はそう思ったが口には出さなかった。


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