ザ・グレート・展開予測ショー

#GS美神 告白大作戦!「告白シロ」


投稿者名:KAZ23
投稿日時:(03/10/11)

「横島せんせい。拙者、せんせいにお願いが有るでござる!」

ある日の事、シロがアパートを尋ねて来た。そしてなにやら真剣な表情でそう言ったのである。

「なんだよ、いきなりだな?」

普段ならシロの頼みごとと言えば、

―― 散歩に付き合って欲しいでござる ――

と相場が決まっているのだが、今日のシロは俺の目から見ても明らかに様子が違っていた。
これは何か特別な用事に違いない。
俺は気持ちを落ち着け、真面目に聞き返した。

「真面目な話みたいだな?なんだ……話してみろよ?」

シロの2つの目は俺をしっかりと捕らえて、そしてその口が開かれる。

「拙者を抱いてくだされ。」

―― ぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!! ――

「ななななななななっ!?なっ!なっ、なんて事言うんじゃーーーーーーーっっ?!!!」
「拙者、本気でござる。」
「なお悪いわっ!!?」

なんなんだ一体!?いったいシロはどうした!?どうしてそんな事を言う!?

「大体っ!お前は“抱く”という意味を理解して使ってるんかいっ?!!抱くっちゅーんはお前っ!抱っこやらなんやらとは全っ然っ!!全く違うんだぞコラ!!?」
「分かってるでござるよ。」
「全っ然!分かっとらんわっ!!いいかっ?!!男が女を抱くっちゅうのはなーーー!!!」

一体、シロは何処で抱くなんて言葉を覚えてきた!?いや、何処でそんな間違った知識仕入れて来たんだろ?!
本当を意味を理解してたら、間違っても言わん台詞だろうがっ!!
ああ、いやいや!それを俺がシロに説明するわけににもいかんが!

「子供を……つくるのでござろう?」
「ぶっ!!!」
「拙者、せんせいが思っている程、子供ではござらんよ。」

マジか?!!!

「あ〜…その、お前……本当に分かってるのか?子供を……つくるって意味?」
「ん、はい……でござる。」

と、シロはうっすらと頬を赤く染め、はにかみつつ肯定の返事を返してよこした。
本当に理解している?シロが?

―― え? ――

じゃあ本気?嘘ぉ?

―― は? ――

どういう事?なんで?

「ちょっと待て。もう一度状況を整理しよう。」

落ち着け!落ち着けよ俺!!冷静になるんだっ!!
そうさ!シロは何て言ったんだっけ?

「拙者は、せんせいに抱いて欲しいのでござるよ。」

―― ぶぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!! ――

冷静になんてなれるかーーーーーーーーっ!!!

「待てシロ!一体全体、何処をどーやってその台詞が出てきたっ?!!!」
「分からんでござるか?」
「分かるかっ!!何をどう分かれっちゅうんじゃいっ?!!本っ当!何が何だかきっぱりさっぱり全く全然分からんぞーーーっ?!!!」

俺には分からん!シロの事が全く分からーーーんっ!!
シロはそんな俺を見て、なんだか複雑な表情を見せる。

「それは……」

だが、それも一瞬の事で、シロは小さく1つ微笑みのような表情を作り言った。

「拙者がせんせいを愛しておるからでござる。」
「え゛っ!!?」

あ、愛してる?!誰が誰を?シロが俺を?!はいっ?!

「まて、シロ!!それは違うぞっ?!愛してるってのはそうじゃ無い!お前は自分の気持ちを勘違いしてる!!お前の好きは、群れの仲間としてとか!そうじゃなきゃ、亡くなったシロの親父さんの代わりに…」
「せんせいっ!!」

―― ッ?! ――

「せんせいこそ、勘違いしておるでござるよ。さっきも言ったでござろう?拙者は、せんせいが思っているほど子供ではないと。」
「いや、だがな…」

突然、シロの態度が変わる。真剣な表情というのが、さらに険しいものに変わった。口調もそれに併せ、俺を射るようなものへとなり……

「せんせいは…拙者の事を“女”として見てくれるでござるか?」
「え?!そ、それは……」

俺がシロのことを女として?

―― それは ――

正直に言えば…やはりシロは子供だ。
外見からして子供なのだが、普段の行動がシロを更に子供に見せる。
そんなシロを女として?

「………………」

俺が答え方を迷っていると、シロはニィと笑って言葉を続けた。

「分かっておるでござるよ。せんせいにとって、拙者が決して“女”では無いという事くらいは…」
「シロ……」

シロのその薄い微笑みは、とても笑っているようには見えなくて…

「それでも!」

―― ギュッ! ――

シロは右手を胸に当て、強く、強くその掌を握りこむ。
そのままだと零れ落ちそうな何かを留めるように…

「せんせいは、拙者にとって間違い無く“男”でござるよ!拙者の中の“女”の部分がっ!!」

必死にその想いを吐き出す。

「狂おしい程に…せんせいの事を求めて………止まんのござるよぉ……」
「シロ…」

本気……なのか?
つまりその、シロは本当に……本気で俺の事を?

………………

目の前には、俺の知らないシロがいた。
流石の俺にもシロのその真剣な想いは伝わって、なんとも不思議な気持ちが俺を襲う。

「今は未だ、せんせいが拙者の事をどう思っていても良いのでござる。今は只、拙者ははっきりとした形としてせんせいが欲しいのでござるよ。だから、お頼み申す。拙者を……」
「待て、シロ…」
「…抱いてくだされ。」

それは慟哭にも似た告白。
シロの有りっ丈の想いを込めた一言。
そんな想いは俺の心を大きく大きく揺さぶる。

―― シロが子供だって?! ――

子供なのは俺の方だろう!?
俺は馬鹿だ!!大馬鹿だっ!!!
シロはこんなにも大人で…

―― 間違い無く女じゃないか!? ――

「ごめんシロ…俺、お前の事全然分かってなかった。お前の気持ち、全然分かって無かったよ。」
「せんせい…」

俺は謝る。頭を下げてシロに謝った。

「その……嬉しいよ、シロの気持ち。確かに俺、今までお前の事“女”として見たことなんて無かったけど、今日分かったよ。」

そしてせめてもの償いに、俺が思っている事を言葉にして伝える。

「シロは確かに“女”だったよ。俺、たった今からお前の事を子供だなんて思わないから。お前はきちんと1人前だから。」
「せんせい…」

でも、だからこそ…

「だからこそ、お前を抱く事は出来ない。」
「!?」

俺は自分の思いをはっきりと伝えた。その瞬間、雷に打たれたように身体を硬直させるシロ。
その表情は絶望と落胆を表している。
俺にはシロを抱く事は出来ない。
だって、俺は…

「俺には……俺がシロの事をそういう対象として好きなのかどうかが分からない。」
「せんせいっ!拙者はそれでもっ!!」
「シロっ!!!」

俺はシロの台詞を今度こそ制す。

「それじゃあ駄目なんだ。それじゃあ……駄目なんだよ。」
「何故…な、何故でござるかぁ……」

イヤイヤと首を左右に振りながら、震える声でシロが聞き返してきた。

―― ギュッ ――

「あ…」

俺はそんなシロを、そっと…壊れてしまわないように出来る限りに優しく抱きしめる。

「ごめんなシロ……有難うなシロ、こんな俺を好きになってくれてさ……本当、凄く嬉しい…」

だからさ

「だからあと少しだけ、返事は待ってくれないか?お前の望む答えが出るとは限らないけど…」
「……せんせい?」
俺がシロのことを抱きたいって思えたら…

「もしかしたら、お前の事泣かせちまうかもしれないけど……」
「………………」

俺自身が、シロのことを心から本当に抱きたいって思えたらなら……

「絶対絶対、はっきりした答え出すから…」

―― ギュゥッ ――

もう一度、ほんの少しだけさっきよりも強くシロの身体を抱きしめる。
そうして暫くの間シロの体温を感じてから、俺はゆっくりと回していた腕をほどいた。
シロは名残惜しそうに俺を見つめている。その表情が、なんだかまるで迷子の子犬のようで……

「今は……」

俺は正面からゆっくりとシロの顔に近づくと…

―― チュッ ――

「!!」
「…これで勘弁してくれな?」

ほんの一瞬だけ、唇が触れ合うだけのキスをする。
一泊おいて、シロの相貌からはさっきまで必死に耐えていたモノが止め処なく溢れ出ていた。




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